『第72回日本選手権競輪(GI)レポート』 初日編

配信日:5月1日

 輪界でもっとも権威のあるタイトル「第72回日本選手権競輪(GI)」が、平塚競輪場で5月1日に幕を開けた。ゴールデンウイーク真っただ中とあって、多くのファンが詰めかけた。輪界のトップクラスが織り成すスピードバトルに、一次予選からスタンドは沸いた。初日メインの特選では、村上義弘が脇本雄太の逃げを追い込んで近畿ワンツー。脇本とともに4日目の「ゴールデンレーサー賞」に進んだ。5月2日の2日目は、残りの一次予選と特選の2個レースで勝ち上がりが争われる。
 本場では開催中の毎日、先着でお菓子のプレゼント(2日目は500人に森永のお菓子)、ご当地物産店舗での催し、キッチンカーフードの販売、初心者ブースなど、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。また、5月2日の2日目には、「早見優」のライブ&トークショーなども予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

敢闘宣言をする郡司浩平選手
敢闘宣言をする郡司浩平選手
日本選手権競輪20回連続出場で表彰を受ける齋藤登志信選手
日本選手権競輪20回連続出場で表彰を受ける
齋藤登志信選手
中森あきない モノマネ歌謡ショー
中森あきない モノマネ歌謡ショー
清水克仁 モノマネ歌謡ショー
清水克仁 モノマネ歌謡ショー

<1R>

小川真太郎選手
小川真太郎選手
 菅田壱道を押さえて打鐘手前で小川真太郎(写真)が、先行態勢を取る。しかしながら、小川ラインに続いた川村晃司もすかさず仕掛けて出る。番手の香川雄介が何度もけん制するが、川村は止まらない。が、西岡正一が離れて、小川は冷静に最終1コーナーで川村の1車を受ける。後方から宿口陽一が好スピードでまくると、小川が川村の番手からまくって出て、そのまま押し切った。
 「宿口さんなら考えようと思ったけど、(来たのが)川村さんなら無理に突っ張らなくてもっていうのがあった。(ラインの)後ろもしっかりしているんで、前を向いて走るだけだった。(番手に入って)すぐに出ていけたんで、脚の感じもいいかなと思います」
 2着の香川雄介は恵まれを強調してさらりと振り返る。
 「川村は飛ばせなくても、西岡は飛ばさなくちゃと思ってたら、(西岡が)付いてきてなかった。自分はキツかったし、あんまり良くないのかもしれない。後ろの方だったら届いてないでしょう。展開が大きかった」
 関東勢にかぶりながらも菅田壱道が直線で狭いコースを踏んで3着に入った。
 「ちょっといろんなこと(アクシデント)が重なって、不安要素ばかりだった。そのなかで対応できたし、焦らずに外を踏んでいったら伸びました」

<2R>

荒井崇博選手
荒井崇博選手
 打鐘手前から踏み込んだ渡邉雄太が主導権を握ると、8番手の柴崎淳がカマシ気味に襲い掛かる。内藤秀久のけん制を乗り越えた柴崎は最終2コーナー過ぎに逃げる渡邉をとらえるが、志智俊夫が内藤のブロックで連結を外す。脚を溜めていた中川誠一郎がさらにその上をまくる。スピードの違いで前団をのみ込んだ中川を荒井崇博(写真)がゴール寸前で交わして1着。94年に吉岡稔真(65期・引退)が叩き出したバンクレコードを荒井が、上がり10秒4で20年以上ぶりに塗り替えた。「ウソでしょ(笑)」と、バンクレコードの一報に荒井自身も驚きを隠せない。
 「(前々回の地元記念の)武雄の時に仕上げてきたけど、展開が悪くて出なかった。そのぶん、前回と今回で出ました。(ゴール後も中川を)抜いたかどうかわからなかった。前から(中川)誠一郎のまくり追い込みを抜くって言ってたんでよかった。俺と一緒の時は誠一郎はタイミングを逃さないね」
 最終2コーナーからの鮮やかなまくりで別線を置き去りにした中川誠一郎も、笑顔で汗をぬぐう。
 「自分が前を取った時(に考えてた作戦)の2パターンのひとつでしたね。(柴崎)淳が切ってこなかったんで、これはカマすんだろうと。それを見ながらでした。まだ朝だったんで仕上がりが甘かった。キレがいまひとつだった。それでも(スピードが)乗ってからはまずまずでした」
 志智が離れて援護を失ったロングまくりの柴崎淳だったが、直線でも踏ん張って3着にこらえた。
 「(中川が)強かった。行かれてしまった時はヤバいと思って必死に踏みました。(南関勢を)乗り越えるのに脚を使った。(脚の)感じはいいですね」

<3R>

和田圭選手
和田圭選手
 赤板の1センターでハナに立った才迫開は、堀内俊介が早坂秀悟にフタをするのを見るや、一気にピッチを上げて駆けていく。早坂は堀内との位置争いを制すると、最終2コーナーから踏み上げて前団をまくり切る。乗った和田圭(写真)が差し脚を伸ばしてアタマ。
 「いつもよりモガく距離が短いから、楽に行き切るかと思ったけど。3コーナーで差して回っていたら、(早坂)秀悟がすごくキツそうでした。うまくやれば、(早坂が)3着には入るかなと思っていたんですけどね。俺がヘタクソでした。脚に問題はないけど、気持ちに余裕がない」
 車を引いた堀内は、7番手からの立て直し。最終2コーナーからまくり上げるも、前団をとらえられない。しかし、南関3番手を回った萩原孝之が、大外のコースを伸びて2着に食い込んだ。
 「堀内が仕掛けてくれて、俺にチャンスが生まれました。コースはわからなかったですね。夢中で踏んだ感じです。バックで脚がいっぱいだったけど、結果は良かったですね。あれだけ伸びているし、感じは悪くないです」
 渡邉晴智は最終2センターから堀内の内コースを踏んで、3着に入った。
 「堀内にとっては、脚を使ってあの位置になって最悪でしたね。でも、脚を使わなければ行き切っていたかもしれない。コース取りは悪くなかったけど、萩原に抜かれてしまった」

<4R>

古性優作選手
古性優作選手
 前受けの関東勢を赤板1コーナーで鈴木裕が押さえ、さらにその上を古性優作(写真)が出て先頭に立つ。打鐘手前から踏み上げた取鳥雄吾が主導権を奪うが、古性は飛び付く。最終ホームで番手を取り切った古性が、取鳥をゴール前で交わして白星をつかんだ。
 「(飛び付きは)作戦にはなかったですね。(取鳥が)もっと勢いよく来るかなと思ったら、僕の動きを見ながら緩く叩きにくる感じだったんで。あれで4番手に下がってもしょうがないんで、番手戦っていう判断になりました。(番手に入ってからは)本当は(取鳥の)前にいかないと。いい時なら1センターか、1コーナー手前ぐらいで行けてるんですけどね。待ってしまいました。正直、状態は良くないです。(取鳥を)抜くときにガコガコしたし、力んでしまってますね」
 天田裕輝が渡部哲男と絡むと志村太賀は、最終2センターからコースを探して2着に強襲した。
 「(前回の松戸FIで)外国人と一緒に競走したおかげです(笑)。勝負どころでこれは絶対悪い位置じゃないと思った。あまちゃん(天田)が1車でも前々に行ってくれたおかげですね。でも、バンクが重くて道中は脚がいっぱいでした」
 古性に番手に入られながらも、懸命に踏み直した取鳥雄吾が3着に逃げ粘った。
 「(打鐘2センターで)天田さんも内を踏んでたから、行かなくていいやと思った。(古性が)飛び付いてくるだろうなと思ってたし、(渡部)哲男さんには悪いけど自分が残れるレースをさせてもらいました。バックからいっぱいいっぱいで、4着か5着ぐらいまで沈んだかと思ったけど、残れてよかったです」

<5R>

長島大介選手
長島大介選手
 5番手から上昇した野原雅也が、赤板過ぎに前受けの金子幸央を押さえる。その上を新山響平が2コーナーで押さえて先制。松浦悠士は、その新山ラインに続いて追い上げるが、4番手にはまった野原と併走になり打鐘が鳴る。新山がスピードを緩めたまま後続を警戒するなか、野原は前の伏見俊昭と佐藤慎太郎をすくって新山の番手まで上昇。松浦は外側から追い上げもつれる。そこへ8番手で脚を溜めた金子幸央が、最終ホームから反撃開始。じわじわと前団に迫り、2センターで新山をとらえて先頭に躍り出る。絶好の展開で直線に入った長島大介(写真)が、直線で鋭く伸びて白星スタートを切った。
 「金子が(相手に)脚を使わせて一発の方が強いのはわかっていたので。(金子は)ごちゃつけば行けると思っていました。(残せなかったけど)僕は、金子を残せるようにって考える余裕はありました。いい流れが止まらないですね。脚も上がっています」
 まくった栃木コンビの後位に、最終バックでスイッチした松浦悠士が長島に続いて2着。
 「僕のスタイルは追い上げてっていうところなので、スタイルは通せました。恵まれた感じはありますけど、状態自体はいいので人任せにし過ぎたかなっていうのはありますね。ダービーの一次予選は、初めてクリアしました」
 すくった野原と連係を外した山田久徳だったが、堤洋をどかして松浦を追い3着に流れ込んだ。
 「(野原と離れた時に)内が空いているのがわからなかったです。伏見さんがデカくて見えなかった。道中は楽で、考える余裕もありました。もうちょっと伸びたら絶好調ですけどね」

<6R>

桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
 前からの組み立てを強いられた根田空史は、打鐘の4コーナーで松岡篤哉が鈴木竜士を叩くと下げた7番手から巻き返す。最終1センター過ぎに根田が逃げる松岡とらえて、桐山敬太郎(写真)の追走。離れ気味の武田憲祐が食らいついて別線に出番はない。直線で根田との差を詰めた桐山が、きっちり追い込んでホームバンクで幸先のいいスタートを切った。
 「自分も結構、キツかったですね。(根田を)抜けてよかった。まずはひと安心です。(2月の)全日本選抜が1年ちょっとぶりのGIだったけど、初日に負けちゃった。ダービーは2年ぶりだし、(一次予選をクリアして)勝ち上がりで戦えるんで(GIの舞台に)帰って来たかなっていうのがある。GIの調整をちゃんとやって走れば、まだ大丈夫っていうのもわかった。正直、このまま(GIに)出られないで終わっちゃうのかと。だからホッとした」
 「桐山さんとの相性が良すぎる。展開も向くんですよね」とは、松岡が叩いて、反撃のタイミングが生まれた根田空史。ラインを上位独占に導いて、笑みを浮かべる。
 「前受けの作戦がなかったんですけどよかった。松岡さんも行ってくれて、様子を見ようと思ったら思いのほか詰まって、外に差しちゃった。それでそのまま行っちゃえと。あそこで反応して行けてるんで、感じはすごくいい」
 前の桐山との車間が1車以上空いた武田憲祐は、直線でさらに離されたものの3着はキープした。
 「あきらめなくてよかった。やめるわけにはいかないですから。ひとりでも(後ろから)食われたら、勝ち上がれない。ゴールしたあとに、(4番手以降が)空いているのがわかった」

<7R>

伊藤成紀選手
伊藤成紀選手
 仕掛ける順番が回ってきた中井俊亮が、赤板の1センターで先頭に躍り出る。別線を警戒しながら、そのまま先行態勢へ。打鐘、最終ホームと一本棒で通過すると、4番手を確保した田中晴基が1センターから踏み上げる。これを番手の松岡健介が執拗にブロック。すると、近畿3番手の伊藤成紀(写真)が、直線で中のコースを伸びて白星をさらった。
 「田中君が張られたら、外を踏もうとも考えていたんですけど。神山(雄一郎)さんが内に来るかもしれないし、締めていました。ちょっと踏むのが早かったかもしれないですね。後ろに食われることが怖かった。(突き抜ける)自信はなかったです。ここに向けて半年調整してきて。(初めてGIで)勝てたこともそうですけど、勝ち上がれたことが素直にうれしい」
 松岡健介は伊藤に交わされて2着。しかしながら、番手の仕事をきっちりと遂行してラインを盛り立てた。
 「中井君が頑張ってくれたのがうれしかったです。伊藤君も3番手を固めますと言ってくれたし。神山さんは内に来ると思って内ばかり気にしていたら、外に見えて。技術というより、中井君が勝手に残ってくれましたね。(着の)順番どうこうよりも、3人で決まって良かったです」
 先行した中井俊亮は、神山雄一郎とのきわどい3着争いを制して勝ち上がり。レース後はホッと胸をなで下ろした。
 「最後は4着かと思いました。ちょっと、前に出るのが早かったですけど、積極的にいって良かったですね。ライン3車だし、長さを生かしたかったので(先行の組み立てを考えていた)。ラインで決まってうれしい。状態も変わらずキープできていると思います」

<8R>

松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 川口聖二が押さえて出ると、前受けの岩本俊介は打鐘過ぎに7番手まで下げる。川口がペースを上げて最終回に入るが、岩本はホームからすかさず巻き返す。別線のブロックをかわして力強くまくり切った岩本を、最後は番手の松谷秀幸(写真)が差し切って1着。地元のダービーを白星でスタートさせた。
 「岩本がすぐ行ってくれたんで、そこに尽きます。(岩本が)仕掛けたところはすごいキツかったんですけど、最後は余裕がありました。師匠(佐々木龍也さん)にチェーンを換えろって言われて換えたのもよかったですね。(ラインで)ワンツースリーが決まったことが一番です」
 岩本俊介は卓越したスピードを十二分に発揮。ラインを上位独占に導いた。
 「中団には阿竹(智史)さんがいるんで、厳しいレースになるのはわかってました。でも、(その上を)行くんだって気持ちを最後まで持てましたね。なによりも(ラインの)3人で決まったことがうれしい。イエローラインを走ってると他のラインが持ってこれないんで、苦しかったけど3人で決まった要因でもありますね」
 3番手を固めた東龍之介が、きっちりと3着に続いて勝ち上がりを決めた。
 「松谷さんは同期ですし、いつもお世話になっている。松谷さんの後ろだけを見て、しっかり付いていって自分のやれることをやろうと思ってました。前が踏んでから踏み込むとか、ヨコの気配を見られる余裕もあったんで、状態はいいと思います」

<9R>

大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 動きかけた石塚輪太郎に反応して、赤板で松川高大が先に誘導を降ろしてハナに立つ。石塚は吉澤純平にフタをしたあとに、2コーナー手前から仕掛けて打鐘から先行態勢に。松川は3番手を確保し、6番手に単騎の伊藤信、吉澤は7番手に置かれて最終回へ。隊列を一本棒にして逃げる松川に、吉澤は1センターから反撃。しかし、2コーナーから松川がまくり出て、吉澤は出切れず後退する。松川は、最終バックで東口善朋のブロックを乗り越えると、2センターで石塚をとらえて先頭に。松川にピタリと続いた大塚健一郎(写真)がゴール前で交わして今年初勝利を挙げた。
 「久々の1着なのでホッとしました。前回(4月別府FI)からセッティングと乗り方を大幅に変えたので、感覚はまだですね。でも、方向性は合っていると思うからもっと良くなればいいなと思います」
 3番手からまくりを決めた松川高大が2着で、九州勢でワンツーを決めた。
 「(赤板で)吉澤さんが結構見ていたので、合わされないようにと思って踏みました。ジャンで伊藤さんが、(和歌山コンビに)付いて来てなかったのがデカい。仕掛けたときは重かったし、(石塚)輪太郎も掛かっていたので、出は悪かったですね。(1走して)戦えるかなっていう感じはあります」
 九州コンビには出られたが、直線で石塚の番手から抜け出した東口善朋が3着。
 「(松川に)真後ろから行かれたらキツいですね。りん(石塚)が緩めていたら吉澤に行かれるだろうし。りんはりんのレースをしてくれたと思います。僕がやれる最大は尽くしたかなって思います」

<10R>

橋本強選手
橋本強選手
 周回中、5番手にいた飯野祐太が先に動いて出て、続いて小嶋敬二も切る。小嶋がペースを落して、その上を押さえて出た太田竜馬が楽に主導権を握る。赤板の1センターでハナに立った太田は、落ち着いて別線の動きを確認しながらマイペースに持ち込む。4番手に追い上げた飯野はなかなか前団と車間が詰まらず、番手の橋本強(写真)にとっては願ってもない流れ。橋本が抜かりなくチャンスをモノにした。
 「(太田は)ずっとニュートラルに入れて、好回転で回していた。見てて余裕がありそうでしたね。自分も回すのがかなり楽だし、調子が上がっている。(太田のああいう先行に)いままではキツかったけど、(今回は)いつでもブロックにいける感じがあった。愛媛の若手が長い距離を行って強いんで、それに引きずり回されている。だから、こういうレースができるようになりました」
 先行策で別線を完封した太田竜馬は、早々に息を整えてこう振り返る。
 「自分の行けるところから行こうと思っていた。ペースでいけましたね。ゴール前があんまり踏めなかったけど、(2着に)残れてるんでまあまあいいです。(押さえに行くのを)もうちょっと待ちたかったけど、待つと小嶋さんに突っ張られると思って行きました。うまく駆けられました」
 6番手からまくりを打った小嶋との3着争いになった柏野智典は、外を踏んで8分の1輪で一次予選をクリアした。
 「(太田は)だいぶ流してましたね。(最終)ホームくらいでは大丈夫かっていうのがあった。(3番手からのコース取りは)中に入るのは違うなと思ったんで、外を踏みました。(小嶋に)抜かれたと思った」

<11R>

村上義弘選手
村上義弘選手
 脇本雄太が後ろ攻めから上昇。この動きに合わせて踏んだ北津留翼は、内から抜け出しを狙った新田祐大に反応して脇本を突っ張る形に。北津留の番手にハマった脇本だったが、すかさず踏み上げて赤板の2コーナーで主導権を握った。追い上げて5番手の位置を確保した浅井康太が、最終1センターから仕掛けて前団に迫る。これに対して、絶妙な間合いで別線の反撃に備えていた村上義弘(写真)は、浅井をけん制。最後は直線で差し切った。
 「(北津留の)動きが読めない中で、脇本がしっかり対応してくれた。浅井も新田もいるし、後ろを確認しながら。2車なので内も気にしながら(走っていた)。(ワンツーが決められたのは)脇本の頑張りに尽きる。脇本はオリンピックを目指してハードなトレーニングをしているし、調整が難しいと思う。それでも、レースで力を付けてくれている。僕は脇本とのこれまでの連係と、先々の目標(オリンピック)のために、しっかりいいレースをしたい」
 脇本雄太は約1カ月ぶりの実戦ながら、力強い先行策を披露。頼もしい味方の援護を背に、持ち前のパワーを存分に発揮した。
 「(北津留の)番手に入ったから安心するということはないです。今までは慌てていたけど、今回は冷静に自信を持って駆けられました。ちょっと内を見たら、村上さんも締めてくれていたし、2車でもしっかりと仕事をしてくれるので安心して駆けられますね。(村上との)ワンツーも久しぶりな気がします。(競輪の自転車は)多少、違和感があるけど、競技の練習をしながらセッティングを調整していたので。今までの(競技でレース間隔が空いた)初戦に比べたら悪くない。でも、まだ完全ではないですね」
 浅井康太は3番手併走から直線勝負にかけたが、白星ならず。それでも、3着に食い込んで4日目の「ゴールデンレーサー賞」にコマを進めた。
 「村上さんに合わされそうになったので、3番手併走のイメージに切り替えました。あの上を乗り越えられたら良かったんでしょうけど。(村上に)もってこられるよりはと思って。追い込みの脚が生きましたね。北津留が下がってきたのが見えて、無理やり仕掛けた割りには車が出たと思います。あとは、モガく距離を伸ばしていきたい」
 内からの抜け出しに失敗した新田祐大は、追い上げてきた浅井との併走を嫌って7番手に下げる。バックから大外を踏み上げたが、届かず8着に終わった。
 「(内を狙ったが北津留が)降りてきて危なかったし、浅井さんも来てしまって。悩みながら引いてしまいました。行くタイミングはホームであったので、そこで行けば良かったですね。勝負どころはそこ。でも、(久しぶりに乗った競輪の自転車に)違和感はない」

<2日目 一次予選 5R>

山中秀将選手
山中秀将選手
 昨年の競輪祭で初のGI決勝の舞台を経験した山中秀将(写真)は、今回も期待が膨らむ。気になるのは、直前の4月奈良FIの落車だが、本人は問題なしをアピールした。奈良の前の川崎ナイター記念の決勝では、今回も番手を回る小原太樹の記念初制覇に大きく貢献した。
 「怪我は、擦過傷と打撲と手首のねん挫くらいだったんで、もう大丈夫ですよ。(2日目からの出走は)助かりますけどね。1日入るだけで全然違いますから。フレームもちょっと傷が入ったくらいで大丈夫でした。練習では思いっきり叩きはしなかったんですけど、治療しながら練習量はキープしました。小原は同期だし、(川崎ナイター記念をワンツーで)ほかの同期のみんなにもおめでとうって言ってもらえたし、本当によかったです。今回もいい結果になればいいですね」
 初の記念制覇からいい流れでダービーに臨める小原太樹。地元でのGIにも気負うことなく、自然体で検車場入りした。
 「(ここまでは)ちょっと休みを入れて、そのあとはいつも通りですね。気合は入ってます。自分はその場、その場でやれることをやるだけなんで。実力が違うんで、できる限りのことはしたいなと思います」

<2日目 一次予選 6R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 吉田拓矢(写真)は4月武雄記念の準決で落車し、続く松戸FIを欠場。今回が復帰戦だが、状態面に不安はなさそうだ。
 「怪我は右半身の打撲でした。ちゃんとケアをして、練習もちゃんとしてきたので大丈夫です。芦澤(辰弘)さんとは練習も一緒にやっているし、相性も悪くない。みんな強いのはわかっているので、気持ちで負けないようにしたいですね。決勝を目指して頑張ります」
 その芦澤辰弘は、前回4月四日市FIで112着。今年のFI戦は6場所中、準V5回としっかり成績をまとめている。
 「四日市の決勝は、鈴木(竜士)君がいい掛かりだったので(最終)バックで油断してしまいました。そこで柴崎(淳)さんに良いスピードで行かれてしまった感じでしたね。GIクラスだと、ああいう掛かりでも来るんだなって勉強になりました。でも、自分の動きと、自転車の伸びは良かったので、その感覚を崩さないように行きたいです」
 今年初戦の1月別府FIで完全優勝を飾り、好スタートを切った南修二。その後も2月高松記念で6122着や、前回の静岡FIで準Vと、ハイパフォーマンスを見せている。
 「稲毛(健太)との相性はいいと思います。自分の調子もいつも通りです。静岡からここまでは、普通に練習して過ごしました。(一次予選は)まずはちぎれないようにですね」

<2日目 一次予選 7R>

和田真久留選手
和田真久留選手
 3場所前の平FIを211着のV、続く宇都宮FIを112着。前回の武雄記念では決勝進出も勝負どころでちゅうちょした感もある和田真久留(写真)は、ホームバンクでの大一番に反省を忘れない。
 「(武雄記念の決勝は)前のやり合いを見ちゃって、自分がダメなパターンのレースをしてしまった。そこから練習はある程度やりたいことはやってこられました。あとは気持ちで負けないように。しっかりレースをしたい」
 デビューから通算99勝の山岸佳太は、メモリアルにリーチも同県の芦澤大輔との勝ち上がりを第一目標に掲げる。
 「100勝よりも2着までに入りたい。自分の感じもいいですけど。(前回が終わってから地元の取手)バンクに久しぶりに入って、同じダービー組がいたんで一緒にやった。みんな強かったですね。(昨年の小田原記念を優勝して)神奈川がいい方角だって考えてやります(笑)。6日制は初めてなんで、(初日に)雰囲気を味わいたい」

<2日目 一次予選 8R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 2月全日本選抜は1919着と、初のGIながら存在感をアピールした清水裕友(写真)。近況も4月武雄記念で2勝を挙げ、好調を維持している。
 「前回の(4月)久留米からは、ゆっくり疲れを取って来ました。(GIは)2回目なので前回(全日本選抜)よりは、しっかり走れると思います。緊張もいまはまだないですね。今回は調子を上げてきたつもりなので、それがいい具合に出てくれれば」
 清水が目標の岩津裕介は、3月の当所FIを227着。続く4月高知では213着とオール確定板入りを果たした。しかし、近況の成績に納得はできない様子。
 「(4月松戸の欠場は)腰の具合を見て大事をとって休みました。最近は余裕もあまりなくて、思うように走れてないですね。練習もセッティングも、良くなるように少しずつ変えながらやっている感じです。今回、頑張って流れを取り戻したいですね」
 3月立川FIは単騎戦で優勝を果たした大槻寛徳。ここは4月武雄記念で準Vの小松崎大地に付けてチャンスを待つ。
 「(立川の優勝は)たまたまです。展開が向いてくれたので。最近は調子が落ち気味だったんですけど、前回(4月久留米FI)の最終日から良くなっている気がします。練習でも感じは良かったので。平塚バンクは、クセもないし走りやすいですね」

<2日目 一次予選 9R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 「そもそも自力でやると思ってた」と、吉田敏洋(写真)。一次予選は自力での戦いを想定していたが、竹内雄作とのセットで前を委ねる。
 「ダービーのここもだし、そのあと(地元の)名古屋記念もある。(最近は)レースのなかで自分で動けている。そんなに悪くない。(番手は)回数もこなしてきたし、そこら辺は心配をしていない。いろいろ考えるところもあって、これから4、5年(同地区の後輩が)出てこなければ、まだまだ自力でやらないと。ぬくぬくと後ろを回って、安心している場合じゃないっていうのがある」
 竹内、吉田の後ろで中部ラインの3番手を守る近藤龍徳は、前回の久留米FIの611着を振り返る。
 「調子はいいし、動きもいい。準決に乗れなかったけど、近藤龍徳がピン、ピン(で連勝)。前を抜かないとそうならない。相当、気持ちも入ったし、疲れも全然ない」
 菊地圭尚は玉野FIを955着で続く武雄記念を欠場。不安を抱えながら久々の実戦に臨む。
 「玉野の時から花粉症で体調が悪かった。冬期移動の岐阜と北海道で寒暖の差が激しいし、それで体調がおかしくなったのもあると思う。本調子ではないけど、だいぶ戻ってきた。(6月の函館記念は配分がないので)目の前の仕事(ダービー)をしっかりやりたい」

<2日目 特別選抜予選 10R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 深谷知広(写真)は、競技の世界に舞い戻って昨年から怪物パワーが復活。今年初戦のウィナーズカップこそ振るわなかったが、2場所目となるダービーでその本領を発揮するか。
 「ウィナーズカップの時は(ナショナルチームが)オフで(競技の)練習をしていなかったんですけど。(ウィナーズカップが終わってからは伊豆の)ドームで(競技の)練習をしていました。(レース勘は)いまのところ走ってみないとわからないですね。でも、いつも(ナショナルチームでの練習)がレース以上の緊張感があるので。(競技の)ケイリンの流れとかで走れれば。今年は(競輪の出走回数が少なくて)何回かしかチャンスはない。一戦、一戦をモノにしたいです」
 今年はまだ優勝がない郡司浩平。しかしながら、前回、松戸FIを315着の決勝は、外国人選手を相手に先行して和田健太郎の優勝に貢献。徐々に状態を上げている。プレッシャーのかかる地元でのビッグも、リラックスしたムードで記者の質問に答えた。
 「松戸はそこ(主導権)だけはしっかりしようと思っていました。あとは3着までに残れたらと思ったけど。でも、状態はいいですね。ここまでも平塚で1泊合宿をしていい練習ができました。(地元で開催するGIだが)まだ、そんなに緊張感とか、高ぶるものはないですね。(昨年のグランプリ争いを経験したことで地元のGIでも)気持ち的に落ち着いています。悔いの残らないように、うまく仕掛けたい」
 山田英明は、3月小松島でGIIIを初制覇。さらに、続く地元の武雄記念も制するなど、いいムードでダービーを迎えた。
 「小松島で(GIII制覇の)壁を乗り越えて、ポンポンといけた感じですね。でも、みんなに助けてもらったおかげです。ここまでは、しっかりリセットして練習ができました。仕上がっているかは、走ってみないと。(競走)点数こそあるけど、そこまでの脚はないと思っているので。自分のレースをして勝負します」

<2日目 特別選抜予選 11R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 ウィナーズカップで準Vの平原康多は、前回の西武園記念を1117着。地元でVこそならずも、無傷で優出と流石の存在感を示した。
 「(西武園記念の感触は)体の状態は問題なく走れました。名古屋で怪我をしたけど、ウィナーズの後から期間を取れたので、状態は問題ないです。(平塚バンクの印象は)悪いイメージはないです。しっかり力を出し惜しみなく走りたいです」
 三谷竜生(写真)は今年すでに記念を3V。さらにウィナーズカップを1114着と、昨年の怪我を乗り越えて一層パワーアップした印象だ。昨年、初のタイトルを奪取をした思い出の当大会で、さらに進化した姿を見せる。
 「自分の中では、タイトルを獲って変わったことはないです。でも、獲ったことによって今年はS班ですし。しっかりレースはできていると思います。変な重荷にはなっていないですね。ダービーを優勝したことで自信にもなったけど、(7月福井記念の落車で)怪我をしたことも良かったと思う。そこでしっかり考えられました。だんだん調子も上がってきて、今年に入って結果も出せています。どのレースでも優勝を狙っていますけど、連覇ができるように頑張りたい」
 原田研太朗は全日本選抜、ウィナーズカップと今年のビッグを連続優出。四国勢として、久しぶりのタイトルホルダー誕生に期待が掛かる。
 「タイトルを意識しなさすぎはよくないので、多少は意識して。でも、まずは一戦、一戦勝ち上がるだけですね。(今年のビッグは)いつも通りだとアカン。去年までのGIだと、1走目、2走目はいいけど、準決で飛んでしまっている。それは今年なしで。(積極的な競走が目立つのは)後輩ができて、そういうのもしていかないと。(前回の)静岡でも(初日、準決と)ラインで決まっているし。それ(ラインで決めること)が大事だと思っている」