『第58回オールスター競輪(GI)レポート』 4日目編

配信日:9月22日
 「第58回オールスター競輪」はシリーズも佳境。4日目も33バンクだけにハイスピードバトルが繰り広げられた。ファイナル進出をかけた準決勝3個レースでは、それぞれ神山雄一郎、桐山敬太郎、竹内雄作が白星で優出。いよいよ明日23日の最終日11Rにはタイトルをかけた号砲が鳴らされる。
 最終日も場内ではさまざまなイベントを開催予定です。つばさFlyライブ(4R発売中)、8.6秒バズーカーお笑いライブ(5R、9R発売中)、柳ゆり菜トークショー(10R発売中)などイベントは満載。ぜひ松戸競輪場でお楽しみください。

日本名輪会トークショー
日本名輪会トークショー
叶音 マジックショー
叶音 マジックショー
まねだ聖子 ものまねライブ
まねだ聖子 ものまねライブ
慶 イリュージョンショー
慶 イリュージョンショー
<1R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
 正攻法の服部克久が、高橋陽介を突っ張って赤板前から先制。叩けなかった高橋は後退し、最終ホームでは一本棒の隊列に逆戻り。中団で脚を溜めていた三谷将太が2コーナーからまくり上げると、荒井崇博(写真)がこれをけん制。それでも止まらないと判断した荒井は、合わせて番手発進。後方からまくった池田憲昭の猛追をしのいで、白星をつかんだ。
 「(道中から)苦しかった。作戦と違っていたしね(笑)。三谷が来たから持って行ったけど止まらなかった。だから仕方なくタテに踏ませてもらいました」
 突っ張り先行でレースを作り、後ろの2人を確定板に送り込んだ服部克久は清々しい表情。
 「最後は練習みたいになってしまったけど…。魅せるレースはできました。今回学んだことを踏まえて、また練習してきます」

<2R>
神山拓弥選手
神山拓弥選手
 赤板で新田康仁が斬った上を神山拓弥が叩いてハナに立つ。松岡健介は巻き返しを狙うも、成清貴之が新田に離れた隙を逃さず斬り込む。中団のもつれを尻目に神山が腹をくくってそのままスパートすると最終2センターで成清と坂口晃輔に松岡らまで落車するアクシデント。浦川尊明が神山を巧くリードしてゴール寸前で交わしてアタマ。2着には神山が粘り込み、3着には落車を避けて外を踏み上げた志智俊夫が突っ込んだ。
 驚きを隠せない浦川尊明がレースを振り返る。
 「(神山が)斬ってスピードがあったところで自分が坂口君のところを飛ばせればと思っていたけど、そのまま駆けちゃうからさ。落車した音が聞こえて機動型が居なくなったのが分かったので最後はスッと抜く感じで。でも志智さんが凄いスピードで来てたからビックリした」
 逃げ粘った神山拓弥(写真)は「鐘で踏んでおかないと遅れちゃうと思って。斬って松岡さん待ちだったんですけどね。ちょっとスピードが上がり過ぎちゃって。ホームでもこないからそのまま駆けました」と成り行きながら腹をくくって攻めたことが奏功した。

<3R>
古性優作選手
古性優作選手
 野原雅也が後ろから動いて前に出ると、巻き返してきた吉本卓仁を突っ張り主導権は譲らない。今度は最終ホームから小嶋敬二、野原ラインに続いた芦澤大輔と次々に反撃に出るが、古性優作(写真)が番手から発進して応戦。そのまま力強く押し切ってシリーズ2勝目をあげた。
 「小嶋さんがきているのは見えてました。そこで、番手から出るのを待とうかと思ったんですけど、今度は芦澤さんが来たんですぐ踏みました。今日は雅也のおかげ。気持ちもうれしかったですね」
 単騎でも果敢に攻めた芦澤大輔だが、野原に合わされ3着まで。
 「野原君のラインが先行するだろうと思って後ろに。いろいろ流れで考えてはいましたけど、後ろから誰かくることもふまえてあそこで仕掛けました。脚がなかったからいけなかったですね」

<4R>
北津留翼選手
北津留翼選手
 赤板前に斬った北津留翼(写真)が稲毛健太を出させて3番手を確保。最終2コーナーから力強くまくって連勝を飾った。
 「先に斬れば稲毛君が来るだろうし、その3番手をしっかり取ろうと思ってました。作戦どおりに走れました。稲毛君が強くて、きつかったですね。吉田(敏洋)さんもいい勢いで来ていたんですけど、自分の方が先に踏んでいたので何とか勝てました」
 後方から好回転でまくり上げた吉田敏洋は2着まで。
 「あれは無理ですね。近藤(隆司)君が外に浮いている感じだったし、あの外をいくのがきつかった。2着でも十分でしょう」

<5R>
菅田壱道選手
菅田壱道選手
 高校の先輩、後輩3人で連係した宮城トリオが絆で勝利。青板前から上昇した脇本雄太を受けると、櫻井正孝はサッと車を下げて鈴木裕が動いた上を青板バックから一気に叩く。車間を切った早坂秀悟は最終ホームから番手まくり。続いた菅田壱道(写真)がゴール前で逆転した。
 「前2人のおかげ。高校の先輩、後輩で上手く走れました。3周過ぎて来なければ突っ張りも考えたけど、櫻井が頑張ってくれましたね。僕はついてただけで、最後も早坂先輩を残すことだけでした。あれだけ櫻井が行ってくれたらワンツー決めなきゃと思ってたし、結果上手くいってよかった」
 早坂秀悟も櫻井の頑張りを称えた。
 「(動き出しが)早すぎましたね。脇本も俺らを警戒してるから。でも脇本に押さえさせてからレースをぐるぐる回す。櫻井はその辺が上手いですからね。休んで最後に行けたから、その辺上手くいってよかった。僕は車間を切ってキツかったけど、決まってよかった。後ろの人のありがたみも分かりました」
 中団を取った鈴木裕だったが、「ホームで仕掛けようとしたらしゃくられた。それでタイミングなく行きました」とまくり不発。最終ホームで渡部哲男にすくわれたのが痛かった。

<6R>
川村晃司選手
川村晃司選手
 青板手前からレースが動き、根田空史と佐川翔吾で激しい踏み合いに。青板のバックで根田が一旦出切ったが、根田の番手にはまった佐川が打鐘で叩き返して主導権を握った。7番手で戦況を見極めていた小松崎大地が打鐘の2センターから一気にまくり返すと、佐川の後位から川村晃司(写真)が合わせて番手まくり。そのまま後続を振り切って、復帰3走目で白星を挙げた。
 「全部佐川君のおかげです。もがく距離が長過ぎて…(苦笑)。(ケガの影響で)まだしっくりきていない部分はあるけど、走って戻すしかない。そんな中での1着はうれしいです」
 近畿の二段駆けに屈した小松崎大地だが収穫はあったようだ。
 「とにかく気持ちだけは負けないようにと思ってました。仕掛けるタイミングは良かったと思うけど、甘いところがあって勝ち切れなかった。でも初めて経験できた事もあったし、これを今後に生かしていきたい」

<7R>
鈴木謙太郎選手
鈴木謙太郎選手
 赤板で斬った鈴木謙太郎がハナに立つと松岡貴久が追い気味に上昇したが、柴崎淳の外で止まりフタをする形で鐘を迎える。鈴木は後ろの中団争いを尻目にペースアップ。内にいた柴崎が松岡を飛ばして中団を確保すると2コーナー手前から踏み上げて巻き返しを狙うも、鈴木の番手を回っていた内藤宣彦が車間を空けて援護すると伸びを欠いて浮いてしまう。ゴール寸前で内藤が鈴木を交わしてワンツー決着。柴崎を追っていた小倉が内藤の後ろにいた望月裕一郎をすくって3着に突っ込んだ。
 「恵まれですよ」と笑顔で検車に引き揚げてきた内藤宣彦はうれしそうにレースを振り返る。
 「相手が強かったからどうなるかなって思っていたけど、あの距離なら鈴木君も持つ距離ですよね。かかりも良かった。本当はまくってきた柴崎君をうまくけん制できれば良かったけど、誰かにすくわれるんじゃないかってビビッてました。だから(けん制は)やんわりですね。松岡君じゃなくて強い先行屋がもう一人いたら違った展開になったと思うけど良かったです」
 レースを支配した鈴木謙太郎(写真)は初日の逃げ切りに続いて今シリーズ2度目の確定板入り。「松岡君は(中団の)内で粘るような競走をするんじゃないかって思ってたけど、外にいたのでどうするかなって。そこだけですね。あとは自分のペースだったので」とまくり上げてきた柴崎にもきっちりと合わせ切ってしぶとく粘った。

<8R>
松坂英司選手
松坂英司選手
 動きなく赤板を迎えると前の天田裕輝が誘導を降ろしてペースを上げる。すると、5番手から郡司浩平がカマして強引に主導権を奪取。後方に置かれた野田源一は最終1センターから仕掛けるが、松坂英司(写真)のけん制で苦しくなる。返す刀で3番手に追い上げていた成田和也を締め込んだ松坂が直線で追い込んだ。
 「浩平が頑張ってくれた。あいつは臨機応変に走れるのが強みだね。おかげさまで勝てました。でも余裕はなかったです」
 郡司浩平が2着に粘り、神奈川でワンツー決着。
 「このメンバーなので先行を考えてました。行ける所か行ければなと。その後は焦って駆けても良くないので、落ち着いて駆けましたね。後ろのおかげです。でも、初日より距離は短いのに苦しかった」
 スピード良く前団に迫った野田源一だったが、惜しくも3着。
 「インを突いて先行しても良かったですね。きつい展開になってしまった。でも、下げてすかさず行けたし、踏み出しも悪くはなかったです」

<9R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
 赤板で飛び出した岩本俊介の後位に新田祐大が飛び付くと、そこを稲垣裕之が一気に叩いて主導権を握る。岩本の内をすくった新田が3番手を確保して最終ホームを通過。村上義弘は後ろを確認しながら車間を空けて、稲垣をガード。最終4コーナーから新田が外を踏み込むが、神山雄一郎(写真)が逃げる稲垣と村上の間を鋭く突き抜けた。
 「前にいるのが稲垣、村上、新田で4番手ですからね。1人抜くのも厳しいと思った。新田も行きづらかったと思うけど、遅めでも仕掛けてくれたので。まさか今日のメンバーで1着を取れるとはびっくりです。何とか3着までに入ろうと思ってました。前回までは伸びを欠いていたんですが、何とかオールスターまでにと思ってやってきた成果が出ました。33なんで展開次第で(優勝は)あるかもしれないですね」
 俊敏な動きで3番手を確保した新田祐大は4コーナーからの追い込み勝負。近畿コンビを抜いて2着に食い込んだ。
 「結果はワンツーで良かったけど、レースとしては隙を見てのレースになってしまった。難しいレースだったし、反省点はありますね。村上さんは自力でも強いけど、人の後ろを回っても強い。勉強になりました。ファン投票で選んで頂いたのに、なかなか結果に結びついていない。選んで良かったと思われるような走りをしたいですね」
 稲垣裕之が村上の献身的な援護もあって3着に粘り込んだ。
 「2車でも村上さんが全部やってくれると思って、信頼して仕掛けました。あとでVTRを見たら、車間を空けて、ブロックもしてくれているのが分かりました。手足口病で福井記念からお客さんに迷惑をかけていたんですが、昨日のレースでだいぶ気合が入りました。何とか決勝に乗れて良かったです。決勝は村上さんの想いも背負って走ります」
 地元コンビの連係は失敗。海老根恵太は後方に置かれて凡走した。
 「(岩本が)もう少しガツンと踏んでくれれば良かったんですけどね。すべて任せていたけど先行は考えてなかったのかな」

<10R>
桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
 青板ホームから渡邉一成が動くと前受けの深谷知広は突っ張る素振りを見せてから車を下げる。赤板ホーム手前で桐山敬太郎(写真)が前に出ると、今度は中川誠一郎が一気にカマして出る。合わされたと判断したのか岩津裕介は南関勢の後ろに降りてしまい、出切った中川は桐山に使われる形に。打鐘から巻き返した深谷は不発。桐山は2コーナーからまくって出ると、決勝進出一番乗りを決めた。
 「もうこれで調子悪いとは言えませんね。残り2周で(先行の)覚悟は決めました。初手でいい位置が取れたし、押さえて、押さえて(自分が先行)と思ってたら誠一郎さんが来たんで。バックを取れば晴智さんが何とかしてくれると思ってました。武井さんが3番手を固めてくれたのが大きかったし、信頼に応えたかったので。G1決勝は(今年2月)静岡の全日本選抜以来2回目です」
 渡邉晴智は5年ぶりのG1決勝進出に興奮気味。
 「全て桐山がやってくれたし、武井がしっかりと付いてきてくれた。ラインあっての結果だし、最高の結果だと思います。(G1の)決勝も何年ぶりでしょうかね? 準決勝自体が久々だったので、ものすごく舞い上がってました。とにかく最高の結果です。状態も申し分ない」
 南関3番手を固めた武井大介は地元勢唯一のファイナリストとなった。
 「桐山が昨日から『任せてください』って言ってくれたので。晴智さん(のアシスト)も絶妙でしたね。最後は晴智さんのいかないほうにと思ってギリギリまで待った。外が来てなさそうだったので、内に行って3着狙いで。恵まれましたね」
 「俺的には最高の展開だった」と話す中川誠一郎だったが、単騎の仕掛けになる不運に泣いた。
 「キリ(桐山)が斬ったら、カマそうと思ってたんですけどね。出切れると思ったし、あれなら外併走で(仕掛けを)待ってればよかった」
 後方に置かれてしまった渡邉一成は「後ろ攻めが誤算だった。できるだけ前がよかった」と初手の位置取りで敗れた。

<11R>
竹内雄作選手
竹内雄作選手
 準決勝最後のレースは竹内雄作(写真)が激戦を制してG1初優出を決めた。レースは青板の1センターから原田研太朗が動くと、後方まで下げた竹内が一気に踏み上げ先行策。最終ホームから5番手の平原康多が反撃するも、3番手の原田に合わされ不発に。しかし、原田も伸びを欠いて後退すると、そのまま竹内が逃げ切り勝ち。うれしいファイナルの切符を手に入れた。
 「脚を使っていて最後は一杯。でも、体は軽かったし、ぱっと見たら後ろに稲川(翔)さんもいてくれて、あそこまでいったら気持ちで踏みましたね。まさか残るとは思ってなくて、びっくりしました」
 番手の稲川翔は、別線を警戒しながら2着に続いた。
 「竹内君は味方だと心強い選手ですね。3コーナーまでは抜くつもりだったけどダメでした。あれを抜くくらいにならないと、もう1回タイトルは取れない。でも、今年前半はどうしていいかわからなかったけど、先輩の意見を聞いて腐らずにここまでやってきて良かった。修正するところは一杯あるけど、決勝は頑張りたい」
 大塚健一郎は目標の原田が不発とみるや、内に切り込んで3着を確保。
 「原田君が頑張ってくれたおかげです。最後は稲川君のけん制を気にしながらコースを探して。決勝は竹内君へ。(13年の)西武園記念の二次予選以来ですね」
 平原康多は8着に終わり、今年4度目のG1優出は叶わず。
 「(竹内君より)先に仕掛けていれば良かったのかも…。竹内君が強かったし、自分が弱いだけです」
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