『第61回日本選手権競輪(GI)レポート』 最終日編
 
配信日:3月23日


 第61回日本選手権競輪「駿府ダービー」は静岡競輪場で開催され、盛況の中いよいよ最終日を迎えた。1レースから1万人を超えるファンが詰めかけ盛り上がりも最高潮に達した。朝から日も差し込む好天に恵まれたが、午後からは風が強まった。激戦を勝ち抜いたベストナインにより、GI 最高峰の優勝賞金6600万円(副賞を含む)と、08年グランプリの出場権を賭けた熱い戦いが繰り広げられた。


決勝戦ダイジェスト
 号砲で地元の渡邉晴智が飛び出し、目標の山崎芳仁を迎え入れる。山崎-渡邉-合志正臣-小嶋敬二-山田裕仁-山口幸二-濱口高彰-平原康多-藤原憲征の順で周回。
  赤板前の4コーナーから平原が上昇。前受けの山崎が車を下げると、平原がピッチを緩める。打鐘で前に出た小嶋は中バンクに上がり、山崎の動きを確認しながらゆっくり踏み込む。4コーナーから山崎が一気にスパート。これに合わせて小嶋も仕掛けるが、最終ホームで山崎があっさり出切って主導権奪取。渡邉、合志がしっかり続き、山田はこの四番手に切り替える。バックからまくった平原は渡邉の横まで。番手絶好態勢となった渡邉が直線鋭く追い込み、地元で悲願のGI 初優勝を飾った。直線中を割った合志が2着に食い込み、逃げた山崎は3着。
表彰式
表彰式
胴上げ
胴上げ
ゴール
ゴール
地元選手集合!
地元選手集合!

<3R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
   3レースの特選II からレポート。レースは、飯野祐太と渡部哲男のもがき合いとなると、その上を吉田敏洋(写真)がまくりあげて快勝した。
  「後ろ攻めだったし、とりあえずは前を取った飯野を斬ってから考えようと。でも(渡部)哲男が早めに踏むと思ったし、今回の展開はある程度は予想通りでした。落ち着いて踏めたし、車の出もスムーズだった」
  飯野の巻き返しを突っ張り切った渡部哲男だったが、最後は末を欠き着外に沈んだ。
  「レースの中での反応は良かったです。飯野の巻き返しに合わせるのに脚を使ってしまったし、吉田さんに合わせるまでの脚は残っていませんでした」


<4R>
加倉正義選手
加倉正義選手
   4レースは2車ながらホームからカマした石丸寛之が主導権をにぎると、最後は加倉正義(写真)が追い込んで1着。加倉自身、シリーズ3勝目を挙げた。
  「作戦は石丸任せでした。踏み出しに付いていけたし、上出来でしょう」
  矢口啓一郎は、石丸のカマシに屈して3着に。
  「菊地(圭尚)が引いたし、後ろの武井(大介)さんも動いてこなかったから、これはペースに持ち込めるなと思ったんですけどね。石丸さんの動きも見えてはいたけど、仕掛けに合わせられなかった。離れずに三番手を追走できていれば、小橋さんとワン・ツーを決められたかもしれません」
  着外となったが、石丸寛之の健闘が光った。
  「あのまま何もせずにいたら、8,9番手に置かれてしまう。打鐘後、菊地が矢口に押さえられて引いたとき、もう仕掛けるしかないと思った」


<5R>
石橋慎太郎選手
石橋慎太郎選手
   5レースは地元の石橋慎太郎(写真)がホームから先行態勢に入ると、そのまま別線を完封。マークの村本と地元ワン・ツーを決めた。
  「今日はバンクが物凄く重かった。踏んでもカカリが悪いし、スピードの乗りも全然ダメだった。それでも、主導権は絶対に取ると決めていたから、意地で駆けました。村本さんと決められて良かった」
  二次予選で落車に見舞われた村本大輔は満身創痍の身体にムチを打ちながら完走。今日はまくりをブロックしてしっかりと石橋を援護した。
  「石橋が強い!。今日は抜ける気がしませんでしたよ。落車で身体はボロボロだったけど、地元だし気持ちで走りました。今の身体の状態以上の力を出せたのは、やはり地元のおかげでしょう」
  中村淳は新田マークから鋭い差し脚を見せたが連にからめず「直線でVロードが空いたけど、道中併走で脚を使い切ってしまった」とレースを振り返る。


<6R>
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手
   6レースからは特選I 競走。逃げた金子貴志の後位がもつれにもつれて大渋滞に。すると後方七番手からスパートした岡部芳幸(写真)が前団を一気に飲み込んで快勝する。
  「最終日に力を出し切って勝てたのは大きいですね。初日から意外な展開に翻弄されてしまったけど、成績自体は気にしていません。今回はギヤというテーマを持って参加したけど、僕にはそんなに繊細なこだわりはいらないかも」
  岡部マークの内藤宣彦がしっかり付け切って2着に入る。
  「岡部が踏み出したとき、一瞬『おやっ』と思ったけど、ギアを上げているぶんスピードが乗ってましたね。2センターで飲み込むだろうなと思いました。今日はもし岡部が駆ける展開となれば、俺のところに競りもあるだろうから、そうなっても良いように緊張感だけは切らさないようにしていました」


<7R>
三宅達也選手
三宅達也選手
   7レースは中団を確保した三宅達也が、豪快にまくりを決めると、最後はマークの豊田知之が直線で追い込んだ。
  「大ギアコンビで決めましたね。達也は昨日もしっかりとまくり切っていたし、今日も行けるだろうと信用していました」
  三宅達也(写真)は、中団からまくりを決めて3着。ラインでの連独占に貢献した。
  「すんなりと中団を取れたのが大きいですね。あとは自分で仕掛けて、新田さんに合わせられるかの勝負でした。それでもギアがかかっていたし、2センターでまくりきれるなとは思いました。でもさすがに最後は一杯でした」
  地元の期待を背負った新田康仁は、昨日に続き、萩原孝之との連係となったが、結果を残せなかった。
  「2センターで内に香川(雄介)さんがきたとき、外の三宅君との間でアンコになってしまった。そのさいバランスを崩してしまい立て直しができなかった。三宅君のまくりを止めてから抜け出ずに、まくりに併せて出れば良かったですね」


<8R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   8レースからは優秀競走。松尾淳と稲垣裕之の主導権争いとなると、その上を海老根恵太がひとまくり。だが最後は海老根マークの松坂英司が交わした。
  「レース前に、海老根君と中団から組み立てようと話をしていたのですが、流れで前受けになってしまった。それでも海老根君は落ち着いていましたね。仕掛けも良かったし、付いていくだけでした。今回は地元を筆頭に南関がいつも以上に結束していたから、その流れに何としても乗りたかった」
  海老根恵太(写真)も2着入線に安堵する。
  「2車だし先行は考えていなかった。緩んだところを一気に仕掛けようとだけ思っていた。結果的に松尾さんと稲垣さんがやりあってくれて展開はこっちに傾きました。ただ、最終ホームで西川さんに締めこまれてしまい、車間が少し空いてしまった。そこを詰めながら踏むのがきつかった」
  松尾淳は稲垣と踏み合った結果、ともに着外となったが「稲垣君の仕掛けがよく見えなくて、あわてて全開で踏んだけど、出られたなと思った。稲垣君相手によく合わせきれたと思いますよ」とサバサバ。


<9R>
村上義弘選手
村上義弘選手
   9レースは近畿勢の結束が際立った。村上義弘(写真)が東口善朋に前を任せると、東口が打鐘先行。最終ホーム過ぎに村上が番手から抜け出すとそのまま後続を振り切り、北川紋部とワンツーを決めた。
  「昨日、東口から『前で頑張りたい』と言われた。そう言ってくれる以上は任せないとね。自分がラインの先頭でやってきたぶん、その申し出がすごい嬉しかった。こういうラインの信頼関係が深まれば、近畿も盛り上がるでしょう」
  東口善朋も「GI 戦線で村上さんが自分に任せてくれて光栄。どんな展開でも、やるからには責任を持った競走をしなければと思い、昨日から緊張していました」


<10R>
後閑信一選手
後閑信一選手
   10レースは順位決定競走。伏見俊昭が先行すると、バック6番手からまくった手島慶介が突き抜けるかに思われたが、手島マークの後閑信一(写真)がゴール寸前に交わして1着をさらった。
  「今日は手島の頑張りに尽きますね。前団に突っかかれて前との間が少し空いてしまったけど、脚には余裕があった。2センターで前田の外に付けて踏めば、直線を踏めるなと思っていました」
  2着の手島慶介は「まだまくりが出るんですね(笑) 今回は落車の影響や疲れが溜まったりしていて状態は決して良くはなかったけど、何とか最終日まで頑張れました」と競走内容に納得する。
  後方八番手に置かれた伊藤正樹は、最後、大外を強襲して3着入線を果たす。
  「玉野記念を優勝して注目されてましたけど、僕自身はダービーはレベルが違うので緊張感とかはありませんでした。今日は流れ込んだ形になってしまったけど、前を取ったら突っ張る気もありましたよ。今回もいい感じで走れたし、また上で走れるように頑張ります」


<11R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
合志正臣選手
合志正臣選手
   11レース決勝戦は、小嶋敬二が最終ホームから先行態勢に入ると、山崎芳仁が一気にカマして主導権を奪取。直線に入ると、マークの渡邉晴智、三番手から中を割った合志正臣による三つ巴の争いとなったが、渡邉の差し脚が優った。
  絶好のカマシを決めた山崎芳仁(写真)は「前受けで正解でした。逆だったら、カマされたでしょう。小嶋さんはラインが長かったけど、早い仕掛けは無いと思っていた。自分なりに残れるように駆けたが、晴智さんが強かったです」
  中を割った合志正臣(写真)は「最後は迷い無く中割りと決めていました。だけど実際は、渡邉さんに締められてしまい勢いが止まってしまった。スピードに乗っていたし、中を抜ける自信があったんだけど、その分油断しましたね。(優勝を)取れる展開だっただけに残念」と悔しさを露わにする。
  小嶋敬二は山崎の仕掛けに屈した。
  「平原が出てからペースを落としたのが意外だった。すごくペースが落ちたし、一旦は前に出るしかなかった。あとは仕掛けてくるのは山崎だけだし、かなり注意していたけど気付くのが遅れました。あっと思ったら横まで来ていました」
  小嶋マークの山田裕仁は「今日は小嶋任せ。位置取り以外は好きに走ってと言ってあった。番手だったし、小嶋の力に任せたわけだから仕方ないでしょう」と冷静に競走を振り返る。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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