『第68回日本選手権競輪(GI)レポート』 2日目編

配信日:3月18日
 第68回日本選手権競輪は大会2日目を迎えた。特別選抜予選2個レースをメーンに、残りの一次予選5個レースで勝ち上がりを争った。初日に続き、落車が頻発するなど波乱も目立ったが、二次予選進出のメンバーが出そろった。
 明日3日目もイベントは満載。選手会東京支部選手お出迎えに、予想会、素人脚自慢男子決勝が予定されています。ぜひ京王閣競輪場でお楽しみください。
歴代ダービー王 日替わりトークショー
歴代ダービー王 日替わりトークショー
素人脚自慢 女子決勝
素人脚自慢 女子決勝
<1R>
小埜正義選手
小埜正義選手
 田中晴基が打鐘から果敢に風を切る。後方8番手となった吉田敏洋が早めの巻き返しで襲いかかると、小埜正義(写真)が最終2コーナーから番手まくりで応戦。吉田との踏み合いを制して力強く押し切った。
 「田中君が頑張ってくれたし、ラインのおかげです。昨日も付いていければラインのおかげだって言えるんだけど離れちゃったからね。なんとか一生懸命付いていきました。やっぱり緊張しますし、余裕はないです。でも、田中君があれだけ行ってくれたんでね」
 バックまくりで飯野祐太が2着に入った。
 「もうワンテンポ早く行ってれば勝てたかもしれない。まくれなきゃしょうがない。脚の感じは悪くないです」
 新田康仁は昨年の競輪祭で落車し、3月玉野記念から復帰して3場所目の当所で久しぶりの確定板入りだ。
 「晴基君が行ってくれて、小埜君も頑張ってくれました。あと抜くだけだったんですけどね。抜ける感じはあるんですけど、芯がないから実際踏むとフワフワする感じがあります。ラインで決めたかったです。ギアはもともと3.92を踏んでたし、あとは体がしっかり付いてくれば。(怪我をしたけど)自転車には乗れているし、大丈夫だと思います。頑張るだけですよ」

<2R>
郡司浩平選手
郡司浩平選手
 打鐘で先行態勢に入った矢野昌彦を柴崎淳が強引に叩いて主導権を握る。早めの反撃に出た人気の山田英明は不発。前の様子を見ながら脚を溜めていた郡司浩平(写真)が豪快なまくりを決めた。
 「もうちょっと早めに仕掛けたかったけど、展開待ちになってしまった。前の(山田の)仕掛けは見えていたので、終わったところで踏んだ。(山田が)かなりけん制をもらっていたので、外、外でしたね。(東龍之介と)ワンツーが決まったのが本当にうれしい。次につながる走りはできました」
 東龍之介が好マークから迫って2着。神奈川コンビで連を独占した。
 「(郡司は)強いですね。自分が前なら行けなかったと思う。落ち着いてまくり切ってくれたし、自分は付いていっただけ。何もしていない。少しでも上を目指すために追い込みになろうと思っているし、脚があるうちに技術を磨いていきます。地元の先輩達に認めてもらえるように頑張ります」

<3R>
松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 相川永伍が打鐘で主導権を握ると、水谷好宏もすかさず巻き返し、激しいもがき合いに。軍配は水谷に上がったが、今度は相川と連係を外した藤田竜矢がまくり発進。それに合わせて中村一将も番手から出て再度力勝負。中村が踏み勝ち、大勢が決したかに思われたが、2センターから踏み上げた松谷秀幸(写真)が直線を鋭く伸びて勝利。これで2Rに続き神奈川勢が連続で勝ち星を挙げた。
 「内に行こうと思ったんですけど、行けなかったので外をいきました。踏んだ感じは車が出ましたし、2センターから仕掛けたんですけど、伸びましたね。昨日より、今日の方が感じが良いですしタイムも出ている。次も頑張ります」
 松谷を追走した松坂英司は、ゴール勝負に持ち込むも3着。しかし、連続で神奈川勢の確定板入りに笑みがこぼれる。
 「松谷の気合が相当入っていた。神奈川みんなでダービー合宿をして、状態を確認したり、コミュニケーション取ったりしました。他の地区にも負けてないね。このまま神奈川が盛り上がってくれれば」

<4R>
坂本健太郎選手
坂本健太郎選手
 永澤剛が稲毛健太ライン3車を受けると、坂本健太郎(写真)は高原仁志の切り替えもあって一本棒に近い形での7番手。
 「粘ってくれないかなって思ったんですよね」と、振り返る坂本。その思いが通じたのか、永澤剛がインを押し上げて最終ホームでは逃げる稲毛後位はもつれて併走。隊列が短くなったところをまくり上げた坂本は、園田匠との福岡ワンツーを果たした。
 「稲毛君に1回脚を使わせてからああなって、自分はまだ勝負ができるなって思っていた。だけど(まくって行って)番手を見たら永澤君がはまっていたし、あれで出て行かれたらきつかったですね。(調子は)悪くはないんですけど、前検日に首を少し痛めたのが…。それでもジャンが鳴ったら、もう痛みは忘れてしまう。まぁ、園田じゃなくて、普通のマーク屋だったら抜かれてなかったと思う」
 直線の入り口で坂本の外に車を持ち出した園田匠が、シャープな伸びで1着。一次予選落車のうっ憤を幾ばくか晴らした。
 「やっぱり初日がもったいなかった。でも、今日1着を取れたんでね。でも、落車の影響は多少あると思います。気持ちよく走れていないところもあるんで。今回は師匠(吉岡稔真氏、65期引退)に朝早くから練習をつけてもらってたのもあって、本当に初日は悔しかった。そのぶんも走る以上は1着を狙っていきます」

<5R>
小林大介選手
小林大介選手
 打鐘過ぎにハナに立った山田義彦に吉本卓仁がすかさず襲いかかり、激しいもがき合いを演じる。最終3コーナー過ぎで大きく外に振った山田の動きで吉本が落車。それに菅田壱道、伏見俊昭が巻き込まれた。前団がもつれて空いた内を突いた小林大介(写真)が1着をさらった。
 「コースが詰まっちゃって前の動きに見切りをつけて内に行きました。落ち着いてレースできています。前回よりは良いですし、気持ち的には楽になってます。徐々に良くなってます」
 諸橋愛は小林に内をすくわれたが、態勢を立て直して2着に入った。
 「誰が内に入ってきたのかわからなかった。でも、やっつけないとと思って。レースも見えているし、体も動いています」
 ラインの前2人が落車するも、その惰性を借りた平沼由充が3着に食い込んだ。
 「仲間が落車しちゃったから素直には喜べないですけどね。前の2人が落車してその分コースがガラ空きになったからもらったスピードを生かして行きました。最近は1着ないけど伸びてるし、仕上がりも良いです。(直近4カ月の競走得点)101点にしてはやった方でしょう」

<6R>
竹内雄作選手
竹内雄作選手
 打鐘過ぎに斬った松岡貴久を竹内雄作(写真)が叩いて主導権を奪う。そのまま絶妙のペース配分で駆けて別線を完封。堂々の逃げ切りで好スタートを切った。
 「すんなりの展開だったし、落ち着いていけました。感触も良かったです。(前回の)大垣に近い感触で踏めました。ラインのおかげというのが一番大きいですね。だからラインで決めたかったんですが…。しっかり準備して二次予選に備えます」
 中団を確保した松岡貴久はまくり不発となったが、荒井崇博が直線で外を踏んで2着に強襲した。
 「(竹内は)ずっと踏み上がっていく感じがあった。貴久がいけないって思うところの判断が遅かった。調子はいいし、問題ない。二次予選は2着までに入りたい」
 中部ライン3番手の北野武史が3着に入り、二次予選に進出を決めた。
 「竹内がガーンって踏んだのでヤバイと思ったけど、回せと自分に言い聞かせながら踏んでました。駆け方がやっぱりうまいですね。最後は外を踏んだら伸びました」

<7R>
渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
 大方の予想どおり古性優作が打鐘からレースを支配する。中団を確保した桐山敬太郎が最終2コーナーから仕掛けると、西岡正一の厳しいブロックを乗り越え、前団をねじ伏せる。直線で落車のアクシデントも、最後は番手から渡邉晴智(写真)が抜け出し南関ワンツー、かと思われたが、桐山がまさかの斜行で失格。渡邉は悔しそうな表情で記者への質問に答えた。
 「桐山が力勝負をすると思って全て任せてました。結果、失格になったんで喜べないですね。でも、(望月)永悟が上がってくれたんで良かったです。僕は一戦一戦頑張るだけ。自分を含め、南関で盛り上げたい」
 桐山の失格により、直線を鋭く伸びた渡邊健が2着に繰り上がった。
 「みんなが仕事して、前が頑張ってくれたおかげです。展開もありますけど、デキすぎですね」
 望月永悟が3着となり、二次予選進出を決めたものの「俺が3着になるより、桐山が勝ち上がってくれたほうが…」と表情を曇らせた。

<8R>
藤木裕選手
藤木裕選手
 打鐘で押さえて出た藤木裕(写真)が後続の隊列を確認しながら、絶妙なペースで別線の反撃の芽を摘む。人気の渡邉一成を7番手に置くと、最終ホーム手前からスピードを上げてライバルたちのまくりを完封。ゴール寸前で桑原大志に交わされたものの、内容の濃いレースで2着に逃げ粘った。
 「来年に向けてという気持ちで押さえ先行をしました。自分の位置からしっかりと駆けられた。逃げ切れる感じだったけど、桑原さんが強かったですね。(ここに向けて)気楽にこられているし、チャレンジャーのつもりでやれている。(前までは)負けたらアカンって意識して、苦しかったのもあります。次につながる走りができた」
 中団を確保した阿竹智史が、まくりでジワジワと前団に迫るも布居寛幸のヨコまでで終了。番手の池田憲昭が内を突くと、その後ろにいた桑原大志が外を踏んで鮮やかに突き抜けた。
 「本当にビックリ、自分が一番ビックリしています(笑)。走る前は(阿竹が)中団を取ったとしても、自分は6番手なんでね。3着までに入るには内しかないと思っていた。そしたら池田君が内に行ったんで、自分は外へと思って急に行った。イチかバチかでした」
 最終3コーナーでインに進路を取った池田憲昭は、黒木誠一をすくうと直線で藤木と布居の間を突いて3着入線。
 「今回は新車なんですけど、思ったよりいいですね。昨日セッティングの微調整はしました。脚には余裕もあったし、(前回の落車でも)体は大丈夫です」

<9R>
神山拓弥選手
神山拓弥選手
 赤板で村上直久を押さえた高久保雄介が後ろの様子を確認しながら徐々に踏み上げる。これに対し、天田裕輝が7番手からロングまくりを敢行。中近勢の激しい抵抗を乗り越え、最後の直線入り口で高久保を捕らえると、好追走の神山拓弥(写真)が鋭く差し切った。
 「天田さんは強いし、絶対に行くと信じて付いてました。村上(直久)さんが内を締めてたから行くならあそこだなと思いました。強かったです。ワンツー決めれて良かった。関東のG1の予選のメーンで、後閑(信一)さんとかいるのに、同期(天田)と組めてうれしかった」
 天田裕輝が2着で人気の関東91期コンビでワンツー決着となった。
 「どこかで行かないとと思っていたし、タイミング的には良かったです。3番手の柴田(洋輔)君には迷惑をかけました。なんとか4コーナーで出切れました。若干あきらめそうになりましたけど。やっぱり一走してみないとなんともいえませんからね。これでG1の流れに乗っていけそうです」
 村上直久は中団の内に詰まって不発に。そこから踏み上げた中村浩士が最終3コーナーから内に斬り込んで3着に入った。
 「こっちは下からで『あぁ天田が来るな』って思いました。ライン的には完敗です。状態は良いと思います。あそこしかないってところで踏めてるし、前回の感じは払拭できたかな。なかなか(ヨコの)動きを出す場面は少ないけどその準備はしています」

<10R>
浅井康太選手
浅井康太選手
 浅井康太(写真)が混戦を制し、好スタートを切った。レースは早い段階から動き始めるが、打鐘で後方から踏み上げた稲垣裕之が最終主導権。3番手を確保した新田祐大は、最終2コーナーから抜群のスピードでひとまくり。しかし、神山雄一郎をどかし新田後位を奪った浅井がピタリと続くと、粘る新田をゴール寸前で捕らえた。
 「とりあえず行けるところまでいこうと思ったら、スピードが合ったんで神山さんのところにいきました。脚を使ってダッシュして、さばいて、差してるので動けてるっちゃ動けてますね。レースの流れに乗れてない中でも勝ててるし、これが流れに乗れればもっと良くなるでしょうね。前回の玉野初日に怪我をしたけど、しっかり修正できていると思います」
 新田祐大は、浅井に屈して2着。しかし、ゴールデンレーサー賞への切符は手に入れた。
 「後ろにも権利が出るような戦い方を心がけているつもりです。浅井さんが後ろに入ったのは予想外。でも、あそこから仕掛けて差されちゃってるんで修正が必要ですね。自分が思ったところで体が反応してくれるように仕上げるだけです」
 金子貴志は浅井に離れ気味になりながらも、懸命に追って3着に入線。
 「浅井がかかってましたね。いいタイムですよ。自分は飯嶋君にあたられて遅れたんできつかったですね。その後村上さんにもあたられましたし。何とかですね」
 村上義弘は新田を止めれず4着に終わった。
 「稲垣が前々にいって頑張ってくれた。(自分は)脚がない。大垣、名古屋とセッティングを煮詰めて良い形にはなったけど、自力でなんとかできる感じではないね」
 石井秀治は見せ場を作れず6着。
 「車番も悪かったし、展開も向かなかったですね。まあ、しょうがない。でも、脚は軽いし、回転も出ています」
 風を切った稲垣裕之は、思い描いた展開にならず9着に沈んだ。
 「新田君にすんなり3番手を取られてしまいましたね。本当は3番手でもつれさせれるかなって思ったんですけど。長いクランクで走ってスカスカしました。短くしたほうがいいかもしれませんね」

<11R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
 脇本雄太に出られてはチャンスがないと踏んだ池田勇人。その脇本を制して赤板の手前ですでに先行態勢を取ると、再度仕掛けた脇本を突っ張り主導権を死守。最終2コーナーで4番手の山崎芳仁が外に持ち出すと、武田豊樹(写真)はちゅうちょなく番手まくりを発動。残りの半周は後続に影を踏ませることなく1着で4日目のゴールデンレーサー賞へとコマを進めた。
 「脇本君がいたんですけどね、池田君は先頭を走る選手として隙は見せなかった。僕ももっと余裕があれば池田君を残せたと思うけど。脇本君の存在も大きくてレースが早く動いた。苦しかったです。ああいう(早い段階でペースが上がる)レースになると課題が出てくる。余裕がない…。またしっかりと反省して、余裕をつくれるようになりたい。(ゴールデンレーサー賞は関東で)しっかりと連係したい。平原(康多)君も好調ですし、また話します」
 「盆と正月」と、武田マークから2着に流れ込んだ成清貴之は、甘いマスクでニヤリと笑う。
 「前(武田)が安定感があるんで、俺はただ座っていただけ。地区は違うけど武田とは同級生だし、いい勉強になりました。強いのは当然ですけど、ああいうところでしっかりと勝つ武田はすごいなって思った。自分も特選からだし、少しでも有利なところを走りたかった。だから(ゴールデンレーサー賞に乗れて)よかった。あれを抜いたら、俺もタイトルを獲れちゃうんでね(笑)」
 車体故障の菊地圭尚に続いて山崎ともつれた井上昌己が後退すると、大塚健一郎は山崎の後ろにスイッチ。山崎が中途半端に仕掛けると、今度は成清の後ろに切り替えて3着を確保した。
 「(井上)昌己は車体故障をしたと思った。それで申し訳ないけど切り替えさせてもらった。セッティングとかまだ煮詰めるところはあるけど、3着に入れたのは大きいですね」
 全日本選抜以来の実戦となった池田勇人は、「脇本君が前を取ったら、また考えましたけど…。あの方が自分にとってはいいと」と、逃げに徹した組み立てを振り返る。
 赤板の1コーナーからインを進出した井上と、山崎芳仁が4番手併走の取り合い。井上をキメて中団はキープした山崎だったが、まくりのタイミングが合わずに不発。グランドスラムへは、早くも3日目の二次予選が正念場となった。
 「井上君も来るだろうし、そこで勝負と思っていた。そこからは(まくりに)行くんなら、2コーナーの手前でしたね。ちょっとタイミングが悪かった。もうバックを踏んだら、僕の場合はなくなっちゃうし。その1回目のところでイチかバチか行くべきでした」
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