『第52回オールスター競輪(GI)レポート』 2日目編
 
配信日:9月20日


 松山競輪場で開催されている第52回オールスター競輪は2日目を終了。本日はオリオン賞を中心に、各レースが行われた。特別選抜予選からは渡部哲男、加藤慎平、合志正臣らの精鋭が勝ち上がり、敗者復活Iからは9名が明日の敗者復活IIへと駒を進めた。なお、メインのオリオン賞は、永井清史と海老根恵太が1着を分け合い、明日のシャイニングスター賞に勢いをつなげた。
 明日(21日)は内林久徳氏による予想会(4レース発売中)や、「侍戦隊シンケンジャー」ショー、先着1000名様に景品が当たるラッキーカードの抽選会などが行われます。どうぞ松山競輪場にご来場ください。



オリオン賞 レース経過
 スタートで勢い良く飛び出した佐藤友和が正攻法に構え岡部芳幸がマーク。細切れ戦で北津留翼-紫原政文、村上義弘-三宅伸となり、永井清史-山口幸二の中部コンビに単騎の海老根恵太の並びで落ち着く。  淡々としたペースが崩れたのは赤板前。永井が上昇開始も一番前まで行かず、北津留のアウトで止まる。北津留も引かずに併走状態となり、打鐘目掛けて永井が外併走から仕掛けるも、佐藤が突っ張り、主導権は渡さない。北津留が踏み遅れた為、永井が三番手に入り態勢を立て直す。村上が永井ラインに切り替え、北津留は内に詰まったまま動けず。最終バック三番手から永井が渾身のまくりを放つと岡部のブロックをしのいで、直線で佐藤を捕らえた。山口は永井を追わず、内に切り替えたのが失敗で伸び一息。永井が押し切るかに、四角外に持ち出した海老根が強襲し、永井と並んでゴール。写真判定の末、1着を分け合った。3着には海老根を追いかける形になった村上が大外を伸びた。
ゴール
ゴール
海老根恵太選手、永井清史選手
海老根恵太選手、永井清史選手

 




<1R>
後閑信一選手
後閑信一選手
    1レースは単騎の後閑信一(写真)が、バック最後方から怒涛のまくりを放って快勝。消化不良で終わった昨日のうっ憤を晴らした。
「自分のタテの脚が、GIでどれだけ通用するか、戻っているかを確認したかった。結構、車も出たし悪くは無かったですね。先行タイプが多かったし、スピードレースになると思ったけど、タイミングさえ合えば行けると思っていました」
  レースは大西祐が主導権をにぎった。大西マークの佐々木則幸は伊原克彦のまくりを止めるなど健闘し、2着を確保した。
  「普段慣れない仕事をしたから、難しかったですね。前がかかっていたし、何とか二人で決めたかった。2センターで1(伊原)をもっと勢い良く止めていれば、外の後閑さんも行けなかったかも。そうすれば自分が1着だったでしょうね」
  大西祐は「ホームでフカしすぎたから最後は垂れてしまった。昨日に比べて格段にバンクが軽かったですよ」とサバサバしている。


<2R>
栗田雅也選手
栗田雅也選手
    倉野隆太郎が先行すると十文字貴信が追い上げて番手がモツれる。上手く中団五番手を確保した栗田雅也(写真)はバックから濱田浩司に合わせるように仕掛けてまくり切る。「早めにまくっても濱田さんの仕掛けどころになる。だから、いつもより2、3テンポ遅めに仕掛けました。何とかしのげたって感じですね」と、してやったり。
  梶應弘樹にからまれながらも2着に流れ込んだ加藤圭一も「作戦どおり。最後に誰が来るかなと思ったけど、抜きに行かなきゃと思って行った。でも遅めの仕掛けで踏み直しがキツかったですね」と笑顔でレースを振り返った。


<3R>
金子貴志選手
金子貴志選手
    3レースは金子貴志(写真)が快勝。桐山敬太郎が藤田竜矢を叩くと、後方からまくりを放った。
  「前がもつれていたし、展開が向いただけでしょう。だけど、昨日よりは踏んだ感じも良かったし、踏み出しなんかも全然良かった。尻上がりに調子は上がっていると思う。そういう意味では昨日が勿体無かったです」
  桐山マークの石毛克幸が2着をキープする。
  「桐山が中団に入って休むかと思ったんだけど、一気に前を叩いたでしょう。ちょっとびっくりした。それからはバックまでずっと併走状態だったし、きつかったですね。直線では一瞬(金子に)、迫ったと思ったんだけどね」


<4R>
坂本亮馬選手
坂本亮馬選手
    4レースは中団キープの坂本亮馬(写真)が出色のスピードでまくりを決めて別線を粉砕。マークの加倉正義と師弟タッグでワンツーを決めた。
  「今日は迷い無く仕掛けました。タイミングはばっちりでしたね。今日は自力タイプで位置取りにこだわる人がいなかったから良い位置が取れた。そこからの仕掛けですから楽でしたよ。師匠に怒られずにすみますね」
  加倉正義は坂本の踏み出しにしっかりと食い下がった。
  「練習でずっと強いところを見ているし、あとは実戦でどうやって付いていくかだけだった。苦しかったけど、離れなかっただけでも良しとします。亮馬は本当に強くなったですよ」
  岩本俊介は「2車だったけど、行こうとは思ってた。だけどレースが見えていませんね」と悔しさをにじます。


<5R>
山口貴弘選手
山口貴弘選手
    生き残りをかけた敗者復活戦Iをまず制したのは山口貴弘(写真)だった。周回中に正攻法に入ると、仕掛けて来ない松岡健介を相手に最終ホームから先行。そのまま押し切った。
  「先行は久しぶり。何年ぶりか分からないくらい。誘導がいたのが良かったですね。いなければ飛びつき狙いだから。久々の先行で調子はどうか分からない。押し切れたのはあんなに車間を空けてくれた大作さんのおかげです」
  番手の高橋大作は「車間を空けたら思ったよりかかってた。脚自体は大丈夫だけど、そこはミスですね。ホームまで誘導がいて1周駆けだから強いですね」と勝った山口を称える。
  ライン選択がピタリ的中した有坂直樹は笑顔が絶えない。
  「山口は早めに押さえに行って(正攻法に入れたのが)正解だったね。いい感じで駆けてたから食われなくて済んだ。明日頑張って準決勝Bに乗りたいね」


<6R>
五十嵐力選手
五十嵐力選手
    前受けから車を下げた中川誠一郎が動けず、打鐘先行の五十嵐力(写真)がまんまと逃げ切った。
  「後ろの競りは気になりました。誠一郎の動きを警戒してたけど、流しすぎて踏み上がらなかったので苦しかった。かからなかったけど、ラインで勝ち上がれたから十分です。体調的には普通くらいですね」


<7R>
一丸安貴選手
一丸安貴選手
    矢口啓一郎の先行をホームから巻き返した中村一将がひと飲み。最後は番手の一丸安貴(写真)が抜け出した。
  「あぁ、良かった。踏み出しですげえ伸びてキツかった。出切ってからタレてきたので、中を割られんように行ったけどダメだった。中村を残せなかったのは力不足ですね」
  2着の有賀高士も「一丸が離れそうだったけど、しっかり付いて行ってくれた。僕も外を踏めてるし良いと思う」とニッコリ。
  悔しそうなのは4着に敗れた中村一将だ。「展開は好きなパターン。あれで4着じゃ…」とガックリ肩を落とした。


<8R>
成田和也選手
成田和也選手
    先行態勢に入った稲垣裕之を渡邉一成が一気にカマす。これで番手絶好になった成田和也(写真)は渡部哲男をけん制しながら鋭い伸びを見せた。
  「一成がいい感じでカマしてくれた。余裕はあったので上手く(二次予選Aに進める)3着までにと思ったけど、哲男がいいスピードで来てたので振りながら踏んだ。今日は一成のおかげだけど、僕も良い状態では臨めてると思う」
  渡部のまくりに続いた合志正臣が外を伸びて2着に入った。
  「前回の豊橋記念で石丸(寛之)さんのまくりに付いて行けてるので、踏み出しで付け切れるかの不安はなくなった。その分、余裕が出てきましたね。昔は厳しいなと思ったけど、今は3着までなら何とかって気持ちが出てきた。全然、大丈夫です」
  渡部哲男は3着で二次予選Aに。地元ビッグでまずまずの滑り出しを決め、ホッとした表情を見せる。
  「ちょっと今日は重かったですね。成田さんのけん制でツケマイで行けなかった。その分を差し引いたら3着でも良い感じ。一走して落ち着いたし、四国は僕と小倉(竜二)さんだけ。みんなの分も頑張ります」


<9R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
    9レースは吉田敏洋(写真)が三宅達也を叩いて主導権をにぎると、ホーム過ぎから丸1周をブン駆け。結局、後続のもつれをよそにペースで押し切った。
  「タイミングは自分の感覚で。ただ、1周なら持つと自信がありました。出切るまでで脚を使ったけど、そこからは後ろも併走でもつれていたし、ペースで踏めた。3コーナーから(佐藤)慎太郎さんがまくってきたのは分かったけど、こっちも余裕があったから踏み直すことができた。調子が良いからできるわけで、勢いが後押ししてくれましたね」
  佐藤慎太郎をマークした前田拓也は、佐藤のまくりに乗ると、鋭い差し脚を伸ばして2着に食い込んだ。
  「慎太郎君がうまいレースをしてくれた。今日はそれに尽きます。でも、4倍を3・57のギアで抜くのはきついですよ。それができたわけだから、自分のデキも良いんでしょうね」
  佐藤慎太郎はバック手前からまくって出たが、惜しくも4着に。
  「一旦休んでから回したけど、今日はすぐに脚が一杯になってしまった。タイミングは悪くなかったんですけどね」
  木暮安由は最終ホームで吉田敏洋の番手を確保するも、今度は三宅達也と併走状態となってしまった。
  「吉田さんのハコ狙いまでは予定どおりだったけど、その後の併走が誤算でした。長引くのが嫌だったし、三宅さんに当てられた時点で前に踏むべきでした。でもすぐに慎太郎さんがまくっていたし、無理に仕掛けられなかった」


<10R>
加藤慎平選手
加藤慎平選手
    浅井康太が先行。番手の加藤慎平(写真)が絶好の展開をモノにしたが、口を突くのは浅井の状態面ばかり。
  「浅井は苦しそうでした。あいつにしては考えられないかかりだった。車間を切ろうとしても空かなかったくらいだからね。1カ月半ぶりだけどレース勘に問題はなかったし、さすがベテランって感じ(笑)。良かったです、とりあえず」
  2着には菅原晃マークから外を踏んだ大塚健一郎が食い込んだ。
  「晃が頑張って前々に踏んでくれた。自分は単独になって晃を入れる準備はしてたんだけどね。状態は悪くないです」
  稲村成浩が苦しい展開をしのいで3着に入線。
  「1コーナーでもらったので、ニュートラルに入れてゴール前だけ待ってました。スムーズなペダリングができてますね」


<11R>
村上義弘選手
村上義弘選手
   オリオン賞は永井清史、海老根恵太で1着同着。佐藤友和の突っ張り先行に遭ったが、そこから上手く三番手を確保した永井清史は冷静なレース判断が光った。
  「突っ張られることは考えてました。宮杯でもやられてますからね。三番手で外併走しとこうかなと思ったら、あっさり三番手に入れた。村上さんもギアをかけてるのでそんな良いスピードでは来ないと思ってたし、落ち着いて車間を空けてました。バンクは軽かったですね」
  永井ラインの三番手から外を強襲した海老根恵太も相変わらずの好調ぶりを見せた。
  「先手ラインに乗って行く作戦だったけど、突っ張られるのは予想外でした。でも(押さえるのが)あんまり遅いんじゃとは思ってた。あそこで友和の三番手に行ければ良かったけど、永井も車間を空けてかなり構えてましたからね。前で仕掛けてる永井の同着まで行けてるんだから、状態は悪くない」
  3着でシャイニングスター賞進出を決めた村上義弘(写真)だが、表情は浮かない。
  「何もしてませんからね。ただ着に恵まれただけ。自分の想定した展開と違ったし、誰も予想してない展開になった。明日は無事に走りきれば準決勝に行けるというのはホッとしたけど、もう少し何かしたかった。体調は特に問題ないですね」
  悔しそうにレースを振り返るのは山口幸二だ。
  「永井が止まったと思って内に行っちゃった。ミスだね。これは大きい」
  突っ張った佐藤友和は「駆ける気はあったけど、あっても1周ガマシくらいに考えてた。でもあれで9着じゃないんだから、思ったより良いですね」と状態を自己分析した。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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