『第73回日本選手権競輪(GI)レポート』 5日目編

配信日:5月4日

 松戸競輪場を舞台に開催されている輪界でもっとも権威のあるタイトル「第73回日本選手権競輪(GI)」は、5月4日に5日目が行われた。ファイナルのチケットをかけた準決の3個レースでは、見応えのバトルが繰り広げられ、深谷知広、清水裕友、脇本雄太が1着で優出を決めた。ロングランの6日間シリーズも大詰め、5月5日の最終日には決勝の号砲が鳴らされ、第73代のダービー王が決まる。
 本場では最終日も、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。「那須川天心のアスリートトークショー」、初代松戸けいりん応援大使の「Parfait」によるラストライブ、「ダービー大予想バトル」、特設グルメコーナーにて「日本選手権グルメダービー」、豪華景品などが当たる「未確定抽選会」、サコッシュを先着700人にプレゼントなども予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

松戸けいりん応援大使総選挙ライブ!
松戸けいりん応援大使総選挙ライブ!
大観衆に見守られながら準決勝レースの号砲が鳴る
大観衆に見守られながら準決勝レースの号砲が鳴る

<3R>

山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
 決勝をかけた準決のほかにも、33バンクで多くのファンを魅了した超一流選手の戦いが33バンクで展開された。吉本哲郎が主導権を握って出ると、赤板の2コーナー過ぎから狭いコースを踏んだ山賀雅仁(写真)がインを押し上げる。山賀は逃げる吉本の番手をあっさりと奪取。最終2コーナーから番手まくりを打って、地元GIの舞台のゴールを先頭で駆け抜けた。
 「地元じゃなくても、地元でもGIでの1着はうれしいですね。それにやっぱり(地元は)応援をしてもらえるし、その期待に応えられたっていうのもある。あそこを行かないと、8番手になっちゃうんで。あとは(内が)空いてたんで、行けるところまでと。せっかくいい位置(番手)を取ったんで、かぶる前にと思って(まくって)行きました。(最終)3コーナー過ぎじゃなくて、2コーナーから行けたのも、脚が仕上がってないと行けないですから」
 内をすくった山賀にうまくスイッチした田中誠が、4日目の落車にもかかわらず“らしい”立ち回りを見せた。
 「トレーニングの賜物ですね(笑)。鍛えていて良かった。ただ、もう少し厳しくいくようなら、山賀さんにあそこに入られないようにしないと」

<6R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 上昇した佐藤友和を阻んで、前団に構えた太田竜馬が青板のバック過ぎに突っ張る。佐藤は元の8番手に下げて、赤板の1センターで今度は中井俊亮がアタック。太田がペースを上げて中井を合わせる。後ろの渡部哲男(写真)、橋本強も連結を外すことなく、外の中井ラインをさばく。単騎の伊勢崎彰大のまくりをけん制した渡部が、直線で追い込んで1着。一次予選敗退もその後、3連勝を遂げた。
 「(太田の突っ張りは)一次予選で自分が離れてるんで、ラインで決まるようにって考えてのことだと理解してます。だから、どんな展開でも追い込みとして付いていかないといけない。伊勢崎さんはすごいスピードだったし、もっていける感じじゃなかった。(一次予選のあとの)3日間は、前が頑張ってくれたから。ただ、自分の脚が悪くないだけに、初日が悔やまれます」
 四国ライン3車での上位独占が決まったかに思われたが、風を切った太田竜馬はゴール前で失速して4着。内容の濃い積極策が目を引いた。
 「めちゃくちゃキツかった。(別線が来るのが)2周半ぐらいだったら、突っ張ろうっていうのは考えていた。悪くないんですけど、自分の距離じゃないんでタレますね。踏み直しができなかった」

<7R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 後ろ攻めから上昇して誘導の後ろに収まった南潤が赤板手前に吉田敏洋(写真)を突っ張って逃げる。4番手は内に渡邉一成、外に吉田の形で併走になり、南はいったん緩めてからペースを上げる。単騎の鈴木竜士が打鐘の4コーナーから巻き返しを狙ったが、渡邉との位置取り争いに勝った吉田が合わせるように最終2コーナーからまくる。村上博幸のけん制を乗り越えた吉田が、後続を突き放してシリーズ初勝利を飾った。
 「セッティングは2走目の方が良かった。初日は新車の感じをつかめていなかったけど、今日(5日目)は欲張り過ぎた感じで少しバタバタした。(鈴木)竜士なら来る位置なので。でも、外ばかり気にしていると渡邉君が復活する場合もあるから気配だけ感じながら。南君をまくったって大きく書いておいてください(笑)」
 近畿勢を終始、追走していた単騎の小原太樹が、外を張った村上の内を突いて2着に食い込んだ。
 「とりあえずそこ(近畿の後ろ)かなって。このクラスだとタテ脚勝負は厳しいので、内々を狙ってました。少しでも空けば突っ込もうと。(GIの最終日)優秀戦は初めてなので楽しみ」
 南を懸命に援護した村上博幸は、小原にすくわれて3着。
 「(ラインが)2車だったので追走の仕方を工夫しながら走れたと思う。(吉田)敏洋のスピードが良かったですね。ちょうど(南が)タレて来た時にきたんで。さすがって感じですね。自分は悪くても2着に入りたかった。車はゴール後まで伸びているんで、感じは悪くない」

<9R>

深谷知広
深谷知広選手
 青板の3コーナー過ぎに単騎の古性優作から動き始めて、赤板過ぎに深谷知広(写真)を押さえて先頭に立つ。しかしながら、誰も古性を追わずに、2番手に深谷が入る。別線を警戒しながら深谷は2コーナーからダッシュを利かせて踏み込む。合わせて踏んだ古性が飛び付いて、浅井康太をさばいて番手を奪取。援護を失った深谷だったが、最後は二の足で後続を振り切った。
 「後ろが粘られてしまったんですけど、先行をして決勝に乗れているので合格点かと思います。古性君の後ろに誰も付いて来なかったんで、自分の位置から(仕掛けていった)。やっと最近、競走に来ても体が楽になった。普段は(ナショナルチームで)それ以上キツいトレーニングをやってるんで」
 番手を奪われた浅井は3番手で立て直す。4番手の渡邉雄太は最終2コーナーからまくって、深谷に迫る2着で初めてGIファイナルをつかみ取った。
 「うれしいですけど、和田(真久留)さんと一緒に乗りたかった。押さえに来るのが遅いかなっていうのもあったし、古性さんひとりだったんで、あのままの隊列(の位置取りで)いいかなと。深谷さんも余裕そうだったんで、(早めに仕掛けるのが)怖かったです」
 自らレースを動かした古性優作は、逃げる深谷の番手を奪取。単騎ながらも見せる立ち回りで優出を果たした。
 「(周回中8番手にいた中川)誠一郎さんが押さえに行くかなと思った。でも(動かなかったんで)僕が単騎でも1回レースをと。深谷さんが踏んだのが見えたんで、合ったところでと思った。あれで引いても(深谷が)めちゃくちゃ掛かると思った。ゴール前だけですね、失敗は。深谷さんと当たりそうになってバックを踏んでしまった」

<10R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 郡司浩平が赤板で吉澤純平を押さえて前に出る。5番手に降りた清水裕友(写真)は、打鐘前の2コーナーからスパート。郡司を叩いて主導権を握る。吉澤もすかさず反撃に出るが、3番手に入っていた郡司が、最終2コーナーで強烈にブロック。後方からまくり上げた新田祐大は、このあおりを受けてスピードが鈍る。清水の番手で車間を空けていた松浦悠士は3番手の郡司、迫ってくる新田を警戒しながら追い込んだが、清水が力強く振り切って快勝した。
 「もう行くって決めてました。昨日(4日目)、先行できていなかったら行けてなかったと思う。しっかりとケアをしたので。(同期の渡邉雄太が先に決勝を決めたのを見て)自分も負けられないと思って頑張った。松浦さんを信頼していたのでよかった」
 清水とのワンツーで勝ち上がりを決めた松浦悠士だが、悔しそうに振り返る。
 「清水が新田さんをキメに行ったので、まくり勝負かなって思ったら行ってくれたので。自分は飛び付かれないように集中して、前を信頼して。(最終)2コーナーで郡司君と新田さんが絡んでいたのが見えた。車間を空けて援護した時とゴール前の踏み直しの感じが違って差せなかった」
 前々に攻めた郡司を目標に田中晴基が3着に入り、地元で初のGI優出を果たした。
 「連日、展開とラインに恵まれてますね。本当は自分が仕事をしないといけないけど、余裕がなくて。郡司君が全部やってくれました。自分はしっかりと内だけ締めて。最後も4コーナー勝負できればと思っていたら空いてくれました。ありがたく決勝を走らせてもらいます(笑)」

<11R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 赤板で山崎賢人が飛び出して山田英明まで出切るが、菅田壱道は単騎の金子哲大までは受けず3番手が併走。想定内の8番手で大きく車間を空けた脇本雄太(写真)が、打鐘手前から加速をつけて襲い掛かる。6番手の原田研太朗が合わせて出るが、脇本には関係ない。あおりもスピードの違いで乗り越える。村上義弘は付け切れず、あとはセーフティーリードを守った脇本が3連勝で決勝に進出。
 「スタートは前を取らされると思ったんで予想と違った。脚はレースを見ての通りですね。自分としては100パーセント満足していないので、(決勝までに)修正したい」
 脇本には離されながらも、九州勢をまくりでのみ込んだ原田研太朗が2着に入った。
 「前を取った方がいいんじゃないかと。それでスタートは前を取った。踏み出しも悪くなかったけど、脇本さんのスピードが違いましたね。一時期よりは良くなっていますね」
 山田が原田マークの小倉竜二を大きくブロック。空いたインを踏んだ菅田壱道が、直線半ばで山崎を交わした。
 「スタートは予想外で、脇本君よりは前にいってと思った。金子君の動きも予想外でしたね。山崎君が内に詰まったので、ヤバいと思ったが運が良かったです。内容自体は0パーセントだし、状態はなんとも言えない」