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 第53回オールスター競輪がいわき平競輪場で開催される。全国の競輪ファンの熱い支持を受けて初のファン投票1位に選出された村上義弘率いる近畿勢が中心となるが、地元戦で王位奪還を狙う山崎芳仁率いる北日本勢や、武田豊樹と平原康多の2大先行を擁する関東勢の反撃からも目が離せない。

村上義弘がファンの熱き声援に応える!
流れが良くなってきた北日本勢が必勝を誓う
 今年の近畿勢はやはり強かった。地元地区の高松宮記念杯こそ近畿勢は1人も決勝戦まで勝ち上がれなかったが、寛仁親王牌では市田佳寿浩がGI初優勝を飾り、再び勢いを取り戻した。

 優勝した市田もさることながら、連日の気迫溢れる走りでファンを圧倒したのが村上義弘だ。4日間勝ち星こそはなかったが、初日の日本競輪選手会理事長杯では平原康多と新田祐大の2人を突っ張り切って先行しており、2日目ローズカップも山崎芳仁を叩いて主導権を取り切り、準決勝も先行して山崎に捲られながらも3着に粘り込んで決勝進出を果たしている。
 続くサマーナイトフェスティバルでも勝ち上がりには失敗したが、初日予選は1着権利の厳しい勝ち上がりにも関わらず、若手の松岡貴久を突っ張り切って堂々と主導権を取り切っている。
 今回の舞台となるいわき平は直線が長くて先行不利のバンクだが、ファン投票1位の声援に応えるためにも、これまで以上の熱い走りで近畿勢を引っ張っていくだろう。

 山崎芳仁や伏見俊昭らの地元・福島勢にとっては絶対に負けられない一戦だ。
 いわき平でのGIは06年の全日本選抜以来となるが、06年の全日本選抜では福島勢はおろか北日本勢からも1人も決勝に進めず悔し涙を呑んでいるだけに、今度こそは地元ファンの声援を受けてリベンジを狙ってくる。
 今年前半は近畿旋風に完全に押され気味の北日本勢だったが、寛仁親王牌では北日本勢から4人が決勝進出、サマーナイトフェスティバルでは佐藤友和の先行に乗った成田和也がビッグ初優勝と流れは良くなってきている。

 山崎芳仁は今年前半は波に乗れず、ファン投票でも昨年の4位から今年は6位へとランキングを落としてしまった。
 しかし、6月の弥彦記念ではバンクレコードとなる上がり10秒60の捲りで圧勝、苦手の短走路の寛仁親王牌できっちり決勝進出と調子は上がってきている。サマーナイトフェスティバルの初日予選では地元・函館の菊地圭尚を連れて積極的な走りを見せており、山崎のホームバンクでの力走が大いに期待できる。
ファン投票初の1位!村上義弘
ファン投票初の1位!
村上義弘
 地元GIで貫禄見せる山崎芳仁
地元GIで貫禄見せる
山崎芳仁

ファン投票2位の武田が連覇を狙う!
復調した海老根恵太の一発が侮れない!
 オールスター連覇へ!武田豊樹
オールスター連覇へ!
武田豊樹
GP王者の巻き返し海老根恵太
GP王者の巻き返し
海老根恵太
初のドリーム戦出場坂本亮馬
初のドリーム戦出場
坂本亮馬
念願のGI初V狙う永井清史
念願のGI初V狙う
永井清史
 村上義弘に次いでファン投票で2位に選出されたのが関東のエースであり、昨年のオールスターの覇者でもある武田豊樹で、昨年のファン投票3位から2位へと順位をひとつ上げた。
 6月の弥彦記念では山崎芳仁に捲られたが、地元の藤原憲征を連れて果敢に先行、寛仁親王牌の決勝戦では近畿勢の2段駆けラインを打ち崩せなかったが、2日目ローズカップでは村上義弘の先行を6番手から捲って快勝と好調を維持している。
 サマーナイトフェスティバルでは2日間凡走に終わったのがやや気になるが、オールスター連覇に向けて、そして暮れのグランプリ出場を目指してしっかりと立て直してくるだろう。

 一方の平原康多も今年は高松宮記念杯を連覇して、昨年の5位から順位をひとつ上げて4位になっている。
 平原は寛仁親王牌では決勝進出に失敗、次場所の京王閣記念のあとは長期欠場に入っている。今回のオールスターは1カ月半ぶりの実戦となるのでレース勘にやや不安があるが、ビッグレースが続く後半戦にあって体調面は大丈夫のはずだ。
 今回も深い信頼関係で結ばれている武田や神山雄一郎とともに、打倒・近畿勢を目指して突っ走ってくれることだろう。

 昨年のグランプリ覇者の海老根恵太は昨年の10位から今年は5位へと浮上した。今年前半はやや期待はずれの走りが続いてしまったが、ここへきてようやくエンジンがかかってきている。
 サマーナイトフェスティバルでは決勝戦は8着に敗れたが、初日予選は7番手から大外強襲で1着、次場所の京王閣記念も決勝戦は2着に終わったが、勝ち上がりは無傷の3連勝だった。グランプリ覇者としてはまだまだ物足りないところもあるが、今回も得意の捲り追い込みでの一発が期待できるだろう。

 昨年の31位から今年は堂々の8位へと大幅にジャンプアップしたのが坂本亮馬だ。昨年の大活躍に続き、今年前半も日本選手権と共同通信社杯春一番で決勝進出しており、納得のベストナイン入りといっていい。
 共同通信社杯春一番での落車の影響で5月、6月はやや調子落ちになったが、7月の川崎記念では海老根恵太や佐藤友和らを敗って早くても4度目の記念Vを達成しており、復活の手応えを掴んでいる。

 中部勢は昨年は小嶋敬二が2位だったが、今年はベストナインに入っておらず、11位に加藤慎平、12位に浅井康太、14位に小嶋敬二、15位に永井清史という順位で、存在感がやや薄らいできている。
 それでも、小嶋は近況は乱調気味だがツボにはまった時の破壊力は健在だし、永井は高松宮記念杯や寛仁親王牌で準決勝までの勝ち上がりと決して調子は悪くなく、6人ものS級S班を擁する中部勢の連携がうまく機能すれば一発逆転のチャンスはあるだろう。

脇本雄太が徹底先行で突っ走る!
坂本親子の初連係に期待がふくらむ
 昨年の開催と同様に今年も選手選考委員会による推薦によって10名の選手が出場予定となっている。
 昨年の大会では推薦枠で出場した山賀雅仁が準決勝Aまで駒を進めている。山賀は直前の富山記念で記念初優勝を達成と勢いに乗っていて、一次予選が1着、二次予選Aが2着の好成績で勝ち上がった。山賀は今年も出場予定で、共同通信社杯春一番ではビッグ初優出を決めており、昨年以上の活躍が十分に期待できる。

 今年の推薦選手の中で一番の注目株といえば、なんといっても脇本雄太だ。
 GI初出場の寛仁親王牌では一次予選と準決勝を逃げ切って決勝進出、決勝戦では近畿ラインを気持ちよく引っ張って市田佳寿浩のGI初優勝に貢献、全国の競輪ファンに大きく名を売った。
 次場所の岐阜FIでは逃げ切りの3連勝でS級初優勝を達成、豊橋記念では深谷知広との対決に注目が集まったが、深谷の番手に脇本がすっぽりはまって、デビュー2年目で記念初優勝を達成している。今回も徹底先行での勝ち上がりが期待できるし、脇本の出現で近畿勢はますます勢いを増していくだろう。

 坂本貴史が近況好調だ。2月・千葉FIでS級初優勝を達成したあとはやや伸び悩んでいた印象があったが、7月の静岡と観音寺のFIでは連日の先行策で決勝進出と力強い走りが戻ってきている。
 オールスターを2度優勝している父親の坂本勉も推薦枠で出場予定で、GIの大舞台での親子初連係にも大きな期待がふくらむ。
 超新星の快進撃続く脇本雄太
超新星の快進撃続く
脇本雄太

オールスター名勝負第50回大会07年9月17日決勝・高知優勝 飯嶋則之
飯嶋則之がGI初優出で初タイトルを獲得!
 山崎芳仁―佐藤友和―伏見俊昭―菊地圭尚の北日本勢が前受けで、飯嶋則之が初手から山崎の番手で佐藤と並走する。北日本勢の後ろに豊田知之が続き、新田康仁―鈴木誠―遠澤健二の南関東勢が後方待機で周回を重ねる。佐藤と飯嶋の競り合いは、結局佐藤が一車引いて決着がつく。赤板の2角過ぎから新田が上昇してくると、合わせて山崎が誘導員を交わしてペースを上げる。新田は佐藤のアウトに追い上げる形となり、佐藤と新田で競り合いが続くが、佐藤が競り勝って3番手をキープする。最終バ ック手前の7番手から豊田が捲ると、合わせて佐藤も捲っていこうとするが、飯嶋に牽制されて不発。内を突いた伏見も伸び切れず、直線に入って山崎の番手から抜け出した飯嶋が先頭でゴールイン、初めてのGI決勝進出で初タイトルを獲得、2着には伏見が入り、3着は豊田だった


400mいわき平バンク特性を知る
直線が長めで、先行型には厳しい

脚を溜めての直線強襲が決まりやすい
 旧バンクのいわき平競輪場は直線が比較的短めで、カントもやや緩かったので、先行型に有利とされていたが、06年10月にリニューアルオープンした新バンクは、周長は400mと変わらないが、見なし直線が62・7mと従来より10m長くなり、最大カントも32度54分45秒と約2度きつくなった。
 走路自体も軽くてクセのないスピードバンクとなり、捲りが決まりやすく、先行型には厳しくなっている。
 リニューアルオープン後の06年12月に開催された全日本選抜の決まり手を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが1回、捲りが11回、差しが35回、2着は逃げが7回、捲りが7回、差しが20回、マークが13回となっている。
 逃げ切りは1回しかなく、先手ラインの選手が1着になったレースも13回だけである。
 直線が長いのでタイミングよく捲り切っても後ろから交わされるケースが多く、追い込み型が圧倒的に有利となっている。
 3日目10Rの準決勝では佐藤友和と小嶋敬二の先行争いを平原康多がきれいに捲り切ったが、追走の神山雄一郎と稲村成浩に交わされて、平原は3着だった。
 直線ではイエローラインの内寄りと外寄りによく伸びるコースがあり、後方からの大外強襲も決まりやすく、差し-差しの決まり手の出現率も高くなっている。
 初日特選の12Rでは井上昌己の先行でバック4番手にいた海老根恵太がイエローラインの内側を伸びて1着、6番手にいた渡邉晴智がイエローラインの外側を伸びて2着になっている。
 最終日の決勝戦も平原康多の先行で番手の神山雄一郎に絶好の展開となったが、合志正臣が6番手からイエローラインの内寄りのコースを鋭く伸びてきて、GI初優勝を飾っている。
いわき平バンク
いわき平バンク

 リニューアルされたいわき平競輪場は1階が駐車場、2階が1周400mのバンクの2層式で、バンクの内側からもレース観戦が可能となっている。
 バンクの内側には「カーニバルプラザ」と「サイクルコロシアム」と呼ばれる広場が設けられていて、広場はバンクに合わせた円形となっており、ウッドデッキが敷かれている。
 バンクは外側も内側も全周を透明版のポリカーボネートで覆われているので、走路に吹き込んだ風の逃げ場がなく、走路内では風向きが変わりやすく、選手も風の影響を受けやすい。


ファン投票(1位~18位)
★ドリームレース★
1位 村上 義弘(京都・73期)
2位 武田 豊樹(茨城・88期)
3位 伏見 俊昭(福島・75期)
4位 平原 康多(埼玉・87期)
5位 海老根恵太(千葉・86期)
6位 山崎 芳仁(福島・88期)
7位 村上 博幸(京都・86期)
8位 坂本 亮馬(福岡・90期)
9位 市田佳寿浩(福井・76期)
★オリオン賞レース★
10位 神山雄一郎(栃木・61期)
11位 加藤 慎平(岐阜・81期)
12位 浅井 康太(三重・90期)
13位 成田 和也(福島・88期)
14位 小嶋 敬二(石川・74期)
15位 永井 清史(岐阜・88期)
16位 渡邉 晴智(静岡・73期)
17位 石丸 寛之(岡山・76期)
18位 山口 幸二(岐阜・62期)

【推薦選手一覧】
坂本  勉(青森・57期) 中村 一将(兵庫・86期)
一丸 安貴(愛知・70期) 吉本 卓仁(福岡・89期)
濱田 浩司(愛媛・81期) 柴崎 俊光(三重・91期)
佐々木雄一(福島・83期) 坂本 貴史(青森・94期)
谷津田将吾(福島・83期) 脇本 雄太(福井・94期)