『第64回日本選手権競輪(GI)レポート』 4日目編
 
配信日:3月4日


 第64回日本選手権も折り返し地点を通過。二次予選の残り2Rとゴールデンレーサー賞を終えて準決勝のメンバーが出そろった。実力伯仲の戦いは見応え十分。最高峰の戦いにふさわしいレースが繰り広げられた。
 明日(5日)は「名古屋おもてなし武将隊」が登場。ウルトラマンマックスのミニショーも行われます。選手会愛知支部のチャリティーオークションもございます。ぜひ本場で盛りだくさんのイベント共に、トップ選手たちの熱い走りを堪能してください。


ゴールデンレーサー賞 レース経過
 武田豊樹がスタート争いを制し、前団は武田―神山雄一郎。以下の隊列は市田佳寿浩―村上義弘、深谷知広―山口幸二、海老根恵太―伏見俊昭で最後方に松岡貴久が構え周回を重ねる。
 海老根は青板バックからじわりと上昇を始める。合わせて深谷、市田も動き赤板は3車で併走となり武田は下げる。市田が海老根を押さえるが、すかさず武田が後方から巻き返し打鐘前に誘導を下ろす。先行態勢を取った武田―神山に市田―村上が続き、松岡が切り替える。市田ラインの外に深谷―山口が併走し、海老根は後方。
 打鐘の4コーナーから武田がペースを上げて逃げるが、3番手外併走の深谷が最終ホームから襲いかかる。武田も必死の抵抗を見せたものの、深谷が強引に捻じ伏せた。しかし、深谷ラインを追った海老根が、深谷が出切った2コーナー過ぎからさらにまくり上げる。深谷も懸命に合わせるが、海老根がスピード良くまくり切って直線へ。
 海老根の番手から伏見が楽に抜け出し1着。海老根はゴール前で力尽き、伏見に切り替えた松岡が2着。外のコースを村上が強襲するもタイヤ差の3着まで。
ゴール
ゴール
表彰式
表彰式



<1R>
 藤田竜矢が打鐘からペース駆けに持ち込むが、後方8番手から三宅達也が好回転のまくりを決めた。
 「初日にこの競走ができれば良かったのに。詰まった所で体が反応したし、前の荒井(崇博)君が良い目標になった。バックの追い風も味方にできた。やっとすっきりしたので、もう一走頑張ります」。
 2着に流れ込んだ西田雅志は「(三宅のまくりは)バイクみたいでしたよ。8、9着で気持ちが落ちたけど、この2着で回復しました」。


<2R>
 才迫勇馬の先行を6番手に構えた田中誠がバックまくりでひと飲み。追走した中谷渉と久留米コンビでワンツーを決めた。
 「前のレースで三宅(達也)さんがまくったの見ていて、あの位置(1センター)からのまくりが良いなと思っていた。才迫も牛山(貴広)を叩くのに脚を使っていたんでしょう。その分だけまくれました」。


<3R>
 岩本俊介が打鐘で仕掛けると志村太賀がイン粘り。隊列が短くなった所を松岡健介が一気に仕掛けて南修二とのマッチレース。ゴール寸前で南修二が捕えた。
 「付いている感覚で抜きに行ったら、抜けそうじゃなかったので、踏み直しました」。
 今回のダービーが腰のヘルニア手術からの復帰戦となった松岡健介。三走目でようやくまくりを決めたが「最終ホームで千切れるかと思った。2着だけどまだまだ完全復調までには時間がかかりそうです」。


<4R>
吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
   二走続けて9着と良いところなしだった吉本卓仁(写真)が、持ち味を発揮して見事なまくりで今シリーズ初白星。
 「車の出は悪かったですけどね。自分でも出切れるかどうかという踏み出しだったけど、途中からスピードに乗っていった。今回は調整不足かもしれません。疲れはないけど、何だかいつもの感じではないですね」


<5R>
新田康仁選手
新田康仁選手
   新田康仁(写真)が前受けからそのまま押し切った。前走で落車してしまったが、影響を感じさせない元気いっぱいの走り。
 「完璧ではないけど、勝てているし問題ないですね。今日は作戦がはまりました。うまく内に誘い込んだ形になったし、そのままペースで駆けられたね」
 敗れた金澤竜二は「持ち味のカマシで勝負しようと思ったんだけど…。テクニックで負けました」とうなだれる。


<6R>
後閑信一選手
後閑信一選手
   後閑信一(写真)がインコースを駆け抜けて1着。二度目の確定板行きを達成した。
 「やっぱりG1での勝ち星は何よりの薬ですね。佐藤君が(ブロックから)戻ってくるのを待ったけど、なかなか帰ってこなかったので前に踏ませてもらいました。次もしっかり頑張りますよ」
 佐藤朋也は慣れない番手戦を終えて、「ギアは下げる必要なかったですね。失敗しました」と言葉少ない。


<7R>
内藤宣彦選手
内藤宣彦選手
   内藤宣彦(写真)が連勝。近畿勢追走から頭に突き抜けて思わずニンマリ。
 「中村(一将)君が止めに行ったら危なかったけど、(まくりが)来たのを見て前に踏んでくれて展開が向きました。正直、レース中は全く余裕がないんだけど、とにかく展開が向いてくれている。この1着は僕にとって大きいですね」


<8R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
   近畿同士で激しくやり合う展開となった。逃げた脇本雄太(写真)は一戦毎に調子を取り戻しているよう。川村晃司の反撃を見事に跳ね返した。
 「近畿同士だけど、割り切って戦う以上、真剣勝負ですよ。今日はホームで良い感じに踏めた。残る課題は粘りですね」
 坂上忠克も的確なけん制で脇本を援護。最後もしっかり差し切った。
 「気持ちよかったですね。あれだけ早めに行ってくれている訳だし、自分もできる全てを使って脇本を援護するつもりでした」


<9R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
成田和也選手
成田和也選手
   残る2つの二次予選。魅せたのは福島コンビだ。小嶋敬二の先行を渡邉一成(写真)が豪快にまくった。だが結果は3着。
 「(準決勝に)上がれないんですよね。やっぱりこの勝ち上がりは厳しい。あのタイミングで行きたくはなかったけど、小嶋さんもかなり加速していたし、まくり追い込みに構えたら届かないと思ったので仕掛けました。無理矢理だったのできつかったですね」
 渡邉の番手から抜け出した成田和也(写真)が1着。久しぶりの勝ち星を挙げた。
 「渡邉君が強かったですね。ワンツーを決めたかったけど…。1着は取れていないなと思ってたけど、これほど取れていないとは思わなかった。ものすごく良かった時期に比べると物足りない部分はあるけど、戦える状態ではあると思います」
 2着に飛び込んで準決勝行きを決めた太田真一
 「とにかくみんな強い。痺れました。でも余裕はありましたよ。自分の踏み出しは相変わらず合わなかったけど、追いかける感じは悪くなかった。2着までというのは分かっていたので気合が入りました」


<10R>
松坂洋平選手
松坂洋平選手
平原康多選手
平原康多選手
   松坂洋平(写真)が逃げ切る大金星。マイペースでぐんぐん加速し、番手にはまったSSレーサーを寄せ付けなかった。
 「自分でもビックリ。ペースで駆けられました。風が強くてきつかったけど、何とか最後まで踏み切れました。特に変わったことをしてきた訳じゃないけど、しっかり練習してこられたのが良かったのかな。後ろに平原君が入っているのは分かりませんでした。準決勝でも先行でどこまで行けるか頑張りたいと思います」
 平原康多(写真)は「バックで後輪が壊れてしまい、全く踏めなかった。良く(準決勝に)乗れたと思います」と話す。
 見せ場なく終わってしまった佐々木則幸は「今日はとにかく風が強くて、走路が重かった。周回中から苦しくて、勝負所で一杯になってしまった。回転で勝負したい僕みたいなタイプには厳しいコンディションでしたね」と振り返った。


<11R>
深谷知広選手
深谷知広選手
武田豊樹選手
武田豊樹選手
村上義弘選手
村上義弘選手
   ゴールデンレーサー賞は、その名に違わず迫力満点の強烈な攻防が繰り広げられた。強引に主導権を奪った深谷知広(写真)だが「まだ駄目ですね。感覚で走れていない。行くかどうかを何度も考えてからになっちゃってますね。出切れたけど、そこで終わってしまっては意味がない。しっかり修正して、準決勝で勝負したい」と険しい表情を崩さない。
 一方、武田豊樹(写真)は「深谷君だけを見てレースをしていた訳じゃない。流れの中でしっかり対応するつもりだったし、隙があれば先行するつもりでした。ただ、今日は風が強くて、先頭に出てからは自分の感覚とはズレた重さがありましたね。明日はその辺も考えて、しっかり走りたい」。
 3着の村上義弘(写真)も白い歯を見せることはなかった。
 「今日は市田(佳寿浩)に任せていたレースだったけど、赤板から打鐘までの動きはさすがだと思いましたね。後方になる選手じゃないから、最終バックまで市田の動きを見て、どこを踏むか判断しました。悪くなかったと思うけど、最後はちょっと脚がなかったね」
 海老根恵太も存在感を発揮したが、着には結びつかず。
 「ギアがスカスカして踏み応えが足りなかった。戻すつもりです。その分、最後の伸びがなかったですね。いつもよりは早めに仕掛けられたし、調子に不安な部分はありません」
 表彰式を終えた伏見俊昭は終始上機嫌。早くも明日の戦いに向けて気持ちを切り替えていた。
 「海老根君が強かった。あのタイミングで巻き返してくれるんだからさすがですよ。今回は展開だけ。でも、ようやく流れが向いてくるようになりましたね。静岡記念で先行したのが良かったのかな。今日勝っても、明日負けたらなんの意味もないので、集中して頑張ります」


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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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