レース展望 日本選手権競輪とは ファンサービス テレビ放送予定 ラジオ放送予定 参考データ 優勝者の横顔

レース展望

 第63回日本選手権競輪が松戸競輪場で開催される。昨年の競輪界をリードしていた北日本と関東の2大勢力が今開催も中心となるが、地元戦に燃えるGP覇者の海老根恵太の勝負駆けや層の厚い中部勢の反撃も見どころになるだろう。


新時代の競輪が今スタートする!
昨年の勢いをそのままに武田豊樹が連覇を狙う

 昨年のタイトル戦線を席巻した北日本と関東の2大勢力だが、今年に入ってもその猛威に陰りが見える気配は全くなく、今開催も当然のように2大勢力を中心にシリーズが動いていくだろう。
 武田と平原の関東勢は年末のグランプリこそは武田が微差の2着と惜敗したが、武田は日本選手権とオールスターで2個のタイトルを獲得、平原も高松宮記念杯と11月の競輪祭で2個のタイトルを獲得。年が変わっても武田は1月の熊本記念を優勝、平原は地元の大宮記念を優勝と貫禄の走りを見せつけている。
 とりわけ武田は、昨年は平原の番手での競走が多かったが、12月・広島記念決勝では先行して神山雄一郎の優勝に貢献、熊本記念でも初日特選と2日目優秀で逃げて連絡みと近況は先行に意欲を見せている。それはもちろん、短走路の松戸での今開催を念頭においてのことだろう。今開催も連日の積極的な走りで勝ち上がって連覇を狙ってくるだろうし、決勝戦では昨年とは違って武田-平原の並びも十分に考えられる。
 武田の日本選手権連覇の野望の前に立ちふさがるのが山崎芳仁が率いる北日本勢だ。
 山崎はグランプリこそは不発に終わったが、昨年は1月の競輪祭と全日本選抜で優勝と、武田や平原と同様に2個のタイトルを獲得している。
 昨年は調子落ちの時期が何度かあり安定感はいまひとつだったが、ツボにはまった時の大ギアのスピードは他の追従を許さない。近況は位置取りにこだわったレースも増えており、後手を踏まされると苦しい松戸バンクでも破壊力抜群の怪物パワーを存分に見せつけてくれるだろう。
武田豊樹(茨城・88期)
 
山崎芳仁(福島・88期)
 

GP覇者の海老根が地元で必勝を期す!
中部勢が層の厚さで上位独占を狙う!

  徹底先行でトップクラスへ登り詰めた永井清史。自在戦法で頭角を現してきた浅井康太、衰えを知らぬ太腿パワーで爆発的な破壊力を見せつける小嶋敬二と、多種多彩な豪脚が揃う中部は層の厚さと結束力で王国復活を目指す。
 永井は昨年の共同通信社杯春一番でGII初優勝、GIでも3度優出と1年間でビッグレース決勝戦の常連へと成長を遂げた。今年1月の和歌山記念では記念初優勝を達成しており、次なる目標はもちろんGIタイトルだ。
 年末のグランプリでは関東ライン相手に遅れをとって不発に終わったが、同じ失敗を何度も繰り返すわけにはいかない。短走路が舞台の今開催なら持ち味の先行力を存分に発揮できるし、勝ち上がりは当然のこと決勝戦でも関東勢や北日本勢を後手に回しての逃げ切り優勝が十分だ。
 浅井の勝負強さも見逃せない。昨年は高松宮記念杯でGI初優出を決めて決勝3着と大健闘し、11月の競輪祭でも決勝進出を果たしている。11月の防府記念では強気の位置取りでの中団確保から捲りを決めて記念初優勝を達成、今年1月の立川記念でも柴崎淳の番手で競り負けていったんはズルズルと後退しながら、驚異的な踏み直しの直線強襲で優勝している。先行、捲り、追い込みとあらゆる戦法に抜群のセンスを見せる浅井はいつGIタイトルを獲得してもおかしくない存在だ。
 豊富な機動力を目標に常に有利にレースを運べる加藤慎平も優勝候補の1人といえる。11月の競輪祭では永井の番手を平原康多に奪われ、グランプリでは永井と共倒れと残念な結果が続いているだけに今度こその意気込みが強いはず。近況は浅井との連係も多く防府記念や立川記念でも勝ち上がりでワンツーを決めており、今開催も中部の機動力型をしっかり援護して上位独占を狙ってくる。
 絆の深さでは誰にも負けないのが義弘と博幸の村上兄弟だ。村上兄弟に市田佳寿浩の近畿トリオで臨んだSSカップみのりでは、義弘が不発の展開ながらも博幸は3着に食い込んで近況の好調さを見せつけた。そして弟の好調さに応えるように兄が再び魂の走りを見せつけたのが、2月の地元・京都向日町記念だ。決勝戦では兄が3番手の好位置を奪取、弟は外を捲る平原と内を突っ込んできた高木隆弘をしっかり止めて見事に兄弟ワンツーが決まっており、今開催も2人の連係からは目が離せない。
 地元開催のGIに熱き炎を燃やすのが海老根恵太だ。GI初優勝の寛仁親王牌は関東ラインの後ろから、グランプリでは伏見の捲りに乗っての優勝と、一見すると恵まれただけのように思えるが、大舞台でも冷静沈着にレースの流れを読み切っていた海老根の勝負勘の勝利といえる。地元開催で必要以上に熱くなるなというのは無理な注文かもしれないが、寛仁親王牌やグランプリの時のような走りができれば地元優勝が大いに期待できるだろう。
永井清史(岐阜・88期)
 
加藤慎平(岐阜・81)
 
村上博幸(京都・86期)
 
海老根恵(千葉・86期)
 

坂本亮馬と荒井崇博が九州勢を引っ張る!
展開次第で侮れない石丸寛之の捲り一発

 石丸寛之は初出場のグランプリでは見せ場なく終わってしまった。今年1月の熊本記念でも準決勝Aで4着に沈んで決勝進出を逃しており、体調面で不安を残したままだ。だが、昨年もSSカップみのり08の落車の影響で前半戦は低調だったが、そんな中でも共同通信社杯春一番で決勝進出と底力を見せつけていたし、熊本記念の二次予選Aでは先行して2着に粘って西田雅志とワンツーを決めており、長期欠場明けといえども決して戦えない状態ではなかった。今開催も展開次第という条件がつきそうだが、捲りのスペシャリスト・石丸の一発はやはり侮れないところだろう。
 今年はS級S班を1人も出すことができなかった九州勢だが、そんな沈滞ムードの中で輝くばかりの活躍を見せているのが坂本亮馬だ。昨年9月の花月園記念で記念初優勝達成すると、12月の岐阜記念で2度目の記念優勝を達成して今開催の特選スタートの権利を見事に勝ちとっている。
 11月の競輪祭でも二次予選と準決勝を得意の捲りで連勝して決勝進出、決勝戦も3着と健闘して地元ファンの歓声に応えていたのは記憶に新しい。若手は勢いに乗ると手をつけられない強さを発揮することがよくあるので、今開催も特選スタートの利を生かしての積極的な仕掛けで好スタートが切れれば、あれよあれよというまの決勝進出がありうるだろう。
 荒井崇博は一昨年S級S班の座から陥落してしまったが、今年は年頭からエンジン全開で飛ばして好成績を残している。
 正月開催の岸和田FIでは捲りの3連発で完全優勝、次場所の大宮記念では決勝戦は4着と敗れたが準決勝Aは捲って1着通過、2月の川崎FIも稲垣裕之、佐藤慎太郎らを相手に捲りの3連発で完全優勝を達成している。
 今開催も荒井の大捲り一発が狙えるし、若さ溢れる坂本亮馬や闘志満々の荒井の走りに刺激された九州勢の逆襲も大いに期待できる。
石丸寛之(岡山・76期)
 
坂本亮馬(福岡・90期)
 
PAGE TOP

日本選手権の思い出 ~第58回 平成17年3月21日決勝 優勝 鈴木誠~
鈴木誠が地元で13年7カ月ぶりのGI優勝を達成!

 伏見俊昭-鈴木誠が正攻法、3番手に武田豊樹―後閑信一、5番手に単騎の小嶋敬二、6番手に村上義弘―内林久徳、8番手に吉岡稔真―合志正臣の並びで周回。赤板から村上が上昇を開始すると武田も合わせて動くが、村上が伏見を抑えて先頭に立つと武田は5番手まで引く。インに詰まった伏見だが、内からすくって再び先頭に立ち、突っ張り先行の構え。打鐘の3角から伏見がスパートすると、3番手の村上はやや離れ気味となり、さらに5番手の吉岡以下は前団と車間が大きく空いてしまい、7番手に武田、最後尾に小嶋の展開となる。最終2角でようやく追いついた村上がそのまま捲っていくが、自ら牽制に出た伏見に合わされて車が伸びない。その隙を突いて39歳のベテラン・鈴木が最内のコースを伸び切って地元GI優勝を達成、伏見が2着に粘り、3着には合志が入った。

直線が短くカントも緩いので先行有利
基本は先行有利でもGIでは捲りも決まりやすい

 333バンクの松戸は全国の競輪場の中でも直線の長さが有数の短さで、カントも333バンクの中では最も浅く、先行有利が基本である。
 先行は2周先行のつもりで早めに仕掛けて、踏み直しの利くタイプが理想的。遅くても打鐘から仕掛けて、ペース駆けできるタイプがいい。
 バンク自体はそれほど重くないが、バンクの周囲に高い建物ができてビル風のようなものが吹くようになり、特に風の強い時はホームが重い。バンクの周りがどこも向かい風ということもある。
 そのため早めの仕掛けで主導権を取っても重いホームでペースが落ちてしまい、伏兵の捲りが決まってしまうことがある。
 そこで05年に開催された日本選手権の決まり手を見てみよう。全66レースのうち1着は逃げが9回、捲りが23回、差しが34回、2着は逃げが12回、捲りが8回、差しが22回、マークが24回となっている。
 基本は先行有利だが、さすがにGIでは逃げ切りは難しい。トップクラスの選手は巻き返しが早いので、短走路であっても捲りがよく決まっており、先手ラインの選手が1着になったレースは全体の半数以下の25回だけだった。

松戸バンク
松戸バンク



バンク内で風が渦巻くことも

 周長は333m、最大カントは29度44分42秒、見なし直線は38.2m。バンク全周がポリカーボネートで囲われているので風の逃げ道がなく、風向きによってはバンク内で風が渦巻くことがあり、突風みたいな風が吹くこともある。そのため競りはイン有利が基本だが、バンク内の風が強くなるとインが急に重くなるので必ずしもイン有利とはいえない。

昨年の日本選手権競輪(岸和田)決勝ゴール。
昨年の日本選手権競輪(岸和田)決勝ゴール。

(3)武田豊樹が捲りで、念願のGI初優勝を達成。2着に(4)加藤慎平が入線。
(3)武田豊樹が捲りで、念願のGI初優勝を達成。2着に(4)加藤慎平が入線。



PAGE TOP