『第55回オールスター競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:9月17日
 前橋競輪場で行われた第55回オールスター競輪は9月17日に5日間の全日程を終了した。サバイバルレースを勝ち抜いた9名による決勝は、渡邉一成の先行に乗り、山崎芳仁が追い込んで優勝。地元のいわき平オールスター以来、2年ぶりのG1優勝を果たしました。
決勝戦 レース経過
 号砲で各車出渋るが、脇本雄太が誘導員を追って出て行く。隊列は脇本―村上義弘の近畿コンビに小野俊之が付けて前団、単騎の岩津裕介がこれに続き、中団は渡邉一成―山崎芳仁―成田和也の福島88期トリオ、武田豊樹―木暮安由の関東コンビが後攻めの形で落ち着く。
 残り3周の青板前から武田が早くも上昇。渡邉がこれを追っていく。前受けの脇本は武田と少し併走してから7番手まで下げ、武田が誘導員の後位に入る。赤板前に岩津が内をすくって山崎のところまで上昇すると、3番手から渡邉が踏み上げて先頭に立つ。山崎は遅れるが、打鐘で追い上げて再度渡邉とドッキング。武田は車を下げ、今度は脇本が一気に仕掛けて渡邉と激しいもがき合いを演じる。渡邉に合わされた脇本は外に浮いて不発。満を持した武田が最終2コーナーから大外をまくり上げると、木暮は武田追走から、狭い中のコースを突っ込んで村上、脇本と接触。木暮、村上、脇本の3人が落車する。このあおりで武田も外に飛ばされて後退。一方、番手絶好となった山崎は2センターから早めに踏み込み、直線で力強く抜け出して優勝を飾った。成田が2着に流れ込み、福島ワンツー決着。最終バック9番手から落車を避けて伸びた岩津が3着に入った。

号砲
号砲
ゴール
ゴール
表彰式
表彰式
<1R>
中村浩士選手
中村浩士選手
 1レースは目標のない中村浩士(写真)が松川高大の番手を攻め、直線で鋭く突き抜け、最終日に1着を手にした。
 「僕の持ち味は誰かに勢いをもらってから追い込むことだから。今回もやることはやってきたけど、さすがにG1は厳しい。連日難しかったですね。でも、最終日に1着がとれてよかったです」

<2R>
桑原大志選手
桑原大志選手
 2レースは大西祐のカマシ先行に乗り、桑原大志(写真)がゴール前の接戦を制して1着をゲットした。
 「今日は大西君の頑張りに尽きる。僕は何もしてないんで。良いタイミングで行ってくれたし、スピードもよかった。すぐにこのあと地元記念があるんで頑張ります」
 大西祐はゴール前でやや末を欠いて4着に。
 「ダッシュは良いけど、4コーナーからすごくタレましたね。前走もそうだけど、カマしただけになってるんで。その辺が今後の課題ですね」

<3R>
林雄一選手
林雄一選手
 新田祐大が小嶋敬二を突っ張って主導権を奪うと、最後は林雄一(写真)が追い込み、2勝で今節を締めくくった。
 「全部前のおかげですよ。踏み出しで離れてしまったけど、追い付いてからは冷静に走れました。ああいうスピードが出るレースではダッシュが良くないとダメですね。今後の課題です。でも、今回2勝できたのはよかった。G1は成績が良くて、今回まで20走して3連対が10回。今日勝てたから5分に戻せました(笑)」

<4R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 4レースは松岡貴久と岩本俊介でお互いが警戒し合ったところを、稲垣裕之(写真)が上手く中団を確保。バックからスパートして快勝した。
 「今日は先行意欲が一番あるのは九州だと思ったけど、それ以上に岩本君もやる気がありましたね。もちろん、隙があれば僕も先行を考えてたけど、岩本君が踏んで行ったんで中団にしました。位置を取ることに関しては良かったけど、仕掛けてからは車の出が悪かったですね」

<5R>
望月永悟選手
望月永悟選手
 5レースはジャンから五十嵐力が絶妙のタイミングでカマして主導権。ピッタリとマークした望月永悟(写真)が追い込んで1着。初日に続き、シリーズを2勝で終えた。
 「僕は分からなかったけど、五十嵐君は狙ってたみたい。僕は付いて行っただけで何もしてないんで、全部五十嵐君のおかげです。でも、初日の1レースで1着を取って、最終日も勝てたんでよかった」
 思い切って先行した五十嵐力は3着に。
 「初手で前の方になったし、インを斬っても仕方ないから一発カマそうと思ってました。今回は久々の実戦だったし、感触を確かめる意味でも思い切っていきました」
 佐々木則幸はバックからスパートするも、まくり切れず8着に終わる。
 「車の出が悪かったですね。4倍だと重たいですね。3.92くらいがちょうど良いかも」

<6R>
 6レースは小林大介が鈴木裕に一旦蓋をして、赤板で先頭に立つとそのまま主導権。最後は後方からの反撃に合わせて後閑信一が早めに追い込んで1着を手にした。
 「初日と最終日に1着が取れたけど、それ以外の2日は自分の実力がなくて負けたんで、それは反省しないと。今回はギアに課題を見つけたんで、(10月の)地元のF1までにはしっかり修正したい」
 小林大介は7着に敗れたものの、力を出し切り納得の様子。
 「後閑さんには昨日迷惑を掛けてるんで。鈴木(裕)君を出させたらおしまいだし、3.92のギアで先行して感触を見たかったので。行かれたのは自分に力がないから仕方ない。地元のここに向けて頑張ってきたけど、これをきっかけにまた点数を上げていきたいですね」

<7R>
佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 優秀戦は矢口啓一郎が押えた所を、菊地圭尚が後続をブッ千切って大カマシ。最後は佐藤慎太郎(写真)がキッチリ追い込んで1着を手にした。
 「圭尚は行って欲しいときに行ってくれるんで。だから俺もしっかり準備をしてから(菊地の踏み出しに)合わせられた。行ってからはコーナーで後ろを見たら離れてたんで、余裕を持って行けました」
 菊地圭尚はしてやったりの様子。
 「矢口は後ろを見ながら全然踏んでなかったんで。菅原(晃)さんも僕が来ると思ってなかったと思うんで。詰まったんで、そのまま行きました」

<8R>
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 8レースは中川誠一郎(写真)が9番手から怒涛のまくりで快勝。南修二の大ブロックをかいくぐり、初日同様、異次元の強さを見せた。
 「園田(匠)が下がってきたんでヤバいと思ったけど、9番手だったんで行くしかないんで。まくれると思ったけど、南君のブロックは絶対にくるんで、そこをどう乗り越えるかだった。持ってこられたけど堪えて、下りで勢いに乗って何とか行けました。もう脚は一杯だったし、もし川村さんが自分で持ってきたら転んでたかも。今日はキツかったし、久しぶりに気持ちが悪くなりました」

<9R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 9レースは飯野祐太が小倉竜二の強烈なブロックに遭い死に体になると、佐藤友和が自力でスパート。これに浅井康太が俊敏にスイッチし、直線で追い込んだ。
 「初手で前は取りたくなかったんですけどね。無駄脚を使うんで。バックで上手く番手に入ったけど、最後は外をいけないし、(佐藤に)踏み直されたんで交わせないかと思った」
 佐藤友和(写真)は頭脳プレーが光った。
 「飯野に付いて行ってたら一緒に飛ばさるだろうから、ワンテンポ待ってから踏みました。後ろは伏見(俊昭)さんかと思ったけど、まさか浅井君とは分からなかった」
 3着には村上博幸が入る。
 「3コーナーのキツいところを付いて行けてたんで良かったですね。今回は脚自体は良かった。2日目(シャイニングスター賞)は良い勉強になったし、準決勝は判断ミスだったけど、色々と勉強になりました」
 伏見俊昭は浅井に割り込まれ、「バックを踏み切れなくて入られてしまった。今回はレースの流れに乗れなかった」と話す。

<10R>
新田康仁選手
新田康仁選手
 好調の新田康仁(写真)が最終日も強さを見せた。レースは後ろ攻めから押えると、金子貴志を突っ張って先行。大木雅也が離れ、援軍を失ったものの、番手に入った金子がすかさず反撃してくると今度は自らこれをブロック。最後は逃げ切り同着で、井上昌己と1着を分け合った。
 「今日は絶対に先行してやろうという気持ちで走りました。とにかく前に出て、どこまで粘れるか。今回は色々と収穫があった。次は脇本君をまくれると思う」
 井上昌己もスピード良く迫った。
 「ずっと内々を走っていたんで重たかったし、届くとは全然思わなかった」

<11R>
成田和也選手
成田和也選手
 決勝戦はラインの力を盾に、山崎芳仁が2年ぶりのG1優勝を遂げました。ここではあと一歩及ばなかった選手たちの声をお届けします。成田和也(写真)は山崎をキッチリマーク。最後は懸命に追い込むも2着。
 「(渡邉)一成君が積極的な競走をしてくれたおかげ。前に出たら一成君は強いね。山崎君は一旦離れたけど、追い上げた底力が凄かった。僕は最後。遠慮せずに踏んだけど抜けなかった」
 岩津裕介は落車を間一髪避け、直線で外を鋭く伸びて3着。初のG1決勝で表彰台入り。
 「作戦は特に考えてなかったけど、勝負所で良い位置にいればと。渡邉君のダッシュが凄くて追えなかったし、そのあともワンテンポずつズレてレースとしては良くなかった。でも結果は上出来ですね」
 武田豊樹は落車のあおりでなす術無し。
 「まくり切ってお客さんの期待に応えるのが役目なのにね。車が伸びてただけに、悔しいですね」
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