『第61回日本選手権競輪(GI)レポート』 初日編
 
配信日:3月18日


 第61回日本選手権競輪がいよいよ本日開幕。優勝賞金6,600万円(副賞含む)とKEKRINグランプリ08の出場権利を賭け1レースから激しいバトルが繰り広げられたが、初日から落車が続出して波乱の幕開けとなった。
 なお、明日も開催を盛り上げるべく盛り沢山のイベントが用意されております。まずは、開催を通して、輪投げ、ストラックアウト、キックターゲットなど、楽しい場内イベントや「縁日コーナー」が用意されております。また、明日二日目4,8レース後に竹田栄治氏・阿部道氏によるトークショーが行われます。こちらもどうぞお楽しみに。

<1R>
紫原政文選手
紫原政文選手
   オープニングレースは紫原政文(写真)が快勝。目標の中川誠一郎が不発とみるや、バックから自力に転じて鮮やかに前団を抜き去った。
  「1レースの1番車なので緊張しました。誠一郎には申し訳なかったんですが、もう厳しいと思ったので、ダメもとで仕掛けました。後ろも付いていますから。踏み出したら結構車が進んでくれた」
  まくられた松田優一は「組み立ては完璧だったんですが…。風は気にならなかったし、完全に力負けです」とガックリ肩を落とす。


<2R>
 2レースは岡村潤の先行を飯野祐太がまくり切ったが、この後位に切り替えた白戸淳太郎が直線鋭く差し切った。
  「3着までに岡村君を残したかったし、無理やりでも(飯野を)止めたかったんですが、ちょっと引きつけ過ぎましたね。気付いた時には半車身ぐらい出られていた。僕のミス。何度も同じ失敗をしてしまって…。もっと勉強しないと」
  四番手外併走の態勢からまくった飯野祐太の動きも光っていた。
  「坂本さんのアドバイスもあったし、もがき合いは避けようと思っていました。外併走できつかったけど、何とか乗り切れました。出切って脚は一杯でしたが、競輪祭の時よりはいいですね」


<3R>
藤原憲征選手
藤原憲征選手
   3レースは松本一成の先行に乗り、番手の藤原憲征(写真)が追い込んだ。
  「前が頑張ってくれたおかげ。松本さんは強かったし、余裕がなかったから離れそうになった。(松本を)残したかったけど、後ろから迫ってきていたし、直線に入っていたんで踏ませてもらいました」
  五番手を確保した大塚健一郎が鋭く伸びて2着に食い込んだ。
  「バックでまくろうと車を外にはずしたら、(山口)富生さんが前に踏みかけて止めたから内に差さってしまった。バックを踏んで(山口を)入れる訳にはいかないので内を行きました。膝はまだ少し違和感があるけど、レースに影響はないですね」


<4R>
西川親幸選手
西川親幸選手
   4レースは高木竜司の奇襲カマシに乗り、西川親幸(写真)が番手から有利に追い込んだ。
  「自分達が勝つには(前に)出るしかないよね。細切れだから、押さえられたら詰まって終わってしまうし。あのタイミングで行かないと、中団でからんでしまうし良く行ってくれたよ。あれだけ連れて行ってもらったし、タレてきたんで早めに出ました」


<5R>
三宅達也選手
三宅達也選手
   5レースは大量落車のアクシデントが発生。三宅達也がホームカマシを敢行すると石毛克幸が突っ張り気味に合わせて踏み込むと2コーナーで落車。望月裕一郎ら3名がこれに巻き込まれた。結局、レースは逃げた三宅達也(写真)と交わした岩津裕介で岡山ワン・ツー。
  「どうやら(石毛の)ペダルがカントに当たったみたい。ホームで出させてくれるだろうと思ったけど突っ張られたからしんどかった。でもビジョンを見たら三番手が離れていたんで二人で決まったと思った。今回ギアを(3.71に)上げたけど、重たいとは感じなかったですよ」


<6R>
合志正臣選手
合志正臣選手
   6レースは新田祐大がカマシ先行。この三番手を回った合志正臣(写真)が直線一気の追い込みを決めた。
  「かぶるようなら、まくりも考えていたけど、新田君のかかりが良かった。後ろが富さんだと思っていたので、連れ込めるように、早めに踏ませてもらいました。きつめに練習してきたので、次はもっと良くなると思います」
  新田祐大は僅差の4着。二次予選に勝ち上がれなかった。
  「作戦通りだったんですけどね。4角からタレてきたし、最後の末が甘かったです」


<7R>
松尾淳選手
松尾淳選手
   7レースは最終バックで3人が落車。恵まれた松尾淳(写真)が特別初勝利をマークした。
  「ホームで中団に入ろうか迷いましたが、そのまま踏んでいきました。落車がなかったら、出切れていなかったと思います」
  3着の中井達郎はホッとした表情を浮かべる。
  「上手く落車を避けることができたし、なおかつ3着までに入れて本当に良かった。昨日の練習ではちょっと重く感じたけど、今日は軽かったです」


<8R>
阿部康雄選手
阿部康雄選手
   8レースは小林大介の先行に乗り、阿部康雄(写真)が1着を手にした。
  「後ろを見たらもうきていたし『仕事しなきゃ』と思ったけど菊地(圭尚)君に出切られてしまった。山田(敦也)君を退かしたまでは良かったけど、最後は(有賀高士に)抜かれたと思った」
  巧くコースを突いて有賀高士が2着に入る。
  「(まくった松崎貴久が)出切れんと思ったから2センターで内に入って様子を見ていた。そうしたら内のコースが空いた。あのコースがなかったら多分8か9着だった。危ないコースを突っ込んだから精神的に疲れたよ」


<9R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
   9レースは矢口啓一郎の番手がもつれたが、小橋正義が井上剛を競り落として番手を死守するとゴール寸前で差し切った。
  「先行1車だし、競りは覚悟していた。井上君も強かったけど何とか凌げたし、最後は差せたんで良かったですよ」
  矢口啓一郎(写真)は「ジャンで押さえたときに4番(井上)が外にいたんで番手がもつれているのが分かった。後ろが競り易いように駆けようと思ったけど、どうやって駆けたらいいのか分からなかった。徐々にペースを上げていったけど、今日は風もあったし何か変な感じでした。逃げ切れると思ったけど甘くなかったですね」。


<10R>
村本大輔選手
村本大輔選手
   10レースもアクシデントが発生した。レースは最終ホームで峠祐介と立花成泰が接触し、桑原大志を巻き込んで3車が落車。間一髪これを避け、再度ドッキングに成功した南関勢がバックからまくってラインで上位を独占した。
  1着の村本大輔(写真)は記者団に囲まれると、興奮冷めやらぬ様子で質問に答える。
  「落車はビビリましたよ。練習仲間の(岡村)潤が飛んでしまったんで、その分も頑張らないとと思って気合が入っていた。海老根さんは早めに行ってくれたけど、これまで地元が勝っていなかったから1着を取るために早めに踏ませてもらいました。変に気負っていた部分もあったけど、(渡邉)晴智さんから『落ち着いて周りを見て行け』とアドバイスを受けていたんで冷静にいけました。今回は、新田(康仁)さんと晴智さんと決勝に乗りたい気持ちが強いので、二次予選も頑張ります!」
  直前のインフルエンザで体調が心配された海老根恵太だが、2着で一次予選を突破した。
  「落ちたと思ったけどね。落車を避けるだけで脚を使ってしまった。まだ体の芯からの力が出ない。もっと踏めないのかなと思ったけどね。来る前、欠場しようかとも思っていたくらいだったんで、二次予選に進めてよかった」とホッと胸をなで下ろす。


<11R>
山田裕仁選手
山田裕仁選手
   11レースの特選を制したのは山崎芳仁。七番手に置かれる厳しい展開となったが、ケタ違いのパワーで別線を一蹴した。
  「七番手になったので、ほとんど前は見ずに、自分のタイミングで踏んでいきました。ゴールするまで1着か分からなかったけど、何とか届いて良かった。でも、本当は稲垣さんのレースを自分がやりたかった。去年と同じ1着スタートですね」
  稲垣裕之の先行を利した山田裕仁(写真)が2着。
  「2車だし、あそこで出させてくれると思いました。稲垣があれだけいいレースをしてくれたので、早めに踏むわけにはいかない。コーナーで来れば仕事もできたけど、あの展開ではどうしようもない」
  山崎マークの伏見俊昭も何とか3着に入り、ゴールデンレーサー賞に進出した。
  「あれは抜けませんね。何とか2着に入りたかったけど、3着までが精一杯でした。でも、今年初の確定板だし、脚の感じも悪くなかった」
  果敢に逃げた稲垣裕之は「2車でも自分のレースをしないと勝ち目がないですからね。作戦通りでしたが、もうちょっと落ち着いて駆けたかった。でも、疲れはなかったし、状態は悪くないと思います」と手応えをつかんだ様子。


 なお、二日目残りの一次予選と特選シードのメンバーも発表になりました。本日休養日となった選手の様子を交えてレポートいたします。

<2日目:5R>

  二日目5レースは五十嵐力の主導権が予想される。
  「前回(川崎)は末の粘りが今ひとつだった。直前の感じは良かったんでやれると思う。自分は余計なことを考えずに力を出し切るだけ」
  対戦する高谷雅彦は2月の名古屋で落車してから成績が思わしくないが。
  「落車は全く問題ないんですよ。高松と大宮は組み立て方が悪くて。修正点がはっきりしているから今回は大丈夫だと思う」


<2日目:6R>
栗田雅也選手
栗田雅也選手
   二日目6レースの栗田雅也(写真)はいつも通り力を出し切るレースを心掛ける。
  「ここで合宿をくみ、バイク誘導でスピード練習をした。感じは良かったですよ。海野(敦男)さんと連係するのは久しぶり。仕事をしてくれるんで、自分のレースをすることに集中します。本当は初日に走りたかったけど、強めで入ったから今日1日リラックスできた。朝、2本モガいてみて変わらず感じは良かった」
  加倉正義は目標なしの厳しい番組構成に。
  「一応四国からだけど、(佐々木)浩三さんに任されたし、そこから何でもやっていきたい。追い込みの自分は展開と流れに左右させられるから、結果は走ってみるまで分からないけど、納得のいく調整はできました」
     


<2日目:7R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
   二日目7レースの武井大介は今回から心機一転ニューフレームで挑む。
  「今回から追い込み仕様のフレームでいきます。レースではそれに合わせるような組み立てでいきます。前回の落車は擦過傷程度だし、直前の練習はできていたんで問題はない。競輪祭で決勝に乗ったけど、その後は負けているから自分はチャレンジャーですよ」
  一時は調子を落としていた吉田敏洋(写真)だが、佐世保記念、名古屋記念と優参し完全復調した。
  「いつも通り普通に練習してきました。今の状態だったら合宿とか特別な練習をしなくても大丈夫だから。できれば初日に走りたかったけど、名古屋よりも良くなっていると思うんで頑張ります」
  明田春喜も一発を狙う。
  「今回が2度目のG1戦。名古屋記念と玉野記念では決勝に乗っていないけど、小嶋(敬二)さんに先着したりと自信が付いた。朝練習では脚が軽かったし、仕上がっています」


<2日目:8R>
石橋慎太郎選手
石橋慎太郎選手
   二日目8レースの石橋慎太郎(写真)は昨年から大ギアを模索していたが、3.69に落ち着いたようだ。
  「77だと重たくて競走後に疲れが出てしまうんで、69に下げました。まだ完璧に踏み切れていないけど、こっちの方が楽ですね。今回はCSCとこのバンクで合宿をした。しっかりと練習して後半休んで仕上げました」


<2日目:9R>
 二日目9レースの村上義弘は競輪祭後、足の肉離れを起こして佐世保記念と西王座を欠場。今回も不安が残る。
  「ブチって音がしたからね。しばらくは内出血を起こして足が大きく張れていた。3、4日で治って佐世保記念に出るつもりだったけど、年齢のせいか疲れが溜まっていたのかなかなか治らなかった。自転車に乗っても最初は足が下まで伸びない状態だったんです。練習で弟(博幸)に離れるありさまだったけど、何とか徐々に慣らしていって戦える状態にはなったかな」


<2日目:10R>
新田康仁選手
新田康仁選手
   二日目の10レースは地元の雄・新田康仁-渡邉晴智の盟友コンビが登場する。新田康仁(写真)は前回の玉野記念を欠場しての地元戦入り。
  「前回はちょっと体調を崩したんで、大事をとって欠場しました。今回、結果は走ってみないと分からないけど、やることはしっかりやってきたんで、良い流れに乗れるように頑張りたい」
  今日は1日中リラックスムード。
  「今日は朝練習で少し乗って、自転車のチェーンに油を差したり簡単な整備をして過ごしました。乗った感じは悪くはないけど、ここはバンクコンディションが変わりやすいからね。今日は特に風が強いみたいだし、明日もその辺を頭に入れて走りたい」
  渡邉晴智は地元戦であくまで自然体を強調する。
  「スケジュール通り順調にいきました。1泊2日で合宿を組んだけど、皆仕上がっていたね。自分もやれることはやったんで、あとは全力を尽くすだけ。そのためには気負わずにリラックスしていかないとね」
  別線は佐藤友和となり、このレースは南関勢と北勢で人気を二分しそう。
  「静岡は1度しか走っていないけど、自分はバンクの相性とかは全く気にしない。玉野記念は欠場したけど、その分距離を乗れたし、後半はスピード練習もできたので充実していましたよ」
  渡部哲男も虎視眈々と上位を狙う。
  「自転車に伸びがなかったけど、セッティングをいじってからは感じが良くなりました。今日は朝練習でバンクに入って、ローラーにも乗った。感じは悪くないですよ。3着以内に入れば(ゴールデンレーサー賞に出走で)気持ちが楽になるから明日は何とか上がりたいね」


<2日目:11R>
有坂直樹選手
有坂直樹選手
   二日日の最終11レースはディフェンディングチャンプの有坂直樹(写真)が登場する。東王座、玉野記念では優参を逃すなど、最近はいまひとつ成績が思わしくないが。
  「年頭から調子はずっと良いんですよ。玉野は岡部(芳幸)や(佐藤)友和が欠場しちゃったでしょう。目標がいないのはキツいよ。調子の割りに成績が伴わないだけ。初戦で3着以内に入ればグッと決勝に近くなるし、厳しいとは思うけど巧く作戦を練って頑張る」
  対するは山崎芳仁とならび優勝の最有力候補で、西の横綱・小嶋敬二だ。
  「前回(名古屋記念)の落車失格で迷惑をかけてしまいました。怪我は問題ありません。このところ記念での成績が悪いんで、その分もここで取り返したい」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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