『第76回日本選手権競輪(GI)レポート』 2日目編

配信日:5月4日

 いわき平競輪場を舞台に開催されている輪界でもっとも権威のあるタイトル「第76回日本選手権競輪(GI)」は、5月4日に2日目が行われた。特選では、平原康多、深谷知広が白星を飾り、4日目の「ゴールデンレーサー賞」進出を決めた。5月5日の3日目には、二次予選の5個レースで勝ち上がりが争われ、「ガールズケイリンコレクション2022いわき平ステージ」が一発勝負で行われる。
 なお、開催中は福島県新型コロナウイルス感染症拡大防止対策に基づきまして、一般入場の場内滞留人数の上限を4000人とします。4000人を超えた時点、入場規制をしますので、ご了承ください。いわき平競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<5R>

小川真太郎選手
小川真太郎選手
 岩本俊介に併せ込んでから赤板1センターで出た石原颯が、そのまま先行態勢に入る。7番手の岩本は、打鐘の3コーナーから反撃に出る。最終ホームで小川真太郎(写真)が、岩本を大きくけん制。松谷秀幸に番手に入られるも、小川が逃げる石原後位を奪い返す。中井太祐のまくりを張りながら追い込んだ小川が1着。
 「体と気持ちは入っていたんですけど、ムダな動きが多かったなと。1着は流れで取れていると思うんですけど、脚的には今年に入ってずっといい状態をキープできていると思う」
 最終1コーナーで切り込んだ松谷秀幸は、小川をさばけず結果的に3番手から四国コンビの間を追い込んだ。
 「ちょっと風が強くて、周回中から脚を削られる感じでしたね。バックが突風で自力選手はキツいと思います。(最終ホーム過ぎに番手に)入れたのは良かったんですけど、小川君のところなのか、その後ろなのかちょっと中途半端になってしまって迷ってしまった。でも、レースは見えていると思うので頑張りたい」

<6R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手
 佐々木豪の主導権で打鐘を迎える。一本棒の7番手になった坂井洋は、4コーナーから仕掛ける。坂井は一度中団で小休止して、最終2コーナーから再度踏み上げる。逃げる佐々木を坂井がとらえるが、自力に転じた柴崎淳が襲い掛かる。坂井マークの吉澤純平(写真)が追い込んで、柴崎をタイヤ差で退けた。
 「(仕掛けた坂井のスピードが)合っている感じだったし、(中団が)空いていた。それで坂井も内を見たので、なんとなくでした。もう1回行ってくれて、自分にとってはありがたかった。(柴崎が)外から来ているのがわかって、張りながら踏むしかなかったです。ダービーは全日本選抜より勝ち上がりが厳しいので、緊張感がありました」
 芦澤辰弘に割り込まれて川口聖二との連結を外した柴崎淳は、8番手からまくりに転じて2着。
 「今回(一次予選)1走して、脚は問題ない。今回は初日が休みで感触は悪かったけど、それは長丁場で初日に走るのが大きいし精神的な問題。そこを強くもっていきたい。前回から感触が良かったので頑張りたい。点数をもっていないし、車番は悪くなるけど、アッと言わせたい」

<7R>

和田真久留選手
和田真久留選手
 赤板2コーナーで先頭に立った和田真久留(写真)がペースを握る。打鐘手前から嘉永泰斗が仕掛けて、4番手の畑段嵐士も合わせて踏み込む。嘉永が主導権を奪取するが、畑段を制した和田が番手に飛び付く。最終1センター過ぎに井上昌己を弾いた和田が番手を奪い、小原太樹が続く。嘉永も軽快に逃げるが、和田がきっちりと交わして1着。
 「初手はあの位置からで、もう少し嘉永君にフタをしたかった。でも、畑段さんが下がってきてしまって、前に出る感じになってしまいましたね。もう少し踏んでいれば良かったんですど、下りで嘉永君が来ると思っていた。3分戦で全部が踏む感じになってしまって、引き切れないなって思ったので不本意ですけど粘る形になりました。今回から新車で実戦で使ったのが初めてだったので、もう少しセッティングを煮詰めたい」
 ラインの援護を失った嘉永泰斗だったが、1周半近くを逃げて2着に粘り込んだ。
 「今日(一次予選)は前からでって考えていて、もしかしたら井上さんのところを粘られるかなって思っていたんですけど…。粘られてしまって、失敗しました。タイミング的にもう1個落ち着いて仕掛けられたら良かった。回している感じも良かったですし、(最終)4コーナーからもう1回踏み直せたので悪くはないと思います」

<8R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 別線に警戒されながらも、町田太我が赤板2コーナーから山降ろしで踏み込んで迷いなく先行策に出る。4番手に松坂洋平が入り、最終ホームでは浮いた山本伸一と6番手で併走になった北津留翼(写真)だったが、踏み勝ち2コーナーからまくりを打つ。直線の入り口で逃げる町田に並びかけた北津留が、原口昌平を連れて抜け出した。
 「風のおかげですね。バックがすごく向かってたんで、なんとかマグレで1着が取れました。顔見せから向かい風が強烈だったんで、あそこから(まくって)行こうと。山本選手の前に入れたのが良かったです。(3月の)小倉から使っていた自転車がセッティングを出し切れず、(自分にとってのポジションが)見つけきれなかった。それで今回は(2月の全日本選抜の)自転車に戻しました。(原口の前で)出しゃばったので、変なレースはできないなって思ってました。ワンツーで良かったです」
 原口昌平は、北津留マークから前団を乗り越えて2着。初めてのGIで二次予選に進出して、先輩に感謝しきりで振り返る。
 「全部、北津留さんがやってくれて、自分は付いているだけで勝手に2着になれました。離れはしなかったけど、あとちょっとで離れてもおかしくはなっかった。次に同じ展開でも付いていけるかわからないです。自分は前回よりは走れてはいます」

<9R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 佐々木悠葵、岡崎智哉の順で出て打鐘を迎える。前受けから後方になった太田竜馬(写真)は7番手で構えて、岡崎の先行でレースが流れる。最終2コーナーから仕掛けた太田にとっては前が遠いかに思われたが、スピードに乗せてグングン前団に迫る。終わってみれば、稲垣裕之のけん制を乗り越えてまくり切った太田の快勝。
 「(別線に)警戒されるとは思ったので、一気にいければと。詰まったところで行こうと思ったが、(下げてから)後ろでも風がキツかったので、みんなキツかったと思う。踏み出しはいいですね。(初日に走らず1日休みがあったことは)気にならなかった」
 あおりもあって太田の番手の柏野智典は直線でいっぱい。3番手の三宅達也が、ゴール寸前で柏野を交わして2着。
 「風が強くてキツかった。詰まったり、空いたりしてキツかったけど、風が強いからああなると思う。(最終)4コーナーでは(ラインで)ワンツースリーが決まると思ったので、あとは思いっきり踏むだけと。感じは悪くないし、展開だけですね」

<10R>

平原康多選手
平原康多選手
 山田久徳が先頭に立つと、7番手でタイミングを取った吉田拓矢が前団のペースを見極めて踏み込む。打鐘手前で吉田が主導権を握り、平原康多(写真)、関東勢に続いた単騎の山田庸平まで出切る。山田庸が最終2コーナーからまくるも平原が阻む。後方から仕掛けた郡司浩平は、外に張った平原のインを突くが平原が中割りを許さない。平原が逃げる吉田を差し切った。
 「(吉田が)あれだけ頑張ってくれたので、自分もスイッチが入った感じですね。山田(庸)君を止めてから内に来られたのがわかったので、厳しいかなって思ったんですけどしのげたので良かった。この舞台で、まして(ラインが)2車で、あの競走(でワンツー)なので、走っている本人もしびれました」
 打鐘先行から平原と息の合ったタッグで、吉田拓矢が別線をシャットアウト。2着に粘り込んで、4日目の「ゴールデンレーサー賞」に進んだ。
 「2車でも先行して平原さんとワンツーなので、本当になかなかなかったのでうれしい。僕的には自分のレースをするだけだった。結果、残れて良かったです」
 最終3コーナーで郡司が内を踏んで、鈴木裕は外を追い込んで3着に届いた。
 「あの辺は(最終バックからゴールまでは)見えていたので反応は良かったと思います。でも、郡司君が内に詰まってしまったので、結果3着だったのかなと。詰まっていなかったら4着だったと思います。感じは変わらずいい状態だと思います」

<11R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 深谷知広(写真)を封じ込めるように“時間差攻撃”で松浦悠士が中団まで追い上げるが、深谷は冷静に赤板2コーナーから仕掛ける。打鐘の3コーナーで叩いた深谷が駆ける。宿口陽一は3番手に飛び付くが、大槻寛徳がキメて深谷ライン3車が出切って最終周回。いったん6番手に追い上げた松浦がバックからまくりを打つも、深谷の掛かりが良く前が遠い。別線の出番はなく、深谷が最後まで力強く踏み切って1着。
 「(特選の組み立ては)メンバー的にも、ライン的にも先行が100パーセントでした。あとはどのタイミングで(仕掛けて)行くかだけだった。ジャンから落ち着いて自分のペースだったし、あとは松浦の位置と動きを意識して踏み直した。それができて逃げ切れているので100点だと思います。(ラインでの上位独占が)一番うれしい。この調子をしっかり維持して、さらに上げていかないと優勝はないと思う。そこはしっかりと注意していかないと。(4日目の「ゴールデンレーサー賞」に進んで)理想的な勝ち上がりなので、しっかりと緊張感をもったまま最終日まで走りたい」
 番手の佐藤慎太郎は、深谷を交わせず4分の1輪差の2着。
 「深谷がいいペースで、走りやすいペースでいってくれた感じです。掛かりが良かったので、(別線は)まくってくるのは大変かなって感じてました。深谷の踏み直しがすごくて、僕も脚が削られた。(前回の)落車の影響はないと思いますけど、落車がなければ抜けてたかもっていうのもあります。でも、大きく崩れていることはない」
 宿口をキメて3番手を守り切った大槻寛徳は、汗をぬぐい笑みを浮かべる。
 「(最終ホームで宿口に)からまれたけど、対応できました。走る前は離れるかもって思ったんですけど、迷惑を掛けずに良かったです。1走してみて戦えるかどうかなと思ってたけど、戦えそうですね」

≪3日目12R「ガールズケイリンコレクション2022いわき平ステージ」≫

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 18年の当所、ドリームレースで初めてのビッグレースを制した児玉碧衣(写真)は、思い出の詰まったバンクで3月の「ガールズケイリンコレクション2022宇都宮ステージ」の雪辱を果たす。
 「(平は)なかなかタイトルが獲れないなかで初めて獲ったのがここだし、去年サマーナイト(ガールズケイリンフェスティバル)ぐらいでいろんな悩みとかがあって。サマーナイトを走って、ここでオールスター(ガールズドリームレース)を走って優勝して気持ちが変わった場所でもある。いつもいわき平競輪場は、自分のターニングポイントになっている。だから、すごくイメージはいい」
 3月の「ガールズケイリンコレクション2022宇都宮ステージ」を制した石井寛子が、現在の獲得賞金トップ。
 「(3月の)コレクションの優勝を忘れるくらい、前回(取手決勝)の負けが悔しくてたくさん練習しました。負けたことが悔しかったので、とにかく量を増やしました。それで疲れちゃったんですけど、なんとか今日(5月4日)にもってこられたと思います」
 成長著しい尾方真生だが、やはり姉弟子の児玉の壁は高いようだ。
 「今年はしっかり1周逃げて、優勝できたりしているので去年よりは成長してるかなと思います。(児玉には)練習のタイムとかも全然勝てないし、まだまだ上の存在かなと」