『第64回日本選手権競輪(GI)レポート』 初日編
配信日:3月1日
いよいよ開幕した日本選手権初日はあいにくの雨天となってしまったがレースは熱戦の連続。最終11Rの特選競走では深谷知広と松岡貴久が激しくぶつかり合う迫力のレースとなった。地元勢の奮起もシリーズを盛り上げる。吉田敏洋、山内卓也ら愛知県勢が後半3Rを制し、場内のファンから喝采を浴びた。
明日(2日)もSKE48が名古屋競輪場に登場。先着2000名様にお配りするラッキーカードの抽選会も行います。ぜひ本場へお越しください。
<1R>
稲垣裕之選手
オープニングレースを制したのは菅原晃。後方で足を溜めて、一気の巻き返しを見せた。まくられた
稲垣裕之(写真)
だが、粘り強く踏み直して菅原を追って2着入線。
「まくられてしまったけど、最後まで踏めたのは最近のトレーニングの成果やと思います。ここには練習量が出ましたね。1レース毎に戻っている手応えもあるし、ケガをしたことをいいように考えられるようにしていきたいですね。課題だった初日を突破できたし、しっかり勝ち上がっていきたい」
<2R>
中村淳選手
長塚智広が鮮やかなまくりで快勝。続いた
中村淳(写真)
は「どこまで行っても抜けないですよ。調子を上げてきてからは初めて付いたけど、余裕があるから仕掛けも早いし、タイミングも完璧です」と脱帽する。
新鋭・
才迫勇馬
は初日突破ならず。
「力は出し切れました。長塚さんの仕掛けが思いのほか早かった。力がありませんね…」
<3R>
神山拓弥選手
関東勢が上位を独占。
神山拓弥(写真)
が中団まくりで快勝した。
「2コーナーで行くべきだったんですけど、身体が動きませんでしたね。後ろに2人も付いてくれていたのに。そこが反省点です。脚自体はまずまず仕上がっていると思う。今年初勝利がG1なのは嬉しいし、明日からにつなげていきたい」
木村貴宏
も3着での入線にえびす顔。
「自分の位置は絡まれるところだからヒヤヒヤだったけど、何とかこらえられて良かった。3着か4着かはでかいですからね。芦澤も頑張ってくれたし、とにかくホッとしました」
<4R>
佐々木則幸選手
人気を集めた南関勢をあっさりとまくった
佐々木則幸(写真)
は満面の笑顔。
「高松記念から帰ってきたあと、スピード練習や出足に集中した練習をやって来たのが良かったみたいですね。前がゴチャついてくれたし、展開に恵まれました」
<5R>
望月裕一郎選手
松坂洋平
が逃げ切って穴を開けた。「ペースで駆けられただけです」と本人は謙遜するが、2着の
望月裕一郎(写真)
は「良いカカリでしたよ。番手がもつれて厳しかったと思うけど、萩原君も頑張ってくれましたね。自分は足がたまっていたし、余裕はあった。できればアタマまで行きたかったね」と後輩たちの走りを賞賛する。
番手を攻めた
小野俊之
は3着での勝ち上がり。
「セッティングを大幅に変えたんですが、前を抜ける感触はなかったですね。明日、休みになるので、しっかりとベストセッティングを出していきたい」
<6R>
山田裕仁選手
自力に転じた
山田裕仁(写真)
が1着で予選を突破。
「いつもの位置に戻れましたね(笑)。初日が勝負と思ってきていたので、通過できたのは素直に嬉しい。柴崎君が止まってしまったのもあるけど、後ろにまくりラインがいたので、怖いので早めに仕掛けました」
俊敏な動きを見せた
武井大介
は複雑な表情。「石橋も頑張ってくれたんですけどね。山田さんの動きに反応できたので何とかなりました」。
<7R>
石丸寛之選手
石丸寛之(写真)
が早めの仕掛けで川村晃司を捕らえた。
「いつもより早い仕掛けだったけど、行ける感じがあったので思い切って行きました。いつも位置取りで三宅さんに迷惑をかけてますしね。雨で伸さんとのレースということで、西武園の全日本選抜を思い出しましたよ」
三宅伸
も「踏み出すタイミングがいつもと違ったので離れてしまった。外を踏んで伸びているし悪くないね。ここ2場所、落車が続いたけど、かえって力まずに済む感じで感触は良いね」
<8R>
木暮安由選手
木暮安由(写真)
が名古屋バンク"5"連勝を達成した。
「名古屋で負けなし? タマタマですよ。でも今日は緊張しましたね。先に小林さんが勝ち上がっていたし。大事に行きすぎました。2コーナーで行けたね」
2着の
太田真一
は「木暮が叩くと思って踏んだので突っかけちゃいました(笑)。良いレースだったと思います。仕掛ける気持ちがあるからあの位置に入れたんだと思いますよ」。
<9R>
山内卓也選手
ファンの注目を一身に集めた地元コンビが完璧なレース運びで人気に応えた。駆けた
吉田敏洋
は「うまいペースで駆けられましたね。まくれそうでまくれない感じ。僕らしい技ですよ。初日に走れて良かった。一次予選を逃げて突破できたのは大きいですよ。自分のかかりも把握できるから、シリーズを通して作戦を立てられる。何より気持ち的にもホッとします。さすがに昨晩はなかなか寝付けませんでしたからね(笑)」
山内卓也(写真)
は「涙が出そうになった」と地元G1での予選突破を喜ぶ。
「久しぶりに目立てましたね。作戦的には自分たちの考え通りだったし、吉田君も落ち着いて走ってくれた。自分も良い感じでしたよ。とにかく初日が勝負だからホッとしてます」
<10R>
朝日勇選手
朝日勇(写真)
が三番手から突き抜けて三連単は50万円オーバーの高配当となった。
「正直、緊張しました。やっぱり地元ですから。落ち着いて走れたけど、この1着は本当に大きいです」
2着の
深澤伸介
は「ちょっとスッキリしない形での勝ち上がりになってしまいましたね。あそこで待っても自分の着はないし。勝ち上がれたんで、少しでも上のレースを走れるよう頑張るだけです」
<11R>
山口幸二選手
最終レースは競輪の醍醐味、迫力を堪能できる見応え十分のレースになった。勝った
深谷知広
は「出切られたのは悔しいですね。松岡さんのカマシは見えたけど、その時には対処できないスピードだった。出してからはうまく走れたと思います。これで2日休みになるので、先輩たちにどう過ごしたらいいかを聞いて、しっかり体調を整えていきたいと思います」とコメント。
番手を死守した
山口幸二(写真)
も「状態的にはタテが厳しいので、ヨコで勝負しました」と内容には納得の表情を見せる。
松岡貴久
は「何かやると言ったでしょう。狙っていたというより、出切れそうなタイミングと感じだったので踏みました。病み上がりにしては上出来でしょう」と満足げ。
村上博幸
は見せ場なく終わってしまったが、「松岡君のカマシで判断が狂った。誰かが粘るとは思っていたけど、平原が来るとは思ってなかったね。最終1コーナーでゴチャゴチャになって、レースが見えなくなってしまった。感じは悪くないんで、次はしっかり走りたい」
<2日目:5R>
稲村成浩選手
13年松戸大会覇者の
稲村成浩(写真)
が準備万端を強調した。「松戸? 何年も前の話ですよ。ただ、今回へは良い調整が出来ました。ダービーはG1の中でも、一番大事なレース。ギックリ腰が治り、前橋ドームと街道でじっくりと乗り込めた。展開も向きそうだし楽しみ」。
鈴木誠
は17年松戸大会の覇者。前走松戸記念の準決勝で落車したが、口ぶりからは余裕が窺える。「間隔が空いて、体のケアから乗り込みからしっかりと出来た。大丈夫。レース勘? 問題ないでしょ」。
<2日目:6R>
金子貴志選手
金子貴志(写真)
が地元ビッグに平常心で臨む。深谷知広の師匠として面目を保てるか、17年当所オールスターで準優勝の様な大活躍を見せるか注目を集める身で、「1月から計画通りに、乗り込んで調整した。直前の中部地区合宿では軽めに練習して、状態は問題ない。深谷君は凄い仕上がりだった。オレは疲れを抜く意味の練習でゆったり乗ったけど、深谷君は良い上がりタイムばかり。深谷君は特選シードだし、上位戦で連係出来る様にオレも頑張ります」。
坂本健太郎
は先の西王座戦で準優勝と、ランクを上げてのダービー参戦。「沖縄で田中誠君と合宿練習してきました。めいっぱい乗り込んだから、結果がどう出るか。名古屋は何年も前に走って以来だけど、2日目スタートで初日にバンクの特徴を確認出来るのは大きい。集中して頑張ります」。
<2日目:7R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎(写真)
にブランクの心配は無しだ。約1ヶ月半の間に充実の練習を消化した様子で、「上越勢で一番のデキ? みんなが言う程じゃないですよ(笑)。普段と違ってレースへの調整とか考えず、じっくり乗り込めました。少し自信がありますよ。レース勘だけが問題で、思い切り攻めるのが大事」。
萩原操
が『ダークホース』へ名乗りを上げた。昨年の松戸大会一次予選は大まくりで快勝と、見せ場を作り「今年も? うん、そうだね。狙えるデキだよね。最近は決勝に乗れてないけど、自分としてはずっと感じ良い」。
<2日目:8R>
濱口高彰選手
濱口高彰(写真)
には平成9年の岸和田でG1初制覇に輝いた思い出の多いダービー。静岡、高松と記念連続優参中とミニスランプを脱出した状態での臨戦に、「ギア選択やフレームの寸法、セッティングなど噛み合ってきた。2月は量を増やした時期、減らした時期と、メリハリ考えて練習した。その成果で感じが良い」。
山賀雅仁
が余裕たっぷりで報道陣に受け答え。直前の2月大宮で準優勝と戦歴回復中で、「大宮ではイメージ通りに戦えたし、気持ちとか状態とか、良い感じに。自信持って戦えます。勝負所を逃がさず、しっかりと」。
<2日目:9R>
渡邉一成選手
渡邉一成(写真)
がワールドカップ帰りでも問題無しだ。「時差ボケは最小限だし、2日目は天気が晴れそうだから良かった、戦いやすい。普段通り自分のレースをするだけだし、出来る状態だと思います。山崎(芳仁)さんのグランドスラム阻止? 意識してませんよ(笑)。もし同じレースになれば、自分は自分の役割を果たす。そうすれば、自分にも山崎さんにもチャンス。上位戦で連係できるように全力を尽くします」
澤田義和
は調整万全の様子だ。「鹿児島で中村(一将)君や松岡(健介)君、若手とかで合宿練習してきました。久々に良い練習が出来た。しっかりと調整したし、オーバーワークの心配無し。展開が向けば何とかなる」。
<2日目:10R>
佐藤友和選手
北日本の先頭を務める
佐藤友和(写真)
は「新田(祐大)君と話をし、気持ちを聞いて、自分が前になりました。1走目で番手の競走になると、2走目、3走目の自力の時に不安になるので、これで良かったと思います。高松記念から配分は詰まっているが、今は冬季移動で茨城の守谷にいるから、移動で疲れない。練習も出来たので状態は良いと思います」。
メンバー中一番のバック数誇る
永井清史
がレースを作りそうだ。「地元地区のGⅠなのでしっかり練習してきました。直前に名古屋バンクで中部地区の合宿があってバンクの感触も確かめました。状態は良いので、後ろの(加藤)慎平さんと二人で決めたいですね」。
<2日目:11R>
坂本亮馬選手
単騎で走る
坂本亮馬(写真)
の動きがこのレースの鍵になりそうだ。「高松記念はギックリ腰で欠場。2日目なのは休む時間が取れるのでプラスですね。単騎なので頭を使って走ります。タテかヨコか流れですね」。
中部地区の開催だけに
小嶋敬二
の鼻息が荒い。「松阪、豊橋と連続落車したが、時間があったのでもう大丈夫です。今年の中では一番良いと言っていいくらい。名古屋は相性が良いし、スピードバンクなので自分に合っていると思いますよ」。
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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