『第67回日本選手権競輪(GI)レポート』 5日目編

配信日:3月22日
 名古屋競輪場で開催されている第67回日本選手権競輪は大会5日目を迎え、準決勝3個レースをメーンに熱戦が繰り広げられた。地元の深谷知広をはじめ、村上義弘、武田豊樹らベストナインが出そろった。また9レースのガールズケイリンコレクションは石井寛子が鋭いキメ脚を発揮して優勝を飾った。明日はいよいよ決勝戦。トップスターによる熾烈な頂上決戦から目が離せない。
 明日の最終日はサンプラザ中野くん アコースティックライブをはじめ、スタジオ・kooza ダンスパフォーマンス、介助犬イベントなどイベントが盛りだくさん。ぜひ名古屋競輪場でお楽しみください。
アイドルフェスティバル delaのステージ
アイドルフェスティバル delaのステージ
BOYS AND MEN ステージ
BOYS AND MEN ステージ
白熱のレースにくぎづけ
白熱のレースにくぎづけ
ガールズケイリンコレクション名古屋 レース経過
 内枠の選手たちがスタートを決め、周回は中川諒子、中山麗敏、梶田舞、石井寛子、山原さくら、中村由香里の並び。前を取りに行った加瀬加奈子だったが、どこにも入れず最後方からレースを組み立てる。
 赤板ホームから動いた中村が打鐘で先頭に立つと、この動きに続いた加瀬が4コーナーから、さらにその上を山原が叩いて主導権を奪う。中村はスピードが合わず5番手に後退。山原の番手には加瀬が収まる。バックから中川がまくって出るが、加瀬も山原後位から合わせるように番手まくり。続いた梶田、その後ろの石井は2センターから外に持ち出す。加瀬も懸命に粘るが、イエローライン付近を鋭く伸びた石井がガールズケイリンコレクションを連覇。2着に加瀬、3着には梶田が入線した。


ゴール
ゴール
石井寛子選手
石井寛子選手
<1R>
服部克久選手
服部克久選手
 中団外併走を嫌った磯田旭が打鐘過ぎの2センターからスパート。これを受けて3番手を確保した服部克久がバックからひとまくり。好追走の池田良が直線で鋭く差し切った。
 「服部さんに前で頑張ってもらったおかげですね。恵まれました。3番手の桑原(大志)さんに仕事してもらったのが大きかった。ライン4人で決まったのがうれしい。最後に1着で終われて良かったです」
 服部克久(写真)は3番手から鮮やかにまくってラインを上位独占に導いた。
 「ライン4車だし、本当は先行するつもりだったんですけどね。磯田(旭)君は追い上げだと思っていたけど、けっこう流していたので、行かれてしまった。3番手からすかさず仕掛けないと、上野(真吾)君が来てしまいますから。結果的にラインで決まって良かったけど内容はダメですね」

<2R>
小野俊之選手
小野俊之選手
 赤板過ぎに強引に先行態勢を取った北津留翼は、打鐘前に巻き返した金澤竜二を突っ張りそのまま主導権を死守。北津留のダッシュに踏み出しで車間が空いた小野俊之(写真)だったが、冷静な対処でリカバー。北津留に付き直して、最後は差し切った。
 「(離れても)自分の範囲内だった。(セッティングが)いいポジションに入ってないし、(調子は)まだまだですけど。今日は展開に恵まれた。今は苦しいけど、自転車がかみ合ってくれれば、そこそこいけると思う」
 長い距離を踏んだ北津留翼が、2着に粘り込んで九州で上位を独占。小野とのワンツーにはうれしそうに汗をぬぐう。
 「ひとり(金澤)突っ張ってあとは、高速周回だと思った。一定のスピードで踏んだ感じでしたね。あとは石毛(克幸)さんが来るかと思っていたけど、あんまり来る気配がなかった。自分の調子は…、普通ですかね」

<3R>
高橋陽介選手
高橋陽介選手
 前受けから6番手まで下げた高橋陽介(写真)が打鐘過ぎの4コーナーから一気のカマシ。前団をあっさり飲み込んで、そのまま豪快な逃げ切り。うれしいG1初勝利を飾った。
 「初手から後ろが競りになったので、突っ張りかカマシでいこうと。いいタイミングで行けました。出てからは回して、最後までしっかりペースで踏めたと思います。逃げ切りでG1初勝利なのでうれしいですね」
 高橋ラインの3番手から西岡正一が鋭く2着に伸びた。
 「昨日は油断して前に離れてしまったので、今日はしっかり走ろうと思っていた。余裕はあったんですけどね。1着を取りたかった。今回は初めてのダービーで長く感じました。調整の仕方もよく分からなかった」

<4R>
松坂英司選手
松坂英司選手
 松川高大が打鐘過ぎから果敢に先行。この3番手をうまく確保した新田康仁が最終2コーナーから一気にまくり切る。合志正臣にからまれながらも新田を懸命に追った松坂英司(写真)が直線で鋭脚発揮。久々の勝ち星を挙げた。
 「新田さんの後ろはいつも緊張します。新田さんが相当脚を使って位置を取ってくれたし、そこから無理やり仕掛けてくれました。合志君に来られたので、そこだけ耐えてました。何とか勝てて良かったです」
 新田康仁は抜群のレースセンスを披露。実力を存分に示した。
 「先行しようと思ったんですが、相手もやる気でしたからね。しっかり中団を確保して仕掛けることができました。ラインでワンツースリーできたので良かったです」

<5R>
齋藤登志信選手
齋藤登志信選手
 中川誠一郎が切った上を早坂秀悟が勢い良く出て、快調なペースで逃げる。北日本3車に筒井敦史までが続いて、長いラインを生かした早坂は別線をクギ付け。早坂を利した齋藤登志信(写真)が、追い込みシリーズ2勝目。早坂のクセを探りながら、齋藤はニヤリと振り返る。
 「やっと早坂君の後ろの走り方がわかった。今日は(踏み出しで)意識的に離れて付いて、別線のタイミングをずらした。早坂君も力がついてきたし、これからはもうワンランク上での戦い方を考えていかないといけないですね」
 スムーズな加速で駆けた早坂秀悟は、直線でもそのスピードが衰えず2着に粘り込んだ。
 「今日は2次予選と似たようなメンバーだったんで、(戦い方を)間違えないようにしようと思った。自分たちにとってはいい展開になったし。(齋藤)登志信さんと初めてワンツーが決まったんでよかった」

<6R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 三谷竜生が逃げて一本棒の隊列も、最終ホームで間隙を突いた中団の藤田大輔が仕掛ける。7番手に置かれた渡邉一成にとっては、仕掛けやすいまくり展開。山崎芳仁に差されはしたが、福島コンビで人気に応えた。
 「先に藤田君が仕掛けて行ってくれたんで、それで自分はまくれるかなって思った。そしたら(藤田の)番手から林(雄一)さんが出て行ったんで、それを見て。状態が良かっただけに、雨だった2次予選が悔やまれますね」
 最終3コーナーで前団のあおりを渡邉同様に受けた山崎芳仁(写真)だったが、マックスのギア倍数4.58の破壊力は絶大。余裕の差し切りでゴール板を駆け抜けた。
 「(藤田が行ったのも)見えていたし、それで(渡邉)一成がどうするかと思ってたら、行ってくれたんで。一成に合わせてあおりを受けたけど、様子を見ながら回していたし。踏んだ感じも悪くないと思います」

<7R>
後閑信一選手
後閑信一選手
 飯野祐太が打鐘過ぎに飛び出して主導権。後閑信一(写真)が東北勢を分断して飯野の後位に割り込むと、最終バックからの番手まくりで快勝した。
 「前々に攻めていこうと思っていました。(佐藤友和の)口が空いていたし、締め込まれてスイッチが入りました。状況判断はできていますね。番手を取ってから無意識にまくりにいけたので。ダメなときは動けなかったと思います。とりあえず今日は勝てて良かった。明日もまた頑張ります」
 飯野との連係を外してしまった佐藤友和は自力にチェンジ。後方8番手から外を粘り強く踏んで2着に入った。
 「(飯野)祐太が押さえにいったとき、後閑さんをしっかり内に閉じ込めておけば良かった。ミスですね。追い上げるつもりで踏んだんですが、後閑さんが番手から出てしまいましたからね。最初からまくるつもりで行けば違ったかもしれない」

<8R>
宗景祐樹選手
宗景祐樹選手
 打鐘でもつれた後続の別線をしり目に池田勇人が、カマシ気味に出てグングンと加速。飯嶋則之、宗景祐樹(写真)と関東の実力マーカー陣を連れて風を切り、3人で別線を完封。最後は3番手を固めた宗景が、池田と飯嶋の中を伸びてハンドル投げで1着。
 「前の2人が頑張ってくれてたし、自分はなんか申し訳ないですね。本当に池田君が強かったし、風がある中で頑張って駆けてくれた。僕は気楽に3番手を回っていた」
 飯嶋則之は、松谷秀幸のまくりをブロック。番手の仕事をきっちりと果たして追い込むも僅差の2着。
 「ゴール前は(宗景に)力負けです。(池田ラインが出切って)後ろで松岡(貴久)君と木暮(安由)君がからんでいた感じだったんで、(まくって)来るのは赤い3番車かなって。そしたらやっぱり松谷君が来たんで。止めなくても、止まったかもしれないですけど。まずは止めておきました」

<9R>
加瀬加奈子選手
加瀬加奈子選手
梶田舞選手
梶田舞選手
 ガールズケイリンコレクションを制したのは石井寛子。3番手からこん身の追い込み勝負で加瀬加奈子を捕らえ、昨年末のガールズグランプリの雪辱を果たした。
 「走る前は不安しかなかったんですけど、終わってみれば最高の結果を出せて良かったです。風が強かったし、重く感じました。全く余裕はなかったです。前までも距離があったので、厳しいかなって思ったんですが、何とか届きました。もっともっと練習して力を付けていきます」
 先行したのは山原さくら。この後位をキープした加瀬加奈子(写真)はバックから番手まくりに出たが、惜しくも2着に敗れた。
 「バック追い風で詰まる勢いで仕掛けたんですが、山原もタレなかったです。まくりは下手ですね。絶好だったけど、後ろから来ていないのに行ってしまった」
 番手まくりの加瀬を追った梶田舞(写真)が3着に食い込んだ。
 「優勝できる位置だったのに、テクニックも脚もなかったです。3着で車券に貢献できたのは良かったと思います」
 山原さくらは大舞台で果敢に主導権を奪った。
 「力は出し切りました。人の後ろは苦手なので、勇気を持って行くことができました。自分らしさは出せたと思います。今度は4コーナーからしっかり粘れるようにしたい」

<10R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
成田和也選手
成田和也選手
 脇本雄太の上昇を阻んで先頭に立った牛山貴広が、早めから先行態勢。赤板ではすでに別線を出させる気はさらさらなく、再度脇本を突っ張る。脇本が不発で最終ホーム手前から自力に転じた稲垣裕之に合わせて、武田豊樹(写真)が番手発進。最終2コーナーでは稲垣にすくわれる想定外の流れも武田が、稲垣後位に入り直し追い込む。
 「彼(牛山)が先頭にいなかったら、僕も(1着は)なかったと思う。関東でいいレースができたんじゃないですか。なんとしても決勝戦っていう気持ちだったんで、あそこ(最終2コーナーで)山降ろしをかけたかった。(それで稲垣にすくわれて)ムダな動きになった。そこは反省しないと…。ダービーの決勝は本当に目標なんで、優勝を目指して頑張ります」
 引き揚げて来た牛山貴広は息を切らす。
 「(脇本を)出させてしまうと、もう自分は出られないと思った。きつかった…。力がない。いつかはラインで決められるように」
 最終2コーナーで好位奪取に成功した新田祐大は中村浩士とからむ。新田に乗った成田和也(写真)は、直線で外を踏み新田との3着争いを制して3年連続でダービーの決勝進出を果たした。
 「思い通りの展開にはならなかったですけど、自分はなんとか3着に入れた。仕上がっている? そうですね。なんとか踏ん張れたのでよかった」
 脇本が不発で稲垣裕之は、瞬時の決断を迫られて最終ホームから発進。武田のインをすくって、先行策で2着。
 「いい緊張感というか、プレッシャーの中でやっています。(決勝進出も)近畿でラインを大事にしてきた結果だと思います。決勝も自分のやることをしっかりとやって、いい結果になればいい」

<11R>
村上義弘選手
村上義弘選手
内藤秀久選手
内藤秀久選手
 前受けの竹内雄作が赤板から川村晃司を突っ張る。中団まで下げて態勢を立て直した川村は打鐘過ぎの2センターから再びスパート。竹内を強引に叩いて最終主導権を握る。すかさず根田空史がまくりで襲いかかるが、村上義弘(写真)がこれに合わせて番手まくり。根田との激しい踏み合いを制して連勝を飾った。
 「中部が前になるとは思っていなかったし、結果的に早く動かないといけない展開になって川村も厳しかったと思います。でも、打鐘過ぎに強引に仕掛けてくれたので。できれば川村と一緒に決勝に乗りたいと思って最終バックでヨコに動いたんですけど、止められる感じではなかったです。根田がヨコにきたときは厳しいかなと思ったんですけど、思い切り踏んだら自分が思った以上に車が出たと思います」
 根田のまくりを追った内藤秀久(写真)は最終2センターで村上後位にスイッチして2着。G1初優出を果たした。
 「根田に付いていけば何とかなると思っていたし、余裕はありました。デキ過ぎですね。決勝もチャンスがあると思うので頑張ります」
 近畿ライン3番手を回った稲川翔が3着に入った。
 「村上さんの動きに対応できなかったのが反省点ですね。内を締めるのが3番手の仕事だし、それをした上でしっかり付いていかないと。ちょっと情けないです。いい勉強になりました」
 根田空史はまくり不発の5着。G1決勝まであと1歩の印象だ。
 「川村さんがもう1度、行くと思ったので、その仕掛けを待ってから踏みました。いける手応えはあったんですが、あとちょっとですね。確実に差は縮まっていると思います」

<12R>
平原康多選手
平原康多選手
村上博幸選手
村上博幸選手
 前受けから下げた深谷知広は、一本棒の7番手。しかしながら、打鐘で踏み出すと前2走と同じく圧巻の踏み出し。驚異の加速力で別線をねじ伏せたが、ハコの村上博幸も付け切れず。番手には平原康多にはまられゴール寸前で差し切られたが、インパクトのある内容でいよいよ地元G1のファイナルへ。
 「前のレースで金子(貴志)さんが燃え尽きて倒れているのを見たんで。あとは自分が頑張らないとと。前で自力の2人(九州勢)が並んでいるし、早めに決着をつけないとって思った。なかなか苦しいレースだった。だいぶ疲れたんでちょっとゆっくりして、あと1走頑張るだけです」
 カマした深谷をまくり気味に追った平原康多(写真)が、俊敏でクレバーな立ち回りから追い込み1着。決勝に弾みをつけた。
 「(最終)1コーナー目がけて、早めにまくりにいく作戦だった。そしたらその前に深谷君が吹っ飛んで行って、結果として深谷を追いかける形になった。前回の全日本選抜ではギアが一枚物足りない感じがしたし、今回は1枚上げた。それで今日が一番感じは良かった。決勝は僕が前で(武田豊樹と)2人がチャンスのある競走をしたい」
 深谷の踏み出しに置いていかれた村上博幸(写真)だったが、岡田征陽から平原後位を奪い流れ込む。
 「正直、深谷君が強すぎました。いつもだったら無理やりでも追いかけるんですけど。深谷君を追いかけて、追いつける気がしなかった。加速がすごかった。離れる前提ではないけど、走る前にああいうイメージは多少していた。脚だけでいうと、自信を持てるデキではない。ただ、ホンマに兄弟で決勝に乗りたかった」
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