レース展望 日本選手権競輪とは ファンサービス テレビ放送予定 ラジオ放送予定 参考データ 優勝者の横顔


レース展望
 
自身初のダービー王へ立川の直線を制すか!?
 
 東王座戦の準決勝では惜しくも失格に泣いた佐藤慎太郎だが、勝ち上がりでは2連勝、とくに2日目の優秀競走(いで湯賞)では、東王座戦覇者・山崎芳仁の先行をキッチリと差しきっていることからも調子の良さがうかがえる。もともと、鋭い差し脚と目標不在時のシビアな捌きには高い評価を得ていたが、近況は先述の山崎をはじめとする北日本の若手先行選手たちが急成長していることも手伝って、安定性が増してきている。400バンクの中でも直線の長い立川競輪場では、その佐藤の持ち味が存分に発揮される可能性は非常に高いと言え、自身初となるダービー王へ期待が高まるところ。
佐藤慎太郎
佐藤慎太郎(福島・78期)
   
これまでの不安を一掃し再び競輪界の頂点を目指す
 
 グランプリ覇者としては初めてのダービー参戦となる加藤慎平だが、近況は2月の静岡GIII・準決勝で失格、西王座戦では途中欠場してしまうなど流れが良いとは言えないのが現状だ。しかし、その中でも競輪祭でしっかりと優出するあたりは底力が付いてきた証拠でもある。目標選手が積極的なレース運びを見せた時の加藤はしっかりと番手の仕事をこなしており、相性のいい小嶋敬二や金子貴志らと連係した時はラインでの上位独占は一考しておきたいところ。また、たとえ目標選手が不発の展開になったとしても、奥の手として捲りを秘めているだけに、その動向からは目が離せそうもない。
加藤慎平
加藤慎平(岐阜・81期)
   
初タイトル獲得で復活ののろしを上げるか!?
 
 武田豊樹は2月の静岡GIII準決勝で落車棄権、その際に肩の靱帯を損傷するケガを負ってしまったために、次走の東王座戦は欠場しており、その回復具合が成績を大きく左右することになるのは間違いなさそうだ。また、武田は昨年の高松宮記念杯競輪で準優勝に輝いて以降、GI・GIIの両方で優出ナシと精彩を欠いているのも不安要素の1つ。しかし、地元・関東地区でのGI開催なので、必勝を期してくるはずだし、先行力は参加選手中でも随一で、直線長い立川バンクと言えど、逃げ切るだけのパワーは十分に持っている。初タイトルというこれ以上ない結果を残しての完全復活に大きな期待が懸かる。
武田豊樹
武田豊樹(茨城・88期)
   
   
北日本、関東、中部三つ巴戦は白熱必至
 
岡部芳幸
岡部芳幸(福島・66期)
 今年に入って北日本旋風が競輪界を包み込んでいる。その中心が先述の佐藤、伏見俊昭、岡部芳幸の福島勢や有坂直樹だろう。伏見と岡部は東王座戦で優出しているし、有坂は2月の静岡GIIIで優勝しており、勢いに乗っている。ここに、先導役として東王座戦を優勝し、一気にスターダムへとのし上がった山崎芳仁が加わるようなら鉄壁の布陣と言えよう。この強力北日本勢は他地区にとっても脅威に映るはず。
 関東勢は先行・武田の後位を固めるであろう自在型や追い込み型に強豪選手が揃っている。手島慶介、兵藤一也の群馬両者は揃って東王座戦で優出を果たすなど、好調気配を見せているし、神山もその東王座戦で2勝を挙げるなど、調子的には問題ないだろう。後閑信一は結果こそ残していないものの、実績的には有力な優勝候補と言える。
 小嶋敬二、金子貴志の先行2枚看板を擁する中部勢も戦力的に北日本勢や関東勢と差はなく、好勝負は必至と言える。ここに加藤や、追い込み安定している山口幸二・富生兄弟を加えた磐石の布陣で、グランプリ優勝後に加藤が宣言した「タイトルのたらい回し」を狙う。
   
   
強豪先行選手たちの主導権争いも熱い!!
 
小倉竜二
小倉竜二(徳島・77期)
 競輪祭で6年振りのGIタイトルを獲得した小倉竜二は佐々木則幸との連係でGI連覇を狙う。小倉必殺のハンドル投げが立川の長い直線で決まるかに注目が集まる。一方、佐々木は近況1着量産態勢に入っており、好調気配と見ていいだろう。捲りの切れ味が増してきているだけに、その動向には注意したいところ。
 また、その他の地区にも強力先行選手がスタンバイしている。なかでも、村上義弘は昨年8月のふるさとダービー豊橋以来のビッグ優出を果たした西王座戦決勝で金子貴志と壮絶な叩き合いを演じ、主導権を取り切るなど「先行日本一」としてのプライドを取り戻しており、03年の一宮オールスター以来、2年半振りの優勝に期待が懸かる。
 南関勢を先導するのは海老根恵太だ。海老根は昨年12月の全日本選抜で決勝3着、そして、今年1月の競輪祭で準優勝と着実にステップアップしており、優勝のチャンスは十分にあるし、海老根との連係が可能な渡邉晴智にも警戒が必要だ。
 九州勢は特選クラスに先行型が不在だが、吉岡稔真の破壊力抜群の捲りは侮れないし、合志正臣が直線で見せる鋭い差し脚も軽視は禁物だ。
 
 
 第59回日本選手権競輪が立川で開催される。今年は競輪祭、東西王座戦と本命不在の混戦模様が続いており、今回も波乱含みの6日間になりそうだ。ビッグネームたちの調子がいまひとつで、若手選手たちの活躍が多いに期待される。
 
先行日本一が立川バンクで復活!
有力どころが低調で沈滞ムードに覆われた競輪界
 
 今年の冬は例年になく雪が多くて寒さも厳しかったせいなのか、上位の選手たちの走りがいまいちピリッとせず、ビッグレースや記念では波乱の結末が続いている。
 その顕著な例が小嶋敬二だろう。昨年後半は絶好調だったが、1月の高松記念でいきなりの失速、西王座戦でも二次予選で敗退しており、唯一の勝ち星となった3日目選抜は中村美千隆の先行を利したものだった。
 西王座戦では小倉竜二の競輪祭優勝で盛り上がっているはずの中・四国勢はひとりも優出できなかったし、九州勢も小野俊之と合志正臣の2人が優出しているが、吉岡稔真や荒井崇博らの機動力型は低調だった。
 東日本勢では武田豊樹が静岡記念の落車の影響で東王座戦を欠場しており、今回も調子に不安が残る。
 伏見俊昭も東王座戦では豊富な北日本の機動力を利して準優勝しているが、伏見自身は競輪祭での落車の影響で本調子とはいえない状態だった。
 
 
 そんな沈滞ムードに覆われている競輪界にあって、唯一上り調子で日本選手権競輪での活躍が期待できるのが村上義弘だ。西王座戦では連日の先行策で優出、決勝は金子貴志との先行争いの末に8着に敗れたが、先行選手の意地を賭けた金子との壮絶なもがき合いは見応え十分だった。あそこまでもがききれるのは、長らく低迷していた村上がようやく本来の調子に戻ってきた証拠であり、西王座戦から1カ月後の日本選手権競輪では完全復活なった村上が、立川の長い直線をものともしない日本一の先行力を久しぶりに見せつけてくれそうだ。
村上義弘
村上義弘(京都・73期)
   
 
完全復活をアピールした金子貴志
山崎や海老根らの80期代の時代がやってくる
 
 今年の日本選手権競輪はビッグネームたちの調子がいまひとつなので、未だタイトルのない中堅や勢いのある若手の活躍が見られそうだ。
 西王座戦で村上義弘と激しい先行バトルを演じた金子貴志、昨年後半からやや調子落ちになっていたが、完全復活を強烈にアピールできたといえる。連日の早駆けによって勝ち上がり戦ではかなりの脚を使っていたにもかかわらず、決勝戦でも村上に先行勝負を挑んでいった姿は感動的ですらあった。濱口高彰から「勝つ競走をしろ」と言われていたにもかかわらず、「村上さんが呼んでいるような気がした」と飛び出していったのだから、まさに根っからの先行選手。「村上さんが……」は競輪史上の名セリフとして残しておきたいぐらいだ。
金子貴志
金子貴志(愛知・75期)
   
 金子が今回も積極的に攻めていくなら、中部の追い込み勢にチャンス到来だ。加藤慎平は西王座戦で途中欠場したが、体調面での不安はなく、好調を維持している。レースが多少荒っぽいのが課題といえなくもないが、なんでもできる自在性がなによりの強みだ。直線の長い立川では脚をためての中団からの捲り追い込みや直線強襲がもっとも効果的な戦法といってよく、加藤のような自在性のある選手がもっとも力を発揮できるバンクである。
加藤慎平
加藤慎平(岐阜・81期)
   
 市田佳寿浩も自在脚で近況好調だ。昨年までの市田はツボにはまれば強いけれど、安定性に難のある一発屋の印象が強かったが、今年の市田はひと味もふた味もちがう。競輪祭は二次予選で落車したが、1月の岸和田FIと和歌山記念を連覇、そして西王座戦では狙いすました捲りで準優勝と、強さに加えて安定性もぐんと増している。
 一時はビッグレースで村上義弘の番手を主張したこともあったが、西王座戦で迷わず別線勝負を選択したのは自信の表れか。同じ近畿勢で優勝した澤田義和も、村上ではなく市田追走を選んだのは勝負勘の勝利といっていいだろう。
市田佳寿浩
市田佳寿浩(福井・76期)
   
 徹底先行の村上、自在型の市田とタイプの異なる好調な自力型を擁する近畿は、金田健一郎や前田拓也などの追い込み勢も近況好調なので、大躍進があるかもしれない。
 
 東王座戦の決勝は4人揃った福島勢の圧勝劇に終わり、新鋭・山崎芳仁が昨年のヤンググランプリに続いてのビッグレース制覇を成し遂げた。渡邉一成との連係をいったんはずしてから、再び番手に飛びつくといった曲芸のような作戦がぴったりはまってしまったのだから驚きだ。それも卓越した先行力だけでなく、新人らしからぬ自在性を兼ね備えた山崎ならではの技だったといえる。
 山崎と同様に04年のヤンググランプリを制覇して、今やビッグレースの決勝戦の常連にまで成長した海老根恵太も近況好調だし、若手は勢いに乗るととんでもないパワーを発揮するので、一気に80期代の時代がやってくるかもしれない。
山崎芳仁
山崎芳仁(福島・88期)
   
   
今や決勝戦の常連となった海老根が初制覇を狙う
関東の新鋭・平原がビッグ初優出を目指す
 
 海老根恵太は昨年8月のふるさとダービー豊橋でビッグレース初優出を達成、次場所のオールスターは優出を逃しているが、共同通信社杯、全日本選抜、競輪祭、東王座戦と連続優出を果たしており、今回も順調な勝ち上がりが期待できる。
 競輪祭では先行して準優勝と初タイトルまであと一歩のところまで近づき、東王座戦では福島勢の作戦に完全にやられてしまったが、捲っていった時のスピードはよかった。次々と切り換えられて最終ホームでは9番手になってしまったのが致命的だったが、あれが切り換えなしで7番手から捲れていれば、結果はちがったものになっていたかもしれない。東王座戦は薄氷を踏む思いの勝ち上がりだったが、今回も優勝候補のひとりに名前を挙げてもおかしくない力をつけてきているといっていいだろう。 
海老根恵太
海老根恵太(千葉・86期)
 
  南関東の追い込み勢では佐々木龍也が好調だ。競輪祭では決勝は6着だったが、勝ち上がりはなんと3連勝、東王座戦でも準決勝は主導権を奪った山崎芳仁の番手に巧みに切り換え、ゴール前でスブリと差して1着で通過している。今回の勝ち上がり戦でも、たとえ目標不在の組み合わせのレースになったとしても、決して侮れない選手のひとりといえる。
佐々木龍也
佐々木龍也(神奈川・57期)
 
  さて、地元・関東勢は東王座戦を欠場した武田豊樹の復調具合が気になるところだが、武田以外にも矢口啓一郎や平原康多らの徹底先行がいるので、機動力の面では他地区にヒケをとらない。
 とくに平原は昨年のヤンググランプリは山崎芳仁に敗れて2着に終わったが、1月の地元・大宮記念が準優勝、2月の大宮F1と観音寺F1がともに完全優勝と乗りに乗っている。
 東王座戦の初日特選では番手に山崎芳仁にはまられて6着、準決勝では伏見俊昭に番手にはまられて6着と不運続きだったが、積極的な走りは十分にアピールできていた。まだビッグレースでの優出はないが、大舞台で山崎や海老根らと対等に渡り合える日はきっと近いはずだ。
武田豊樹
武田豊樹(茨城・88期)
 
   
PAGE TOP

山田裕仁が4番手からの捲り圧勝でGI連覇
日本選手権競輪の思い出
 今回の舞台となる立川では、前回は平成14年に日本選手権競輪が行なわれている。1月の競輪祭では金子貴志の先行を利して優勝した山田裕仁、続く日本選手権競輪では得意の中団捲りでGI連覇、史上最速の1億円レーサーの誕生となった。並びは山田裕仁-濱口高彰-児玉広志、小林裕司-高木隆弘-佐藤慎太郎、村上義弘-内林久徳-古原勝己の3分戦。残り2周の赤板から村上が上昇すると誘導のペースが上がり、村上は抑えに行くのに脚を使ってしまう。同時に山田が突っ張り気味に踏み込み、それで村上は仕掛けのタイミングを狂わされるが、打鐘から強引に主導権を奪いにいく。山田は難なく4番手を確保、最終2角から捲って出る。3角で山田は出切り、内林が切り換えて山田後位の濱口と並走。内林と濱口の競り合いは長引き、後ろのもつれを尻目に山田が先頭でゴールを駆け抜けて日本選手権競輪初制覇、2着は濱口に競り勝った内林、3着は古原が流れ込んだ。

日本選手権競輪初制覇


じっくり仕掛けられるので自在型に向いている
立川バンクの特徴
 立川は400バンクの中では直線が一番長い先行不利のバンクである。 
 02年に開催された日本選手権競輪では全66レースのうち逃げ切りは6回のみだった。そのうち勝ち上がりのレースで逃げ切れたのは、一次予選の野田源一と小林裕司、準決勝の村上義弘の3人である。立川の勝ち上がり戦で逃げ切れるのは本当に調子のいい証拠で、野田は準決勝まで勝ち上がり、小林と村上は決勝進出を果たしている。
 ただ、同型の仕掛けが遅くなるので先行はマイペースで駆けることができ、逃げ残りの2着は意外と多い。
 それでも、抑え先行はまず末脚をなくしてしまうので、中団をキープしておいて前が流せばカマシ、前が駆けたらじっくり待って捲りにいく戦法が効果的だ。
 一番効果的なのは4、5番手をキープして、3コーナーから上バンクを使って捲り追い込みをかける戦法だ。カントを使って外を追い込んでいくとよく伸びる。4コーナーを立ち直ってからでも外が伸びるので、バック9番手からでも十分に勝負になる。直線が長い分だけじっくり仕掛けられるので、自在型向きのバンクといえる。

 周長は400m、最大カントは31度13分16秒、見なし直線距離は64.9m。風はバック向かい風の日が多く、冬から春3月まではとくに強くなる。その風が3コーナーの選手宿舎に当たって外へ抜けていかないので、2コーナーで風がまわりインが重くなる。そのため競り合いの場合は、インの選手は1センターまでに外をどかさないと、インが重くなって競り負けてしまう。

立川バンク



PAGE TOP