『第52回オールスター競輪(GI)レポート』 3日目編
 
配信日:9月21日


 松山競輪場で開催中の「第52回 オールスター競輪」は3日目を迎えた。今日は「シャイニングスター賞」をメーンに、二次予選A、Bそして敗者復活戦2で準決勝への勝ち上がりを争った。「シャイニングスター賞」を制して決勝戦進出を決めたのは石丸寛之。ホームからまくった海老根恵太ラインに続くと、前の二人を一気に飲み込む。なお敗者復活戦は小橋正義が快勝し、明日の準決勝B進出を決めた。
  明日(22日)は早朝予想会(10時から)に始まり、工藤元司郎氏による専門解説者予想会(4レース発売中)、さらにジャグリングショー(11時、15時から)に競輪トークショー&クイズ大会(13時から)などイベントも充実。白熱のオールスター競輪をぜひ松山競輪場でお楽しみください。



シャイニングスター賞 レース経過
 強力機動型がそろい、細切れ戦で激戦必至の顔触れ。渡邉晴智がスタートで飛び出すと海老根恵太を受けて、南関コンビが正攻法。単騎の石丸寛之が三番手で、平原康多-武田豊樹に、やはり単騎の村上義弘が続く。後方に永井清史-小嶋敬二-井上昌己で周回が淡々と進んでいく。
  赤板前の2センターで永井が上昇すると、これに合わせて中団から平原が踏み上げ海老根を押さえる。赤板と同時に永井が誘導員を交わすと、平原がイン粘りを敢行。打鐘までアウトで粘った小嶋だが、結局車を下げてしまう。援護を失った永井は流し気味に後続を窺っていると、海老根が七番手からカマシ気味に仕掛けて永井に襲い掛かる。番手の平原が牽制するも海老根のスピードが良く、バック前で永井をまくり切った。しかし、この海老根ラインを追いかけていた石丸が、更にバックから仕掛けて海老根をまくり切る。石丸は後続を振り切って快勝し、決勝の椅子を手に入れた。粘る海老根をゴール寸前で渡邉が捕らえて2着、海老根は3着。関東勢、小嶋は見せ場なく終わった。
ゴール
ゴール
石丸寛之選手
石丸寛之選手

 




<1R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
   1レースは新田祐大が牛山貴広を突っ張って先行すると、番手の菊地圭尚(写真)が直線で抜け出した。菊地は坂本健太郎のまくりを止めるなど、番手の役割をしっかりと果たした。
  「新田の先行する気持ちが伝わってきたし、自分はそうなれば仕事をしないと。坂本さんを止めたとき、身体を預けすぎてしまいイエロー近くまで行ったから審議になるかなと覚悟していたんです。セーフで良かった」
  2着に粘った新田祐大は「(牛山が)押さえてくるタイミングが遅かったし、もう突っ張るしかなかった。でも、早く押さえてきたとしてもカマす気だったし、先行するつもりでした。変な言い方をすれば着よりも内容重視で。結果に出たし納得しています」と話す。


<2R>
中村一将選手
中村一将選手
   2レースは中村一将(写真)がホームカマシで中川誠一郎から主導権を奪うと、後続のもつれを尻目にペース駆け。最後は南修二に交わされたが、自身も2着に粘り近畿両者でワンツーを決めた。
  「誠一郎をすんなり出させると厄介だし、突っ張ろうとも思ったんです。でも(先行しそうな)自力は俺しかいないわけだし、絶対に緩めると思ったから、そこを狙って一気に仕掛けました。初手の位置取りもスムーズだったし、脚もさほど使わなかったからペースで駆けられました」 
  勝った南修二は「今日は付いていて楽でした。白戸(淳太郎)さんがまくってきたのが見えたけど、自分のヨコに来る前に止まったのが分かったし、あとは前を残すだけでした」と余裕の表情。
  白戸淳太郎(3着)は「出たとこ勝負」のまくりを放った。
  「中川と中村はダッシュが強烈だし、どちらが行くにせよ飛びつけるほどの脚はないから、脚を溜めてからの一発に賭けていました」
 中川誠一郎は中村に叩かれてしまい万事休す。
  「自分は先行する気持ちもあったけど、ちょっと迷いもあった。いざ中村さんが来た時、合わせようとしたけどダッシュがすごくて脚が折り合わなかった」


<3R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
   3レースは前受けからそのまま先行態勢に入った矢口啓一郎(写真)が後続を振り切った。
  「今日はバックが追い風だから、ホームで我慢しながらスピードに乗せれば最後まで持つだろうと。それに誰も押さえに来なかったし、誘導を使って脚を使わずに先行できたでしょ。展開が向きましたね。ああなれば最後まで持ちますよ」
 山崎充央は矢口の踏み出しに口が空いたが、しぶとく追走して2着に食い下がった。
 「矢口の踏み出しが凄くて一瞬離れてしまいました。だけど何車も離れたわけではないし、苦し紛れにヨコに振って応戦しようと。抜きはない分、仕事はしないとね。松岡君も止まったし、最低限の仕事はできた。あとは番手を回してくれた佐久間(仙行)さんのおかげです」
 松岡健介は「連日、何やってんやろ…」とひとこと。その表情は険しい。


<4R>
小橋正義選手
小橋正義選手
   4レースは敗者復活II。一名しか勝ち上がれない狭き門を突破したのは小橋正義(写真)。2センターでインコースが空くと、その隙を逃さず、最後は中割り強襲を決めた。
  「今日は競ってというよりも、緩んだところがあればまくろうと思っていたんです。展開はちょっと違ったけど、コースが良い感じ空いたし思い切り突っ込めた。成績はあまり良くないけど、調子自体はずっと良いんです。厳しい権利のなか1着が取れて嬉しい」
  中村浩士は逃げた五十嵐力を徹底援護。直線でも差し脚を伸ばしたが、惜しくも2着となった。
  「仕事もできたし2センターで内もしゃくられなかったから、あとは直線勝負だなと思ってたんですけどね。ちょっと油断したら、中を一気に来られてしまった」
  3着には南関コンビを追った有坂直樹が。レース後は「焦って外を回しすぎた。内を閉めて中を突っ込めば、中村と俺でワンツーだったよね」と展開を悔やむ。
  山口貴弘はまくり不発で着外に。
  「一旦引いて、行けるところから仕掛けたかったけど、ちょっと踏んだ感じが悪かった。ブロックももらったし、ああなると厳しい」


<5R>
村本大輔選手
村本大輔選手
   二次予選のオープニングレースは三宅達也が打鐘過ぎから果敢に主導権を奪う。別線のまくりが不発に終わると、番手の村本大輔(写真)が絶好の展開を生かした。
  「アイツ(三宅)は気持ちいいね。ジカ付けは初めてなのに、どっからでも行きますと言ってくれた。日ごろ、自分がやったことが伝わってたみたいで、すごく嬉しかった。体調が悪かったし、この1着がいい薬になる。一番いい形で準決勝に行けますね」
  村上博幸は中部ライン三番手から三宅ライン四番手に切り替えると、直線外を鋭く伸びた。
  「2着権利は難しいですね。柴崎(淳)がなかなか引かなかったので、直感的に切り替えた。九番手では2着には届かないでしょ。ホームで追っかけてしんどかったけど、バックでは落ち着いてました。脚は軽いですね」
  逃げた三宅達也は「順番が回ってきたら思い切って行こうと思ってた。後ろもしっかりしてますからね。もう少し粘れたらよかったけど、直線で失速した」と末を欠いて5着に敗れた。


<6R>
飯嶋則之選手
飯嶋則之選手
   浅井康太の番手を取り切った飯嶋則之(写真)。浅井は菅原晃との先行争いで脚を使ったが、その後ろからゴール前鋭く突き抜けた。
  「中部勢が相手なのでアンコにされたりとか作戦があるかなと思ってたけど、思いのほかスンナリ番手を回れましたね。脚は大丈夫。ただ久々のレースで狭いところを突っ込んだりとかカマシとかはまだダメだと思う。また明日準決勝なので、修正しつつ頑張りたい」
  ホームで内に詰まり仕掛けどころを逸した木暮安由後位から兵藤一也が会心の強襲劇を見せた。
  「先行争いになってたし、木暮は引いてりゃ行ってたな。器用さが裏目に出たみたい。僕はあそこを行かなきゃ着がない。二人で準決に乗れれば一番良かったけどね」


<7R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
   石橋慎太郎が新田康仁を連れて果敢に主導権を握ったが、それを中団から稲垣裕之(写真)がひとまくり。ラインで上位を独占した。
  「恵まれました。しっかり周りも見えてたし、落ち着いて走れた。だんだんと(3.85の)ギアにも慣れてきましたね。三番手に長塚(智広)くんがいて、新田さんの番手まくりがあったなかで勝ててよかった」
  2着の坂上樹大もホッとした表情を浮かべる。
  「とりあえずよかったです。伊藤(正樹)さんが前を回してくれたおかげです。僕の感じは悪くないと思うんだけど、抜けてないんでね。ちょっとギアとか考えます。稲垣はいいスピードでしたね」
  石橋の頑張りに報いることができなかった新田康仁は悔しそうにレースを振り返る。
  「石橋が無理して行ったのもあって、いまいちスピードに乗ってなかった。僕は迷わず行くべきでしたね。脚に余裕があったのに悔しいです」


<8R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
   ここから二次予選Aが始まった。レースは先に斬った渡部哲男を叩いて神山拓弥が主導権。神山拓が波を作ると、内をすくった岡部芳幸が渡部から三番手を奪う。冷静に車間を切った番手の神山雄一郎(写真)はきっちり神山拓を残しつつ1着でゴールした。
  「俺も拓弥もやることはひとつ。あれこれ考えても仕方ないし、とりあえずは3着までに入らないといけない。そこで余裕があれば拓弥を残すつもりだった。拓弥は言ったとおり上手く駆けてた。気心知れてる俺が後ろでよかったんじゃないかな。俺の感じも良いです」
  2着には上手く三番手を確保した岡部芳幸が流れ込んだ。
  「全部空けば前まで出て騙し騙し先行してもよかった。あまり褒められたレースではないですね。三番手に入ったけど神山(雄)さんも車間を切ってるし、小橋(正義)さんのレースを参考に我慢して直線勝負と思ってた。1着じゃないけど結果オーライで。後ろの竹内(智彦)の力になれなかったので、明日は竹内の分まで頑張ります」
  逃げた神山拓弥は3着に粘る大健闘を見せた。
  「このステージで57のギアじゃ通用しない。85に上げたけど、重くて周回中に換えたかったくらいです。神山さんと一緒に練習を始めたこの5カ月で点数が6点近く上がった。これはデカいし、色々レースにつながる練習ができてます」
  岡部の動きで三番手を奪われた渡部哲男だが、地元の意地で4着に踏みとどまった。
  「誰が来ても(神山ラインの)三番手勝負だと思ってた。前が蛇行したら、空いた内を岡部さんに来られて焦りましたね。いつもはレース前に頑張れとしか言わない(三宅)伸さんが、お前の地元なんだから何が何でも準決勝に乗らんといかんぞって言ってくれて、僕も何とか3人でって気持ちが強かったのに。後ろには申し訳ないことをした。感じは悪くなかったけどね」


<9R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   ここは七番手から豪快なまくりを決めた山崎芳仁(写真)が貫禄勝ち。後ろの成田和也と福島ワンツーを決めた。
  「何とかですね。二次予選じゃ負けられないし、久々に緊張しました。前受けから突っ張るつもりだったけど、押さえに来たのが市田(佳寿浩)さんだったから、荒井(崇博)さんのまくり頃になると思ってやめた。そのあとは自分でも反応できてたと思う。悪ければ中団で休んでるところを休まずいけたしね。とりあえず勝ててホッとしました」
  2着の成田和也は山崎の強さに脱帽だ。
  「けっこういい感じでもらってたのに、そのあともグッと伸びて行った。上がり11秒フラットですか? すごいですよね。今日の山崎は練習より強かった。僕の調子も良いと思うし、次は抜けるように頑張ります」
  逃げた荒井ラインの三番手から合志正臣が鋭く伸びて3着に。
  「今日はキツかったです。とりあえず紫原(政文)さんを抜けば4着かなと思ってたけど、外を(加藤)慎平が来てたでしょ。まさか武井を抜けるとは思わなかった。今日は先行の三番手ってレースをしたし、これからはまくりでもどっちの展開になってもイケると思う」
  武井大介はゴール寸前で合志に交わされ準決勝Bに。
  「まだ内、外にコースを探すのが慣れてない。迷った分ダメでしたね。今日は3着はとらないといけないレースだった。これから勉強ですね」


<10R>
山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
   10レースは佐藤友和の仕掛けが不発に終わると、マークの伏見俊昭が番手まくりを敢行。先行した吉田敏洋を2センターでまくり切り、そのまま後続を振り切った。
  「友和がレース前に、“仕掛けたら一気に行きます”と言ってくれていたし信用して付いていきました。ただ、吉田君も調子が良いから今回は(佐藤が)きつそうでしたね。もっと吉田君に脚を使わせれば良かったかもね。バックからまくって出たけど、山賀君がもう来ていたからそこはシビアに行きました」
  2着には山賀雅仁(写真)が。後方八番手からのまくり追い込みを決めて、最後は外コースを強襲した。
  「4回転の力をうまく出すことができました。今日は2車だったし、積極的にというよりは、とにかく自分のタイミングでと。前と車間が空きすぎたのがちょっと誤算でしたけど、それを除けばうまく行ったと思います」
  北日本勢の後位を回った稲村成浩は3着を確保し、準決A進出を決めた。
  「あの位置を主張して良かった。山賀が四回転だったし、最後は誠さんにまで行かれたかとヒヤっとしていました。でもどうにか3着だったし安心しました。(山口)幸二さんに持って来られる前に(2センターを)乗り越えられたのも大きかったですね」
  バック最後方に置かれた鈴木誠は、懸命に山賀を追走して4着に。準決Bへ駒を進めた。
  「山賀には『8、9番手にはなるなよ』と言っていたんですけどね。あれじゃ15、6番手ですよ(苦笑)。確定板には乗れなかったけど、しっかり追走できたし、準決に乗れたわけだから良しとしないとね」


<11R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   11レースはシャイニングスター賞。1着の石丸寛之は表彰式を終えて検車場に引き揚げると、安堵の表情を浮かべてレースを振り返った。
  「最近は単騎のレースでは結果も良かったんです。そろそろアタリが出るかなと思っていたんですが、まさかここで出るとはね。今日は何もかもが想定していた展開どおりでは無かったんです。それなのに勝てたのは、言ってみれば抽選で当たったようなものですよ(笑)。最後方に置かれたけど、(海老根が)早めに仕掛けると思ったし、悪い位置とは思わなかった。あとは海老根が出てから流すだろうし。そこを迷わず踏めたのが今日の勝因ですかね。これで決勝進出を決めたけど、まだ実感が沸きません」
  海老根恵太(写真)は3着に。早めの巻き返しで永井を叩いたが、直線で末を欠いた。
  「仕掛けるのが遅いと平原が永井の番手から出ると思ったから、少し早めに叩きました。でも出切るまでに結構脚を使ったからきつかった。それに石丸さんのスピードが違ったから、対応できなかった」
  2着の渡邉晴智は「今日は海老根が早めに仕掛けてくれたから自分にチャンスがあったようなもの。(海老根を)抜いているし、悪くはないですよ」とレースを振り返る。
  関東コンビは総崩れ。平原康多が「レースの中でのとっさの判断で(分断した)。結局、海老根さんらに行かれただけでしたね」
と話せば、武田豊樹は「粘ったのは彼(平原)の判断でしょう。自分は付いていって、最後は抜くことだけしか考えていませんでした」と淡々としている。
  先行した永井清史は「打鐘後の3コーナーまでは小嶋さんが追い上げてくるのを待っていたけど、飛ばされたのが見えた。だからもう仕方がないと思って、前へと踏みました。9着でしたけどバンクは軽かったし、明日までには修正できるはず。大丈夫ですよ」とすでに気持ちを切り替えている。



↑ページTOPへ

 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.