『第63回日本選手権競輪(GI)レポート』 3日目編
 
配信日:3月4日


 松戸競輪場で開催中の「第63回 日本選手権競輪」は3日目。今日からは2次予選競走をメーンに準決勝への勝ち上がりが争われた。主力選手が順当な勝ち上がりを見せる中で、神山雄一郎、小嶋敬二の特別覇者ら強豪が敗れる波乱も。明日も引き続き2次予選、そしてメーンのゴールデンレーサー賞で準決勝27名が決まる。
 明日はガールズケイリンでお馴染みの石井寛子さんのトークショー(3、5R終了後)や名輪会のサイン会(4R終了後)などのイベントも予定されています。日ごとに激しさを増す「第63回 日本選手権競輪」をぜひ松戸競輪場でお楽しみください。


<1R>
長塚智広選手
長塚智広選手
   内に、外に、変幻自在な走りを見せた長塚智広(写真)が最終的に好位を確保すると、直線鋭く抜け出した。
 「1着は何とか、何とかです。勝手に体が動いた感じだし、後ろに2人関東の先輩が付いてましたからね。昨日は重かったけど、今日は軽かった」
 長塚の動きで伊原克彦との連係を外した三宅伸だったが、その後は長塚の動きに続く形で2着に入る。
 「あそこは付いて行かんとね。伊原には悪いことをした。ちょっと打撲はあるけど、(昨日)落車の影響はないね」


<2R>
西川親幸選手
西川親幸選手
   打鐘前から主導権をとった菅原晃が別線を完封すると、西川親幸(写真)が直線で番手から抜け出し1着に輝いた。
 「今日は作戦で先行と決めていたけど、カマシが有効そうだったので、Sを獲りに行きました。菅原は上手く組み立ててくれたけど、周りもみんな強敵なので最後まで気が抜けませんでしたよ。でも、菅原自身はまだ、大ギアを活かしきれてない感じ。もう少し上手く踏めるようになったら、僕には交わすチャンスなんてないでしょうね」
 地元戦の石毛克幸は中団から懸命に仕掛けるも4着まで。
「中団取りにだいぶ脚を使ってしまいましたね。必死すぎて後ろで粘られている事も全然気付きませんでしたよ。何とかもう一走、気合いを入れ直して頑張らないとですね」


<3R>
新田康仁選手
新田康仁選手
   牛山貴広の先行に対し、最終ホーム5番手から新田康仁(写真)が豪快にまくり切り、6着に終わった一次予選のうっ憤を晴らした。
 「関東と北日本で作戦がありそうだったから、先に動いて位置を取りました。最終ホームからは金成が動いたら乗っていこうと思っていたけど、動く気配がないので腹を括って先まくりを打ちました。最後の1周はかなりピッチも上がっていてきつかったけど、何とかまくりきれましたね。初日を突破できなかったのは悔しかったけど、気持ちを切り替え、これから残りは全部勝つつもりで頑張ります」
 果敢に攻めた牛山貴広だが直線で力尽き6着。
 「友定さんが外に見えて、その動きが気になり、少し踏みすぎてしまいました。その分末が甘くなってしまいましたね。調子が良いとはいえないけれど、また次も頑張ります」
 諸橋愛は番手絶好の展開を活かせず、悔しさを滲ませる。
 「牛山のピッチが鈍ってきて、車間が詰まってしまった。慌ててバックを踏んだ瞬間に新田に行かれてしまった。前に踏みながら当たれれば止められたんだけどね」


<4R>
鈴木謙太郎選手
鈴木謙太郎選手
   鈴木謙太郎(写真)がペース駆けで堂々の逃げ切り勝ち。北日本ライン3車で上位独占を決めた。
 「333はどこで踏んで、どこで流せばいいか難しいですね。でも、中団併走を誘いながら上手く駆けられたと思います。状態もいいと思います。初日はちょっともったいなかったですけど、今日は結果が出て良かったです」


<5R>
一丸安貴選手
一丸安貴選手
   赤板前から川村晃司が飛び出すと、一丸安貴(写真)は内を突いて番手勝負に出る。大井啓世に競り負けた一丸だが、4番手で立て直して直線一気に突き抜けた。
 「馬渕(紀明)さんに任せてもらったし、期待に応えるためにも何かしようと思っていました。赤板過ぎに前が駆けなかったから番手に行こうと。近畿だから迷ったんですけどね。競り負けて馬渕さんがコケてしまい、申し訳なかったです。そのあとは落ち着いて我慢していました。踏み合いで最後は前のスピードが落ちたので、何とか勝てましたね」
 一丸に競り勝った大井啓世だが、神山拓弥に番手を奪われてしまった。
 「自分のところに来ることは覚悟していたし、そこだけは何とか凌ぎたいと思っていました。神山に入られてしまったのが…。でも、精一杯できる限りのことはやりました。脚はガクガクです」


<6R>
小倉竜二選手
小倉竜二選手
   金子貴志が最終ホームから踏み上げる中部勢にとっては絶好の展開。しかし、上手く4番手を確保した小倉竜二(写真)がまくり気味に追い込んで1着をさらった。
 「調子は良かったけどね。33だし、初日の結果はしょうがないね。今日は前々に踏んでまくりも考えてたけど、ちょっと見てしまった。金子さんもホーム駆けだし、もっとかかっていくのかと思ってました」
 ゴール寸前で勝機を逃した有賀高士は「油断した」と悔しがる。
 「好事魔多しとはこのことやね。金子はホーム発進やし、ジワジワかかって行ったから誰も来んだろうと思ったのが運の尽き。初めて濱口(高彰)さんの前を回ってピリピリしてたのに、あれで来ちゃうオグリュウ(小倉)が凄いってことですよね」


<7R>
永井清史選手
永井清史選手
   ここからが2次予選。赤板で斬った渡部哲男を叩いた永井清史(写真)が五十嵐力、五日市誠の巻き返しを封じて見事に逃げ切った。
 「気温が下がってるし、今日のほうがキツかったです。五十嵐さんを合わせ切ってから、五日市くんが来てるのも見えてた。結果的に渡部さんが内に詰まってて良い展開になりましたね。でも、もう少しかからないと準優ではまくられる。明日1日休んで修正したい」
 番手の坂上樹大が2着に流れ込んだ。
 「誰かが僕のところに粘ってくるかもっていうのは頭に入れてました。そうなったら、なったでと思ってたけど、恵まれましたね。今日は永井さまさまです。ホームで五十嵐が来たときに僕が持ってかないといけないのに気づくのが遅れた。合わせてからも永井はかかってましたよ」
 見せ場なく敗れる形になった渡部哲男は悔しさを隠せない。
 「(永井の)番手に行くかは半々でした。永井が来たのが打鐘だったので、引いてまくろうと思った。バックで行きたかったけどかぶってて行けなかった。出番がなかったですね…」


<8R>
三宅達也選手
三宅達也選手
   内をしゃくり中団を確保した三宅達也(写真)が先まくりを打った松岡健介に合わせて仕掛けると、前団をまるごと飲み込み、準決勝へと駒を進めた。
 「いったん後ろにおかれたけど、絶対スキがあると思ったし、ワンチャンスを狙って内から中団をとりに行きました。仕掛けてからも神山さんがブロックに来るのはわかっていたので、貰わないようなるべく遠回りし、そこだけ乗り切ることに集中しました。今回は身体の調子も良いし、今日は中団、中団を周れたので優位にレースを進められましたね」
 三宅に続いた前反祐一郎はダービーでは初の準決進出に会心の笑み。
 「昨日の落車最乗から、ツキが来てますね。今日も展開に恵まれすぎ。まさかこのメンバーで2着に入れるなんてね。僕の場合3着でも勝ち上がりは厳しかっただけに、本当にラッキーって感じです」
 松岡がまくり不発に終わると、俊敏に切り替えた加藤慎平も3着までが精一杯だった。
 「苦しいレースだったね。三宅さんに内をしゃくられた時点で厳しいレースになると覚悟はしたけど、今日は連独占してもおかしくない強力ラインだっただけにこの結果は悔しい。前のレースで永井が良い競走を見せてくれて気合い入ってたんだけどね…」


<9R>
山田裕仁選手
山田裕仁選手
   稲垣裕之と岩本俊介が打鐘から激しくもがき合う展開。岩本を強引に叩き切った稲垣の番手から山田裕仁(写真)がきっちり追い込んだ。
 「今日は稲垣君のおかげです。勢いが違っていたし、出切って後ろから来る気配もなかった。ラインで決まったと思い、変に気を抜いてしまいましたね。最後は中を割られて押された感じです」
 小野大介を目標にした有坂直樹は最終2コーナーから内々を進出。最後は中を割って2着に突っ込んだ。
 「外に木村(貴広)もいたし、内しかコースがなかった。たまたま内が空いてくれた。空いたのを確認しながら踏んでいった。ツキがあるね」
 稲垣裕之はゴール前で末を欠いて4着。準決勝進出を逃した。
 「岩本君ともがき合いになるのは仕方ないと思っていました。出きるまでにだいぶ脚を使いました。それでも残れる自信はあったんですけどね」


<10R>
村上博幸選手
村上博幸選手
   渡邉一成が殊勲の勝ち星を挙げた。逃げる小嶋敬二を7番手から一気にまくっての快勝劇に、クールダウン中も笑顔が絶えない。
 「どんな形であれ7番手からあの小嶋さんをまくったんだから自信になりますよ。いつもだとブロックされてセンターで飛んじゃうパターンだけど、333っていうのもあってしっかり体を預けられたし、転んでもいいぐらいの強い気持ちで乗り切れました。いつまでもベテランに負けてられませんからね」
 笑顔が戻ったのは村上博幸(写真)だ。小嶋の番手から懸命の援護。アタマこそ逃したが、きっちりと準決勝に勝ち上がった。
 「腰痛がないのがホンマにいいですね。気持ちも上がってくるし、余裕ができます。今日は本当にラインのおかげで勝てました。小嶋さんも僕を信じてレースしてくれたし、(南)修二もしっかり固めてくれた。僕も自分の役割を果たそうと必死でした。今回は気持ちも入れ込みすぎてないし、良い意味で開き直って走れているのが結果につながっているんだと思います」


<11R>
平原康多選手
平原康多選手
   検車場に引き上げた直後は思わず床に倒れ込んでしまった平原康多(写真)。渾身のレースで準決勝の権利を手にした。
 「今日はとにかく苦しかった。石丸さんの所を乗り越えて、これでペースに入れられると思ったら、内から中村さんが踏んでるのが見えてビックリしました。どこもニュートラルで回せるところがありませんでしたよ。2番(岩津)のまくりは意地で止めました。明らかに違うスピードの音が聞こえたので、思わず持って行った感じ。初日も今日もレース的には苦しかったんで、明日が休みなのは大きいですね。ゆっくりさせてもらいます」
 松坂英司は「まあ、スンナリは行かないですよね。岩津に入られてマズいと思ったけど、スピードに乗せてもらいました。内から誰かに押してもらったから直線で伸びたんじゃないですか。2着じゃなきゃ準決勝は難しかったので嬉しいですね。余計なことを考えずに済んだので前に思い切り踏めました」とホクホク顔だ。
 3着の鈴木誠は苦笑いを浮かべながら「内が空いた時に、遠慮しながら踏んだのが響いたね」と振り返る。
 石丸寛之は二次予選敗退の結果に苦虫を噛みつぶしたような顔で「平原と当てられた時点でスイッチは入ったんですけど、現状では厳しいかな」と控室に引き上げた。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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