『平成30年7月豪雨被災地支援 第61回オールスター競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:8月19日

 オールスター夢の競演。いわき平競輪場を舞台に開催された平成30年7月豪雨被災地支援「第61回オールスター競輪(GI)」は、19日に最終日が行われた。ロングランシリーズを勝ち抜いた9人による決勝は、竹内雄作との壮絶なモガき合いを制した脇本雄太が逃げ切りV。念願のタイトルを奪取し、優勝賞金4400万円(副賞含む)と年末の「KEIRINグランプリ(GP)2018」の出場権を手に入れた。

決勝出場選手特別紹介
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八代亜紀スペシャルライブ!
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スピーチーズライブ
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地元選手会ブースに石井貴子選手
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決勝戦 レース経過

 スタートは渡邉一成が出て中村浩士が続く。その後ろは竹内雄作-浅井康太-金子貴志の中部勢が占めた。更に脇本雄太-古性優作-村上義弘の近畿勢が続き、単騎の山崎賢人が最後方。この並びでしばらく静かな周回を重ねる。
 動きが始まったのは赤板過ぎの1センター。竹内が浅井-金子を引き連れて踏み上げると、正攻法の渡邉は車を下げて中部勢の後ろにスイッチ。中部勢を追っていた脇本は主導権を狙って更に踏み込むが竹内も猛抵抗。ジャンから主導権争いに発展したが、最終ホーム過ぎの1センターで脇本が竹内を叩いて先頭に躍り出た。古性は3車身ほど離されながらも続くが、村上は2コーナーで浅井のブロックではじかれた。最終バックは脇本が快調なペースで飛ばし、3車身ほど離れて古性、村上を飛ばして切り替えた浅井が続き、2コーナーからまくり上げた渡邉が浅井の外まで迫る。脇本はそのまま後続を寄せ付けず悲願のG1初優勝を達成。2センターで古性を交わして出て脇本を追った浅井が2着、渡邉は浅井に迫るも3着。

<1R>

芦澤辰弘選手
芦澤辰弘選手
 合わせて踏み込む松本貴治を小松崎大地が打鐘で強引に叩いて主導権を握る。3番手に入った松本が最終ホームから早々と巻き返すと、再び小松崎と踏み合いに。バックで和田圭、高原仁志がからんで大量4名が落車。松本がまくり切ったが、2コーナーまくりで落車を避けた杉森輝大がこれに迫り、続いた芦澤辰弘(写真)が直線でとらえた。
 「落車もあって避けてだし、何も言えない。ただ1Rにしては準備がよかったと思う。しっかり体が動く準備はできたんで。これで200勝リーチ? 早いのか遅いのかわからないけどね」
 直線で松本をとらえた杉森輝大が2着に。
 「出が悪かったですね。落車もギリギリで交わした感じだったし、あれでフワッとなったんでキツかった。2日休み明けのレースだったのあって体もフワフワしてました」
 ホームからまくって3着の松本貴治は仕掛けのタイミングを反省する。
 「打鐘で合わせるつもりだったけど、リズムが合わず…。入ってから行けるところで行ったけど、(コーナーの)上りで行ったので。すかさず行くのも大事だけど、落ち着いてバックから仕掛ければよかった。その前に出られたらダメですね」

<2R>

横山尚則選手
横山尚則選手
 前受けの南潤は小川真太郎の上昇を許さず赤板ホームから突っ張り先行。これですんなりの3番手となった横山尚則(写真)は小川のまくりに合わせてバックからまくって前団を飲み込んだ。
 「いい位置だったけど、初日に坂本(亮馬)さんにすくわれているから内だけは気をつけていました。勝てたことは嬉しいですけど、やっぱり南君はすごいですね。あそこから突っ張ってもかかっていたしタイミングをなかなか取れず、車の出もよくなかった。何とか1着を取れた感じですね」
 横山に合わされた小川真太郎だが、うまく横山に乗る形で2着に食い込んだ。
 「ずっと見られてたからそのまま我慢して脚をタメて勝負してもよかったけど、結果的に前に踏んで追い上げる形になってよかった。今の状態で2着なら上出来。2日間休めたのが大きいですね」
 人気を背負った南潤は2周先行をまくられ9着に沈んだ。
 「もっと脚を付けてGIでも逃げ切れるようになりたい。どんな展開でも逃げて勝てるように。村上(義弘)さんにも誰もが通る道だから頑張れって言われました」

<3R>

柴崎淳選手
柴崎淳選手
 鈴木竜士が押さえて出ると内藤秀久が続いて、3番手が永澤剛と松岡貴久で取り合い。後方で車間を空けてタイミングを計っていた柴崎淳(写真)が、最終1センターから踏み上げて逃げる鈴木に襲い掛かる。山内卓也は離れて、柴崎がスピードの違いで前団をのみ込んでシリーズ2勝目を飾った。
 「前が併走になってたし、ああなったら自分のタイミングで早めに行った方がいいと思った。最後まで踏めました。でも、なにかかみ合わない。ローラー(で乗っている)感じもいいんですけど…」
 最終ホーム過ぎに永澤をキメた松岡貴久が、柴崎を追うように踏み込むが内藤のけん制もあって2着がやっと。
 「鈴木君が行った上を叩いてもいいかなと思ったけど、風もあって自分が弱気だった。あれで柴崎君に行かれちゃうのはしょうがない。外併走でも余裕はあったし、1走目よりはだいぶ良くなっている」

<4R>

池田良選手
池田良選手
 青板バックから動いた取鳥雄吾に対し、中団の石塚輪太郎は車を下げたが、そこを渡邉雄太にフタされて併走に。これが長引くと、打鐘前から取鳥が主導権。外併走から渡邉も巻き返すが、これをけん制した池田良(写真)が好展開を生かして抜け出した。
 「雄吾が頑張ってくれたおかげ。作戦はジャンだけ取って考えようだったけど、それがいい方に向いた。頑張ってくれたおかげです」
 2着には濱田浩司、3着には取鳥雄吾が逃げ粘って中四国ラインが上位を独占した。
 「苦しいですね。今回は体調が悪くてモガける体になってないです。内臓が疲れてる感じでキツかった。でも何とか後ろが1、2着を取ってくれたので。また、しっかり走ります」

<5R>

池田憲昭選手
池田憲昭選手
 打鐘手前に長島大介が切った上を郡司浩平がさらに切る。そこを7番手まで下げて態勢を立て直した清水裕友が一気のカマシ。番手の小倉竜二が車間を空けて抜け出すが、3番手の池田憲昭(写真)が外を鋭く伸びて突き抜けた。
 「清水君も頑張ってくれたし、オグ(小倉)さんが前だったから安心して付いていけた。ホームで郡司に飛び付かれそうだったから、そこだけ気をつけていました。前回に比べてもよくなっているし、誰からもノーマークだったから楽に走れた」
 ゴール寸前で白星を逃した小倉竜二は反省しつつレースを振り返る。
 「清水君はゴリゴリ踏んで行ったけど3コーナーで止まってしまったね。車間を空けながら抜きにいったし前を交わしているから悪くないけど、池田君は脚があるね。決まったかなって思ったけど平は直線が長いですね…」
 末を欠いた清水裕友は4着まで沈んでしまった。
 「先行してくれって流れになったしタイミングは取りやすかったけど、長い距離を踏むとダメですね。まくりだったらガンって踏めばいいけど、長い距離を踏むにはペース配分もそうですけど、ペダリングが難しい。途中で狂ってしまったし、かかりもそこまでじゃなかった。3コーナーの向かい風で完全に止まってしまいました」

<6R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 太田竜馬に突っ張られた吉田拓矢(写真)は、阿部拓真ラインが飛び出すと7番手からの立て直しを余儀なくされる。中団キープの太田が最終ホーム手前から仕掛けて、あっさりと前団をのみ込む。吉田も間髪を入れず、その上をまくって太田をとらえ抜け出した。
 「太田をきっちり切らないと始まらないのに…。展開もあるけど、まだまだそういうところが未熟です。結果、太田が4番手をしっかり取ってうまかった。(最終)ホームで厳しいかなと思ったけど、太田が行ってくれた。その上を行っていっぱいでした」
 単騎の鈴木庸之は、最終ホームで9番手。茨栃コンビに乗って、直線で外を伸びるも2着まで。「1着が遠いですね…」と、ポツリ。3走連続の2着を振り返る。
 「9番手の時は終わったと思った。横風が吹いているんでいっぱいでした。(吉田が)まくりに行ってからは楽になりました。自力でもやれそうだし、もっと組み立てをしっかりしないと」
 吉田追走の神山拓弥は直線でいっぱい。2着をキープできなかった。
 「もう(最終)3コーナーでいっぱい。ハイペース過ぎてどうなってるのか、わからなかった。とにかく(吉田)拓矢が1着でよかった」

<7R>

岡村潤選手
岡村潤選手
 打鐘で前に出た和田真久留はカマしてきた松浦悠士を出させずそのまま主導権。吉澤純平の巻き返しも岡村潤(写真)の横で止まると、外を迫る山田久徳、天田裕輝らに合わせて岡村が鋭く抜け出した。
 「出す作戦だったけど、松浦だったんでね。真久留があの走りをしてくれたんでよかった。吉澤に体を合わせて行こうと思ったけど、後ろに松浦もいたんで。4コーナーで外を見たら来てたんで、あそこまで行ってもらったらと思って踏みました。真久留のおかげですね」
 8番手から大外をまくった山田久徳だったが2着まで。
 「4コーナー過ぎたときに1着だと思ったら、まだ前にいたんで。レースもあんな流れになるとは思わなかった。(和田の)3番手に飛びつけたかなと思ったけど、最終日は自力を出したかったので。そしたらみんなに入られて変な形になってしまった。ちょっと失敗した部分はあるけど、思ったより自転車は進んでくれてる」
 不発に終わった吉澤の番手から前に踏んだ天田裕輝が3着に食い込んだ。
 「待って久徳に合わせて行ければよかったかも。吉澤も伸びて行く感じがあったし、僕がもう少し余裕を持って見ながら踏めてればね」

<8R>

田中晴基選手
田中晴基選手
 小原太樹に突っ張られた野原雅也だったが、3番手で立て直すと、打鐘過ぎ2センターから仕掛けて前団をとらえる。稲垣裕之に競り勝った芦澤大輔が続くが、小原マークから切り替えた松谷秀幸がバックまくり。この動きに乗った田中晴基(写真)が直線抜け出した。
 「ホームで(芦澤後位へ)切り替えようと思ったけど松谷さんが内から来たので落ち着いてその後ろに。2コーナーからイチかバチかで仕掛けようと思ったけど松谷さんが仕掛けたのでそのまま乗っていこうと思った。全く予想外の展開になったけど、全てがいい方に、いい方にって動いてくれた。調子自体はいいけど恵まれですね。今節は相手が強い中でも結果を出せたし自信になります。今回からの新車の感じもいいしこの流れを続けたい」
 任せた井上昌己は不発に終わったが、直線で抜群の伸びを披露した園田匠が3着に強襲した。
 「井上さんもまだ踏んでいたし待って待って直線に入ってから踏んだわりに伸びましたね。2センターで迷わず内へいっていたらアタマまであったかも(笑)。今節イチ伸びました。昨日の落車で自転車の部品が壊れたから新品に換えたらアタリが出た。ケガの功名ですね(笑)」
 バックから先まくりを打った松谷秀幸は4着で確定板入りを逃した。
 「小原の気合いが入り過ぎで。突っ張り気味に踏んで野原君だけ出させるつもりだったのにそのまま先行するなんて。キツかったけど何とかホームで切り替えて、バックでまくったけどもういっぱいでした」

<9R>

近藤隆司選手
近藤隆司選手
 原田研太朗が切った上を山中秀将が打鐘目がけてちゅうちょなく飛び出し主導権を奪取。最終ホームで番手の近藤隆司(写真)は、逃げる山中との車間を空けて別線の反撃に備える。3番手の原田が2コーナーから仕掛けると、近藤が合わせて踏む。4コーナーで先頭に立った近藤が、そのままゴールを駆け抜けた。
 「新山君を相手に(山中)秀将がフルスロットルで行ってくれた。真後ろにいたハラケン(原田)もすごかったけど、ギリギリでなんとかなりました。(山中)秀将の気持ちがうれしい。2人で勝ち取った1着です」
 単騎の諸橋愛は5番手からうまくコースを探して2着に伸びた。
 「最後、もうちょっとですね。(山中が)カマしていった時、あれじゃどっちみち(3番手には)スイッチできなかった。最低、5番手があれば、自分の脚なら、ゴール勝負できると思っていた」
 「警戒されていたんで難しかった。1着を取りにいってダメだったんで、また先行ですね」とは、まくり不発で7着の新山響平

<10R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 赤板ホームから先頭に立った根田空史は打鐘過ぎ3コーナーからペースを挙げる。6番手の菅田壱道がホームからまくると、これをけん制しながら平原康多が4番手からまくったが、バックで和田健太郎に振られて落車。これを避けた木暮安由が自力に転じたが、2コーナーから仕掛けていた深谷知広(写真)が最後の最後で前団をとらえた。
 「(スピードに乗る)その前に落車があったんで。それがなければ1着取れる展開ではなかったかも。それでもしっかり付いて回ればチャンスはあるかなと思ってた。(感じは)ちょっとよくないですね。気合いが空回りしてる部分がある」
 落車を避けてバックからまくった木暮安由だったが深谷の強襲に屈した。
 「よく避けられましたね。(平原が)まくるだろうなと思って付いてたけど、(落車する)雰囲気があったし、『危ねえ』って声が聞こえたんで。回避して立て直して。最後は差されたけど2着なんでね」
 ホームから先に仕掛けた菅田壱道が3着に食い込んだ。
 「根田の4番手狙いじゃなくて叩こうと思ってた。そこからの作戦だったけど、スタートで位置が取れなくて、あの仕掛けになった。でもあそこで仕掛けられたのは収穫ですね」

<11R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 脇本雄太がGI初優勝。打鐘前1センターから主導権を握った竹内雄作に激しく抵抗されたが、1コーナーで決着をつけると後続を寄せつけなかった。
 浅井康太(写真)は近畿3番手の村上義弘をドカして古性優作にスイッチ。まくってきた渡邉一成に合わせて2センターから踏み込んだが、脇本には届かなかった。
 「めちゃキツかったです。ワッキーが見えたんで1回振った。あれを行かれたら僕のラインが終わるんで。ワッキーを振りに行った分、古性には当たれなかった。上手いことやったけどダメでしたね」
 大会連覇を狙った渡邉一成は3着。ナショナルチームのチームメイトである脇本の優勝を称えながらも、地元で優勝を逃した悔しさから表情は硬い。
 「前から中団、中団に攻めて、全て読みどおり。でも村上さんに対しての浅井のブロックが効きました。優勝以外は負け。優勝だけ考えて走ってたので悔しいです。ワッキーが強かった。彼は14回GIの決勝に乗って、自力でつかんだ優勝。いつ優勝してもおかしくないと思ってたので、素直に祝福したい」
 脇本に離れてしまった古性優作は自らの判断ミスを悔やんだ。
 「止まりそうだったんで、脇本さんの位置を確保せなあかんのかなと思って内を見た瞬間に伸びて行った。そこからカバーできる脚力があればいいけど、自分の判断ミスですね。後ろに村上(義弘)さんがついてるのに申し訳ないです」

次回のグレードレースは、8月25日~28日まで小田原競輪場で開催予定の「開設69周年記念・北条早雲杯争奪戦(GIII)」となります。
8月13日時点の出場予定選手データを分析した「開設69周年記念・北条早雲杯争奪戦(GIII)」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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