『第56回オールスター競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:9月17日
 第56回オールスター競輪は台風の影響で9月16日が中止、順延となり、本日17日に最終日を迎えた。注目の決勝戦は打鐘過ぎの4コーナーから新田祐大が一気にカマして最終主導権。2コーナーからまくった後閑信一がゴール前で粘る新田を捕らえ、地元で7年ぶりのG1制覇を果たした。

決戦を控えた9選手
決戦を控えた9選手
声援がこだまするスタンド
声援がこだまするスタンド
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると成田和也がSを取って新田祐大を迎え入れる。初手は新田―成田、藤木裕―村上博幸―稲川翔、後閑信一―勝瀬卓也、吉田敏洋―金子貴志の順で並んだ。
 周回が進み、青板周回のバック過ぎから吉田がゆっくり上昇していく。赤板で前を押さえると、新田はすぐに車を下げた。すると今度は、新田ラインに続いた藤木が踏み込んでいき、先頭に立ったところで鐘が入る。中団4番手には後閑が収まり、引いた吉田と新田が6番手で併走となった。外併走の新田は一旦呼吸を整えると、4角から一気にカマして反撃に出る。一方、前の藤木も本格的に先行態勢に入る。藤木は反撃に合わせて懸命に踏み込むも、スピードで優った新田が叩き切った。そのとき、村上が番手の成田に強烈なブロックを浴びせると、成田は後退。これで新田は単独逃げとなる。すると、今度は2角出口から満を持して後閑がスパート。後閑の勢いは良く、離れながら新田を追う藤木を3角で抜き去ると、直線で新田に襲い掛かる。両者の攻防は新田が自ら横に振って必死に抵抗するも、後閑が勢いそのまま抜き去って優勝。7年振りのG1優勝を遂げた。新田は惜しくも2着でG1初Vならず。後閑を追った勝瀬が3着に入った。


ゴール
ゴール
胴上げ
胴上げ
表彰式
表彰式
<1R>
石丸寛之選手
石丸寛之選手
 柴崎淳の逃げを石丸寛之(写真)が中団からひとまくり。最終日を1着で締めた。
 「落ち着いていけました。あまりにもすんなり中団が取れましたね。車の出も良かったと思います。今回は1年ぶりの特別競輪だし、どこかで絶対に1着は取ろうと思っていました。次につながります」
 単騎の内藤秀久は先手ラインの3番手から最後は内を突いて3着に突っ込んだ。
 「3番手からまくりたかったのに弱すぎですね。石丸さんにいかれてしまい、仕方なく内にいきました。初日、2日目は感触が良かったけど今日は悪すぎる。2日空いて身体の感覚が変わってますね。このあとも中2日で向日町記念なので少し焦ってます。今は帰ってすぐ練習するぐらいの気持ちです」

<2R>
金子真也選手
金子真也選手
 矢口啓一郎の先行に乗った金子真也(写真)が直線でズブリ。特別競輪で久々の勝ち星を挙げた。
 「矢口君の頑張りに尽きますね。僕は番手で何もする必要がなかった。去年ぐらいからまたG1に出れるようになって、チャレンジャー精神で走れています。できればもう少し上位で戦いたかったけど、G1の1勝は本当にうれしい」
 矢口啓一郎は打鐘先行で2着に粘った。
 「1周半ぐらいなら持ちますからね。濱田(浩司)さんの動きは見えていたし、突っ張ってしまえば何とかなると思って駆けました」
 香川雄介が群馬コンビの後位に割り込み、3着に流れ込んだ。
 「濱田君は1回斬れば、何てことなかったんですけどね。浮いてしまったので、佐久間(仙行)さんのところへ降りました。あんまり脚もないし、G1は付いていくだけでいっぱい。このままじゃ弱っていくだけなので、フレームや練習方法も変えて、これから試行錯誤していきます」

<3R>
松岡健介選手
松岡健介選手
 小埜正義が打鐘から一気にスパート。中団を確保した松岡健介(写真)が最終1コーナーから好回転でまくって快勝した。
 「うまく中団が取れたし、いいタイミングで仕掛けられました。小埜君のペースに入る前にいこうと思ってました。脚力はまだまだ上がってこないけど、だいぶレースは見えるようになってきました」
 単騎の佐藤康紀が近畿コンビを追って3着に流れ込んだ。
 「今日は回れるところと思っていたんですが、結果的にいい展開になりました。松岡君もやっぱりギアがかかっているから強いですね。付いていくだけで必死でした」

<4R>
原田研太朗選手
原田研太朗選手
 赤板2コーナーで竹内雄作が叩いて先行態勢に。その動きを追った原田研太朗(写真)は3番手で態勢を整え、最終2コーナーから仕掛けて最終日を白星で終えた。
 「あまりまくりに構えることはないけど、前と口が空いてたし、竹内さんも全開に近いスピードで踏んでたので入って休みました。詰まったところで行こうと思ったのが2コーナーでしたね。この大舞台でいろんな経験が出来たと思います。また次もG1を走れるように頑張って行きたいです」
 橋本強が原田に続いて2着入線。
 「原田君はモガキ合うかもとも思ったけど、冷静でしたね。内に入って行くべきところで行ってくれた。付いていくだけなら、出来てるけどダッシュに離れそうになってるので、その辺は追い込みとしてはダメな所ですね。最終日を凌いで入着できたことは大きいし嬉しいです」

<5R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
 正攻法の海老根恵太(写真)は鈴木謙太郎、坂本亮馬の動きで8番手となったが、打鐘過ぎに内をすくって6番手に上昇。最終バックからの仕掛けが届いてシリーズ2勝目を挙げた。
 「8番手はまずいと思って咄嗟の判断でした。上手くいってよかったです。身体の反応はそこまで良くなかったけど、フレームとギアに助けられました。2勝出来たけど、勝ち上がりに失敗してるし、またG1の決勝を争えるように頑張りたいです」
 海老根の動きに続いた中村浩士は、直線で海老根の内を踏み2着に続いた。
 「恵太がいい判断をしてくれました。自分が伸びれば1着の展開を作ってくれた。恵太も伸びてたし、自分はそれを捕らえられなかったけど、ワンツーで良いイメージでゴールできました。すぐに向日町記念があるけど、恵太と一緒だし、一緒に走る機会があれば楽しみですね」
 先行した鈴木謙太郎の番手を周った大槻寛徳は3着入線を悔しがる。
 「今日もそうだけど、負け戦の3走は全部勝てる展開だった。自分の脚の無さですね。良い展開をモノに出来ないようでは追い込みとしては良くないけど、逆にそこが課題だと分からせてもらいました」

<6R>
園田匠選手
園田匠選手
 吉本卓仁が打鐘前から果敢に飛び出して主導権。番手の園田匠(写真)が直線できっちり捕らえ、3連勝で締めくくった。
 「最高の展開になりました。吉本君はいつも頑張ってくれるし、相性も本当にいいんですよ。練習みたいな感じでした。今回はしっかり仕上げてきたんですが、初日がもったいなかったですね。でも、宣言どおり3連勝で終われて良かったです。これくらいやれる自信はありました」
 吉本卓仁は力強い逃走劇でラインを上位独占に導いた。
 「今日は先行しか考えていなかった。山崎(芳仁)さんだけを見て、いい感じで駆けられました。余裕もあったし、最後まで踏み切れました。今回はいいところもダメなところもあったけど着実にステップアップできたと思います」

<7R>
岡田征陽選手
岡田征陽選手
 佐藤友和が後攻めから押さえて先行。地元の岡田征陽(写真)が3番手から痛烈なまくりで前2人を一気に抜き去った。
 「ここに向けてやることは全てやってきたし、決勝に乗らなきゃいけないと思っていたんですけどね。決勝に乗れなかったので今日は絶対に1着を取ろうと思っていました」
 小林大介が岡田を懸命に追って2着に入り、関東ワンツーを決めた。
 「征陽の気合がすごかったので、まずはしっかり付いていくことに集中していました。ケガの影響で悪かったんですが、ここ最近はやっと練習できるようになり、良くなってきました。今回はギアを初めて4.08に上げて手応えをつかめました」

<8R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
 渡邉一成(写真)の単騎ガマシが鮮やかに決まった。打鐘過ぎに先行態勢に入った桐山敬太郎の後位がもつれ、ペースが緩んだ隙を見逃さずに最後方から全開のスパート。そのまま後続を引き離してゴールを駆け抜けた。
 「仕掛けられるタイミングがあれば思い切りいこうと思ってました。ドンピシャでしたね。後ろをできるだけ離そうと思って必死でした。今回は自分の実力をすべて出し切れなかったんですが、もっと強くなれるように努力していきます」
 好位からまくった芦澤大輔が際どい2着争いを制した。
 「稲垣(裕之)さんを後方に置きたかったので、併走になって引けなかった。前に出たら逃がされるので我慢しました。でも、(渡邉に)いい勢いでいかれてしまいましたね。今回は2次予選で負けて悔しかった。同じ失敗をしないように、もっと強くなります」
 渡邉を懸命に追った桐山敬太郎の番手から松坂英司が追い込んで3着に入った。
 「敬太郎は2車なのに、いいレースをしてくれました。恵まれました。今回の成績は上出来というか、僕にしてはやれた方でしょう」

<9R>
齊藤努選手
齊藤努選手
 松谷秀幸の逃げを平原康多が3番手からハイパワーでひとまくり。これに乗った齊藤努(写真)が渾身の番手差しでシリーズ2勝目を挙げた。
 「今日は平原君に全て任せていたんですが、ありがたかったです。正直、かかりが良くていっぱいでしたね。ファンの皆さんの声援のおかげで何とか勝てました。今回は番組に恵まれて、成績としてはまとまっていたんですが、力の差も痛感しました。これからも一戦一戦しっかり頑張ります」
 2着は平原康多で埼京ワンツー決着。4.42の大ギアで4走とも最終バックを取った。
 「今日は展開ですね。それ以上でも以下でもないです。3番手だからまくれただけで重かったです。4.42のギアは上を目指すためにも取り組んでいかなければいけないことですから。まだ身体が慣れていないけど、これで終わりじゃないので次からも頑張ります」

<10R>
村上義弘選手
村上義弘選手
 脇本雄太が赤板前から先行。村上義弘(写真)が最終3コーナーからの番手まくりで後続の追撃を振り切り、連勝を飾った。
 「脇本君が気持ちの入ったレースをしてくれました。ああいう展開になったら自分が絶対に勝つんだという強い気持ちで走りました。やっぱり最終日は決勝で走りたかった。力不足でこういう結果になってしまったけど、どのレースでも一戦一戦、全力を出すだけです」
 近畿コンビの後位を主張した佐藤慎太郎が志智俊夫に競り勝って2着に続いた。
 「2着で精いっぱいですね。抜きにいくとかそういうレースじゃなかった。岩津(裕介)君がいいスピードできてびっくりしたけど、何とか2着に入れました」
 単騎の岩津裕介は最後方から好回転でまくり上げて3着に食い込んだ。
 「予想よりも(脇本の仕掛けが)早かったので、脚がきつくなりました。でも、いくだけいかないと着はないですから。今回は3着が3回あるし、車券には貢献できましたね。結果的に見ればいいシリーズだったと思います」

<11R>
新田祐大選手
新田祐大選手
勝瀬卓也選手
勝瀬卓也選手
 地元の後閑信一が豪快なまくり追い込みで7年ぶりのG1優勝を飾った。新田祐大(写真)はカマシ先行で惜しくも2着。一番人気に応えることはできなかった。
 「タイミングは良かったけど、どこかスムーズに踏めてなかった。力んでいましたね。自分の後ろがどうなっているかも分からず、確認出来たのは最終バックだった。成田さんがいなくて、一瞬でも流したらまくられてしまうと思い、必死に踏みました。F1や記念なら勝てる内容だったけど、これがG1なんですね。力を出し切れてないわけではないけど負けは負け。同じ展開で勝つにはもっともっと脚力が必要だし、レースの内容も修正しないといけませんね」
 後閑を必死に追った勝瀬卓也(写真)が3着に入線。初のG1決勝で表彰台に上がった。
 「後閑さんは昔から練習でお世話になっていたり、開催で一緒の時に自分の自転車を見てもらったり、乗り方を教わったりしてました。最近強いのをずっと見ていて、後閑さんの後ろは間違いのない位置だと思ってました。踏み出しが凄く伸びて口が空いてしまって付けきれませんでしたが、これは自分の修行不足。今回は色んな人のおかげで良い経験をさせてもらいました」
 新田に叩かれた藤木裕は素直に完敗を認める。
 「最近は気持ちの弱さがあったけど、それを払拭することは出来たと思います。決勝の組み立ては間違ってないと思いますし、脚力で負けた結果なので、負けたことには納得してます。また脚を作り直さないといけませんね」
 成田和也は村上博幸に強烈なブロックをもらい、堪えられずに後退した。
 「博幸君がいい動きでした。自分に余裕があればなんてことない展開だった。新田も外に外しながら仕掛けていたし、自分が付いていけば新田が優勝できるレースでした。力不足ですね」
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