『ふるさとダービー弥彦(GII)レポート』 初日編
 
配信日:4月19日


 いよいよ今日から「ふるさとダービー弥彦」が開幕した。朝から気温もグングン上昇して、開催初日は絶好のコンディション。午後からは小雨こそパラついたが、選手たちは今回から採用された新ユニフォームを身にまといオープニングの1レースからハイレベルな走りを披露した。メーンの特選は井上昌己、小嶋敬二に伏見俊昭が制して幸先の良いスタート。明日は11レース優秀の「伊夜日子賞」をメーンに二次予選で準決勝進出を争います。
 場内も様々なイベントで盛り上がりを見せました。明日はスピリッツのお出迎えに始まり、先着1500名様には3万円分の旅行券が当たる「伊夜日子賞」の1着当て投票や6レース終了後にはバンクでスピリッツと脚自慢の素人が対決します。見どころ満載の弥彦競輪場へぜひご来場ください。


<1R>
明田春喜選手
明田春喜選手
   1レースは打鐘過ぎに上手く金山栄治の番手を取り切った明田春喜(写真)が制し、シリーズの好スタートを切った。
 「最初から番手を考えてなかったけど、(金山の仕掛けが)遅めだったし引けないと思って粘りました。金山さんもかかってたので外から抜くのはキツかったかもしれないし、金山さんがけっこう外に外してたので最後は内を狙ってました。落ち着いて走れたし、G2初勝利は嬉しいですね」
 2着に逃げ粘った金山栄治だが、「明田君がどこにいるのか解らなかったし、下手に流したらカマされると思って焦って踏んでしまった」と近畿連係が外れる結果を悔やんだ。
 一度は金山の番手を狙った内藤秀久だったが、最終的には三番手をキープし3着に。
 「今日は金山さんのハコ狙い。どうにかして勝とうと思ってました。打鐘でゴチャゴチャして突っ込めなくて三番手になったけど、気持ちは前々に行ってたし出し切れたと思う。調子も良いですね」


<2R>
坂上忠克選手
坂上忠克選手
   2レースは逃げる峠祐介の番手に内から牧剛央が追い上げ隊列が短くなる。そこをホームから一気に巻き返した浅井康太-坂上忠克でワンツー決着。番手絶好の展開をモノにした坂上忠克(写真)はホッとした表情でレースを振り返る。
 「番手を回って久々に勝てる展開になったから緊張しましたよ。バタバタしちゃって感覚が分からなかった。牧くんが粘ってるのは横に行くまで分からなかったけど、ラッキーでしたね」
 浅井康太も初挑戦のビッグレースで勝ち上がりを決め、笑顔が絶えない。
 「牧さんはすんなり四番手を取ってまくりだと思ってたから内に行ったのはビックリ。展開に恵まれたし、こんなにすんなり出切れていいのかなって感じでしたね(笑)。明日は格上相手になるので頑張りたい」


<3R>
栗田雅也選手
栗田雅也選手
   3レースでは栗田雅也(写真)が鮮やかなまくりで逃げる岡田征陽を仕留めた。会心の勝利に検車場でレースをふり返る声のトーンも高い。
 「最終ホームでカマすつもりだったんですけど、タイミングを見ている間に岡田くんが駆けてしまったので、四番手でまくりに構えました。小橋(秀幸)さんが内をシャクってきたのが見えたので、併走になるよりはと思い切って仕掛けたんですが、車の出が良かったですね。佐久間(仙行)さんのブロックでハウスしたんですけど、そこからもう一度立て直して踏み込めた。こんなに(報道陣に)囲まれるのは久しぶり。嬉しいですね」
 一方、岡田の番手を回った佐久間仙行は「もう一回持っていけば(栗田を)止められたんだろうけど、飯田くんに入ってこられちゃった。岡田も掛かっていたはずなんだけど、その上を行くんだから栗田のデキが良すぎたってことですね。悔しいな」とうなだれた。


<4R>
井上剛選手
井上剛選手
   4レースは打鐘過ぎ七番手から内をすくった石橋慎太郎が中団から一気に先行。離れながら高木隆弘が続き、さらに真原健一が追いかけると、その後ろから井上剛(写真)が鮮やかな伸びを見せた。
 「最近は今までになく練習してるので、すんなりなら四番手からでも行けるかなとは思ってました。でも思ったより伸びましたね。明日から厳しくなるけど、勝ち上がれるように努力します」
 昨日は疲れが心配だと話していた石橋慎太郎だが、「そんなに残ってなかった」と不安を一掃。2着の結果にも納得の表情を見せる。
 「風がキツくて重かったし、今日はまくりで一発狙わないとって気分でした。(内へ斬り込んだのは)体が勝手に動いたから。中団確保と思ったけど、(詰まって)変になるのも嫌だったし、勝ち上がれて良かったです」
 何とか石橋に食い下がった高木隆弘もホッとした表情。
 「普通でも離れるのに、内から外から行かれたらね。最後2着までは行きたかったけど、頑張ったほうだと思う。上出来ですよ」


<5R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
   新鋭・山下渡が主導権を握った5レース。最終バックで高木竜司が中団からまくると、これを見た大薗宏は番手まくりを放ち、最終3コーナーから4コーナーに駆けて両者で激しくもつれ合った。前の動きを見ていた吉田敏洋(写真)がバックから仕掛け、大外を一気に駆け抜けた。
 「山下くんがどんなレースをするのか読み難かったですね。事前調査では3・85のギヤを使っていたはずなのに、今日は57でしょう。一気に踏み込んで行くレースもあるのかなと思って、その展開も頭には入れていたんですけどね。思ったより早く高木さんが仕掛けてくれたので助かった。調子はマズマズですね。バンクは軽いけど、風が気になったかな」
 大薗宏は山下の敢闘を称える。
 「あれだけ行ってくれたんで、せめて僕が上位に入らないと、山下の気持ちが無駄になっちゃうでしょう。高木くんを持っていきながら踏んだけど、その外を来られたんじゃお手上げ。今のデキとしては3着は納得ですね。それにしても、山下くんは良く行ってくれた」


<6R>
荻原尚人選手
荻原尚人選手
   6レースは打鐘の2センターで森川剛の内を突いた荻原尚人(写真)が先行。この動きに番手の藤原憲征が続けず番手に森川が入ると、そこを立石拓也がまくってくるが、これをしのいだ荻原が逃げ切った。
 「ラッキー以外の何ものでもないですね。森川さんも先行する気マンマンだったので、やむなく内から行きました。後ろに入られたのは分かったけど、もう踏むしかなかった。スタート牽制と打鐘からの踏み合いでもう一杯、一杯でしたよ」
 何とか2着に食い込んだ藤原憲征だったが、最終1センターの動きで渡辺秀明、古閑良介のレースを大きく妨害したことで失格の判定を受ける。
 「外にいるのは分かってたけど、しょうがない」とだけ話すと競輪場を後にした。
 代わって2着にはまくり上げて3コーナーで荻原の番手にはまった立石拓也が繰り上がる。
 「(スタート牽制で)誘導を追いかけるのがキツくて、脚は戻ってなかった。でも番手に森川くんが入ったのが見えたので、荻原くんは流すだろうと思って行った。せめて前(荻原)は抜きたかったですね」


<7R>
望月永悟選手
望月永悟選手
   7レースでは望月永悟(写真)が獅子奮迅の活躍で1着をもぎ取った。海老根恵太の番手で大仕事。マーカーとしての面目躍如だ。
 「行ってくれた海老根のおかげですよ。まくりは視野に入っていたし、止めるのがオレの仕事だから。でも確定板には(海老根を)残せましたね。それだけが心残りです。4コーナーで海老根は踏み直してたから、抜きに行っても大丈夫だと思ったんですけどね」
 辛くも踏み止まった海老根恵太は「4着まで勝ち上がれるっていうのがあったんで、早めに行こうとは考えていたんですけどね。それにしてもタイミングは最悪。無理矢理ですよ。ちょっとオーバーワーク気味かもしれません」とレースを振り返った。


<8R>
藤原誠選手
藤原誠選手
   今日、地元勢で唯一の勝ち星を挙げたのは8レースの小橋正義。中団の志村太賀が打鐘から先行すると、番手絶好の展開を生かした。
 「太賀がよく踏んでくれました。自分では一杯一杯まで抜きに行かなかったけど、太賀を残せなくて残念です。(藤原)憲征がああなって、憲征の分もって言えば格好良くなるけど彼に気合をもらった。対応できたし、調子はまあまあじゃないですか。地元だし明日からもそれらしい走りをします」
 中団からまくった舘泰守に乗った藤原誠(写真)が外を伸びて2着に。
 「舘が勢いをつけてくれたし、余裕もありました。直線が長いし、外を踏んどけばと思ったけど、あそこまで出るとはね。最近良くなかったし、これできっかけをつかめればいいですね」
 まくった舘泰守は3着に。レース後も入念にセッティングを微調整する姿が印象的だった。
 「今回はセッティングをすごくいじったから。車の進みは良いけど、もっと良くなるかなと思う。方向性は合ってますね。(中団で大きく車間を空けていたが)余裕はなかったですよ」


<9R>
井上昌己選手
井上昌己選手
   特選最初の9レース。中井達郎が先行態勢に入る意外な展開となったが、まくり合戦を制したのは井上昌己(写真)。競輪祭を彷彿させる鋭い伸び脚で快勝した。
 「平原が止まりそうな感じだったので、内か外か迷ったけど、(平原が)もう一度伸びてくれたんで楽になりましたね。前回よりは大分調子もいいですよ」
 辛くも3着の平原康多は悔しげな表情でレースのリプレイ映像を見つめた。
  「川崎記念よりは慣れた感じですけど、まだ4回転の仕掛けるタイミングをつかみ切れてない感じ。でも、これは徐々に良くなってくれるでしょう。出切って一杯でした」
 地元の阿部康雄は伊夜日子賞への進出ならず。明日の二次予選に向け気合を入れ直していた。
 「今日は余裕もあったし、前の動きは見えていたんだけど、(鈴木)誠さんにインに入られたのが痛かったね。外を行かれちゃどうしようもない。明日は頑張らないと。今日走った感じは悪くないし、調子はいいと思います。地元なんで気合が入りますよ」


<10R>
新田康仁選手
新田康仁選手
   10レースは押さえて先行態勢の新田祐大が流しているところを、すかさずホームから巻き返した小嶋敬二が新田康仁のまくり、志智俊夫の追撃を振り切って今年10勝目を挙げた。
 「やっと2ケタ。去年は2カ月で乗ったけど、今年は長かったですね。今日は後ろが二人とも自力だから、(別線に)粘られても困る。早めに出切ってしまったほうが楽だと思った。新田(康仁)がまくって来たのは見えたけど、余裕がありましたね。ギアも軽いので、それなりに良かった。明日も3.57でやってみます」
 まくった新田康仁(写真)は2着に入り、最近のモヤモヤを吹き飛ばした。
 「踏み出した感じは良かったので届いたと思ったけどね。でも、これで吹っ切れました。(新田)祐大も駆けないから、行かれますよね。どこまで行けるかなと思ったけど、調子は良いみたいです」
 新田康仁のまくりに対応が遅れた志智俊夫は3着に。
 「音も何も聞こえなかったし、来ないと思ってたからビックリ。みんな(小嶋、新田康)強いね。何とか3着で良かったです」
 新田祐大に任せた有坂直樹は、「あれじゃ行かれるよね。ダメだ…」と肩を落とした。


<11R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
   11レースは後ろ攻めから一度動いて中団を確保した山崎芳仁がバック過ぎからまくると、番手の伏見俊昭(写真)が鋭く伸びた。
 「これで山崎とは3本連続でワンツー。出来過ぎですよね。今日は交わせたけど、あいつも徐々に状態が戻ると思うし、最終日にピークを持っていくのが上手いから怖いです。僕ですか? 1着なんで調子は良いと思います」
 伏見に交わされた山崎芳仁だが、一度動いてから中団を確保する新しいスタイルを試せたことで納得の表情。
 「今日は一回脚を使ってからのレースをしようと思ってました。伏見さんは脚があるし、交わされるのは仕方ない。踏み出しが甘い感じはしたけど、今日でアタリを付けたし、明日からは大丈夫だと思う。まずは3着までに入れてよかった」
 前受けから七番手に置かれた渡部哲男だが、山崎の仕掛けに乗ると最後は外を鋭く伸びた。
 「(打鐘の4コーナーで)内から中団を取ることも考えたけど、今日は小細工せず自力と思ってた。でも相手が山崎だと動きにくいですね。3.57だったら3着まで届いてなかったと思う。体は問題ないし、明日は動いてギアの感触を確かめてみたい」
 地元の諸橋愛は5着で「伊夜日子賞」には進めず。
 「山崎の動きは見えてたけどね。伏見さんのところに飛び付ければと狙ってたけど、特選で落車があってもと思い遠慮しました。残念です」

   
↑ページTOPへ

 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.