『第53回オールスター競輪(GI)レポート』 初日編
配信日:9月1日
いわき平競輪場で開催されている「第53回オールスター競輪」は初日を終了。初日からバンクでは白熱した攻防が続き、いずれも混戦となった。メインのドリームレースを制したのは武田豊樹。絶好展開をしっかりと生かして快勝し、シャイニングスター賞に向けて弾みを付けた。
本場では様々なイベントを用意してファンの皆様のご来場をお待ちしています。9月2日は「まねだ聖子」ものまねライブや、ドリームレースに出場した上位4選手によるトークショー、スクラッチくじ付ラッキーカードの抽選会などが行われます。どうぞ、本場へお越しください。
ドリームレース レース経過
号砲で村上博幸がゆっくりと出て、目標の村上義弘を迎え入れる。村上義―村上博―市田佳寿浩の近畿勢が前団、平原康多―武田豊樹の関東コンビに単騎の海老根恵太が続いて中団、後方には山崎芳仁―伏見俊昭の福島コンビ、単騎の坂本亮馬が最後方の形で隊列は落ち着く。
打鐘前の2コーナーから山崎が踏み上げて先頭に立つと、村上義がこの3番手にすんなり入る。先行態勢に入った山崎がピッチを緩めると、今度は後方から平原が一気にスパート。最終ホームで山崎を叩いて先行する。武田はきっちり番手をキープし、3番手を山崎が確保。村上義は5番手で、単騎の坂本、海老根は8、9番手に置かれる。最終2コーナーから村上義がまくり上げるが、なかなか車は進まない。番手絶好となった武田が後続をけん制しながら直線鋭く追い込んで快勝した。最終4コーナーで内を突いた山崎は伸びを欠き、その後ろから伸びた伏見が2着。最後方から大外を強襲した海老根が3着に食い込んだ。
ゴール
武田豊樹選手
<1R>
佐々木則幸選手
オープニングレースを制したのは
佐々木則幸(写真)
。前団のもつれを二角まくりで軽々とまくり切り、香川雄介とワンツー決着。
「タイミングや展開に助けられた部分があったけど、自分のポイントでうまく踏み切れた。2センターで長塚君のブロックを警戒したけど、内に踏んでくれたからあれは超えられるなと。香川さんと決められたし納得です」
先行した
飯野祐太
は「競られる展開も想定していたんだけど…。とっさの判断で緩めたのが失敗だった。小野(大介)と決めたかった」と唇を噛む。
<2R>
五十嵐力選手
2レースは
五十嵐力(写真)
が坂本貴史と菅原晃の先手争いをまくりで仕留めた。
「展開はある程度予定通りでした。あとは小野さんのブロックを避けて、三角をしのいで、四コーナーの山おろしを使ってどれだけ伸びるかに賭けていた。うまく行きましたけど、車の伸び自体は欠いていましたね」
村本大輔
は「五十嵐が止まったと思い一旦内を意識したけど、ここは直線が長いし、直線でもいけるだろうと思い付いていったら車が進んだ」とワンツー決着に納得げ。
<3R>
吉本卓仁選手
吉本卓仁(写真)
の強烈まくりが決まった。牛山貴広の逃げをあっさり捕らえると、番手の合志正臣の追撃をまったく寄せ付けなかった。
「今日は全ての展開が僕に向いてくれた。1、2レースでは脚を使わなかった人が最終的に勝つパターンになっていたので、焦らない方がいいなと判断したんですが、賭けですからね。たまたまうまく行っただけですよ。2着だとアウトなんで、この1着は大きい」
<4R>
川村晃司選手
鮮やかなカマシを決めた
川村晃司(写真)
は納得気にレースを振り返る。
「前のもつれもあったけど、行けるって手応えはあった。前を乗り越えてからも幾分余裕があったし大丈夫だろうと。勝ち上がりでしっかり結果が出てホッとしています」
<5R>
石毛克幸選手
石毛克幸(写真)
が満面の笑みで検車場に引き上げてきた。厳しい一次予選を突破し頬が緩む。
「やっぱり自力で勝つと気持ちいいですね。藤田君のペースになっちゃったので厳しいかなと思ったんだけど、無理に踏んでよかった。友定君が内に入ってきたのが見えて、ここで勝負するか迷ったんだけど、併走で脚を使ってしまうよりは…、と判断したんです」
自らのラインがまくられてしまった
後閑信一
は「今日は仕方がない。でも、あそこまで追い詰められたんだし、僕自身の調子は良いと思います」。
<6R>
佐々木雄一選手
地元勢最初の勝者となったのは
佐々木雄一(写真)
だ。満を持しての中団まくりで久しぶりのG1初戦を勝利で飾った。
「今回は地元勢の合宿にも参加せず、いつも通りの仕上げで来ました。いまさらナショナルチームに参加するような若手とモガいても、やり過ぎちゃうだけですからね(笑)。今日は良い展開になってくれたし、ほぼ思っていた流れになってくれた。柴崎が終HSでカマしてくる可能性が高いのも織り込んでましたよ。やっぱりG1を走るとモチベーションが上がってきますね」
<7R>
桑原大志選手
桑原大志(写真)
が絶好展開を生かした。大西祐が鈴木謙太郎を中団のインに閉じ込めた後で、桐山敬太郎を叩いて主導権を奪取。桑原は大西マークから一気に踏み込み、「打鐘で大西君はどうするのか読めなかったけど、良い掛かりでした。ダッシュが良いし、自分は踏み出しに集中。状態? 良くも悪くもなく、今日は展開一本。これで気持ちが乗ってきました」。
西田雅志
はかつてのトレンドだった57ギアで奮戦。桑原を追っての二着入線に、「あの展開では二着がやっとです。57ギア? 競輪JPで平バンクを調べたら、全体的に上がりタイムが悪い。ギアを軽くして臨もうと。今は広島バンクが工事中で、街道でのモガキが中心。良い感じで仕上がっているし、気持ち切らさず敗者復活戦で頑張る」。
<8R>
東口善朋選手
東口善朋(写真)
が神妙な面持ちで振り返った。打鐘から逃げた脇本雄太を楽々と差し切ったが、「脇本君が掛かっていた。自分は脚に余裕があったけど、踏み出しから必死に踏まされた感じ。脇本君が着外になったのは残念」。
脇本雄太
は長い直線と風を克服出来なかった。先行策から末脚欠いて6着に、「組み立ては悪くなかったけど、直線の長さが計算出来なかった。それに風、風、風で。状態は悪くないし、気持ちを切り替えて、明日からもしっかりと」。
<9R>
坂本健太郎選手
坂本健太郎(写真)
が鮮やかに中団まくりを決めた。「上がりが良い? 仕上がってますね。先行する覚悟で前に前に踏んだから、良い位置が取れた。新田(祐大)君が凄いスピードで後方から来るはずだからと、思いきって仕掛けた。明日からも楽しみ」。
新田祐大
は後方から直線で大外強襲も、3着で敗者復活戦回りに「最後は良い感じで踏めたし、逃げでもまくりでも戦えるデキ。組み立てだけしっかりなら、今度は戦える。準決勝まで3着以内、1着の勝ち上がりで厳しいけど、違和感があったハンドル回りのセッティングを変えたりで、しっかりと備えます」。
<10R>
深谷知広選手
深谷知広(写真)
が自らのレース運びに大満足だ。打鐘からスパートで別線を完封。ゴール前も全く失速せず、初連係の師匠・金子貴志とワンツーに「師匠と初めて一緒になり緊張しました。別線に飛び付かれない様に気を付けて、力を出し切るのを第一に仕掛けた。内容満点? はい、100点に近いと思います。風も苦にならなかったし、状態は良いです」。
菅田壱道
は中団四番手確保だけにとどまった。「作戦は深谷君の番手狙い。初手の位置が思い通りでなくて、中途半端な形に。要所要所で内に車を差し込んでいたし、レース勘が狂っている。落車明けの影響かも。仕掛けてないから状態は分からないが、一走して体に刺激が入ったはず」。
<11R>
海老根恵太選手
11レース・ドリームレースを制したのは
武田豊樹
。先制した平原康多を援護し、直線を抜け出した。
「展開も向いたし、番手回りとしての仕事はしっかりできた。落車後の実戦で緊張とプレッシャーがあったけど、競走でその不安を拭えたのが何よりの収穫。それでも一日休めるのは大きい」
先行策で魅せた
平原康多
は四着入線でシャイニングスター賞進出を決めた。
「亮馬の斬り込みでタイミングがずれたけど、スンナリ踏めた。要所でバックを踏まされた割には粘りもあったし、復帰戦にしては悪くない」
二着の
伏見俊昭
は「山崎君が内に踏んだから外へと。スピードをもらっただけですけど反応は良いと思います」と話す。
三着には
海老根恵太(写真)
が大外を強襲し、BSドン尻から食い込んだ。
「平原ラインの後ろでじっとしていればもっと楽な展開でしたね。結果的に後ろに置かれてしまったけど、前々に攻めたいって気持ちで動いたわけだから良しとします」
坂本亮馬
はBS捲り不発に。それでも、「乗り切ったと思ったんだけど、別線がみんな自力型でしょう。だから車が進まないんですよ。だけど、踏み出しとスピードは相当良かった。あれが普通のメンバーだったら突き抜けていたでしょう」と前を向いている。
村上義弘
は位置確保に手間取った。
「今回は位置取りと組立てミス。平原にすんなりいかれたらキツイ。せめて武田さんのヨコまで行きたかった」
■■ 2日目 ■■
<2日目8R>
松岡貴久選手
松岡貴久(写真)
は練習量に胸を張ってのオールスター入りだ。小田原記念で準優勝から中6日のすごし方は、「絶好調? いやいや、絶好調なら小田原で優勝してますよ。自転車との一体感が無かったので、直前はかなり乗り込んでイメージと近づくようにした。オーバーワークになってなければ大丈夫です」。
武井大介
は8月松戸で優勝とノリノリで、「流れも状態も良い。良い感じで調整出来たし、石橋君とは相性も良い。ただ、千切れたことがあるし、踏み出しに集中したい」。
<2日目9R>
佐藤友和選手
新タイトルホルダー・
佐藤友和(写真)
が余裕の表情で自転車整備に専念。その立ち居振る舞いには、すでに風格さえ漂う。
「宇都宮が終わってからは嫌って言うほどおいしいお酒を飲みました(笑)。練習はしっかりやってきましたよ。今回は思い切りセッティングを変えるつもりです。サドルやハンドル回りを交換して、今までとは全く違うフォームを試すつもり。まだ違和感はあるけど、これでもっと上を目指していきたい」
リラックスムードで検車場にたたずむ
山口富生
。
「特選に乗れたのは大きいですね。この勝ち上がりだと予選から優勝を狙うのは本当に厳しい。全日本選抜ではオーバーワーク気味だったけど、今回はその反省を生かして調整してきました」
<2日目10R>
渡邉一成選手
10Rには、富山記念の勢いをキープする
渡邉一成(写真)
が登場する。直前はナショナル合宿に参加していたが、本業に向けても抜かりは無い。
「ナショナル合宿の後、平バンクでの地区合宿に一日だけ入った。バンクの特性を改めて把握できたし、コンディションも完ぺき。完全な状態で走れるのは大きなアドバンテージです」
佐藤慎太郎
は「一成は相当仕上がっている。あとは俺自身の問題ですね。あうんの呼吸で決めたいですね」と渡邉に一任する。
山田裕仁
は番組を見つめて「目標が無いのは苦しい。でもSSだし何かやらないといけないよな~」と何やら思案顔だ。
園田匠
は「最近はしつこさが身に付いてきた気がする。後ろに“九州の天才”井上さんが付くし、一層積極的に仕掛ける」となにやら不気味なコメント。
<2日目11R:オリオン賞レース>
成田和也選手
山口幸二選手
11Rはオリオン賞。いよいよ出陣を控えた
成田和也(写真)
はレース時間に合わせて軽くウォーミングアップ。
「メンバーが発表になってから、“自分でやることになる”という意識はありました。僕って、こういう番組になることが多いんですよね。自動番組でも、山崎には伏見さんとか、(佐藤)慎太郎さんに友和とかの組み合わせになって、なぜか僕だけという事もあったし。これだけのメンバーで自力は厳しいけど、やれることをやるしかない」
浅井康太
は「状態は悪くないですけどね。前回は脚を痛めて途中欠場してしまったけど、感触はつかんで来られた。その後、ナショナルチームの合宿でも充実した調整ができたし、単騎での競走は気楽なので楽しみです」。
サマーナイトフェスティバルでの落車で大きな負傷を負った
山口幸二(写真)
は現状を冷静に分析する。
「尋常じゃない痛みだった。選手生命に関わるレベルと思ったぐらい。でも不幸中の幸いで、神経に遠い方が潰れていたので、大事には至らなかった。年末に向けても痛手だったけど、嘆いても仕方ないし、思ったよりも早く自転車には乗れたので、精一杯走ります」
加藤慎平
は公開指定練習をこなすと、入念に自転車を整備する。
「闘心会での合宿でスピード練習を中心にやってきたけど、僕はボロボロの状態だった。でも、僕は実戦向きだから。練習じゃ歯が立たなくても、本番では何とかできる(笑)」
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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