『第72回日本選手権競輪(GI)レポート』 前検日編

配信日:4月30日

 輪界でもっとも権威のあるタイトル「第72回日本選手権競輪(GI)」が、11年ぶりに平塚競輪場で開催される。ゴールデンウイーク真っただ中の5月1日から始まる6日間のロングランシリーズに、輪界のトップ162人が湘南バンクを舞台に躍動する。前検日の4月30日は、多くの報道陣と選手で検車場は熱気に包まれた。選手は初日、2日目から始まる熾烈なバトルに備えて、それぞれが入念な調整を行った。
 本場では開催中の毎日、先着でお菓子のプレゼント(初日は500人に森永のお菓子)、ご当地物産店舗での催し、キッチンカーフードの販売、初心者ブースなど、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。また、5月1日の初日には「ものまね歌謡ショー」なども予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

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香川雄介選手
香川雄介選手
 3日目からの補充だった2月の全日本選抜でGI初勝利を飾った小川真太郎が、ダービーではオープニングに登場。3場所前の平塚FIでは611着でV奪取と当所との相性も抜群で、再び平塚のファンにその存在をアピールする。
 「(全日本選抜は)補充だったんで、半分楽しみながらっていうのがあった。(今回は)家を出る時に緊張しました。それでも楽しみながらやれたらいいですね。(練習は)いつも通りです。まだ、(GIに向けてっていう仕上げが)わからないところもある。それでも近況も悪くないし、自分が思うより先に体が動いている」
 3月のウィナーズカップで決勝に進出している香川雄介(写真)は、小川とのタッグで好スタートを切りたい。
 「(小川の番手は)チャンスやと思うんで、しっかりモノにしたい。(小川は)いろんな戦法ができるし、僕は付いているだけで勝手に残ってくれると思う」
 川村晃司は松戸FIを欠場して、前回の川崎ナイター記念からおよそ20日間空いた。
 「左のヒザが痛くなる時があって。それで何日間か休んでから練習をしました。しっかりケアができたんで、練習自体はいつも通りにできた。練習の感じは悪くなかった。空いたのが20日くらいなら、レース勘も大丈夫です」

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柴崎淳選手
柴崎淳選手
 川崎ナイター記念シリーズのS級ブロックセブンを制した中川誠一郎は、続く久留米FIを完全V。4連勝と勢いをつけて、一昨年にタイトルホルダーの仲間入りを果たしたダービーを迎える。
 「気持ちはいいですよ、1着が多いんで。やっぱり1着が一番(の薬)。(中4日で)疲れはそんなに出なかったんで、大丈夫だと思います」
 柴崎淳(写真)は、前々回の松阪112着、前回の四日市811着と地元のFIシリーズで上々の戦績を残した。
 「(近況は)その時、その時の状況をしっかり判断して動けていると思う。(脚の感じは)全然いいですね。かみ合ってきたのがデカい。いままでの(いいころの)状態に戻ったんで、そこからどんだけ上げていけるか。考えてやらないとダメです」

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早坂秀悟選手
早坂秀悟選手
 早坂秀悟(写真)は川崎のナイター記念のあとに拠点を宮城に戻して、内容の濃い練習を積み重ねてきた。
 「川崎が終わってから仙台に帰りました。やりたい練習はできたし、すごくいい。良好です。飯野(祐太)さんに誘ってもらって、平に合宿にも行きました。2泊3日でいい練習をさせてもらった」
 前回の西武園では新山響平の3番手から突き抜けて記念初Vを遂げた和田圭が、気心知れた早坂との連係で気負いはない。
 「(前回の優勝から)あっという間だった。雨とかも降ってたけど、普通に練習をやった。特別なことをやる時間もなかったんで、(GIでも)普通の開催のようにですね」
 池田良はここ3場所のFIシリーズで1勝と物足りない成績。しかしながら、GIの大舞台で変わり身が見込めそうだ。
 「ちょっと良くなかった。(3月の前橋から)クツを換えたりして、セッティングも…。それがだいぶ方向性がわかってきた。(今回は)いいかなと思います」

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古性優作選手
古性優作選手
 前回のGI、2月全日本選抜で決勝にコマを進めた古性優作(写真)。その後も静岡記念Vと、多彩な戦法で安定した成績を残している。
 「平塚バンクは昔、A級の時に走って以来ですね。(前検日に)バンクに乗って、軽くて嫌いじゃないなと思いました。最近、体の使い方が良くなかったけど、良かった時のことを思い出して少しずつ良くなって来ています。感覚は成績よりマシになっていると思う。GI獲れたら最高ですね(笑)」
 取鳥雄吾は、地元の3月玉野記念で5132着と大健闘。その後は準決敗退が続いているが、ここに向けて徐々に感覚を取り戻している。
 「玉野記念が終わってから(4月)川崎記念まではあんまり良くなかったけど、前回(4月久留米FI)から少しずつ上がってきています。ここまではマッサージに行ったり、練習したり、リラックスして過ごせました。GIでもやることは一緒だから、できることをしっかりやります」
 その取鳥に前を任せるのは、前回4月別府FIでまくった太田竜馬を交わして優勝した渡部哲男だ。
 「取鳥との連係(実績)はあんまりなくて3、4回目ですね。踏み出しが強くて、緩急をつけるのがうまい印象があります。前回からは1回疲れを取って、流れは悪くないので軽めに練習してきました」

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新山響平選手
新山響平選手
 新山響平(写真)は前回の西武園記念を2913着。シリーズを通して3.77のギアで小気味いい動きを披露した。
 「いまの状態なら(西武園記念は)やった方じゃないですか(笑)。そのあとも状態は悪くない。(練習を)目いっぱいやって、あと2日はなにもしてない。疲れを取るのと、しっかり気持ちを落ち着かせた。自転車から1回離れて、なにもしなかった。それでまた乗りたくなってくるんですよね。ギアは(今回も)3.77で勝負して、いまのところ足りているかなっていう感じがある」
 京王閣、名古屋と直近の2場所のFIシリーズで連続Vの長島大介が、いつも通りの笑みを浮かべてリラックスムード。
 「流れがいいですね。いろんなことがマッチしているけど、(自転車の感覚は)変な感じがするんですよ。それでも進んでいるんで、いいのかなって思っている」

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鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 前回の四日市FIから中10日の鈴木竜士(写真)は、そのなかで向上心をもって創意工夫に努めてきた。
 「(四日市が)終わってからいろいろ考え直して、体の使い方とかを見直した。前にできてた(体の)使い方ができなくなっている。それを戻して、また新しいことをやっていかないと。前回よりはいいと思います」
 前回の一発勝負の「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」では先行策を荒井崇博に交わされた根田空史だが、状態は引き続き悪くなさそうだ。
 「(荒井に)差されはしたけど、自分の感じは良かった。タイムも良かったし、あのタイムで抜かれたらしょうがない。(3場所前の)小松島は悲惨だった。それで点数も落としてしまった。だけど、もう大丈夫です。やっと(タイムが出る)いい時期になってきた」

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中井俊亮選手
中井俊亮選手
 中井俊亮(写真)は前々回の平塚FIをまくりで今年初優勝。イメージのいい平塚での大一番は、アドバンテージになるだろう。
 「ここは悪いイメージはない。普通に走りやすい。中4日でもしっかり練習はできた。久しぶりのGIなんで、自分の持ち味を出せるように走りたい」
 「ほぼマイナーチェンジですね」とは、近況、自力での戦いがめっきり減った海老根恵太
 「難しいですけどね、それでも一時よりは(番手に)慣れてきた。どこに行ってもだいたい(南関の目標)いますし、いつまでも(自力で)やれるわけじゃないんで」

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松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 岩本俊介は、ナイター開催の4月川崎記念で3勝を挙げるなど、鎖骨骨折から復活を果たした。前回の別府FIは決勝で9着大敗を喫したが、中1週間で調整を重ね不安はない。
 「前回は疲れがあって、体がフワフワしてましたね。(ここまでは)休みを多めにして調整してきました。怪我も乗り越えて、練習に関しても問題はないですね。松谷さんと東(龍之介)と決められるように、ちゃんと仕掛けてお客さんが納得できるようなレースをしたいです」
 松谷秀幸(写真)は、川崎記念の最終日に岩本の番手を回ってワンツーを決めている。地元で再現といきたいところだ。
 「(岩本は)めっちゃ強いっすね。(踏み出しに)集中しとかないと。(地元で)気持ちは入りますね。調整はしっかりできました。ちょっと抜いてきたんで疲れは大丈夫。あとは走ってみてどう出るかですね。東も(3番手に)付いてくれるんで、ワンツースリーが決まるように頑張ります」
 落車続きでなかなか状態の上がってこなかった阿竹智史だが、前回高知FIの決勝では先行して2着と復調の兆し。ここからの巻き返しに期待だ。
 「状態を戻すには、先行するのが一番手っ取り早い方法だと思うんでね。あれで大敗してたら良くないけど、粘れてるんで。だいぶ良くなってきたと思う。(ここまでは)20日近く空いたんで強めにやってきました。やっとやりたい練習もやれるようになってきた」

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吉澤純平選手
吉澤純平選手
 吉澤純平(写真)は昨年の度重なる落車を乗り越え、今年2月全日本選抜では初のGI決勝進出を果たした。GI連続での優出に油断はない。
 「練習してきたものがしっかり積み重なってる感じですね。ここからまだまだ上積みできると思ってます。その時(全日本選抜)が良くても、今回もいいとは限らないんで、気を引き締めて頑張ります。(中4日で)ちょっとあっせんが詰まってたんで自分なりに調整して、悪くはないと思います」
 石塚輪太郎はGI初出場。大舞台でも、持ち味の先行力をアピールできるか。
 「練習も順調にできてるんで、いい勝負ができると思います。初GIで右も左もわからないけど、一戦、一戦に集中して、一個でも上に上がれるように。デビューした時からのGIを獲るっていう目標の第一歩なんで。出ただけで終わらないように、見せ場を作りたいですね」
 前回の武雄記念の決勝では、果敢な先行で山田英明の地元優勝に貢献した松川高大。6日間の長い戦いを見据え、いつもよりもキツめの調整で脚に上積みを作ってきた。
 「ここに向けて、普段より強めに練習をしてきました。長丁場なんで、いつも通りじゃもたないと思って。疲れは少しあるけど、徐々に良くなっていけば」

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山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 10年の地元、平のオールスター制覇以降、ダービーにグランドスラムがかかる山崎芳仁(写真)は、前回の小松島GIIIの初日に落車。2日目にシンガリ負けを喫して途中欠場を余儀なくされ、ここが1カ月以上ぶりの実戦になる。
 「落車する前から腰が痛かったのもあって、1週間くらいは休んだ。そこから乗ってきました。もう大丈夫です。ただ、フレームがダメになったんで、(以前に)使ってたヤツに換えてきました。(グランドスラムに関しては)落車後なんでまずは一戦、一戦をこなして、結果がついてくればとしか言えないですね」
 前回の別府FIをオール2着の太田竜馬は、直近の競走得点が108点とそのポテンシャルを考えれば一息。GIで“らしさ”を見せられるか注目したい。
 「(前々回の)落車はとくに影響はない。もう大丈夫です。ちょっとずつ良くなってきている。(レースの組み立ては)難しいですね、やっぱり練習と違うから。無理やりとかじゃなくて、(仕掛ける)タイミングを見極められるように」
 昨年8月のオールスター以来のGIとなる池田勇人は、引き締まった顔で口を開く。
 「普通に練習はやってきました。(課題は)トップスピード。やっぱりトップスピードが必要です。(体を)絞って、一番多い時より5、6キロくらい(体重が)減りました」

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浅井康太選手
浅井康太選手
 浅井康太(写真)は、痛めた座骨の怪我から完治した春から成績が上昇。惜しくもタイトルを逃した昨年のダービーを振り返りながら、気を引き締めた。
 「去年は、あの(4コーナーを番手で回った)展開で獲れなかったので、今回はしっかりと。深谷(知広)が東京五輪を目指してトレーニングをしているし、自分もトレーニングをして自信をつけていかないとダメですね。でも、1月、2月に比べると調子も良くなってきたし、楽しみ。ここまでも、自分なりにやってきました。初日は自分のタイミングで仕掛けたいと思います」
 新田祐大は、ここが今年3戦目。前回のウィナーズカップは準決で涙を飲んだだけに、ここでうっ憤を晴らす。
 「ウィナーズのぶんも、今回は頑張りたいですね。ウィナーズが終わってからは(ナショナルチームの)トレーニングをずっとしていました。(競輪の自転車には)乗っていないので、指定練習でどんな感じか確認します。でも、これはだいぶ前からやっているし、(競輪への切り替えは)問題ない。初日は和田さんが付いてくれるので非常に楽しみ。自分のレースを組み立てて、2人で決められるように」
 相次ぐ落車で一息の成績が続く諸橋愛。それでも、ここまでの中39日を使い、きっちり仕上げてきた。初日は悩んだ末に、単騎を選択。己の力を信じて勝ち上がりを狙う。
 「(ここまでは)落車の影響があったので、前半はケアを中心にやって。残りの3週間はじっくり練習ができました。(体を)作り直すには時間がかかるし、(中39日間は)自分に必要な期間だったと思います。楽しみっちゃ楽しみですけど、レース勘とか不安もある。初日は(新田の)番手にいってもいいけど、自分でやった方がレース勘を一番戻しやすいので(単騎で走る)。脚の感じは良いです」
 村上義弘は、前回の松戸で久しぶりのFI戦に参加。結果は151着も、対戦した外国人選手から新たな刺激をもらった。3大会ぶりのダービー制覇に向けて、静かに闘志を燃やす。
 「片言の英語だけど、(松戸の)風呂場でいろいろ外国の選手と話をした。外国人が先に行っているのか、日本人が足踏みしているのかわからないけど、競輪だけ時間が止まっている。そういう意味でも世界で戦っている外国人選手と話をして、時代の変化に敏感になることが大事だと思う。人それぞれ思い入れある大会は違うけど、自分にとっては(ダービーが一番)。競輪の歴史をたどってみても、歴史が違う。一番重みのある大会なので」