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レース展望

 第61回日本選手権競輪が4年ぶりに静岡競輪場で開催される。今開催も山崎芳仁と小嶋敬二の東西の王者を中心にシリーズが動いていくが、2人が真っ向から叩き合うようなら、競輪祭に続いての伏兵陣の台頭も十分に期待できる。

昨年の日本選手権競輪(平塚)決勝ゴール。(1)有坂直樹が乱戦を制する捲りを放って自身初のGⅠ優勝を飾った。
昨年の日本選手権競輪(平塚)決勝ゴール。
(1)有坂直樹が乱戦を制する捲りを放って自身初のGⅠ優勝を飾った。

昨年のダービー表彰式
昨年のダービー表彰式

駿府の地に新たな伝説が刻まれる!
得意の自在戦で井上昌己の連覇も十分に狙える
 1月の競輪祭では井上昌己が一昨年のオールスター以来の2度目のGⅠ優勝を達成。9年ぶりに九州勢が競輪王の称号を奪還した。「山崎君と小嶋さんがもがき合ってくれれば、その3番手を確保」と、戦前に狙っていた通りの展開になったのが大きいが、井上自身も1月は11走して9勝と絶好調で、タイトルを獲って当然の状態だったと言えよう。
 今開催も東の山崎芳仁、西の小嶋敬二のパワー対決に最大の注目が集まるが、2人がまたもや真っ向から叩き合うようなら、井上に続く伏兵陣の浮上があるだろう。
 もちろん井上の連覇も十分にありうるが、井上と同様に近況好調な荒井崇博の悲願の初タイトルにも期待が懸かる。1月の立川記念では4日間とも番手の紫原政文が1着で、荒井の1着はなかったが、連日の鋭い捲りで好調さをアピール。次の大宮記念でも準決勝Bで2着に粘り決勝進出を果たしている。競輪祭では準決勝で慣れない番手戦を選択して失敗したが、初日特選では2着以下を4車身突き放して圧勝している。今回も展開がはまれば得意の捲りでぶっちぎりの強さを見せつけてくれるだろう。
 稲垣裕之も快進撃が続いている。昨年11月のふるさとダービー松阪の優勝で完全にひと皮むけて、その徹底先行ぶりと強靭な粘り脚は全盛期の村上義弘を彷彿とさせるものがある。12月の伊東温泉記念は堂々の逃げ切り優勝、1月の和歌山記念の決勝戦では小嶋敬二、井上昌己、新田康仁らを不発に終わらせて3着に粘っており、競輪祭ではまさかの一次予選敗退となってしまったが、調子自体はまったく問題ないだろう。
井上昌己(長崎・86期)
井上昌己(長崎・86期)
 
稲垣裕之(京都・86期)
稲垣裕之(京都・86期)
 
山崎が先行勝負での押し切りを狙う!
タイトルに最も近い男平原康多の浮上も十分
 暮れのグランプリでは小嶋敬二が山崎芳仁の先行を捲り切って2着。競輪祭の決勝戦も小嶋が山崎を叩き切って2着と、東西の2大怪物の対決は昨年の全日本選抜は山崎の圧勝だったが、その後は小嶋に軍配が上がっている。
 落車骨折による長期欠場から11月末に復帰してきたばかりなのを思うと、小嶋の回復力はやはり怪物級だ。しかも、グランプリや競輪祭の時は、まだ回復途中で万全の状態ではなかったはずで、3月末の今大会までにはさらなる回復が望めるし、この先どこまでパワーアップしてくるかを考えると、楽しみである。
 山崎芳仁も負けてはいない。競輪祭の準決勝では7番手からの捲りで上がり10秒7の驚くべきタイムをマークしており、4回転のメガトンパワーは健在だ。ただ気になるのは、グランプリの時も競輪祭の時も、後攻めとなった山崎は中団にいた小嶋の横で執拗なまでに蓋をしてから先行態勢に入り、同じように小嶋に叩き返されていることだ。次なる対決の時には山崎は新たなる作戦を練ってくるのか、それとも小嶋に対しては先行勝負にこだわるのか? おそらく後者の可能性が高いと思われるが、次なる2人の対決が本当に待ち遠しい。
 タイトルに最も近い男として小嶋、山崎の両王者を猛追しているのが平原康多だ。全日本選抜の決勝戦では惜敗の2着。次場所の広島記念が決勝6着、そして迎えた1月の大宮では念願の地元記念初優勝と乗りに乗っている。競輪祭は準決勝で敗れたが、初日特選は山崎相手に逃げ切り、2日目のダイヤモンドレースでは山崎と小嶋を相手にやはり逃げて2着に粘っており、両王者との対決でも決して力負けはしていない。
 小嶋と山崎がいつも通りに過度に牽制し合う展開なら、平原が得意のダッシュ力を生かして先手を奪い、そのまま押し切ってのGⅠ初優勝も十分に狙える。
 新田康仁と渡邉晴智の地元コンビの奮起にも大いに注目したい。静岡ではこれまでに日本選手権が3回開催されており、新田と渡邉の2人は2回目の99年の大会から出場しているが、地元ファンの期待に応えられる成績は残していないので、今度こその優出を目指してくる。
 新田は持ち味の自在戦が完成の域に近づきつつあり、昨年後半からぐんぐん調子を上げ、オールスターと全日本選抜で優出。全日本選抜の準決勝では山崎芳仁を相手に捲りで勝ち星を挙げている。期待された競輪祭では突然の乱調で二次予選で敗れてしまったが、今大会までにはしっかり立て直してくるだろう。
 渡邉晴智は昨年は日本選手権と全日本選抜で優出、競輪祭も準決勝まで勝ち上がるなど好調を維持している。昨年の日本選手権では準決勝を捲りで突破しており、今年も地元開催だけにいざとなればの自力発進があるかもしれない。
山崎芳仁(福島・88期)
山崎芳仁(福島・88期)
 
平原康多(埼玉・87期)
平原康多(埼玉・87期)
 
新田康仁(静岡・74期)
新田康仁(静岡・74期)
 
小嶋敬二(石川・74期)
小嶋敬二(石川・74期)
 
渡部哲男の仕掛けに乗って中四国勢が巻き返しを狙う
勝ちに徹した走りでようやく復活なった村上義弘

 村上義弘が本格的に復活してきた。これまでにも何度か復活の気配があり、昨年の日本選手権で久しぶりのGⅠ優出を果たしたが、好調は長続きしなかった。しかし、今度の復活は本物だ。昨年12月の広島記念では二次予選Aと準決勝Aで捲りの2連勝。1月の立川記念でも捲りで2勝、競輪祭では決勝進出はならなかったが予選は捲りの2連勝と、強い村上が戻ってきている。今は捲り主体の競走で、全盛期のような真っ向からの先行勝負ではないが、今の状態なら小嶋や山崎を捲り切っての一発も十分に狙える、
 渡部哲男の一発も侮れない。近況はやや勝ち星が少なく。捲りが決まっても番手の選手に差されての2着や3着が多いが、成績は安定している。競輪祭では準決勝で加倉正義を連れて先行して6着に敗れているが、大舞台の勝ち上がりで思い切りよく仕掛けられるのは調子の良い印であり、成績に表れている以上に状態は良好と見ていいだろう。
 このところの中四国勢はやや元気がないが、加倉正義が9年ぶりにGⅠの決勝戦に乗ったように、渡部の積極的な仕掛けに乗っての中四国勢の巻き返しも期待できる。
 90期の飯野祐太や松田優一らの新人たちの積極的な走りにも注目してみたい。
 飯野祐太はGⅠ初出場の競輪祭では、3日目にようやく主導権取りに成功、最終日には初勝利を挙げている。そして次の奈良記念では記念初優出しており、今大会ではより大きく成長した走りが見られそうだ。
 松田優一は競輪祭は不出場だったが、GⅠ初出場の昨年の寛仁親王牌では4走のうち3走で主導権を取り切り、全日本選抜では一次予選で早々と敗れたが、それでも4日間ともきっちりと先行している。ヤンググランプリでも絶対に主導権は譲らないという気迫の走りを見せており、1月の和歌山記念では準決勝Aまでの勝ち上がりと調子も良く、今大会も関東勢を連れての連日の逃走劇が期待できる。
村上義弘(京都・73期)
村上義弘(京都・73期)
 
渡部哲男(愛媛・84期)
渡部哲男(愛媛・84期)
 
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想い出の日本選手権競輪伏見俊昭が村上義弘を捲り切って2度目のGⅠ優勝!

  前回、静岡で日本選手権が開催された04年は今年と同様にオリンピックイヤーで、海外遠征帰りの伏見俊昭は「15時間の時差と20時間のフライトでヘトヘトだ」と漏らしていたが、二次予選と準決勝をともにギリギリの3着で突破。決勝戦は村上義弘との2分戦となった。伏見俊昭―佐藤慎太郎―出口眞浩、山口幸二―濱口高彰、村上義弘―伊藤保文―大井啓世―小野俊之の並びで周回。赤板から村上が上昇すると、小野が村上の番手に追い上げて伊藤から番手奪取。打鐘で村上が先頭に立ち、伏見が車を下げると、今度は山口が村上の番手に追い上げるが、小野が番手を守り切る。しかし、隊列が短くなったところを伏見がタイミングよく仕掛けて村上の逃げをあっさりと捲り切って、そのまま伏見が先頭でゴールして2個目のGⅠタイトルを獲得。2着は佐藤、3着は出口だっだ。

ダービーの思い出



3、4番手からの直線強襲が決まりやすい
 どんな戦法でも実力を発揮できるように設計された平均的な400バンクで、走路自体もクセがなく、軽くて走りやすい。
 しかし、バック側の特別観覧席と選手宿舎の間から吹き込んでくる風で、3コーナーから4コーナーにかけて強い向かい風の日が多い。特に冬場は風の強い日が多く、ホーム・バックともに向かい風になることがあるので先行選手は苦しい。
 04年に開催された日本選手権の結果を見てみると、全66レースのうち1着は逃げが5回、捲りが24回、差しが37回、2着は逃げが10回、捲りが11回、差しが24回、マークが21回となっている。
 先手を取ったラインの選手が1着になったレースは全体の3分の1の22回しかなく、先手ラインが巻き返されているケースが多かった。
 直線は長めで外のコースが伸びるので、捲りや脚をためての直線勝負が有効だ。
 最終バック7、8番手からの捲りがよく決まっていたし、3、4番手の選手と5、6番手の選手が直線鋭く伸びて1着、2着というケースも少なくなく、決まり手だけを見てみると500バンクの結果とよく似ている。


静岡バンク

競りはインもアウトも関係ない
 周長は400m、最大カントは30度43分52秒、見なし直線距離は56.4m。競りはイン有利だが、風の強い時にはインが重くなるので、冬場の静岡ではインもアウトも互角に戦える。直線カントが浅いので、直線でインに入ったり中を割ったりとコースを狙っていくと伸び切れないことが多く、外を踏んでいったほうがよく伸びる。


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