『第61回日本選手権競輪(GI)レポート』 2日目編
 
配信日:3月19日


 第61回日本選手権競輪は二日目を迎えた。昨日と同様に、本日は一次予選、特選シードレースをメインに争われた。今日は予報どおりレース途中から雨が降り出し、4レースからは一転してバンクはスリッピーなコンディションに変化。落車が1件発生したものの、大きなアクシデントはなく二次予選と「ゴールデンレーサー賞」進出者が決定した。
 なお、明日(3月20日)も開催を盛り上げるべく盛り沢山のイベントが用意されております。まずは、開催を通して、輪投げ、ストラックアウト、キックターゲットなど、楽しい場内イベントや、開催5日まで「縁日コーナー」が用意されております。また、場内特設ステージ(3,5,7,9レース終了後)にて「大道芸」が行われます。こちらもどうぞお楽しみに。


<4R>
中村浩士選手
中村浩士選手
   4レースは松崎貴久が主導権を握る。中団がもつれたため先手ラインで決まったかと思われたが、2センターから中村浩士(写真)が混戦を切り裂いてまくり追い込み1着をさらった。
 「スタートで前を取るつもりだったけど、皆思いきり踏んでいったんで取れずに(和田)健太郎には悪いことをした。最後は巧くスピードに乗ったし、ああいう危ないコースを突っ込むのは好きなんです。今回は練習の成果が出ているのかな。1着は嬉しいけど、初日の負けが悔しいですね」


<5R>
志智俊夫選手
志智俊夫選手
   5レースは巧者・志智俊夫(写真)が中団を激しく争い逃げた高谷雅彦の展開となったが、外の五十嵐力を強引に退かしてまくりを決めた。
 「高谷(雅彦)さんが早めに踏んだから少し車間が空いてしまった。追いかけるのに脚を使ってしまったね。ああなると五十嵐君も叩けなくなるから蓋をされる展開になるよね。調子ですか? 見てもらったと通りです」
 番手の岩見潤は内藤宣彦にからまれたが、何とか3着に踏み止まった。
 「ここ5か月くらい1着を取ってないから、変化をつけようとハンドルを2ミリ上げたのが失敗。あれではブロックに堪えられない。今日の展開でこのセッティングはアカン。次から戻します」


<6R>
山内卓也選手
山内卓也選手
   6レースは濱田浩司が先行。打鐘過ぎに内を上昇した山内卓也(写真)が室井健一から番手を奪い、直線鋭く抜け出した。
 「落ち着いてレースを運べました。後方になったけど、内を突けばレースが流れると思ったし、番手までいけて良かったです。一丸(安貴)さんとの連係が久しぶりに決まりました」
 山内マークの一丸安貴はゴール前でかなり詰め寄ったが、僅かに届かなかった。
 「結果的に番手勝負に出て正解だったし、山内はやっぱりレースが上手いね。朝練習の時は腰の感じが良かったけど、レース中はちょっとフワフワする感じでした」


<7R>
山口幸二選手
山口幸二選手
   7レースは前受けの吉田敏洋が武井大介を突っ張って先行。山口幸二(写真)が絶好の展開をモノにした。
 「武井の作戦が斬って番手と解っていたので、それを逆手に取る作戦を考えていた。今の敏洋なら突っ張っても大丈夫ですからね。今日は何もしていないし、前のおかげ。落車が続いているけど、十分戦えるデキだと思います」
 2着に逃げ粘った吉田敏洋も好気合。
 「前を取って突っ張るか、引いてカマす作戦でした。武井にしっかり踏まれれば下げようと思ったが、中途半端だったので突っ張りました。落ち着いて駆けられたし、ラインでワンツースリーなら最高。今日のバンクコンディションで逃げ切るのは難しいし、2着でも納得です」
 見せ場なく終わった武井大介は「何とか粘る展開にしたかったんですが…。戦法を読まれているので、これからどうするか課題になりますね」。


<8R>
伊藤正樹選手
伊藤正樹選手
   8レースは石橋慎太郎がホームからカマして主導権を握る。望月永悟が千切れ展開がもつれたところを好調・伊藤正樹(写真)がひとまくり。最後は島野浩司に差されたものの、改めて強さを見せ付けた。
 「スタートで前を取ると後方からレースが始まって(自分は)遅れてしまうんで、前攻め以外から自分で一旦斬ってからと思っていた。石橋君が出切ったら流すと思っていたから前との車間が空いてしまった。自分はギアが小さいから踏み出したときに車輪が滑りやすかったね。差されたのは自分の実力です(苦笑)」
 差し切った島野浩司の健闘も光った。
 「踏み出したときにもう行ってしまう勢いだったね。あとはコーナーで波を貰って飛ばないようにそれだけ気を付けていた。あれを差せたんだから調子は良いと思う」
 石橋慎太郎は「先行型がいないんで、今日は自分のカマシ、まくりの展開になると思っていた。作戦通り、自分の仕事をしての結果だから仕方ない」と肩を落とす。


<9R>
村上義弘選手
村上義弘選手
   9レースは村上義弘(写真)が堂々の逃げ切り勝ちし、右足肉離れの不安を吹き飛ばした。
 「前田(拓也)さんがすごく気合が入っていたんで見せ場だけは作ろうと思っていた。2月はほとんど自転車に乗れなかったし、やり残していたことが多かったんで、ここに来る直前までキツめの練習をして一か八かの調整をしてきた。昨日休めたのは大きかったし、少しでも体力の回復になればと思っていたんだけど、今日は必死だったし雨で後輪が浮く感じだったんで調子はよく分からなかった」
 前田拓也は車間を空けて村上を援護したものの交わせず。しかも、中団の太田真一に喰われてしまう有様に本人は苦笑い。
 「付いていて余裕があったから空けたけど余計だったね。すんなりの先行だったし、村上君の踏み直しが凄かった」
 2着の太田真一は「友定(祐己)君と併走する展開だったら(村上の)番手に粘ったけど、友定が引いたんですんなり中団を取った。脚が楽だったんで、あとは村上さんの駆け方を見ながら最後に踏みました。後ろを連れていけなかったのは申し訳なかった」


<10R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
   10レースは佐藤友和(写真)が渾身のまくりを決め、ゴールデンレーサー賞進出を決めた。
 「ホームで中団に入ろうとしたけど、やめてそのまま行きました。小野(俊之)さんのブロックがくるだろうし、外に逃げながら踏んでいました。その方が新田さんもその外を行きづらくなるし。3コーナーで併走して小野さんの前に出てさえいれば、あとは惰性で山下ろしでいけると。決して死んだふりをしていた訳ではないんです」
 地元勢が相次いで脱落するなか、エースの渡邉晴智(写真)が意地で2着に入った。
 「バックで稲村(成浩)さんが下がってきたんでバックを踏んだ分、外に持ち出せた。新田が無理やり前に踏んでくれたおかげで自分のコースが空いた。調子は良いと思うけど、自分だけ(ゴールデンレーサー賞に乗れた)では素直に喜べない」
 佐藤慎太郎は3着。
 「友和がホームで中団に入るふりをしてもう一回行ったんで、あれで脚を使ってしまった。流す所も全くなかったし1コーナーで脚は一杯だった」。


<11R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
平原康多選手
平原康多選手
   最終11レースは小嶋敬二(写真)がパワーで圧倒。最終ホームから先行し、番手の濱口高彰を全く寄せ付けなかった。
 「七番手でも勝てると思っていたけど、やっぱり簡単ではないですからね。ホームの追い風を利用して、上手くスピードに乗せることができました。濱口さんに差されるかと思いましたが、逃げ切れて良かった。落車明けで1勝できてホッとしました」
 2着の濱口高彰は小嶋の強さに脱帽。
 「小嶋君はやっぱり素晴らしいですね。1センターからの加速がすごかったし、末もしっかりしていました。今日は後ろを見て少し安心してしまいました。疲れは取れているし、調子は全く問題ありません」
 四番手キープからまくり追い込んだ平原康多(写真)が3着に入った。
 「小嶋さんは中団外併走からカマしてくるとは思わなかった。すんなり中団が取れたと思ったのに、6番(村上博幸)が離れていて、タイミングが取りづらかった」
 4着の神山雄一郎は「平原は脚を使ってなかったからね。最後は中に行ったが、平原に肘をかけられてしまった」。
 後方に置かれた岡部芳幸は「中団を取りに行ったけど、今日はちょっと難しかったですね。平原が中団から仕掛けてくれれば…」と諦め顔。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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