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 第52回オールスター競輪(GI)が愛媛県の松山競輪場で開催される。山崎芳仁、伏見俊昭の北日本勢と武田豊樹、平原康多の関東勢の2大勢力の対決が中心となるが、今大会から従来のポイント制による勝ち上がり方式が廃止され、新たに敗者復活戦も導入されており、見どころ満載の5日間となるだろう。

伏見俊昭がファンの期待に応え連覇を狙う!
ファン投票3位と5位の関東コンビも強力だ
 ファン投票で堂々の1位に選ばれたのは伏見俊昭だ。昨年7位からのジャンプアップだが、昨年のオールスターの覇者であり、絶好調をキープしている現在の状態を考えれば当然の結果といえる。
 4月・川崎記念から7月・サマーナイトフェスティバルまで22走しているが、1着が12回で、着外はわずかに3回しかない。
 目標不発の展開になっても素早く自力発進に切り替えられるのが強みで、5月にSSシリーズ・風光ると全プロ記念のスーパープロピストレーサー賞を連覇後も、寛仁親王牌が決勝3着、サマーナイトフェスティバルが決2着と抜群の安定感を誇っている。
 加えて山崎芳仁が急速に復調してきているのも伏見にとっては心強い。
 山崎は競輪祭を優勝後はまさかの調子落ちになり、ビッグレースでの決勝進出がなくなってしまい、3月の地元・いわき平記念で決勝進出を逃している。
 しかし、SSシリーズ・風光るで久しぶりの決勝進出を果たすと、高松宮記念杯では準優勝と王者健在を力強くアピールした。続く寛仁親王牌は準決勝で敗れたが、サマーナイトフェスティバルの決勝戦では結果は8着ながら伏見を連れて思い切りよく先行勝負に出ており、今回も山崎-伏見の黄金コンビが競輪祭の時のような驚異のパワーを見せつけてくれるだろう。

 武田豊樹と平原康多の関東コンビの連係も北日本コンビに負けず劣らず強力だ。
日本選手権で念願の初タイトルを獲得した武田は、高松宮記念杯では平原の前回りを選択して平原の初タイトルに貢献、サマーナイトフェスティバルでは山崎-伏見の北日本ラインを捲って初優勝と乗りに乗っている。ファン投票でも4位の山崎を抜いて3位にランクイン、平原が5位につけている。
 さらに6位には相変わらず人気の高い神山雄一郎がつけている。寛仁親王牌では平原-武田-神山の並びで結束、結果的には仕掛けをやや焦りすぎて成功したとはいえなかったが、今回も3人が決勝戦で顔を揃えることも考えられ、今度こそは関東ラインから優勝者が出る可能性も高い。
初のファン投票1位!伏見俊昭 福島・75期
初のファン投票1位!
伏見俊昭 福島・75期
ダービー王が2冠狙う 武田豊樹 茨城・88期
ダービー王が2冠狙う
武田豊樹 茨城・88期


小嶋敬二が豪脚パワーを見せつける!
松山バンクとの相性が抜群の海老根恵太
豪快なレースで魅了 小嶋敬二 石川・74期
豪快なレースで魅了
小嶋敬二 石川・74期
復調気配のGP08覇者 井上昌己 長崎・86期
復調気配のGP08覇者
井上昌己 長崎・86期
寛仁親王牌でGI初V 海老根恵太 千葉・86期
寛仁親王牌でGI初V
海老根恵太 千葉・86期
地元戦で気合い漲る 渡部哲男 愛媛・84期
地元戦で気合い漲る
渡部哲男 愛媛・84期
 ファン投票2位は小嶋敬二だ。近況は決して本調子とはいえない状態で昨年の1位から後退してしまったが、今年11月に40歳を迎える小嶋は、今もなお山崎芳仁や武田豊樹らを相手に先行・捲りの自力勝負で頑張っている姿に感銘しているファンが多い。
 高松宮記念杯では決勝戦こそは浅井康太を目標にしたレースで7着に敗れているが、二次予選Aは文句なしの逃げ切り、準決勝も中団から先捲りの武田のさらに上を捲って1着で突破している。
 続く寛仁親王牌はまさかの一次予選敗退に終わったが、敗者戦ながら2日目と3日目を連勝しており調子自体は悪くなく、今回も小嶋らしい豪快な先行・捲りでファンを魅了してくれるだろう。
 ファン投票7位の井上昌己も決勝戦で7着に敗れた地元開催の共同通信社杯・春一番のあとは凡走が目立っていたが、寛仁親王牌の準決勝では山崎-伏見の北日本ラインを敗って1着で勝ち上がって、再び調子を上げてきている。
 近況は坂本亮馬や松岡貴久らの九州の若手を目標にしたレースでもきっちり結果を残しており、今回も展開に応じた自在戦法を駆使して賞金王の名に恥じない走りを見せてくれるはずだ。

 海老根恵太はファン投票10位で惜しくもベストナインには届かなかったが、寛仁親王牌では鮮やかな直線強襲でGI初優勝を達成して勢いに乗っている。準決勝も山崎芳仁の先行を捲っての価値ある1着で突破しており、近況は得意の捲りのスピードが冴えわたっている。
 加えて海老根は松山競輪場のバンクレコードの持ち主で、05年の共同通信社杯で10秒8の上がりタイムをマークしており、松山との相性は抜群だ。今回も高速バンクの松山で海老根の切れ味鋭い捲りが唸りを上げるだろう。
 その海老根を目標に優勝を狙ってくるのが渡邉晴智だ。近況は勝ち星が少ないのがやや気がかりだが、直近4カ月の連対率は4割6分と相変わらずの安定感を発揮しており、ファン投票でも9位に選ばれている。
 高松宮記念杯の準決勝では山崎芳仁をしっかり追走しての2着で決勝進出。寛仁親王牌では準決勝で敗れたが、2日目ローズカップでは海老根の捲りを目標に2着に食い込んでいる。サマーナイトフェスティバルの順位決定でも海老根とワンツーを決めて1番人気に応えており、海老根との相性は抜群だ。
 地元期待は渡部哲男だ。2月に高松で開催された東西王座戦で決勝進出以後はビッグレースでの目立った活躍はないが、今回も地元ファンの熱い声援を受けての勝ち上がりが十分に期待できる。
 近況は得意の先行・捲りだけでなく追い込みでの勝ち星も増えてきて、サマーナイトフェスティバルの2日目選抜でも井上昌己の捲りを差して1着になっており、今回も総力戦で決勝進出を狙ってくるだろう。


着位による勝ち上がり方式に変更!
敗者復活戦の導入でチャンスが広がる
 オールスター競輪は第48回大会からポイント制による勝ち上がり方式が導入されていたが、今大会からポイント制が廃止され、着位による勝ち上がり方式に変更される。
 もう一つの大きな変更点は敗者復活戦の導入だ。大会の初日と2日目に一次予選が10個レース、特別選抜予選が3個レースにオリオン賞とドリームレースが実施されるが、一次予選は勝ち上がりがかなり厳しくなっている。
 一次予選を出走する90名のうち3日目へ勝ち上がれるのは18名だけである。一次予選の1着10名が3日目の二次予選Aへ、2着のうち8名が二次予選Bへ進めるが、勝ち上がりに失敗した選手にも敗者復活戦によって準決勝へ進めるチャンスが残されている。
 一次予選の2着2名と3着と4着の20名、5着のうち5名が2日目の敗者復活1の3個レースへ進み、敗者復活1の1着から3着までの9名が3日目の敗者復活2へ進み、敗者復活2で1着になった選手が4日目の準決勝Bへ勝ち上がれる。
 また、初日のドリームレースで6着に入った6名と2日目のオリオン賞レースの3着までの3名が3日目のシャイニングスター賞へ進み、シャイニングスター賞で1着になった選手は準決勝を経ずに決勝戦へ勝ち上がれる。
 オールスターはファン投票による順位が選考基準の一つになっているが、135名のうち10名が選考委員会による推薦によって選ばれている。推薦選手のうち2名は地元地区からで、松山がホームバンクの梶應弘樹と徳島の堤洋が選ばれている。
 残り8名は各地区から将来有望な若手が選ばれており、今大会がGI初出場となる90期の廣川泰昭、92期の牛山貴広、94期の岩本俊介らの健闘が大いに期待される。


オールスター名勝負第49回大会 06年9月6日決勝、花月園優勝 井上昌己
銀メダリストの井上昌己が競輪でも頂点に!
 井上昌己は04年のアテネのチームスプリントで銀メダルを獲得したが、直後から腰痛に悩まされるようになり本業の競輪のほうは不振だった。しかし、06年頃にはようやく腰痛も克服でき、オールスターでは2度目のGI決勝戦で見事に初タイトルを獲得した。決勝戦は市田佳寿浩-佐々木龍也が前受け、3番手に井上昌己-高木隆弘、その後ろに白戸淳太郎、佐藤慎太郎が続き、7番手に武田豊樹-手島慶介-諸橋愛の並びでスタート。赤板から武田が上昇すると白戸も踏み上げて番手を狙いにいくが、2角でアンコになって白戸は後退。打鐘で先頭に立った武田がピッチを緩めると、佐藤が追い上げて手島と並走。その瞬間、井上が一気にカマし、後続を大きく突き放してゴール前では井上と高木のマッチレースとなるが、井上が猛追する高木を振り切って優勝、2着は高木、3着は佐藤だった。



高速バンクで回転力のある自力型が有利
中コースが伸びるので直線一気の逆転もあり
 標準的な400バンクで、どんな戦法でも実力を発揮できるが、カントがややきつい高速バンクでタイムも出やすいので、回転力のある自力型に有利である。
 ただ、川沿いにあるうえにバック側に建物がないので、風の影響を受けやすい。走路に風が入り込みやすく、フェンスが透明板のポリカーボネートのために風が吹き抜けないので、風の強い日はバンク内のどこも向かい風になって重くなることもある。
 05年10月に開催された共同通信社杯の決まり手を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが7回、捲りが18回、差しが22回、2着は逃げが7回、捲りが5回、差しが19回、マークが16回となっている。
 直線がやや長めながら先行選手がよく粘っているし、捲りもよく決まっている。差しの1着が全体の半数以下しかなく、通常のビッグレースの決まり手と比べるとかなり低い数字で、自力型有利なのがよくわかる。
 それでも、直線では中コースがよく伸びるので、追い込み型も中コースがうまくあけば、5、6番手からでも直線だけで一気に突き抜けることができる。
 ちなみにバンクレコードを持っているのは先の寛仁親王牌で初タイトルを獲得した海老根恵太である。05年の共同通信社杯の二次予選Aで一本棒の7番手の展開になってしまったが、直線に入ってからイエローラインの上を一気に伸びてきて上がりタイム10秒8を叩きだしている。
 そのほか2日目の4Rでは安福洋一がやはりイエローラインのやや内側をするすると伸びて大穴を演出しているし、3日目12Rの準決勝では5番手から伸びてきた鈴木誠が1着、7番手から伸びてきた大塚健一郎が2着で大穴になっており、05年の共同通信社杯ではコース取りの巧みなベテランの健闘が目立っていた。

松山バンク
松山バンク

 周長は400m、最大カントは、34度01分48秒、見なし直線は58.6m。旧・松山競輪場は500バンクで市街地の城址公園内にあったが、05年に郊外のスポーツ公園内に移転して400バンクに生まれ変わった。見なし直線は立川と同程度でやや長めだが、走っている選手には見た目よりも直線が短く感じられるようで、先行型も善戦できる。捲りは早めの仕掛けがベストだが、カントがややきつめなので力のある選手なら遅めの捲り追い込みでも十分にスピードに乗れる。競りはインもアウトも互角に戦えるが、風の強い日はインの選手が遅れ気味になりやすい。


ファン投票(1位~18位)
★ドリームレース★
1位 伏見 俊昭(福島・75期)
2位 小嶋 敬二(石川・74期)
3位 武田 豊樹(茨城・88期)
4位 山崎 芳仁(福島・88期)
5位 平原 康多(埼玉・87期)
6位 神山雄一郎(栃木・61期)
7位 井上 昌己(長崎・86期)
8位 石丸 寛之(岡山・76期)
9位 渡邉 晴智(静岡・73期)
★オリオン賞レース★
10位 海老根恵太(千葉・86期)
11位 村上 義弘(京都・73期)
12位 佐藤 友和(岩手・88期)
13位 永井 清史(岐阜・88期)
14位 山口 幸二(岐阜・62期)
15位 紫原 政文(福岡・61期)
16位 三宅  伸(岡山・64期)
17位 北津留 翼(福岡・90期)
18位 岡部 芳幸(福島・66期)

【推薦選手一覧】
梶應 弘樹(愛媛・57期) 廣川 泰昭(愛媛・90期)
堤   洋(徳島・75期) 倉野隆太郎(愛知・91期)
坂本健太郎(福岡・86期) 伊原 克彦(福井・91期)
山賀 雅仁(千葉・87期) 牛山 貴広(茨城・92期)
鈴木謙太郎(福島・90期) 岩本 俊介(千葉・94期)


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