『第66回日本選手権競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:3月24日
 「第66回日本選手権競輪」はいよいよ最終日を迎え、立川競輪場には9千人を超す多くのファンが詰めかけた。注目の決勝戦は超ハイペースの流れ。単騎の村上義弘が最終バックからまくった武田豊樹に乗って鋭く抜け出し、2度目のダービー制覇を果たした。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると外枠の深谷知広がいち早く出て誘導の後ろを取る。初手は深谷、村上義弘、佐藤友和ー菊地圭尚ー山崎芳仁ー成田和也ー佐藤慎太郎、牛山貴広ー武田豊樹の順。
 周回が進み、青板ホームから牛山が早めに上昇し、佐藤友を押さえる。すると佐藤友はすぐに武田の後ろに車を下げた。牛山は青板バックを過ぎたところで誘導を下ろし、先頭に躍り出る。すると、すかさず佐藤友が反撃に出て、牛山を叩いて主導権を奪う。このとき、山崎は口が空いて武田にさばかれてしまい、茨城コンビは菊地の後ろにはまる。また、村上は巧く武田の後位にスイッチし、前受けの深谷は最後方まで下げて様子をうかがう。先頭の佐藤友は緩めることなくフカしていく一方で、ジャンで牛山が仕掛けるが、菊地に弾かれ万事休す。最終ホームを通過し、佐藤友がタレてくると、菊地が番手まくり敢行。しかし、菊地もすでに脚を消耗していて伸びは今ひとつ。すると、その上を武田がまくっていき、バック線を先頭で通過。武田に続いた村上、山崎らがゴール目掛けてモガく一方、深谷も後方からスパート。最後は武田を追った村上が直線抜け出して1着でゴールした。深谷は猛然と外を迫るも2着まで。山崎が3着、武田はゴール前失速して4着。


ゴール
ゴール
表彰式
表彰式
胴上げ
胴上げ
<1R>
望月永悟選手
望月永悟選手
  上野真吾が打鐘で先頭に立ち主導権。番手を回った海老根恵太は最終バックから番手まくり。ゴール前は追い込んだ望月永悟との横一戦の接戦。結果は海老根と望月の1着同着となった。
 「連日、前の後輩が頑張ってくれてるけど、モノに出来ないのが今の実力。ここに来る前は全日本選抜に参加する時と同じようにやってきたけど、強いて言うならやりすぎた部分があるのかも。それも含めて、自分の責任だし、実力不足ということです」
 望月永悟(写真)は長い直線をしっかり追い込んだ。
 「自分はラインについて行っただけです。最終日にしてようやく修正が施せた感じですね。特別レースになると、自分自身が固くなるというか、力を出し切れないことが多いですね」

<2R>
中村浩士選手
中村浩士選手
 逃げたのは小埜正義。小埜をマークした中村浩士(写真)は、スピード良くまくる金子貴志へとスイッチ。直線で金子を捕らえた。
 「小埜君があれだけ頑張ってくれたから。止めたかったけど、金子君のスピードに自分が対処できず、切り替えて追うしかなかった。着順は抜きにして、このシリーズを通して、自分がそのレースでやるべきことはしっかりと出来たし、その中で課題も見つかっている。それを持ち帰って、また煮詰めていかないと」

<3R>
松岡健介選手
松岡健介選手
 若手機動型が激しく火花を散らした。最終的に主導権を握ったのは稲毛健太。その番手を回った松岡健介(写真)が鋭く追い込み、連勝でシリーズを締めくくった。
 「稲毛が本当に強かった。もう少し落ち着いてペースで踏めていれば残れていたと思う。最後はいっぱいそうだったので、少し早めに踏ませてもらいました。今回は戦えるデキだったし、初日の4着が全てですね」
 5番手から好回転でまくり上げた吉本卓仁が2着に強襲した。
 「ホームで稲毛君のラインに切り替えることができれば良かったんですけどね。その辺りが甘いし、今の課題です。今回は5走してきつかったけど、状態的には悪くなかったと思います」

<4R>
根田空史選手
根田空史選手
 根田空史(写真)が打鐘過ぎに西谷岳文を叩いて先行。長い距離を力強く踏み切り、シリーズ2勝目をゲットした。
 「思い通りのレースができました。今日は気温が下がってバンクが重く感じたけど、最後までしっかり踏めたと思います。2勝できたし、だんだんG1でも戦える手応えをつかめてきています。次はG1の二次予選を突破したいですね」

<5R>
上原龍選手
上原龍選手
 田中晴基と早坂秀悟で激しい主導権争いとなった。脚を溜めていた上原龍(写真)が豪快にまくって圧勝した。
 「昨日は先行を見せておきましたからね。早坂君と田中君がやりあう展開になれば最高だと思っていたけど、いい展開になりました。あとは一発ガツンと踏むだけでした。今回はこういう大きな舞台を経験できて、自信になりました。これからもチャレンジしていきます」

<6R>
小倉竜二選手
小倉竜二選手
 中川誠一郎、水谷好宏の先行争いを三宅達也がひとまくり。乗った小倉竜二(写真)が直線でシャープに伸び切った。
 「達也も調子があんまり良くないみたいだからどうかなって思っていたけど、展開が向きましたね。付いてて余裕はあったし、珍しく前を抜けました(笑)。今回は一走目、二走目と展開が厳しくて勝負権がなかったですね。残りの2走は感じ良く踏めたし、まずまずでしょう」
 三宅達也は最終日にようやく連にからんだ。
 「今日は展開ですね。でも、車の出はやっぱり良くない。成績を見てもらって分かる通り状態が悪かった。もう少し時間がかかると思います。でも、最後にワンツーが決まって気分良く帰れます」

<7R>
平原康多選手
平原康多選手
 小嶋敬二が先行して平原康多(写真)は4番手を確保。最終2コーナーからまくって人気に応えた。
 「1着だけど加速感が全然ないですね。イメージ通りに車が進んでくれない。もっと上を目指してセッティングとかを換えたけど、今回はそれが完全に裏目に出ました。しっかり修正しながらやっていきます」
 地元の佐藤真一がきっちり続いて埼京ワンツーを決めた。
 「しっかり付いていけて良かったです。20年前にここ立川競輪場で日本選手権を初めて見たんですよ。それで選手を目指す決心をしました。その舞台に立つことが夢だったし、走りきれて良かったです。18歳の頃の気持ちを思い出しましたね」

<8R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
 渡邉一成(写真)が8番手からのまくり追い込みで強襲。上がり11秒0の好タイムで大外を鮮やかに突き抜けた。
 「今日は自分のレースをさせてもらいました。前にいた山賀(雅仁)さんがもっと伸びていたら届かなかったと思います。今回は初日に負けてしまったのが全てですね。まだまだ本調子ではないし、これからですね」
 6番手からまくった山賀雅仁が2着に入った。
 「やっぱあれでも(渡邉一成は)きますね。強かったです。今回はそれなりの結果を残せたけど、優勝を狙ってきているし、満足はできない。でも、いつもと違うレースも見せることができました。次こそ決勝に乗りたい」

<9R>
浅井康太選手
浅井康太選手
 打鐘過ぎの4コーナーで4番手外併走を嫌った新田康仁が一気にスパート。その後位にはまった川村晃司がすかさず番手まくりを試みるが、新田がこれを大きくブロックしてもつれる。浅井康太(写真)が空いたインコースからまくって激戦を制した。
 「ちょうど踏んだところでコースが空いただけ。今日は展開とかじゃなく、恵まれただけですね」
 柏野智典はしぶとく3着に入り、4走全てで確定板入りを果たした。
 「今日は上がったときに伏見さんに内に入られて、続いただけですからね。伏見さんに入られなければ2着はあった。今回は成績をまとめられたけど、自分の中ではチャンスを生かせなかったという思いがあります」

<10R>
岡田征陽選手
岡田征陽選手
 脇本雄太の逃げを新田祐大が4番手から鮮やかにまくり切る。新田を好マークした地元の岡田征陽(写真)が渾身の追い込みで捕らえ、最終日を白星で締めた。
 「新田君が本当に強かった。ワンツーが決まって良かった。今回は準決だけ悔いが残りますね。まくりにいけるタイミングがあったのに仕掛けられなかった。でも、まだG1戦線は続くし、また頑張ります」
 新田祐大はシリーズ3連対。連日のスピードは光っていた。
 「今日は脇本はいつも通りの競走だろうし、あとは(鈴木)謙太郎の出方次第でしたね。結果的に流れで4番手からまくる形になりました。でも、抜かれてますからね。もし決勝に乗れていても優勝はなかったということ。徐々に戦えるようになっているし、次は決勝に乗りたい」

<11R>
深谷知広選手
深谷知広選手
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 注目の決勝戦は超ハイペースの展開となった。最終的に好位からまくった武田豊樹に乗って村上義弘が直線一気。2度目のダービー制覇を果たした。完全Vを狙った深谷知広(写真)は後方からまくって2着まで。人気に応えることはできなかった。
 「あんなに早くレースが動くとは想定してなかった。普段なら打鐘かなと思うところで鐘が鳴ってなかったし、打鐘が聞こえた時には相当脚にきてた。あんな早い展開に対応できる脚はないですね。限界を超えたレースでした。(全日本選抜の)2着、(ダービーの)2着で悔しい。G1の優勝は遠いですね」
 5車で結束した北日本勢。ライン3番手かグランドスラム達成に焦点を定めた山崎芳仁(写真)は佐藤友の仕掛けに踏み遅れてしまい万事休す。切り替えて村上を追走したが、3着に入るのが精いっぱいだった。
 「レースの展開が早すぎて脚はずっといっぱい。なんとかニュートラルに入れてから脚を溜めて出て行こうと思ったけど、休めたのが最終ホームだった。自分も仕掛けたかったけど、そこから武田さんが仕掛けるのが見えて、自分も必死で踏んだけどもう伸びなかった。グランドスラムはそう簡単には取らせてもらえないですね」
 武田豊樹は弟子の牛山の仕掛けもあり3番手と絶好の位置をキープ。最終2コーナーからまくりを仕掛けるが、直線では末を欠き着外の4着に沈んだ。
 「北日本ラインが、ガンガン行くつもりなら、牛山はモガキ合うつもりだった。自分が3番手に収まるまでは、いい展開でした。レースが思った以上のハイペースになった。深谷にとって良い展開になってしまったと思ったが、ハイペースすぎましたね。あんなペースでレースをされるとバックを踏めない大きなギアは要らない。結果は一番強い村上君が勝ったわけだし、納得の結果でしょう」
 山崎を追走した成田和也は5着。ダービー連覇はならなかった。
 「山崎が外に浮きそうだったので迎え入れましたが、自分は脚がもういっぱい。何もできないし弱かった。しっかり練習して次に向かいたい」
 菊地圭尚は逃げる佐藤友和の後位から番手まくりを放つが、思ったように車は伸びなかった。
 「後ろに武田さんが入っているのは分かってました。脚はすでに一杯だったし、慌てて行って武田さんを引き出した形になった。もう少し落ち着いていられたら、違った結果もあったかもしれない。またG1の決勝に乗れるように、G1で勝てるように頑張っていきたい」
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