『第60回日本選手権競輪(GI)レポート』  最終日編
 
配信日:3月25日



 第60回日本選手権競輪「湘南ダービー」も盛況の中いよいよ最終日を迎えた。朝から小雨が降りしきり時折強風も吹き荒れたが、決勝戦の頃には雨も上がりまずまずのコンディションの中、激戦を勝ち抜いたベストナインにより、優勝賞金6600万円(副賞を含む)と、07年グランプリの出場権を賭けた熱い戦いが繰り広げられた。
 


決勝戦ダイジェスト

 スタートで勢い良く飛び出したのは加藤慎平。西勢が前受けとなって村上義弘―加藤―小野俊之―小倉竜二。中団に有坂直樹―渡辺晴智が入り、平原康多―兵藤一也―稲村成浩が後攻めで周回が進んでいく。
 青板過ぎのバック手前から早くも平原が上昇を開始。ジワジワと車を上げて、赤板前には村上を押さえる。村上が車を下げだすと、渡辺、有坂の順に切り替えて関東勢を追走。誘導を切ってペースを落とした平原に兵藤―稲村、渡辺ー有坂となり村上―加藤―小野―小倉が巻き返すタイミングを計る。打鐘を迎えても村上が仕掛けないのを見た小野が内を突いて、好位奪取を目論む。三番手の稲村の内を小野が攻めた瞬間に、村上も反撃開始。合わせて踏み込む平原に襲い掛かるも1コーナーで平原と村上が接触して村上が落車、平原も車体故障で棄権した。村上に加藤、渡辺が追突落車。機動型不在で最終バック通過も、立て直した有坂が自らまくって後続を振り切り嬉しいG1初優勝。2着ゴールの小野は打鐘過ぎの内抜けで失格の判定を受け、兵藤、稲村が繰り上がった。

表彰式
胴上げ
表彰式
胴上げ
ゴール
ゴール



<4R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
   4レース特選Ⅱでは突っ張り先行に出た浦山一栄を、最終ホーム八番手から稲垣裕之(写真)が豪快なまくりを決めてシリーズ3勝目を挙げた。「2月はインフルエンザにかかり調子を崩していたが、直前になって徐々に調子の方も上がっていました。今シリーズは自分の思った以上に手応えがありましたね。次の宮杯は地元地区でもあるし、近畿勢で盛り上げられるように頑張る」
  稲垣裕之に完璧マークで流れ込んだ山口幸二は「ゴール前では差せると思ったけど…。何か今ひとつピリッとこない感じだね。シリーズを通して着はまとめたけど、最終日はもっと上のレースに乗っていないとね」宮杯での巻き返しを誓っていた。


<5R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
   5レース特選Ⅱは佐藤友和が打鐘から別線を完封し、完璧マークの佐藤康紀がゴール前差し切って東北勢が連を独占した。佐藤友和(写真)は「先行選手なので後ろから差されるのは仕方がない。今日押し切れるようならもっと上のレースを走っています。でも、最終日になってやっと自分で納得のいく点数が付けられるレースができましたね。今回は調子が悪かったと言うことで…。次は頑張ります」と明るい表情をみせていた。
  佐藤康紀は「友和君にはいつも世話になっているし、自分の好きなように走れと言ったんですが、気持ちよく駆けてくれましたね。最後は少しタレていたけど、彼は最近はまくりが多かったから仕方ないのかもね。あの展開なら差せますよ。今日が今年に入って初めての勝ち星なので本当に嬉しい」


<6R>
村本大輔選手
村本大輔選手
   6レース特選Ⅰではホームカマシの栗田雅也に乗った村本大輔(写真)が有利に抜け出す。「何とか栗田(雅也)君を残そうと思ったが、外から来ているのが見えたから踏んだ。でも、少し車を外すのが早かったかな~。4角で新藤(敦)さんも内を掬ってきたしね。絶好の展開だったので勝てて良かったです」
  南関勢を追走の四番手から直線で外を伸びた池尻浩一は「今日は九分九厘南関勢の主導権だと思った。あとは力のある山田(裕仁)さんがまくって来た時だけ対処できるように気をつけていた。今シリーズは勝ち星を含めて3度連に絡めたし、車の伸びは悪くなかった」


<7R>
藤原憲征選手
藤原憲征選手
   7レース特選Ⅰはホームから果敢に先行策に出た金成和幸を、藤原憲征(写真)がゴール前で鋭く差し切る。「金成君が後ろから攻めると言っていたので、多少は先行策もあるのかと思っていたが、気持ち良く駆けてくれましたね」
  金成和幸も「最終日だし何でもできる事をアピールしたかった。以前にびわこの五百バンクで逃げ切った経験もあったし、多少は自信もあったが、久しぶりの先行で苦しかった。でも、良い練習になりましたね(笑)。先行の決まり手は付けたくなかったのが本音だけどね」


<8R>
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手
   8レースの優秀戦は岡部芳幸(写真)が、ホームから叩いた北津留翼の番手にはまり、ゴール前で一気に抜け出す。「今日は先行するつもりもあり一旦前を押さえたが、後ろの誠(鈴木)さんのアドバイスもあり巧く番手に入れました。敗者戦だから手放しでは喜べないが、次に繋げるためにも勝てて良かったです」
  北津留翼は「まんまと岡部(芳幸)さんにしてやられましたね。仕掛けのタイミングを狂わされて、出切ってから最後に後ろを見たら岡部さんが入っていて、あっ、と声を出してしまいました。いろんな経験が積めて楽しいシリーズだったし、収穫もありました。更に力を付けてまたビッグレースに乗れるように頑張る」


<9R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
   9レースの優秀戦は昨日準決勝のうっぷんを晴らすように、バックから豪快なまくりを決めた小嶋敬二(写真)の独壇場だった。「シリーズを通して今日が一番バンクが軽く感じました。後ろも何度も連係して信頼のおける山口(富生)君だしね」
  その山口富生も「ホームで一旦バックを踏んだのできつかった。自分でも良く付いて行けたと思うよ。あのスピードを差すのはとても無理」と脱帽の表情。


<10R>
合志正臣選手
合志正臣選手山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   10レースの順位決定は武田豊樹と山崎芳仁の激しい先行バトルとなり、荒井崇博のまくりに乗った合志正臣(写真)が直線で鋭く中割りを決めて抜け出した。「前の二人がやり合う展開だったので恵まれました。最後は荒井(崇博)君が内に入ったので外を踏もうと思ったが、一瞬空いたので踏みました」
  主導権を取り切った山崎芳仁は「今日はギヤを4・00から3・85に下げたのが正解でしたね。元のギヤでは出切れなかったでしょう」
  武田豊樹は「打鐘過ぎに荒井君が内から来た時に脚を使ったのが痛かった。最後は番手に入った時点で脚が一杯。でも、納得のいく力勝負ができて満足です」


<11R>
有坂直樹選手
有坂直樹選手
加藤慎平選手
加藤慎平選手
   注目の決勝戦は最終ホームで3名落車するアクシデントがあったが、落車を避けた有坂直樹が後方から2角まくりを放ち、初のGIタイトルを獲得した。有坂直樹(写真)は「ラインもなく単騎だったが、レースの流れは良く見えていた。今年はGIのタイトルを狙っていたので本当に嬉しい」と満面の笑みを浮かべる。
  一方、落車に巻き込まれた加藤慎平(写真)は、「村上(義弘)さんは絶好のタイミングで、しかもスピードも良かったので二人で決まったと思ったが…」幸いケガは大事に至らずず胸を撫で下ろす。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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