『第72回日本選手権競輪(GI)レポート』 4日目編

配信日:5月4日

 平塚競輪場を舞台に開催されている輪界でもっとも権威のあるタイトル「第72回日本選手権競輪(GI)」は、ロングランシリーズの後半に突入した。5月4日の4日目のメインは「ゴールデンレーサー賞」。豪華な顔ぶれで争われ、単騎の浅井康太が白星で準決に弾みをつけた。シリーズもいよいよ正念場、5日目には決勝9枚のキップをかけて、準決の3個レースで激しい火花が散らされる。
 本場では開催中の毎日、先着でお菓子のプレゼント(5日目は1000人に森永チョコボール)、ご当地物産店舗での催し、キッチンカーフードの販売、初心者ブースなど、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。また、5月5日の5日目には、「怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」のショー、食品サンプル作り教室なども予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

ゴールデンレーサー賞出場選手紹介
ゴールデンレーサー賞出場選手紹介
仮面ライダービルド&エグゼイドショー
仮面ライダービルド&エグゼイドショー
日本選手権競輪を盛り上げるバンクエンジェルとウィンディ
日本選手権競輪を盛り上げる
バンクエンジェルとウィンディ
名輪会トークショー
名輪会トークショー

ゴールデンレーサー賞 レース経過

 見合ったスタートから、脇本雄太、村上義弘が出て近畿勢が前受け。脇本-村上義-村上博幸、原田研太朗-桑原大志、浅井康太、山田英明-園田匠、郡司浩平で隊列は落ち着く。
 青板バックで山田が上昇気配を見せると、脇本はサッと車を下げ、正攻法の位置が山田に代わる。一方、7番手まで引いた脇本は赤板手前から反撃を開始。これに合わせて中団から郡司が先に動くと、突っ張る山田を押さえて先頭に。その上を叩いた近畿勢が打鐘前から主導権を握る。狙いどおり郡司が4番手を確保し、5番手に山田、7番手に原田と態勢が変わり、浅井は9番手に置かれてしまう。しかし、ホーム手前から浅井は猛然と巻き返す。上がってくる浅井を待たず、1センターで郡司がまくり発進。すかさず山田が追って仕掛けると、浅井は内の園田をキメて、山田後位へとスイッチ。郡司をけん制しながら村上義も番手から踏み出して応戦するが、2センターで郡司がその乗り越えていく。直線に入ってもなおも内で抵抗する村上義をねじ伏せた郡司だったが、その外を山田、浅井が強襲。一番伸びが優った浅井がゴールデンレーサー賞を制した。



<1R>

稲毛健太選手
稲毛健太選手
 前受けの稲毛健太(写真)は、松坂洋平の上昇に5番手まで下げて阿部拓真と併走。赤板の2コーナーから仕掛けた阿部が、松坂を叩いて先行策に出る。が、稲毛も構えることなくすかさず巻き返す。最終バックで前団をのみ込んだ稲毛は、続いた川村晃司を二の足で振り切った。
 「黒田(淳)さんのところで粘ってもと思って、ああなりました。あそこまでいけば松坂(洋)さんも踏むでしょうし。僕は切った上をすぐに行こうと思っていた。来る前の練習では感じが良かったんですけど、(連日)前に出ないことには…。(4日目は)出られたんで良かったと思う。3(コーナー)で伸びていきましたから」
 稲毛を追走して直線勝負の川村晃司は、交わせずの2着。
 「稲毛君が強かったです。しっかり踏み直してた。抜きにいったんですけど自分は進まなかった。(番手での立ち回りは)まだまだなんで、もっと慣れてできるようにしたい」

<2R>

松岡貴久選手
松岡貴久選手
 後方から早めにレースを動かした松岡貴久(写真)だったが、最終ホームでは一本棒ではないものの8番手に置かれる。逃げる川口聖二に襲い掛かった鈴木竜士は不発。最終2コーナーから松岡が仕掛けると、自力に転じた金子も外併走からまくる。結果的に金子を追いかける形になった松岡が、ゴール前できっちりとらえた。
 「一番後ろになっちゃいましたね。1回、(打鐘の)4コーナーで見てしまって、バックを入れた。あれがなければ三宅(伸)さんも来られたんでしょうけど…。(金子がまくる前に)自分で行ってて、ああいう形になりました。(前の2走よりは)全然、感じが良かった」
 好スピードで迫った鈴木は、逃げる川口にコーナーで合わされていっぱい。金子幸央が鈴木の余力を見極めて、自力を出してまくった。
 「(鈴木が)気持ち良く行ってくれた。自分は意外とキツかった。止まった状態から(まくって)行かなきゃいけないから。いつもだったら流れのなかで行けるけど。(鈴木が)下がって来てしまったんで、もう前に踏ませてもらった」

<3R>

志智俊夫選手
志智俊夫選手
 竹内雄作を警戒していた鈴木裕が、打鐘の2センターで飛び出して先行策に出る。前受けの竹内は最終ホームを8番手で通過。しかし、1センターから反撃に出ると、別線のあおりを受けながらも前団に迫る。志智俊夫(写真)は竹内の仕掛けにきっちり続き、直線で鋭く伸びた。
 「風が重かったね。周りから流れると聞いていたけど、顔見せからそんな感じはしなかった。(竹内)雄作も(風を受けて)キツいかなと思ったけど、(3番手からまくった佐藤友和も)突風で止まったね。でも、雄作が簡単に行き切るようなスピードだったら、俺がやばかった。GIで勝てて嬉しい。自信を無くしかけていたからね」
 まくった竹内雄作が2着。別線の包囲網を突破して岐阜ワンツーを決めたが、組み立てを反省する。
 「情けないですね。もっと考えないと。単調なレースになってしまって、あれでは上で通用しない。でも、これが今の現状です。練習では悪くないけど、レースとは感覚が違う。ただ、練習で体は動いているので、それが実戦で出来る様に意識を変えます。みんなからアドバイスももらったし、(まくり切れた3走目が)プラスに向いてくれたら」

<4R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手
 青板バックから早めに動き出した中井太祐は、前受けの新山響平を押さえる。すんなり7番手まで下げた新山は赤板2コーナーから巻き返すが、中井が突っ張って両者で激しいモガき合いになる。冷静に脚を溜めていた宿口陽一(写真)は、最終1センターから踏み上げて前団をひとのみ。GI初勝利に、笑顔で検車場に引き揚げて来た。
 「展開が向きました。3日目があまりにも不甲斐なかったんで。初めてのGIで、中(2日目)が休みで、休みの過ごし方もわかってなかった。(GI初勝利は)めっちゃうれしい。とりあえず1勝はできて良かった。これで気持ちよく帰れます」
 最終3コーナーで前田拓也のブロックを受けながらも、こらえた志村龍己が2着に続いた。
 「邪魔されちゃったんで、普通に抜けなかったです。後ろを確認したら来てなかったから、そのまま踏んだけど抜けなかった。スピードがまだまだですね。あのスピードは僕が前だったらまくれてない。前を回ってくれた宿口さんに感謝です」

<5R>

佐藤博紀選手
佐藤博紀選手
 赤板の1センターで堀内俊介が押さえて出る。野原雅也は南関勢を追って一旦4番手に収まるが、打鐘の3コーナーから反撃を開始。最終ホームではラインで出切った。一方、脚を溜めていた単騎の佐藤博紀(写真)は後方に置かれるも、2コーナーからまくって一気に前団に迫る。そして、南修二のけん制も乗り越えて、ひと飲みにした。
 「単騎だったので、真ん中にいるよりは一発に賭けようと思ってました。自分は踏んだり止めたりっていうのができないのでね。3走目は展開も向いたし、ラッキーでした。思ったよりスピードも出ましたね」
 積極的に攻めた野原雅也が3着に粘る。
 「突っ張られるのが嫌でとりあえず先頭に出てと思ってました。相手(堀内俊介)も上がりながらだったので、接触したのかも。出切ってからは一杯でした。しんどかったです」

<6R>

早坂秀悟選手
早坂秀悟選手
 松岡篤哉が中団の阿竹智史に併せ込むと、阿竹が外に大きくけん制しながら4番手をキープする。しかしながら、打鐘手前で前の山田義彦と接触して阿竹は落車。誘導を降ろしていた早坂秀悟がペース上げて、巻き返した松岡は出られない。北日本勢の3番手に山田が続いて、早坂のダッシュに4番手以降は置いていかれる。番手の山崎芳仁が余裕をもって早坂を差して1着。
 「落車があったけど、誰がしたのかわからなかった。そのあとに(落車した選手を確認して)もうまくってくる人がいないのがわかって、しゃくられないように締めていた。(3日目に)失敗しているんで、きっちりと。(番手での立ち回りに)答えがないので一戦、一戦勉強ですね」
 「自分が得意な展開だった」とは、山崎とラインでワンツーの早坂秀悟(写真)。前受けから、後続のアクシデントをしり目にリズム良く駆けた。
 「誰が落車したのかわからなかったんで、阿竹さんがいると思っていた。脚の残っている人がまくってくる前提で要所、要所を踏んでいた。山崎さんにはブロックをしてもらって、自分だけが成績を良かったりっていうのもあった。だから1着を取ってくれて、自分も残ったんで良かったです」

<7R>

田中晴基選手
田中晴基選手
 石塚輪太郎が赤板で押さえて出る。その上を山岸佳太がカマして打鐘の2センターで主導権を奪った。叩かれた石塚は内をすくって神山雄一郎と絡む。3番手に追い上げた田中晴基(写真)は、外併走から2コーナーでまくり上げると、番手を死守した神山の抵抗も凌いで白星を手にした。
 「とにかく前々にいこうと思っていました。やり合いを期待すると後手を踏むから、脚を使ってでも位置を取ろうと。みんなに粘られてしまいましたね。もっとスパッとまくりたいけど、タテ脚がない。体調は良いんですけど、ここ(GI)に来ると、実力不足を感じます」
 最終2センターで大量落車が発生するも、逃げた山岸佳太が力強い走りで2着に粘った。
 「石塚君とは初対決でした。自分が前に出て勝負しようと。あとは(田中)晴基さんの動きを見てですね。ホームではカカっている感じがしたし、うまく駆けられたと思うけど、後ろが粘られているのでね。風は強いけど、駆けてしまえば気にならないです」

<8R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 前受けの吉田拓矢を高橋和也が押さえて、その上を勢いよく渡邉雄太(写真)が飛び出して先行態勢。打鐘2センターから高橋が巻き返しを狙うが、渡邊は突っ張って逃げる。高橋を合わせ切った渡邉は、そのまま後続の追撃を振り切って白星をつかんだ。
 「本当は中団の作戦だったんですけど、踏んだら合わせられたんで(先行した)。(高橋)和也さんは見えてたんですけど、吉田の動きはわからなかった。(踏んだのは)ジャンの4コーナーくらいから。最後も踏み直せているし調子はいいと思います。ただ、初日が本当にもったいなかった」
 敢然と仕掛けたものの高橋は不発。自力に切り替えてまくった小嶋敬二が2着。
 「渡邉君が強かった。ホームで追い風を利用して、1コーナーでもう一度踏んでいったんで、あれじゃ(高橋)和也も出られない。和也は(合わされても)やめないで踏んでたし、あれでやめられると成清(貴之)が振ってきちゃう。やめなかったぶん、外を回せましたね」
 成清貴之は、高橋を突っ張り切って、吉田を不発に追いやった渡邉の強さに脱帽した。
 「ハコ3はダメでしょ。付いていくのでいっぱいでした。(渡邉は)2車であれができるんだから本物だね。(小嶋を)もっていきたかったけど、離れちゃいそうだった。参りました」

<9R>

坂本亮馬選手
坂本亮馬選手
 赤板からじわりと上昇を始めた北津留翼が、岩本俊介を押さえて先行態勢を取る。北日本コンビに木暮安由ラインも切り替える。7番手まで下げた岩本が最終ホームから踏み上げる。逃げる北津留後位の坂本亮馬(写真)は、岩本を外に振ってからやむを得ず番手まくりを打つ。バックでは岩本に出られた坂本だったが、コーナーで盛り返して1着。
 「岩本さんも(押さえに来た)僕らを突っ張ったら、(南関勢の勝負権が)なくなっちゃう。だから、出させてもらえるだろうと、作戦をかなり考えました。(北津留は)あんなにフカして駆けるとは思ってなかった。(番手まくりは)内から間に合って良かった」
 高橋陽介が3番手を確保。番手発進の坂本に続くが、最終2センターで桐山敬太郎を外に張る。和田圭が空いたインから追い込んで2着に入った。
 「(高橋)陽介さんのおかげですね。自分はたまたま。うまく(内に)入って、2着に入れただけです。空かなかったらダメだった。自分の脚以外の流れがいい。新田(祐大)とか(渡邉)一成さんとか(ナショナルチームで)忙しいんで、GIとかでしか一緒に走れない。そういう人たちと準決で走って、また練習でも頑張っていきたい」
 十八番のロングまくりを坂本に合わされた岩本俊介は、和田に交わされて3着で惜しくも二次予選敗退。
 「頑張ったんですけど、(九州勢が)2段駆けだったから…。木暮君にもジャンでバックを踏まされたし、(このレースで)越えないといけない壁が多すぎた。(ラインの)3人で決まるようにと思ったんですけど…」

<10R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 新田祐大を警戒しながら踏んだ清水裕友が、打鐘で主導権を握る。いったん5番手に入りかけた新田は、さらに踏み上げて3番手取りに動いて松浦悠士の内に入る。松浦が新田を押し込むと、吉田敏洋が最終ホーム手前で落車。新田らがもつれるなかで、後方で脚力を温存した中川誠一郎(写真)が最終2コーナー手前から踏み出す。新田も合わせて出るが、スピードの違いでまくり切った中川があとはひとり旅で後続をちぎった。
 「自分が前になったらなったで、新田君は先行するのかなと。それもしょうがないし、自分はしっかり力だけ出そうと。(最終ホームで落車を)避けたので立ち遅れましたね。踏み出してからは、新田君を越えればなんとかなるって思った。やっぱり(1走目からキレが)悪い。出足がないけど、伸びのある仕上り。練習ができているのと、前々回、前回と成績が出て1着が取れている。その2つがかみ合って、気持ち的にも体的にもきているんだと思う」
 新田マークの成田和也は、最終3コーナーで内に進路を取って中国コンビの中を割るが及ばず。直線で松浦の外を踏んで3位入線も、松浦の失格で2着に繰り上がった。
 「新田がまくって行くのを見てからだったんで、遅れて(入って)割れなかった。まずは新田に付いていってと思っていた。(新田が)合わされたんで、そこから内に入った感じですね。あんまり大きくもっていけなかった。(感触は)悪くない」
 最終ホーム手前で吉田と接触した新田祐大が、後輪を破損。中川に合わせて3番手からまくり上げたが、持ち前のパワーが車輪に伝わらず4位入線。競輪祭、全日本選抜からのGI3連覇が絶たれたかに思われたが、繰り上がりで薄氷を踏む思いで準決に進んだ。
 「ダメでした、中途半端になっちゃった。(落車の)アクシデントがなかったら…。車輪が壊れちゃって、ずっとブレーキがかかっている状態だった。成田さんが僕の後ろにいるんで、1回仕掛けないとってダメ元で仕掛けたけどダメでした。(繰り上がりの3着は)素直に喜べないけど、準決に気持ちを切り替えたい。この繰り上がりをしっかり走って形にしたい」

<11R>

山田英明選手
山田英明選手
 「ゴールデンレーサー賞」は、山田英明が後ろ攻めから動いて誘導員後位が入れ替わる。前受けから後方に引いた脇本雄太は赤板から踏み上げると、合わせて踏んだ郡司浩平を2コーナーで押さえて主導権を握った。初手から中四国コンビの後ろにいた単騎の浅井康太は最後方に置かれてしまう。それでも、打鐘の4コーナーからカマすと、合わせる様に踏んだ山田の後位にスイッチ。最後は直線で伸びて白星を手にした。
 「仕掛けようと決めていて。その結果が良い位置にいけたと思う。状況判断はできましたね。でも、キツかったですよ。(仕掛けてから)脚は残していない。10割を9、8割くらいにして、転ばないように。最後は全力で踏んで伸びました。踏み切れているし、仕上がりは良いのかな。でも、もうちょっと(状態を)上げたいですね」
 山田英明(写真)は郡司に先まくりを打たれるも、その上をいって2着に食い込んだ。
 「車番も外枠だし、しっかり組み立てて。あとは流れの中でなので。(赤板の1センターで)郡司が前に来た時に、そこで絡んでいるとハラケン(原田研太朗)にいかれてしまう。それより、ハラケンより先に動ける態勢を取った方が良いと思ってサッと引きました。郡司が先に行ったけど、人任せにしないでその上をいったので2着に来れたと思います。今までに失敗もしているし、こういう時の対処の仕方がわかってきました」
 単騎でまくった郡司浩平は、番手まくりで抵抗した村上義弘を乗り越えるも3着。しかしながら、「準決勝につながる走りができたかな」と、積極的に仕掛けて手応えを得た。
 「イメージ通りの良いレースができましたね。勝負どころで切って、脇本さんを引き出して。しっかり4番手と思っていました。脚は溜まってなかったけど、1走目の反省を生かして、行けなくてもあそこで仕掛けないといけない。1着が取れたら1番良かったんでしょうけど、自分らしいレースができたと思います」
 原田研太朗は浅井と被って仕掛けどころを逃す。最終2コーナーから踏み上げたが、外を踏まされて4着まで。
 「浅井さんと思い切り被りました。音は聞こえていたけど、行こうとした時に横にいて。バックを入れすぎて脚がいっぱいでした。浅井さんが、あそこ(最終ホーム)から来るとはびっくり」