『第56回オールスター競輪(GI)レポート』 4日目編

配信日:9月15日
 第56回オールスター競輪は佳境の4日目を迎えた。時折、強い雨が舞う不安定な天候の中、準決勝3番勝負をメーンに熱戦が繰り広げられた。成田和也、新田祐大の福島コンビをはじめ、G1連続Vを狙う金子貴志、藤木裕らベストナインが出そろった。明日はいよいよ決勝戦が争われる。また本日9レースに行われた「ガールズケイリンコレクション」は地元の石井寛子が人気に応えて快勝した。
 最終日の明日はウルトラマンギンガミニヒーローショーに全ウルトラヒーロー握手会、Mad4thボイスパフォーマンスなど多彩なイベントで開催を盛り上げます。さらに長澤まさみさんが来場する予定です。ぜひ京王閣競輪場でお楽しみください。

意気込みを語るガールズレーサー
意気込みを語るガールズレーサー
盛り上がるスタンド
盛り上がるスタンド
中野浩一トークショー
中野浩一トークショー
「キングオブコメディ」お笑いライブ
「キングオブコメディ」お笑いライブ
ガールズケイリンコレクション京王閣 レース経過
 号砲と同時に中川諒子、小林莉子も飛び出すが、最内枠の石井寛子がスタートを制して前から攻める。中川、小林が続き、中村由香里、中山麗敏、山原さくら、田中まいで周回を重ねる。
 青板の4コーナーを過ぎて7番手の田中が上昇を始めると、中村も赤板で合わせるように進出する。打鐘で石井を押さえて中村が先頭に立つと、続いた田中が石井との併走から3コーナーで仕掛けて出る。中村が1車受けて田中が主導権を奪取。中村、石井、中川、小林、中山の隊列となり山原は最後方。一本棒のまま田中の先行で最終回へ。
 1コーナーで小林に接触した6番手の中山が落車。山原が乗り上げる。5人での勝負となり、2番手の中村が最終2コーナーからまくり上げ、逃げる田中に襲い掛かる。3コーナーで中村が田中をとらえ、石井、中川が外に持ち出すと、小林が空いたインを踏み込む。石井が満を持して、4コーナーから中村を交わしに出て直線を迎える。
 まくった中村はいっぱい。石井が伸びよく鮮やかに抜け出す。中川、小林も迫るが2着争いまでで、地元の石井が優勝。小林に踏み勝った中川が2着に入る。
デビュー以来8連続優勝
デビュー以来8連続優勝
勝者として声援にこたえる
勝者として声援にこたえる
ティアラの贈呈に笑みがこぼれる
ティアラの贈呈に笑みがこぼれる
<1R>
三宅達也選手
三宅達也選手
 三宅達也(写真)が最終ホーム手前、3番手から一気のスパート。そのまま力強く逃げ切り、連勝を飾った。
 「展開ですね。前が流していたので、先行した方がいいかなと。後ろもしっかりしていますから。練習みたいな感じで踏めました」
 星島太が続いて岡山ワンツー決着となった。
 「(三宅が)思い切って駆けてくれました。強かったですね。(鈴木裕のまくりは)一発で止められなくて、二発目を持っていったら脚がいっぱいになりました」

<2R>
山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
 村上直久と山田久徳で打鐘過ぎから激しい主導権争い。バックから自力に転じた山賀雅仁(写真)が豪快にまくり切った。
 「何とか止めようと思って振ったんですけどね。出切られて待つか、切り替えるか迷いました。番手で難しいレースでしたけど、村上君のおかげで1着が取れました」
 最終1コーナーからまくった田中誠は山賀に合わされ2着まで。
 「流れは向いたんですけどね。ホームぐらいから踏み始めたけど、あまり車が出なかった」

<3R>
園田匠選手
園田匠選手
 中川誠一郎は後方からの仕掛けが不発となったが、番手の園田匠(写真)は冷静にコースを見極め、直線を追い込んで勝利した。
 「誠一郎さんは止まってしまったけど、無理やりにでも行ってくれて、そのスピードをもらえました。コースが空くまでじっと我慢したので踏んだのは最後の直線だけ。調子が良いから勝てるとは思ってました。初日がもったいなかったけど、2つ勝てたし最終日にもう一つ勝って帰りたいですね」
 単騎戦で臨んだ友定祐己が2着。最終ホームを九番手で通過も、内コースを的確に選んで直線を伸びた。
 「細切れだったので、切り替え、切り替えでなんとかしようと思ってました。中川君に絶好のまくり頃だと思って切り替えたけど、伸びませんでしたね。その後は、身体が思ったように反応してくれました。外を園田君に行かれてるけど、感触自体は良かったですよ」

<4R>
浦川尊明選手
浦川尊明選手
 田中晴基がホームガマシで主導権。三番手の浦川尊明(写真)が田中、中村浩士の中を割り直線を鋭く伸びた。
 「今回がGI初出場だったので、これがGI初勝利ですよ。負け戦ですが、展開をしっかりと活かせました。一次予選で負けましたが、最終日は負けたメンバーの中では一番良いレースを走れるので嬉しいですね。調子が良くなっている中で、ここに入れたことが大きいです」
 加藤慎平は松岡健介との連係は切れてしまったが、最後は直線をしっかり追い込み3着入線。
 「慢性的な腰痛は簡単には良くならないので、しっかり流れに乗ろうと思いました。気持ちを切り替えたことで、変な力みが消えて、自分の中ではスッと伸びる感じがありました。競輪のコツを確認できたと思うし、久しぶりに競輪を走った感じがしました」

<5R>
新田康仁選手
新田康仁選手
 逃げた稲垣裕之を小嶋敬二が3番手からまくるが、その外を新田康仁(写真)が猛襲。上がり10秒7のバンクレコードタイ記録でシリーズ2勝目を挙げた。
 「小嶋さんより先に仕掛けたかったんですけどね。ちょうどいこうと思ったときに小嶋さんが仕掛けたし、有賀(高士)さんが内にいって、エアポケットに入りました。今回は脚は問題ないけど、昨日は出し切れずに悔しかった。今日はしっかり力を出し切ろうと思ってました」
 3着の稲垣裕之は先行策で力を全て出し切った。
 「人気にもなっていたし、勝つ組み立てを考えていました。あの距離なら自分が持つと思って駆けましたが、厳しい展開でしたね。小嶋さんと新田さんが強かった。正直、落車明けで感触はそんなに良くないけど、ベストは尽くしています」

<6R>
芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 小埜正義が打鐘前で一気にカマして先行。芦澤大輔の中団まくりに乗った稲村好将がゴール寸前で差し切った。
 「芦澤君が頑張ってくれたおかげ。余裕はあまりなかったし、最後は全然伸びなかったです。松坂(英司)君に押してもらった感じですね」
 芦澤大輔(写真)は今シリーズ2度目の2着。悔しそうな表情でレースを振り返る。
 「展開は予想どおり。しっかり中団は取れたんですけどね。小埜さんが後がかりなので苦戦しました。後ろに抜かれてはダメですね」

<7R>
坂上樹大選手
坂上樹大選手
 中団四番手の位置を確保した志智俊夫が車間を切り、その差を詰める勢いで3コーナーから仕掛ける。志智をマークした坂上樹大(写真)が志智の外を伸びて勝利した。
 「今日は志智さんが全部やってくれましたね。前を斬って、松谷君を行かせて、その後さらにまくってと。相当、脚を使ってるはずなのに、普段追い込みをやってる選手の動きではなかったです。自分はスピードをもらって上手く伸びることが出来ました。調子は悪くないし、最終日もしっかり走りたい」
 先行した松谷秀幸は2着に粘った。
 「メンバー的にも自分が先行だし、前に出ていかに粘れるかが課題でした。師匠(佐々木龍也)にも今回に関しては自在は封印と言われているので。二次予選は行くだけ行ったけど、今日は自分のペースで駆けて2着だし自信にはなりました。最終日も主導権を奪って帰りたいです」

<8R>
村上義弘選手
村上義弘選手
 脇本雄太が赤板で先頭に立ち徐々にピッチを上げていく。番手の村上義弘(写真)は車間を切って後続をけん制。直線を追い込み白星を手にした。
 「今回は(脇本と)お互いに反省すべき点があった。結果はどうであれ、本来ならドリームレースで今日のレースをしないといけなかった。負け戦になってしまいましたが、2人で決まって良かった。この先も一つずつ、積み重ねていくしかありませんね」
 近畿両者の三番手を回った坂口晃輔が3着にしっかりと続いて、並んだ三車でのワンツースリー決着となった。
 「村上さんの後ろというポジションで、本当に緊張しました。自分は三番手なので、内だけ絶対に開けないように集中してました。打鐘の4コーナーではもう全開のスピードだったし、残り1周はきつかったですが、ラインと車券に貢献できて良かったです」

<9R>
石井寛子選手
石井寛子選手
中川諒子選手
中川諒子選手
 一番車の好枠を活かし、石井寛子(写真)が誘導後位を確保。レースが動き、田中まい、中村由香里に次ぐ三番手で最終ホームを通過、最終1コーナーでは後方の中山麗敏、山原さくらが落車するアクシデントが起こったが、石井は中村のバックまくりに続いて直線を追い込み、地元でのガールズケイリンコレクションを制覇した。
 「地元の大きなレースで優勝できたことは嬉しいですが、ガールズは全員で一丸となってレースをやっていると、私は思っているので、落車があった今日のレースは素直に喜べない部分もあります。レースは一番車だったので、スタートは狙っていました。嫌な感じの音だったので、身体がビクっとなりましたけど、勝つことができました。ここに来る前に実戦で負けを経験したことも、自分を大きく成長させてくれました。今回の優勝は、ガールズグランプリの出場にもつながってくれると思います。次はすぐに立川で外国勢とのレースがあります。松戸のレースを見ていると、どうやって勝てばいいのか今は分かりませんが、一生懸命頑張ろうと思います」
 スタートで石井寛子の後位となった中川諒子(写真)は、石井に続く形で2着入線。
 「石井さんの後ろを取れたので、この位置から勝負しようと決めました。前と詰まる感じが何度かあったけど、石井さんに合わされたら浮いてしまうと思い、仕掛けれられなかった。もっと力があれば、優勝できる展開でした」
 中川後位の小林莉子が3着に流れ込む。
 「自分にハウスして落車が起こっているので…。後ろを気にして、動くべきところで動けなかったです。最後の直線勝負に切り替えたけど、ダメでした。練習して出直します」

<10R>
新田祐大選手
新田祐大選手
 打鐘から藤木裕が逃げて、後位がもつれる展開に。流れの中で番手勝負となった新田祐大(写真)が南修二に競り勝ち、鋭く追い込んだ。
 「先行選手として魅せるレースができなかったので悔いが残ります。3番手に付いてもらった合志(正臣)さんに申しわけない気持ちです。咄嗟の判断であの位置になりましたが、南さんは強い追い込み選手なので緊張しました。藤木さんがかかっていたので何とか勝てました。今回は力を出し切るレースができたのは初日だけ。組み立ては悪いんですが、力は温存できています。日に日に気持ちは高まっているし、明日も成田さんとワンツーを決められるようにしっかり頑張ります」
 成田和也がきっちり続き、福島ワンツー決着となった。
 「新田君は南君のところで勝負になってきついと思ったけど、すごいです。あんなこともできるんですね。新田君のおかげです。恵まれました。決勝も新田君に付いていくことにまずは集中します」
 打鐘から果敢に逃げた藤木裕が3着に踏ん張った。
 「今回は落車明けで不安しかなかったんですが、できることは限られてますからね。逆にリラックスして走れました。今日は中団争いになったのも分かったし、新田が内をすくってきたのも見えていました。今までタイトルを獲るような選手はみんな準決を逃げてクリアしてますからね。初めて逃げてG1の準決を突破できたからうれしい」
 合志正臣はからまれながらも懸命に福島コンビを追って突っ込んだが、微差で決勝進出を逃した。
 「内をしゃくられてアンコになってしまい、しんどかったです。そこを何とかしのいで最後は藤木君を交わせると思ったんですけどね。精いっぱいやった結果だから仕方がない」

<11R>
金子貴志選手
金子貴志選手
 打鐘から飛び出した桐山敬太郎に平原康多がロングスパートで襲いかかる。前団の混戦をバックから自力に転じた金子貴志(写真)がまくり切った。これでシリーズ3連勝。G1連続Vに王手をかけた。
 「今回からはタイトルホルダーとしての参戦で、良い緊張感の中で走らせてもらってます。浅井君がなんとか外に持ち出してくれればと思っていたけど、内に行ったから、そこからは自分の競走になりました。踏み込んだけど思ったように伸びなくて、直線勝負みたいになりましたね。なんとか届いてくれて良かったですよ」
 地元の後閑信一が平原のまくりに乗って2着に食い込んだ。
 「平原君の組み立てがあっての結果ですね。平原君を残したいのと、後ろの神山(雄一郎)さんの踏むコースのこととを考えて、難しい判断になりました。脚力が年々落ちていくのを感じてて、再度自力でやると決めてやってきたからこそ、脚力の上昇を感じている。自分の中では目標とするところまでは、まだまだなんだけど、悔しさを感じた今までよりは良い感じで走れてますね」
 先行した桐山の番手から追い込んだ勝瀬卓也が3着でG1初優出を果たした。
 「桐山君が覚悟を決めて走ってくれて、自分にチャンスが生まれました。G1の決勝に乗ったという実感はまだ無いですね。準決勝ですら、こんな豪華なメンバーで走ることは一生に一度だと思っていたので」
桐山敬太郎は4.50の特大ギアで力を全て出し切った。
 「誰かのカマシに飛びつくか、自分で駆けて行くかの瀬戸際でした。自分で駆けるには少しタイミングが遅かったです。(勝瀬が)ラインから決勝に乗ってくれてよかった」

<12R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 深谷知広は打鐘で一気に加速し主導権を奪取。深谷をマークした吉田敏洋(写真)は、後続の仕掛けを引き付け、直線を追い込んで勝利した。
 「金子さんが前のレースで決勝を決めていたので、より気持ちの入ったレースになりました。結果的に勝つことが出来たけど、深谷を残せなかったのでね。悔しさが大きいです。(深谷を含めた愛知の)3人で決勝を走りたかった。マーク選手なら、内外を対処して別線を止められたと思います。決勝進出の喜びよりも、今後の課題を突きつけられたレースでした。調子良く来れているし、決勝は自力で優勝に挑戦したいです」
 稲川翔は高木隆弘の内をすくって五番手の位置を確保。最終バックですかさず仕掛け2着で決勝戦進出を決めた。
 「後ろが博幸さんだったので、いつも以上に気持ちが入りました。あそこで仕掛けないといけないというポイントで仕掛けることが出来ました。最後は博幸さんが自分の横に迫ってくるだろうし、自分は前を抜くことに必死でした」
 稲川翔をマークした村上博幸が3着に続いた。
 「翔が前々に攻める彼らしい競走をしてくれた。最近はずっと調子が良かったしその気持ちを乗せて走ることが出来ました。結果につなげることが出来て嬉しいです」
 打鐘から一周半を仕掛けた深谷知広は直線で末を欠き5着。
 「自転車がイメージ通り進まずに、自分の気持ちとのズレが大きいですね。新しいメーカーのフレームなので仕方ないのですが。あの展開で残れないのは自分の中では予想外。今までと同じようには行かないけど、競輪祭までには何とかしたい。自分が残れていないんですが(金子、吉田と)3人で決勝を走りたかった」
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