『第63回日本選手権競輪(GI)レポート』 4日目編
 
配信日:3月5日


 松戸競輪場で開催されている「第63回 日本選手権競輪」も4日目。この日は二次予選に加え、優秀競走「ゴールデンレーサー賞」が行われた。レースは志願の前回りとなった市田佳寿浩が赤板から主導権を奪取すると、番手から村上義弘が抜け出し1着。ファンに近畿勢の結束力を存分に見せ付けた。  なお、明日の5日目は抽選で200名様に「オリジナルクオカード」が当たるスピードくじが先着2000名様に配布されるほか、元阪神タイガースの掛布雅之氏のトークショー(6R、9R終了後)など場内イベントも充実していますので、ぜひ準決勝も本場でレースをご観戦ください。


ゴールデンレーサー賞 レース経過
佐藤友和がスタートで飛び出し、誘導後位へ。山崎芳仁-伏見俊昭の福島勢を受けて北ラインが前団。坂本亮馬-井上昌己の九州コンビが中団、これに単騎の海老根恵太が続き、市田佳寿浩-村上義弘-山口幸二の中近ラインが後攻めとなる。
 青板から市田がジワジワと上昇を開始。赤板手前の4角で山崎は一瞬突っ張る構えを見せたが、市田が誘導を交わすと車を下げていく。海老根が切り替え市田ラインの4番手をキープ。坂本も切り替え中団の内で粘る形になり、山崎もなかなか引き切れないまま打鐘を迎えた。打鐘過ぎの2センターから市田が一気にフカすと、隊列が崩れ海老根が4番手、車間が空いて坂本が5番手、7番手の山崎も前との車間がかなり空いた。2角から坂本がまくり上げると、村上も3角から番手まくりを打つ。坂本は合わされ不発、後方からまくり上げる山崎も前団は遠く届かない。村上はゴール前まで踏み切り快勝。山口が巧マークで2着に入り、2車単1番人気に応えた。中近ラインを追走した海老根が3着に流れ込んだ。
ゴール
ゴール
表彰式
表彰式



<1R>
坂上忠克選手
坂上忠克選手
   先行態勢に入った伊原克彦を山口貴弘が叩いて主導権奪取。3番手からまくった伊原は不発に終わったが、坂上忠克(写真)がその後ろから鋭く伸び切った。
 「伊原が叩かれて、もう1回仕掛けてくれたんだけど、十文字が持っていくのは分かっていた。その後ろに付け直して最後は一杯一杯でしたが、何とか勝てました。前の伊原の頑張りと後ろを固めてくれた北野(武史)さんのおかげです」
 山口の先行を利した十文字貴信は惜しくも2着。
 「あれだけ行ってくれたので、1着を取りたかったんですけどね。脚がなかったです」


<2R>
伊勢崎彰大選手
伊勢崎彰大選手
   先制した岡村潤の番手から地元の伊勢崎彰大(写真)が早めに追い込み、3走目にして待望のシリーズ初白星を挙げた。
 「岡村のおかげです。後ろの志村(太賀)が来たので、1回持っていって様子を見ました。岡村がタレてきたし、最後は早めに踏ませてもらいました。今回は勝ち上がれなかったんですが、気持ちを切らすことなく走れている。明日も走れるので、この幸せを感じながら頑張ります」
 6番手からまくり上げた谷津田将吾が2着に入った。
 「前にペースで踏まれてきつかったですね。自分の脚ではあそこまででしょう。身体も重かった。でも、ダービー初参加で少し見せ場は作れたかな」


<3R>
丸山啓一選手
丸山啓一選手
   山賀雅仁の先行に乗った丸山啓一(写真)が、4角でまくる志智俊夫をけん制すると、そのまま踏み込み直線で突き抜けた。
 「オーロラビジョンを見て、志智さんが来ているのはわかっていたので、仕事だけはしっかりしようと思っていました。1走、2走は流れも悪かったけど、今日は自分の仕事もできたし、最後も志智さんにも踏み勝てているし脚の状態自体は問題ない。これでもう一走れるってこともうれしいですね」
 果敢に先行した山賀雅仁だったが、直線で失速し9着に沈んだ。
 「踏み出しは悪くなかったけど、腰を下ろしてからの車の進みが全くダメでした。2角あたりで、もうやばいと思っていたし、今日は丸山さんが勝ってくれたことだけが救いでしたね。これからは4角まで後ろに何の仕事もさせないような脚を作って行かないとですね」


<4R>
井上剛選手
井上剛選手
   主導権をとった濱田浩司が赤板からスパートをかけると、井上剛(写真)が直線で3番手から鋭く伸びて1着を奪取した。
 「今日は濱田さんの頑張りに尽きるけど、僕自身も短い直線なりに、良く踏めていたと思う。このメンバーの中で1着を取れたことはすごく自信になるし、来年こそ勝ち上がれるように頑張りたいですね。とりあえずもう1走できるので、そこもアタマを狙って行きますよ」
 果敢に駆けて3着に粘った濱田浩司だが、結果には到底満足できないようだ。
 「菅田(壱道)君が巻き返してくるかと思っていたけど、動きが無かったので、そこからは自分のペースで駆けられました。それだけに2着までには残れなかったのは悔しいですよね。今回は調整不足。もっと、ダービーに照準を絞って練習をするべきでしたね。今日みたいに攻めの姿勢があれば、こういう競走ができるのだから、一次予選からもっと強気に走るべきでした。来年こそ、しっかり走りたいですね」


<5R>
三宅伸選手
三宅伸選手
   桐山敬太郎の先行1車のメンバー構成だったが、最終的に主導権を握ったのは前受けの三宅伸(写真)だった。
 「1周半くらいやったら駆ける展開も考えてた。竜さんが何も言わずに付いてくれると何かしたくなる。無言の作戦というか、ああなるんですよね。でも、このワンツーはないわな(笑)」
 思わぬ流れで室井竜二には4角番手の展開が巡ってきた。
 「誰も来ないからひょっとして?と思ったけど、ラッキーしました。伸さんは2コーナーでもビジョンを見て、落ち着いて駆けてた。4コーナーはコケるかと思ったけど、やっぱり33は展開。1着は久々やし、嬉しいね」


<6R>
武井大介選手
武井大介選手
   武井大介(写真)が最終ホーム手前から一気にカマして後続の追撃を振り切り、今年初勝利を飾った。
 「イン斬りがあったので仕掛けやすくなったけど、思ったより出切るのに脚を使いましたね。脚は重かったです。2月があっせん停止で練習を目一杯やったので、今回はちょっとオーバーワーク。でも、最終日まで走れることになったし、海老根(恵太)さんか(鈴木)誠さんに優勝してもらって、焼肉でもご馳走してもらいます(笑)」
 北日本ライン3番手から自力に転じてまくり上げた竹内智彦が2着。
 「まくる展開になってしまい、申し訳なかったです。セッティングを換えて、昨日より感じは良くなりました」


<7R>
川村晃司選手
川村晃司選手
   川村晃司が果敢に先行。中団確保から巻き返した鈴木謙太郎は不発に終わるが、上手く鈴木後位に追い上げる形になった新田康仁が4コーナーから外を伸びて敗者戦連勝を決めた。
 「流してたら行っちゃおうと思ったけど車が出なかったので、9番(鈴木)の動きにスイッチした。周りは見えてたけど、脚に余裕がなかったですね。最後は我慢して踏んでたら伸びてくれた感じ。苦しかったですよ。あとは最終日も勝って帰れるように頑張ります」
 逃げた川村晃司(写真)は末良く3着に粘った。
 「僕は主導権を取るつもりだったし、今日は鈴木君次第でした。彼がヤル気なら共倒れだったでしょうね。感じは悪くないし、良い勝負ができました」
 鈴木謙太郎は川村の先行意欲に気合い負け。9着大敗を喫した。
 「川村さんがけっこう踏んでたのでビビッて中団に入っちゃいました。今日はバンクが重くて周回でキツかった。中団に入っても脚が一杯だったし、気持ちで負けましたね」


<8R>
金子貴志選手
金子貴志選手
   細切れで出入りの激しいレース展開になったが、栗田雅也と飯野祐太で激しい主導権争いになったところを金子貴志(写真)が豪快にまくってシリーズ1勝目を挙げた。
 「今日は流れに乗って行こうと思ってたし、タイミングも一番良い感じでいけました。2コーナーの下りを使って行ければと思ったけど、思ったより伸びました。反応が良かったですね」
 飯野の仕掛けに乗った小倉竜二が金子のまくりに切り替えて2着入線した。
 「打鐘から全開やったけんキツかったね。飯野は出切れるスピードやと思ったけど、栗田もかかってた。ああなったし、外を警戒しながらまくりに飛び付くしかなかった。抜けたら良かったけど、最後は合わされた感じ」


<9R>
石橋慎太郎選手
石橋慎太郎選手
   ライン3車の荻原尚人が主導権を握るが、上手く4番手を確保した石橋慎太郎(写真)がバックから鮮やかにまくる。シリーズ連勝で準決勝へ勝ち上がった。
 「ホントはバックを取るくらいの仕掛けがしたかったんですけどね。荻原君もけっこうかかってたので、動けなかった。(仕掛けてからも)持って来られた時に後輪が浮いてヤバいかなと思ったけど何とか行けた。初日、昨日と寒いのに、僕は暖かい2日目と今日走ってる流れにも恵まれてますね」
 荻原の逃げに乗った後閑信一が2着で準決勝進出を決めた。
 「荻原君が頑張ってくれたおかげ。彼は前々に行ってくれるし、安心してました。車間を切って残すつもりが、あんなになっちゃったけどね。自分の感じはだいぶ良いし、以前のバランスの悪さがなくなってきた。ここ何年も悔しい思いをしてきたけど、良い時の感じに近づいてきてる」


<10R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
   武田豊樹が貫禄の走りで易々と準決勝進出を決めた。
 「今日は脚を使わなかったし、ペースで駆けられたので楽でしたね。初日とは全く違いますよ。中川君が仕掛けてくるとは思わなかったけど、冷静に見て合わせられたし、状態は問題ない。本当の勝負は明日ですから。今日までは気持ちをセーブして、明日は一気に高めたい。もちろん決勝はさらに。全力で戦いますよ」
 2着には菊地圭尚(写真)が食い込んだ。
 「特に作戦はなかったけど、うまく4番手が取れましたね。1コーナーで詰まった時に行くべきでしたね。でも落車を避けられたし、ツキはあるのかな。本当の勝負は明日ですから、突破できるよう頑張ります」
 成田和也はしぶとく食い下がって3着を確保した。
 「危なかったですね。最終バックで後方だったから、これはキツイと思ったんだけど、落車を避けられたのはラッキーでした。こうやって3着に入れるってことは流れが向いているって事だし、その自信を持って準決勝に臨みたい」


<11R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   ゴールデンレーサー賞は近畿勢のペースとなった。後攻めの市田佳寿浩が押さえ先行。山崎芳仁は内に詰まって後退を余儀なくされた。中団確保の坂本亮馬が仕掛けると、合わせて村上義弘が市田の番手から踏み込んで快勝。早くも401勝目を挙げた。
 「言葉にすると安くなっちゃうけど、市田の気持ちは十分に伝わってきました。スタートが後攻めだったので、どうするのかなと思ってたんですが、周回中から先行するという雰囲気が伝わってきたし、あとは僕が応えなきゃというので必死でした。とにかく“ありがとう”という気持ちですね。これからの近畿のためにも大きなレースだったと思います。準決勝は総力戦です」
 粘り込むことはできなかった市田佳寿浩だが、表情には大きな充実感が浮かぶ。
 「村上さんの前を回らせてもらったのは嬉しいことだったし、その気持ちに応えるためにも、自分の枠を超えた走りができたと思います。近畿のSS班3人で高めあっていきたいですね。ここが勝負の大会だと思って一つずつ積み上げてきたので、準決勝も自分の全てを出して戦います」
 海老根恵太(写真)は見せ場を作れず、思わず苦笑いを浮かべた。
 「仕掛けたかったですね。行くつもりはあったんだけど8番(坂本)が邪魔になって踏み出せなかった。脚は変わらず問題ないので頑張るだけです」
 山崎芳仁は「さっと引いちゃえば面白かったな」。
 傍らでクールダウンに入った伏見俊昭は「7番手になる組み立ては避けたかったんですけどねえ。坂本君の内に差し込んだ時に、早く引いちゃえば…。任せた結果なので仕方がない」と話す。
 中団からまくり出た坂本亮馬だったが、「狙い通りのレースはできたけど、番手まくりのように踏まれては…」と手を上げる。


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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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