『第51回オールスター競輪(GI)レポート』 最終日編
 
配信日:9月15日


 一宮競輪場で開催されていた第51回オールスター競輪も本日がいよいよ最終日。本日のメインは何といっても決勝戦。勝ち上がった山崎芳仁、神山雄一郎、伏見俊昭、小嶋敬二、新田康仁らによる、これぞGI戦という激戦が繰り広げられた。レースを制したのは伏見俊昭。かつてナショナルチームでも一緒だった“盟友”の故・内田慶選手に手向ける渾身の勝利を収め、暮れのGPに名乗りを挙げた。


決勝戦 レース経過
 スタート牽制はなく、号砲と同時に佐藤友和が踏み込み誘導員を追う。これを神山雄一郎が追う形で車間を詰める。佐藤-有坂直樹が前受けで神山が新田康仁を受ける。この後ろに山崎芳仁-伏見俊昭-紫原政文で小嶋敬二-山口幸二が後攻めで周回が進んでいく。
 赤板前の3コーナーから小嶋が上昇を開始。小嶋は途中で止まることなく佐藤を押さえ込む。さらに打鐘前の二角で小嶋が誘導を交わして前に出ると、すかさず山崎が反撃開始。打鐘で小嶋を叩く。外を切り替えた新田は中団狙いで、小嶋も中団に拘るかと思われたが、新田ラインを入れて、六番手まで車を下げる。佐藤は立ち遅れて八番手。最終ホームは山崎-伏見-紫原-新田-神山-小嶋-山口-佐藤-有坂の一本棒で通過。二角から小嶋が仕掛けると、これに合わせて新田もまくり上げる。しかし、山崎のかかりが良く、三番手の紫原の外までで一杯。番手絶好の伏見が山崎を差し切って7年振りのオールスターV2を達成。山崎は粘り切れずに、伏見後位から中を踏んだ紫原と、まくれずも堪えながら外を踏み込んだ新田で写真判定になったが、微差凌いだ紫原が2着となった。
ゴール
ゴール
ウイニングラン
ウイニングラン
表彰式
表彰式



<5R>
北津留翼選手
北津留翼選手
   5レースからは特選レース。先行一車となった北津留翼(写真)がペース駆けに持ち込むと、マークの池尻浩一、三番手を回った岩津裕介の追撃を振り切って快勝。今シリーズ2勝目を挙げた。
「今日は前受けからの組み立てで、誰が来ても突っ張ろうと決めていました。後ろがもつれ気味だったし、じわーっとスピードを上げながら踏みました。なかなか休むところが無くてきつかったけど、要所で踏み直しもできたしレース内容には納得しています。ただ、最後は池尻さんと岩津さんに差されたと覚悟していたんですけどね」


<6R>
海野敦男選手
海野敦男選手
   6レースは五十嵐力が金子貴志の動きを封じて主導権をにぎると、直線で海野敦男(写真)が抜け出した。
  「まくりを止められたし、自分の最低限の仕事はできたつもり。でも五十嵐があれだけ頑張ってくれたわけだからしっかり残さないとダメですね。今開催は自信があっただけに勝ち上がれずに残念でしたけど、位置さえあれば戦えるんだと改めて確認できました」
  2着入線は西田雅志。目標が無いなか、南関コンビ追走が好判断となった。
  「まさか五十嵐君が先行してくれるとはね。位置的にも楽だったし、レース中は終始余裕がありました。海野さんの動きを待ってから、外へ行くか中を割るか迷ってしまい一瞬踏み遅れたぶん伸びを欠いたけど、2着で十分です。今日は恵まれました」


<7R>
永井清史選手
永井清史選手
   7レースは永井清史(写真)と海老根恵太の機動型同士の争いとなったが、永井が押さえて駆けて海老根を圧倒。ゴール手前で濱口高彰に交わされたが、両者でワンツーを決めた。
  「押さえて駆けるのは予定通りでした。こっちが相当けん制をしたから、海老根さんも相当脚に来ていると思ったし、すぐには来ないだろうと。踏み出したあと、後ろに濱口さんがいたのを確認してからはもう自分のペースでした。風も気にならなかったし、感じ良く踏めましたね」
  濱口高彰はゴール寸前で永井を捕らえた。
  「競りになっても仕方ないと覚悟していたけど、案外すんなりと駆けられました。これが大きいですね。今日は、レース前が一番緊張していたんです。離れないように離れないようにと、ずっと踏み出しに集中して構えていました。抜群のスピードでしたけど、しっかり付いていけました」


<8R>
石毛克幸選手
石毛克幸選手
   8レースからは優秀競走。渡邉一成の動きに乗った石毛克幸(写真)が直線外を一気に伸びて連勝のゴールを飾った。
  「(渡邉一成と)前との車間がかなり空いていたので、心配したけど、一成君はやっぱり強いですね。今日は彼のおかげです。今回から新車に換えて車の伸びは良かったし、体調も良かった。子供が今日、無事に生まれたので、これからもっと頑張ります」
  松崎貴久が最終ホームからカマして先行。この三番手を上手く確保した渡邉一成だが、車間を詰めるのに脚を使い4着に敗れた。
  「誰かカマしてくると思っていたし、狙い通りだったんですけどね。こういうレースに慣れていないので、ちょっと車間が空きすぎてしまった。これからは今日のような競走スタイルもやっていくつもりです」


<9R>
石橋慎太郎選手
石橋慎太郎選手
   細切れ戦の9レースは、自力型同士で激しくやり合う展開となった。結局、最後まで脚を溜めた石橋慎太郎が好まくりを決め、番手の荒井崇博が追い込んで1着となる。
  「最後に石橋がタレてきたんで、全開で踏んだら4着くらいに沈んでしまうから、残す感じで踏みました」
  その石橋慎太郎(写真)は何とか2着に踏み止まった。
  「今日は顔見せで脚が軽かったから、突っ張って先行することも考えていました。初手で前を取れなかったから、押さえてもらった所をカマそうとしたけど、前がやり合ったからそこに参加するよりは脚を溜めようと作戦チェンジしました。良いスピードでまくれたけど、最後に菊地(圭尚)さんに一発もらって脚が一杯になってしまいました」


<10R>
成田和也選手
成田和也選手
   10レースは新田祐大が先行。番手絶好となった成田和也(写真)が平原康多のまくりをけん制しながらきっちり追い込んだ。
  「一走目といい、今日といい、前の新田が頑張ってくれたおかげです。今回は3回連にからめたけど、恵まれただけですね。連日、重く感じたし、体調的にはあまり良くなかった」
  福島コンビの三番手を選択した中村浩士は踏み出しに離れて連結を外してしまったが、上手く立て直して3着に突っ込んだ。
  「新田君が下から一気に踏み上げていったので、付いていけなかった。自分の弱さが出てしまいましたね。どっかに降りないと9着だし、平原君の前に強引に入りました。今はそういう練習もしています。成田君とワンツーを決めないといけない展開だったし、反省しています」


<11R>
幸田光博選手
幸田光博選手
   11レースの順位決定競走は武田豊樹の先行を利した幸田光博(写真)が直線鋭く追い込み、今シリーズ2勝目をゲットした。
  「武田のおかげです。踏み出した時はアレッという感じでしたが、後半のスピードはさすがでした。後ろの兵藤(一也)君は脚があるし、抜かれたら格好が付かないので、少し早めに踏ませてもらいました」
  五番手キープからまくった村上義弘は不発。
  「後ろになった岡部(芳幸)さんが内から来るんじゃないかと思い、ちょっと気になってしまいました。でも、今日は完全に力負けです」


<12R>
紫原政文選手
紫原政文選手
新田康仁選手
新田康仁選手
   12レースの決勝は伏見俊昭が逃げた山崎芳仁の番手からきっちり抜け出して快勝。福島コンビを追走した紫原政文(写真)が2着に流れ込んだ。
  「一番余裕のある山崎君がやっぱり先行する展開になりましたね。伏見君は余裕があったし、脚もあるので、全く隙がなかったです」
  絶好の四番手を確保した新田康仁(写真)は小嶋敬二の仕掛けに合わせてまくって3着。GI初制覇は成らなかった。
  「いい位置を取れたからちょっと悔しいですね。小嶋さんがまくって来て、自分も出ないとコースがなくなってしまいますからね。もっと躊躇なく仕掛けていれば何とかなったかもしれない。紫原さんには踏み勝ったと思ったけど、3着が精一杯でした」
  先行した山崎芳仁は直線力尽きて6着に敗れたが、レース内容には納得している様子。
  「紫原さんが付いてくれて3人になったのは大きかったです。初手も先行しやすい位置に入りましたからね。カマシにびびって、緩めずに仕掛けました。いい感じで踏み上がったし、かかっていたと思います。最後は自分の力だから仕方ありません。伏見さんは脚がありますからね」
  9着と大敗した小嶋敬二は「山崎があんなにすんなり駆ける展開になるとは思っていなかった。詰める勢いでまくったけど、山崎のかかりが良くてダメでしたね。せめて新田のところは乗り越えたかった。調子的には悪くなかったけど、決勝に乗っただけになってしまいましたね」と肩を落とす。
   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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