『第62回日本選手権競輪(GI)レポート』 2日目編
 
配信日:3月4日


 岸和田競輪場で開催中の第62回日本選手権競輪は2日目。今日は5レースからの一次予選、10レースからの特選で二次予選そしてゴールデンレーサー賞への勝ち上がりを争った。特選は伏見俊昭、山口幸二が制してシリーズの好スタートを切る。前田拓也も苦しい展開をしのいで、大阪勢からは唯一、二次予選へ勝ち上がった。
 本場では3連単車券プレゼントなど開催中毎日行われるイベントに加え、明日(5日)は地元お笑い芸人によるステージ(7レース発売中)、5・9レース発売中には児島一彌氏、井上薫氏による予想トークショーが、それぞれBBイベントステージにて開催されます。明日もぜひ岸和田競輪場へご来場ください。


<1R>
大薗宏選手
大薗宏選手
   1レースはバック9番手に置かれた大薗宏(写真)が直線で急襲し、前団をごぼう抜きして1着となる。
  「今日もどん尻だったね。昨日は一本棒の9番手だったけど、今日は(松尾淳が粘って)前が団子状態だったからチャンスがあるかなと思った。コース取りもうまくいったし展開に恵まれましたね。ゴチャついて皆は危なかったと言ってたけど、自分が通過した後だったから影響はなかった。点数がないからいつもこんな展開になってしまうけど、今日は何とか凌げて良かったですよ」


<2R>
横田努選手
横田努選手
   ホームから小林大介がカマシ先行し、横田努(写真)が番手から有利に追い込んで1着を手にした。
 「小林君は一旦中村(一将)君に蓋をしてから駆けてたし、落ち着いてたよね。自分も安心して付いていけた。出切ってからはまくりを止めることだけに集中してました。最後まで小林君はしっかり踏んでいたし強かった」
 小林大介は3着もレース内容に満足する。
 「ここに来る前に膝を痛めてしまったんです。今回は調子が悪いけど、昨日稲村(成浩)さんに相談して、悪いなりに無理をせずに自分のやれることをやれとアドバイスを受けました。今日は開き直って走れたし、中団からまくりでもいいかなと思ってたけど、気持ちが前々にいってたから結果的に先行になりました。自分は気持ちが弱い面があるから、良いレースができたのは大きいですね」


<3R>
太田真一選手
太田真一選手
   福田知也が濱田浩司を突っ張って先行。福田の三番手を選択した太田真一(写真)が直線で追い込んで1着をゲットした。
 「濱田君もいるしどっちに付こうか迷ったけど、初日も福田君は先行して強かったんでね。今日も先行する気が強そうだったから付けた。濱田君も遅めに押さえてきたんで福田君も突っ張るよね。ホームで松崎(貴久)君も三番手を取りにきたけど、昨日中途半端な競走で終わったから今日はしっかりと位置を取りにいきました。今日も福田君は強かったね。埼玉は藤田(竜矢)、新井(秀明)と周りが皆活躍しているし、自分も良い所を見せないとね。勝てて良かったですよ」


<4R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
   4レースはホームガマシに出た渡邉一成(写真)が後続のモツれを尻目に押し切った。
 「みんなイン待ちみたいな感じだったし、(佐々木)健司さんが最後まで抵抗してくれたから。今回は体調が良くないから、4コーナーから力が入らないし、スピードも維持しかできない。今日ギアを下げたけど、今回はフレームを硬いものに替えたので丁度いい。今日が初日だったら良かったけど、3走目も1着を取って上がれるところまで上がりたい」
 渡邉の番手を取り切った東口善朋が2着に食い込んだ。
 「前が緩めてたので出てから考えようと思った。位置も取れたし、前に踏めてるだけいいですね。負け戦でも最後まで頑張らないと」


<5R>
北津留翼選手
北津留翼選手
   5レースは藤野光吉が当日欠場のため8車立てに。レースは打鐘から押さえた北津留翼(写真)が末良く逃げ切った。
 「湊(聖二)さんが三番手にいてくれて大塚さんも仕事がしやすくなった。僕は菊地(圭尚)さんに合わせながら踏む感じで、作戦どおりに走れましたね。押し切れたのは大塚さんがギリギリまで残してくれたから。次は早めに来られても合わせられるようにしたいですね。奈良記念の前にみっちり練習したし、その後の5日間で調整もバッチリ。今回は決勝まで行きたいので頑張ります」
  2着の大塚健一郎は「翼に軽く踏み直された」としながらも、一次予選を突破してホッとした表情だ。
 「良かったです。差せなかったけど、仕事はできたから。藤野さんが欠場だったけど、湊さんが三番手を固めてくれたのも大きかった。あっせん停止の間は沖縄に行ったり、地元で(菅原)晃や(加藤)大輔と練習してきた。翼が強くて差せなかったけど、感じは良いと思います」
 3着には伊藤正樹後位から菊地のまくりにスイッチした富永益生が食い込んだ。
 「正樹がズルズル引かずに積極的に前に踏んでくれたからね。僕は自分の位置を確保するのが一杯だったし、(二次予選へは)3着までなのでシビアに行かせてもらいました。年齢的にもこの舞台を走るのは数少なくなるだろうから、もう少し粘りたいね」


<6R>
桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
   桐山敬太郎(写真)が逃げた松岡健介をひとまくり。道中で友定祐己に蓋をされる展開となったが、車を外に持ち出し、市田佳寿浩のブロックをかいくぐって1着。桐山は嬉しいG1初勝利を収めた。
 「友定さんが押さえたところを叩こうと思ってたけど、蓋をされたのは予想外だった。あそこではもう引けないからね。市田さんのブロックがくると思ってたけど、必死でそんなことを考えている余裕はなかったし、行けるとは思わなかった。G1で一番上の大会で1着がとれたのは嬉しいし自信になりました。今回の目標は一つでも上のレースを走ることなんで次のレースも頑張りたい」
 2着は鈴木誠。三番手から桐山と中井達郎の中を割って鋭く伸びた。
 「松岡君は誘導を使っての1周先行でしょう。前は掛かっていたけど桐山君はその上を良く行ってくれたね。ブロックがきて2センターでバックを踏まされたけど良く伸びたね。南関3人で決まってよかった。豊橋記念から新フレームを使っているんだけど、前回でセッティングを微調整してから感じが良い。最近は流れと脚が良くなってきた」


<7R>
山田幸司選手
山田幸司選手
   ヤンググランプリを制して自信を付け、成績が急上昇していた飯野祐太がまさかの不発。ゴール前は大混戦となり、山田幸司(写真)が突き抜けて好配当のレースとなった。
 「まぐれの一発が出ちゃいましたね。丸山くんがうまく中団を取ってくれたんですが、道中はキツかったと思いますよ。自分でも意識せずに、あの位置に入れていました。最近は成績の数字が良くなかったんですけど、いつも最終バック8番手とかで、展開が向いていなかっただけだから、気にしてませんでした。この1着は大きいですね」
  2着には志智俊夫が入線。膝の故障など、様々なアクシデントから立ち直りつつある。
 「前の頑張りですよ。坂上くんも良い仕事をしてたし、金子も頑張ってくれました。僕自身の状態も、少しずつだけど上向いています。前のダッシュにも付いて行けてるしね」
 坂上樹大は番手で大立ち回りを演じて3着。
 「マダマダですね。先輩たちだったらもっとうまく決められてたでしょう。金子さんはずっと踏みっぱなしできつかったでしょうね。うまく飯野くんを止められれば良かったんだけど、向こうも脚があるから逃げられちゃいました。でも、初日をちゃんと突破できたのは自分にとって大きいです。競輪祭での反省を生かすため、ここまで真剣に練習してきました。(競輪祭優参が)フロックだと思われないためには、ここで結果を出すことが何より大事ですからね」


<8R>
山口富生選手
山口富生選手
   人気の中心は中部勢。ほぼ先行一車の構成となった浅井康太が人気に応えて1着で二次予選進出を決めた。
 「後ろが競りになっていましたけど、気にせず踏みました。山口さんにも、自分の仕事をしろとだけ言われてましたから。落ち着いて仕掛けられたし、感じも良いですよ」
 山口富生(写真)は道中、何度も攻め込まれる不利を克服し貫禄を示した。
 「今日は誰に来られても仕方ないでしょう。松本くんまで粘ってくるとは思わなかったけどね。うまく締め込めたし、ワンツーを決められて何よりです。浅井には、『お前はお前の仕事をしろ。オレには別の仕事があるから』と言ってありました。競輪祭の初日に競られて悔しい思いをしたので、今回は気合が入ってましたよ」
 荻原尚人は「粘るつもりだったんですよ。後ろに松本さんのラインが入ってればなぁ。ほぼ真後ろから来られたのでスピードが合わなかった。もう一度、レースをやり直したい」とガックリうなだれた。


<9R>
坂本健太郎選手
坂本健太郎選手
   人気を集めた近畿ラインはまさかの不発に終わり、波乱の結末となった。9レースは前受けから巧く中団を取った坂本健太郎(写真)がバックまくりを決めて本命を打ち破った。
 「誘導のペースが上がるし、もがき合う展開になるかもしれないから今日は絶対に前を取りたかった。結果的にはそうならなかったけど中団が取れたのは大きかったね。一度行こうとしたときに前の十文字(貴信)さんに振られてタイミングが狂ったけど、脚に余裕があったから踏み出してすぐに行けると思った」
  稲垣がまくり不発となったものの、前田拓也は巧みなコース取りで2着を確保した。
 「あの展開では稲垣が届いても自分は届かないから、内のコースをいくしかなかった。地元だし一次予選で負ける訳にはいかないでしょう。コースがなくても突っ込むつもりだったけど、うまく空きましたね。今日は脚が軽かった」
 坂本を追走した池尻浩一は3着。
 「前田君が内の良いコースを踏んでいるのが見えたし、3着になったのは仕方ない。ワン・ツーが決まらなかったけど結果オーライでしょう」
 稲垣裕之は外々を踏まされて4着止まり。さすがにショックは隠せずガックリと肩を落とした。
 「相手の腹づもりが分からなかったし、仕掛けが中途半端になってしまった。あれだったら、もっと早めか、遅めに仕掛けるべきだった」


<10R>
香川雄介選手
香川雄介選手
   10レースからは特選競走。このレースは打鐘で先行態勢に入った武田豊樹にホームから小嶋敬二が襲いかかる。両者で主導権争いになると、今度は海老根恵太、石丸寛之のまくり合戦に。まくり切った海老根マークの伏見俊昭が激戦を制した。
 「勝てたのは海老根君のおかげですからね。今、乗れている選手だから、タイミングを逃さず仕掛けてくれました。小嶋さんは武田さんを意識したレースをするだろうから、早めに巻き返すのは読みどおり。初手の位置取りも海老根君と意見が合ったし、僕らには最高の展開でしたね。ワンツーを決められれば最高だったんですが、海老根君も丸一周踏んでいたので最後はキツそうでした。僕の状態は問題ないです」
  2着には石丸のまくりに続いて、巧みなコース取りを見せた香川雄介(写真)。初日の渡部哲男同様に、特選へ繰り上がったツキを生かした。
 「僕は前を取るのが仕事だったし、そこで脚を使ってしんどかった。石丸くんのおかげ、恵まれましたね。上手く体が反応したし、最後は外から食われるかと思ったけど、この2着は無茶苦茶デカいね。ゴールデンレーサー賞なんて、なかなかないですよ」
 まくった海老根恵太は3着でGR賞進出を決めた。
  「小嶋さんが合わされたと思ってホームで見てしまった。1センターで当たられて止まったけど、後ろに伏見さんも付いてるし何とか出切らなきゃと思ってました。ちょっと重かったけど、みんな重いと言ってるし、出切れてるから大丈夫だと思います」
 小嶋のカマシに乗った山田裕仁は惜しくも4着でGR賞を逃した。
 「武田がもう少し楽に出させてくれると思ったけど、小嶋も強いね。3着に入れた展開だし、ちょっと弱かったかな」
 1走目は8着と大敗を喫した武田豊樹だが、「合わせ切れなかったし、あれだけ2人でやり合ったらまくられますよね。自信はあるし、明日からです」と自身のデキには手ごたえをつかんでいる様子。


<11R>
山口幸二選手
山口幸二選手
   11レースは永井清史が打鐘先行。前受けから四番手をキープした佐藤友和がカマしてきた石橋慎太郎をけん制すると、永井後位で絶好の展開になった山口幸二(写真)が勝機をきっちりモノにした。
 「誰も仕掛けてこなかったので、その分永井ちゃんの仕掛けも遅かった。永井ちゃんの掛かりも良かったと思いますよ。できれば3人で(GR賞に)上がりたかったけどね。最後は濱口さんに抜かれたと思ったけど、僕は余裕を持って付けてたし、かなり仕上がってると思う」
 2着の濱口高彰は空いたコースを鋭く伸びて山口に詰め寄った。
 「山口くんがコースを空けてくれたからね。ちょっと重かったみたいだけど、今日は前が頑張ってくれた。走った感じも良いですね」
 バック八番手から大外をまくり上げた井上昌己が3着に強襲。「ホームで石橋が真後ろから行ったのに気付かなかったけど、そこから上手く付いていけた」。レース勘、体調ともに良好なところをアピールした。
 惜しくも入着はならなかった神山雄一郎だが、「4着だったけど、上々の伸びだったと思います」と自己分析。
 佐藤友和も落車の不安を一掃して、表情は明るい。
 「(永井を)突っ張ればよかったかな? 落車も続いてたので不安はあったけど、思ったより感じは悪くなかった。フレームもセッティングが出たし、このままイジらずにいきます。感じは良かったので、次から頑張りますよ」

↑ページTOPへ

 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.