『第68回日本選手権競輪(GI)レポート』 初日編

配信日:3月17日
 第68回日本選手権競輪がいよいよ開幕した。G1のなかでも最高峰に位置づけられる大会。競輪界のトップスターによる競演はオープニングから激しいバトルの連続だった。落車、失格が相次ぐなど、波乱の幕開けとなった。最終レースの特別選抜予選は深谷知広の先行を平原康多が4番手からまくって快勝。木暮安由との関東ワンツー決着で人気に応えた。
 明日2日目も選手会東京支部選手お出迎えに始まり、ダービー王トークショー、素人脚自慢女子決勝など多彩なイベントでダービーを盛り上げます。ぜひ京王閣競輪場でお楽しみください。

華やかに戦いの幕が開く
華やかに戦いの幕が開く
ブラスバンド パフォーマンス
ブラスバンド パフォーマンス
あなたも似顔絵で競輪選手
あなたも似顔絵で競輪選手
<1R>
内藤秀久選手
内藤秀久選手
 オープニングレースを制したのは内藤秀久(写真)。目標の永澤剛が打鐘過ぎから主導権を奪う絶好の流れ。稲毛健太のまくりは止め切れなかったが、切り替えて直線一気に追い込んだ。
 「永澤君が強かったの一言。思い切りのいいレースをしてくれました。落ち着いて走れたと思います。ラインで決めれなかったのは僕の甘さです。状態はいいですね。うれしいけど、落車があったのが残念です。目標意識を高く持っているし、この反省を次に生かしたいです」
 石丸寛之のまくりに乗った友定祐己が2着に突っ込んだ。
 「千葉の2日目から腰の痛みがあって、練習ができなかったからストレスがありました。今日は痛みもなくストレスなく乗れたけど、練習不足が出てしまいました。2着に入れたし、今日一本もがいたので、良くなってくれればいいです」

<2R>
勝瀬卓也選手
勝瀬卓也選手
 後攻めの根田空史が打鐘前から一気にスパート。後続を1本棒にして軽快に逃げる。最後の直線で4人が落車するアクシデントはあったが、勝瀬卓也(写真)が番手絶好展開から鋭く追い込んだ。
 「根田が強かったです。踏み出しがすごかったし、一気にスピードに乗せていった。踏みまくってましたね。もう誰もまくってこれないと思いました。根田の失格が残念。一緒に勝ち上がれれば南関にとっては大きかったですね。僕はサラ脚だったので恵まれました」
 根田空史は最後の直線で蛇行して失格。南関ライン3番手の白戸淳太郎が2着に繰り上がった。
 「踏み出しのときに離れてしまったけど、追い付いて良かったです。そこが勝負と思ってフルパワーで踏みました。とにかく苦しかったです。恵まれました」

<3R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
 復調著しい海老根恵太(写真)が、追い込んでファンの人気に応えた。松谷秀幸が赤板前から上昇し、柴崎淳の横で併走すると、8番手から小川勇介が踏み上げ前に出る。松谷はすかさず巻き返して打鐘の4コーナーからレースを支配。最後は番手から海老根が抜け出し、好展開をものにした。
 「松谷君のおかげです。残せなくて申しわけない。前か後ろだったら、後ろの方が良いってことだったんで、ああいう展開になりました。ラインに感謝ですね。昨日の指定練習では体が重かったんですけど、マッサージしたら疲れも取れて、今日は余裕もありましたね。二次予選も頑張ります」
 4番手から仕掛けた小川勇介だったが、海老根に踏み負けて2着。
 「打鐘で斬りにいったのが勝負どころでした。前々に動けてるし、調子は良いと思う。冷静に周りも見えていました」
 牛山貴広は2センターから車を外に持ち出すと、直線を鋭く伸びて3着。二次予選進出を決めた。
 「たらればになってしまうんで…。結局何もしてないですね。落ち着きもあまりなかったし、小川君の動きに惑わされちゃいました」

<4R>
北津留翼選手
北津留翼選手
 機動型3車がそろって動いた赤板2コーナーの勝負どころ。前受けの吉田敏洋にインから突っ張られ、外から踏んだ高橋陽介に挟まれ行き場を失った北津留翼(写真)は、一度下げてからの立て直し。再度、踏み上げると空いた4番手にスッポリと入って脚力を温存。落ち着いてまくりに構えると、あっさり逃げた高橋を仕留めた。
 「危なかったですね。でも、そこからまた踏んでいったら、吉田さんが(前と)口が空いていたんで、入らせていただいた。最終2コーナーまでは2人(高橋、吉田)は脚を使っていたけど、逆に自分は脚を使っていなかったんでラッキーでした。自分の調子は、脚自体は変わらないと思います。今日は展開なんで。でも、このチャンスを(二次予選に)生かしたい」
 打鐘からハナに立った高橋陽介は、大槻寛徳の援護にも助けられて2着に粘り込んだ。
 「北津留君が中団に入って、結果まくられてしまったけど。そこから自分も粘れているんで調子はいいですね。大槻さんとはすごく相性がいいし、いつも失格スレスレまでのすごいブロックをしてくれる。だから、信頼して駆けました。G1を勝ち上がれたのは2回目なんで、すごくうれしいです」
 吉田とからんで北津留の踏み出しに遅れ気味だった坂本健太郎を、大槻寛徳が猛ブロックでどかして3着キープ。大仕事に汗をぬぐう。
 「(北津留は)スピードが違った。あれで来るっていうのはすごい。バックでは、誰も来れないような掛かりだった。(出るのが)ちょっと早いかと思ったけど、(高橋)陽介は本当に頑張ってくれた。自分は脚がいっぱい。あれで(高橋を)抜けるようじゃないとダメですね」

<5R>
筒井裕哉選手
筒井裕哉選手
 打鐘で仕掛けた郡司浩平に合わせて中団から筒井裕哉(写真)も踏み込む。もがき合いの末、郡司の後位にはまった筒井が最終2コーナーから番手まくり。最後まで力強く踏み切り、金星を挙げた。
 「ヒデ(山田英明)の前にいないと話にならないと思ってました。(郡司を)突っ張ろうかと思ったけど、(小埜正義が)遅れてたので。ラッキーでした。粘るつもりはなかったんですが、冷静にいけましたね。2コーナーから(郡司が)タレてたんで、そこからしっかり踏めたと思います。(林)巨人のおかげです。出てからがきつかった」
 南関コンビの3番手を回っていた宗景祐樹は最終ホーム手前で中近勢に切り替える。直線は外を踏んで筒井に詰め寄った。
 「前2人のおかげです。誰が粘っているのかもよく分からなかったし、スイッチはちょっと早いと思ったんですけどね。自分の前にいた有賀(高士)さんが内を踏むだろうから、最後は迷わず外を踏みました」
 林巨人は踏み遅れていた小埜を打鐘過ぎの2センターでブロックして筒井を好アシスト。ワンツーは決められなかったが、3着で一次予選を突破した。
 「自分の仕事はしっかりできたと思います。でも、もったいなかったです。抜けるときにしっかり抜いておかないと」

<6R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 打鐘前に斬った藤田竜矢を山田久徳が叩いて先行。中団は追い上げた野田源一と藤田で併走に。後方に置かれた佐藤友和(写真)だが、最終2コーナーから豪快にまくり切った。
 「みんな前に行って、それを見ちゃいました。落ち着いていたかは微妙ですね。行かないと負けパターンだと思って、その分、いつもより早めに仕掛けました。けん制を乗り越えられたし、最後も踏み負けていないので、悪くないですね」
 山田久徳の先行に乗った三谷将太は佐藤の強襲に屈して2着。
 「(山田は)ゆっくり踏んでもらって良かったのに、いい感じで駆けてくれた。あれだけ行ってくれたのにね。ちょっと技量が足りなかった」
 伏兵の山下渡が最終2センターから内を突いて3着に食い込んだ。
 「あの位置を取ってもらったし、藤田さんのおかげですね。いつもならびびって入れないんですが、G1なので覚悟して最後は思い切り突っ込みました。3着に入れてうれしいです。ここに来る前の練習の感じも良かったし、感触は良かったです」

<7R>
原田研太朗選手
原田研太朗選手
 赤板前から飯野祐太が上昇し、誘導員の後位に入る。その上を上原龍が打鐘で叩き、関東勢が先制する予想外の流れに。上原は別線との差を3車身以上離して逃げまくる。大勢は決したかと思われたが、前受けから7番手まで下げた原田研太朗(写真)が最終2コーナーからアタック。抜群のスピードで前団を抜き去ると、そのまま力強く押し切った。
 「1着スタートなんで気分も良いですね。風が強かったけど、自分の中では良いタイミングで踏めました。追いついたら、飯野さんが休んでたんで、ここしかないと思って。明日は休みなんで、しっかり休んで二次予選も頑張りたいです」
 原田マークの渡部哲男は、芦澤大輔の厳しいブロックを受けるも、何とかしのぎ2着。四国コンビでワンツー決着となった。
 「ぴったり付いていきたかったんですけどね。原田とは抜けずの2着が多いんですよ。飯野のまくりの上をいけるかなって思ったけど、いけましたね。原田が強かったです。状態は普通なんですけど、原田の踏み方と自分の踏み方が違くて余裕がいつもない。でも、今日は良かった」
 磯田旭は、芦澤のブロックで空いた内を突き3着も「前のおかげです。自分は何とも言えない」と言葉少なに引き揚げた。

<8R>
早坂秀悟選手
早坂秀悟選手
 赤板で7番手から動いた田中晴基に合わせて出た早坂秀悟が、早めでも腹を固めて主導権。山降ろしで襲い掛かる田中を突っ張って、小気味いいリズムで逃げる。番手の佐藤慎太郎にとっては、願ってもない流れが訪れた。後続との間合いを図って直線で差し脚を伸ばし北日本ワンツー。
 「サイコーですよ、(早坂)秀悟は自然と頑張ってくれるんで。(田中)晴基がワンテンポ遅れて来たけど、秀悟がうまく駆けましたね。(中村一将が)内に来ているのも、息遣いから聞こえたしわかっていた。ただ、もっとうまい選手なら秀悟と1輪差くらいでワンツーなんでしょうね。そこら辺を考えるとレースでの余裕がなかったのかな」
 「あそこで晴基を出さしちゃったら、自分はもうないんで」と、早めに風を切った早坂秀悟(写真)が、2着にも満足そうに口を開き、こう続ける。
 「この前は(中村に)カマされているんで、カマされないようにと思ってました。2回連続で(G1の一次予選を)突破できたんでよかったし、(佐藤)慎太郎さんのおかげです。あとは兵藤(一也)さんがすくわれちゃったのが…。あそこはしっかりと自分が内を締めてないとダメですね」
 最終1コーナーで目標の中村がインを押し上げて3番手までに進出すると、東口善朋は中村と兵藤の併走を見極めて進路を外へ。直線でじわじわと伸びて3着入線した。
 「中村さんが内に行くとは思わなかったですけど…。そこからは中村さんの動きだけ見ていた。自分は何とか冷静に見られたけど、もう少し伸びてくれたら。ひとつでも上の権利を取らないといけないですから」

<9R>
黒田淳選手
黒田淳選手
 地元勢を連れた相川永伍が赤板前から早くも先行態勢に持ち込む。打鐘で巻き返してきた水谷好宏と両者で激しいもがき合いに。それを制して突っ張り切った相川だが、後方で脚を溜めていた黒田淳(写真)が最終2コーナーからまくり一閃。鮮やかなスピードで圧勝した。
 「単騎だったからこういうレースになりました。ホームまで流れもあったので、自分のタイミングで行きました。出が良かったです。道中は風もありましたけど、乗り越えたときに『ああいけるな』と思いました。単騎だったし、開き直って力勝負をしました」
 黒田のまくりに対応できなかった後閑信一だったが、2着はきっちり確保した。
 「相川君はかなり良かったですね。3人で決めたかったです。黒田君が強かった。スピードが…。気づいたときには遅かったです。今の自分の力じゃどうにもならなかった。1日休んで次に備えます」
 相川永伍は赤板から2周先行。激しい主導権争いで脚力を消耗し、最後は力尽きた。
 「しんどかったですね。でも、最近先行できてなかったからそこは良かった。G1ですし、見せるとこは見せておかないと」

<10R>
菅原晃選手
菅原晃選手
 大方の予想どおり三谷竜生が打鐘から先行策。三谷の後位は初手から激しい競り合いが続き、後方7番手に下げた中川誠一郎がホームから一気に踏み上げる。抜群のスピードで前団を抜き去ると、最後は番手絶好となった菅原晃(写真)がきっちり勝機をものにした。
 「踏み出しに集中して、スピードに乗ってからはニュートラルに入れられました。セッティングは、またいろいろ変えるつもり。自力でどうにかしないと」
 上がり11秒5の快速まくりを見せた中川誠一郎が2着。九州コンビで連を独占した。
 「2分戦だったんで、僕の好きな展開ではなかったです。一本棒になるだろうなとは思ってましたけど、外併走の時がきつかったですね。疲れは取ってきたけど、しっくりきていない。静岡(全日本選抜)の時と比べると6、7割くらいですね。修正して余裕を持って乗れるようにします」
 まくられた三谷竜生だが、3着に踏みとどまった。去年のダービー同様に二次予選に駒を進めた。
 「余裕もないし、重たかったですけど何とか…。後ろが競りだったんで何とも言えないですね。とりあえず勝ち上がれて良かった」

<11R>
平原康多選手
平原康多選手
 中四国勢の2車を引き連れて主導権を握った深谷知広が、グングンと加速して逃げる。平原康多(写真)は、川村晃司を制して難なく4番手をキープ。絶好の展開をメイクしたが、深谷のペースを読み違えたところを小松崎大地に追い上げられて一瞬ヒヤリ。前団をねじ伏せる圧巻のまくりにも、自身が気を引き締める。
 「ちょっと道中でミスがありました。車間が空いて小松崎君に入られそうになっちゃった。結果ワンツーだったけど、ああいうところを集中しないと命取りになる。(岩津裕介のブロックも)越えないとって思ったけど、強烈でしたね。でも、そこから加速できたしよかった。(車券の人気が)深谷じゃなくて僕っていうことで緊張感もあった。それに応えられてよかった。(4日目のゴールデンレーサー賞まで)気を抜かないようにしたい。体の方は大丈夫なんで」
 まくった平原を岩津がブロックしたあおりを受けながら、木暮安由が懸命に追走。最後はハンドル投げの勝負に持ち込み2着に入った。
 「(最終)バックでは平原さんはもう行けないかなって思ったけど。無理やり行ってしまったし。自分は見習うところがたくさんある。結果、関東(2人)で伸びてよかった。自分の状態としては完全に戻ったとは言えないけど、踏んだ感じはいいですね」
 けん制のスタートから誘導員を追いかけた川村晃司は、前受けから後方に置かれての8番手。直線強襲の3着で4日目のゴールデンレーサー賞に進出も、その表情は険しいまま。
 「後ろに迷惑を掛けました。前を取った時点で悪い展開になりそうな感じだったんで、(スタートで)前は取りたくなかったんですよね。仕方ない…。次まで調整して頑張ります」
 珍しくスタートを我慢した深谷知広は、打鐘の3コーナーでハナに立つとそこから流すことなく逃走。平原のまくりに屈して5着も、完全燃焼で持てる力を出し切った。
 「今日は(スタートを)こだわった。(周回中は)中団か後ろだと思っていたんで。(先行して)今の力がわかった。良い、悪いの両方があるんで、(二次予選に向けて)いいところをしっかりと出して、悪いところを修正していきたい。ただ見かけ以上に悪いところもあるし、修正点は多いですね。力不足です。ペース配分とかもありますけど、これが今の力です」

<2日目5R>
吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
 吉本卓仁(写真)は1月和歌山記念で決勝進出を果たしたが、その後は優出がなく、波に乗れていない。
 「成績も調子もあんまり良くないですね。でも、ここに向けて練習はボチボチやってきました。ちょっと調整をミスしてしまったので、2日目で良かった。初日はゆっくり休んで、備えます。自力で力を出し切ります」
 諸橋愛は差し脚快調。戦歴は非常に高いレベルで安定している。
 「前回小倉は競ったり、競られたりしたんですが、成績はまとめられたと思います。調子もいいけど、あとちょっとという感じですね。初日は山田(義彦)君に任せて頑張ります。とにかく一戦一戦、大事に走るだけですね」
 山田義彦はギア規制への対応で試行錯誤を重ねている。
 「ギアに対応するのはあと半年ぐらいかかると思ってます。今は久留米の方で練習させてもらっていて、やることはやってきました。自力で頑張ります」

<2日目6R>
竹内雄作選手
竹内雄作選手
 竹内雄作(写真)は直近10場所のバック本数23回。今開催の参加選手の中で一番持っている。ここも強豪相手に迷わず攻める。
 「それが自分が勝つための最善の方法ですから。3場所前の広島からギアを3.86にして、92よりも踏み直しが効く感じですね。落ち着いて自分のレースをするだけ。まずはしっかり力を出し切ります」
 笠松信幸は2月和歌山で今年初優勝。そのシリーズを境に、一気に上昇気流に乗った。
 「和歌山の前に合宿に行って、そこでの感じがあまりに悪かったので、ギアとセッティングを換えたんですよ。そうしたらいきなり結果が出るようになりました。G1はまた違うと思うけど、竹内君の番手なら楽しみです」
 松岡貴久も2月大垣でV。前回の名古屋記念でも決勝進出するなど年頭の連続落車から立て直している。
 「名古屋は組み立てが悪かったけど、伸びは良かったと思う。決勝は誰も来なかったので先行する形になった。竹内君には大垣で勝っているけど全日本は負けているし、すごい強いですからね。自力基本に何とかしたい」

<2日目7R>
古性優作選手
古性優作選手
 古性優作(写真)はここ4場所で優勝2回、準V1回。F1シリーズが主戦場ながらタテ攻撃は冴え渡っている。
 「最近は感触もいいし、成績も悪くないと思います。前回和歌山はギアとか試したいことをしっかり試せました。ここに向けて練習してきたので、その成果を出したいですね。メンバー的にも先行できれば一番いい。しっかり力を出し切ります」
 西岡正一は好調を持続。絶好の目標を得たここはチャンスだ。
 「最近はいい感じで走れています。でも、前回地元戦は決勝で何もできなかったですね。ここに向けてはやりすぎないように、いつもどおり練習してきました。古性君とは前回の準決勝も一緒だった。強いんでしっかり付いていきます。とにかく初日が大事だし、気を引き締めて走ります」

<2日目8R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
 2月にフランスのパリで行われた世界選手権に出場した渡邉一成(写真)は、本業の競輪に復帰した3月の名古屋記念が4143着。競技での目標設定を先に見据えながらダービーを迎える。
 「僕のスケジュールじゃ、ここ(ダービー)に絞ってとかはできないところもあるんですよね。自分は競技で達成しなきゃいけない目標も、まだまだあるんで。(前回は)追い込んで練習をして行ったんで、調子の波があった。それでも全体的には力を出し切れるような流れに持っていった方が、いいなっていう感じだった。(一次予選は)力を出し切ることだけですね。展開は走ってみてからになってしまうけど、練習はやってきているんで」
 1月に地元向日町で完全Vを飾った藤木裕だが、その後の戦績は一息。新たなステージへ向けて、長期的な視点での挑戦が始まった。
 「まずはしっかりと自力ですね。ただ、ダービーに向けてというよりは…。今すぐ結果を求められる状況でもないので。全日本選抜が終わってから、来年に向けて練習方法をざっくり変えた。向日町は優勝できたけど、その後体調崩したのもあってだまし、だましやってきた。今までは(自分が)G1の決勝に乗った時のと同じことをやっていれば、また乗れると思ったけど。それが違った。また新しくやっていく。(一次予選は)結果がどうあれ今後につながるように」

<2日目9R>
神山拓弥選手
神山拓弥選手
 前回の名古屋記念を2221着。4日間オール連対で神山拓弥(写真)は、通算3度目の記念制覇。2月全日本選抜から見違えた動きを、笑顔で自転車を組みながら明解する。
 「ギアと練習がかみ合ってきたんだと思います。(ギア規制で)みんな対応できてなくて、自分もその中のひとりだった。それが全日本選抜から良くなって、練習でやっていることが出せるようになってきた。四日市記念では武田(豊樹)さんと一緒に走って、自信持ってやれって言ってもらえて、それが自分の自信にもなっている。それに名古屋記念は平原(康多)さんのおかげなんでね。でも、ギア規制が自分にとっては良かったのかなと思います」
 全日本選抜では迷いもあって浮かない表情の高久保雄介だったが、名古屋記念で吹っ切れた様子。初めてのダービーには“原点回帰”の迷いなき先行策で挑む。
 「主導権を取れるように頑張ります。調子も上がっているし、前回の名古屋で吹っ切れたところもある。自分のレースができた4日間だと思うし。初日の一次予選で(6着に)飛んでしまったけど、腐らずに最終日は10レース(特別優秀)までいけた。脚もまだまだだけど、そこより大事なものがある。こういうレースをした方がいいって再確認できたし。出し惜しみせずに、完全燃焼で」

<2日目10R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 稲垣裕之(写真)は相変わらず破壊力抜群の攻めを見せている。悲願のG1初制覇へ機は熟した。
 「最近は決勝で取りこぼすことが多いけど、ここに向けて試したいことをしっかり試すことができました。感触もいいですね。相手は強いが、そのなかで自分の力を出し切れるように頑張りたいです」
 浅井康太は2月の地元四日市記念を制覇。前回の玉野記念は決勝進出を逃したが、初日の車体故障が大きく響いた。
 「四日市でやり切った感じはありましたね。玉野は初日の車体故障でひざを痛めてしまった。様子を見ながら最終日まで走りました。終わってからは治療に専念してきました。痛みはもう大丈夫。いつもどおりいけるところから頑張ります」
 新田祐大は一昨年の当所オールスターで準Vの実績がある。今シリーズも輪界屈指のスピードでバンクを駆け抜ける。
 「この日本選手権競輪が今年のまずひとつ目の目標として掲げたものだったので、優勝だけを目指してしっかりここに向けて調整してきました。今年一番のデキだと思います。いいパフォーマンスができるように」

<2日目11R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 先の全日本選抜で12年のオールスター以来、9度目となるG1制覇を遂げた山崎芳仁(写真)。一番乗りで年末のグランプリチケットを手に入れると、勢いそのままに前回の和歌山でもまくり3連発で圧巻のV獲り。G1連覇でのグランドスラム達成が今シリーズにかかる。
 「天気もそこそこ良かったし、(山田)敦也と一緒に街道中心の練習をやってきた。(状態維持に関しては)そこはどうですかね? 走ってみてからという感じです。(グランドスラムは)まずは決勝に乗らないと。みんなの走りもあるし、その中で自分の走りができれば。いつもどおり僕の力を出せる位置から頑張ります。後手ですか? 後手は踏んじゃうかもしれないですけどね(笑)」
 菊地圭尚は、その全日本選抜ファイナルで山崎の半車輪差の準V。続く名古屋記念は2761着で優出を逃すも、前向きに山崎とのメンバーをにらむ。
 「それまでずっと人の後ろだったんですけど、名古屋記念で自力を出した時に迷いがありましたね。ただ練習での感じとか、体の状態も悪くないし。あとはちょっとのキッカケだと思います。自分の気持ちの勢いを殺さずにきたい」
 グランプリ王者として迎えるダービーの大一番。武田豊樹は関東ラインでの結束を強調し、池田勇人の番手でレースを進める。
 「やっと(一息)抜けました。(仕上がりは)どうですかね。とにかく練習を、自分の中でやってきました。池田君が頑張るみたいなんで、池田君の後ろで。関東も強い選手がどんどん出てきてますし。しっかり、連係できるときは連係して頑張りたい」
 前回の名古屋記念から新車を投入した大塚健一郎が、光を見出した顔つき。3534着で未勝利ながらも、一定の手応えはつかみ取っている。
 「前回から新車です。硬めのフレームでセッティングも全然違いますよ。これで方向性が見えた感じです。前回までは出足も良くないし、このままでは終わっちゃうなって思った。セッティングを煮詰めてもダメだったし、根本的に違うっていうのがあった。(井上)昌己とは相性もいいし、何度も連係しているんで信頼して任せる」
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