『ふるさとダービー弥彦(GII)レポート』 2日目編
 
配信日:4月20日
 


 今日もポカポカ陽気に恵まれた新潟県弥彦競輪場。二日目を迎えた「ふるさとダービー弥彦」は11レース「伊夜日子賞」をメインに二次予選6個レースで準決勝進出をかけた勝ち上がり戦が繰り広げられた。「伊夜日子賞」は平原康多が4回転の威力を遺憾なく発揮してシリーズ初勝利。地元勢からは諸橋愛、小橋正義の2名が準決勝へ進んだ。
  明日は6レース終了後にスピリッツのエキシビションレースが行われ、先着1000名様に配布される投票券で1着選手を当てると抽選で5名に1万円分の車券購入券(当日限り有効)をプレゼントします。さらに先着1500名様にはオリジナルジャンパーが当たるスピードくじ抽選など様々なイベントでご来場をお待ちしています。ぜひ本場でレース観戦をお楽しみください。


伊夜日子賞・ダイジェスト
 スタートで大外の小嶋敬二が飛び出して、誘導員後位へ。志智俊夫が小嶋の後ろに入り、この後ろに単騎の渡部哲男が付けた。井上昌己―加倉正義の九州コンビが中団で、この後ろで新田康仁が様子見。山崎芳仁―伏見俊昭に平原康多が付ける形で周回が進んでいく。
  赤板前から山崎が上昇して小嶋のアウトで併走となるが、更に山崎を叩く選手はいない。打鐘手前で山崎が踏み上げて誘導を交わすと、小嶋も内から突っ張り一気にペースが上がった。打鐘前から四角までモガキ合うも小嶋が下げる。山崎ラインに新田が切り替え、引いた小嶋は四番手となるが、すかさず渡部がカマシ先行を敢行。山崎は流し気味だった為、渡部が一気に主導権を奪う。井上―加倉が追い掛けるが、うまく内をすくった小嶋が渡部の番手に割り込んだ。最終バックでは渡部―小嶋―井上―加倉―志智となり、新田と平原が後方からまくり上げる。小嶋も三角から番手まくりを打ち、追った井上が有利に差し切るかに、大外をまくり込んだ平原が僅差交わして伊夜日子賞を制した。
ゴール
平原康多選手
ゴール
平原康多選手

<5R>
鈴木誠選手
鈴木誠選手
   二次予選は5Rから。このレースは立石拓也が主導権を握ると、三番手に続いた佐久間仙行がまくり、さらに四番手の中井達郎が内をすくって2センターでは番手が三車併走に。これを冷静に見極めた鈴木誠(写真)が直線鋭く伸びて1着をさらった。
  「今日は冷静でしたね。前で3人が危なかったので、4コーナーを立ち直るまで仕掛けを待ちました。内は危険だし、外でも3着までには入ると思ったけど、まさかアタマとは。今回はフレームからプロテクターまで全部新品で来たけど、感じは良いですね」
  まくった佐久間仙行は2着で準決勝進出を決めた。
  「今日は単騎だし切り替え切り替えで、前々に踏んで行こうと思ってました。まくりも考えてたけど、たまたま短いラインが駆けてくれたから。違うラインならまた違った流れになってましたね。1センターで誰かが来るのが見えたし、かぶる前にと思って行った。本当にイチかバチかでしたよ」
  3着に入った小橋秀幸だがカマシ不発の展開で申し訳なさそうにレースを振り返る。
  「引いて一気にカマす予定だったけど、全然車が出なかったですね。佐久間さんに合わされた時に一回踏むのを止めたし、斎藤(登志信)さんは内から佐久間さんに切り替えてると思ってた。結局、佐久間さんの後ろに入れたので、そこからは根性で。僕だけ勝ち上がって、申し訳ないです」


<6R>
石橋慎太郎選手
石橋慎太郎選手
   6Rは金山栄治と石橋慎太郎の激突が最大の焦点となった。実際に下馬評通りの激しいつばぜり合いが演じられたが、最終的には石橋慎太郎がカマし切り、番手の村本大輔が追い込んで1着をもぎとった。
  「いやあ、正直ホッとしました。デキがデキなんで、この1着は嬉しいですね。慎太郎は輪界でも三本の指に入るほどのダッシュなので、踏み出しに付いていくことに集中してました。昨日はちゃんと付けるかどうかで緊張してあまり寝られませんでしたよ(笑)」
  石橋慎太郎(写真)は疲労困憊といった表情で検車場に引き上げてきた。
  「出し切りました。相手が徹底先行だとやりにくいですね。遅ければ突っ張られてしまうので、早めに行かなくちゃなんないでしょう。今日はまるでスポンジの上を走ってるみたいで、踏んでもバンクに力が伝わる感じがなかったですね。今日は早めに休んで明日に備えますよ」
  辛くも3着に滑り込んだ手島慶介だが、「ヤバイ。選手になってから最悪に近い感じですよ。阿部さん、小林さんと二人に任せられていたので早めに行ったつもりなんですが…」と昨日からの不安を払拭することはできなかった様子。明日の準決勝に向け、どう立て直してくるかに注目が集まる。
  ガックリと肩を落とす金山栄治。10走連続の連がらみはならなかった。
  「石橋くんのカマシは頭に入っていたので早く仕掛けるつもりだったけど、相手はそれよりも早く来ちゃった。厳しいですね」


<7R>
諸橋愛選手
諸橋愛選手
   7Rは諸橋愛(写真)が意地を見せた。最終ホームで矢口啓一郎が浅井康太に中団を奪われる大ピンチ。それでも最後は浅井のまくりに乗った矢口後位から鋭く突き抜けた。
  「前のレースで阿部さんが飛んだし、人気もかぶってたから必死でした。ホームで六番手になったけど、矢口はどこかで行ってくれると思って腹を括った。やるべきこと、やれることを全てやって来たので不安はなかった。次はいつ地元でビッグレースがあるか分からないので、チャンスを生かして決勝に乗りたい」
  まくって2着の浅井康太は初出場のビッグレースで連日存在感をアピールしている。
  「今日は打鐘の4コーナーで勝負だと思ってました。でも8番(高峰賢治)とからんで引くのが遅れたし、行った時に8番に当たられてカマし切れず中団になった。まくった時のかかりはそんなになかったけど、最後まで踏めた。前々回に回せてるイメージがあったし、それを維持できてますね」
  3着は矢口啓一郎と笹川竜治で同着。初日が特選スタートだった矢口が準決勝進出を決めた。
  「緊張しすぎたし、組み立てが下手ですね。ホームで浅井君に入られてタイミングが狂ってしまった。中団か先行と思ってたのに、今日は全ての作戦が失敗です」
  浅井マークの鈴木幸紀はチャンスを逃して肩を落とす。
  「まくった感じ、たぶんブロックされるだろうと思った。ちゃんと付いて行ってればね…」


<8R>
有坂直樹選手
有坂直樹選手
   8Rでは有坂直樹(写真)が久々の1着。だが目標の荻原尚人が失格と聞き、表情を曇らせた。
  「荻原は頑張ってくれたのにね。走る前は、押さえ先行で後ろをもつれさせる作戦だったんだけど、グイグイ踏んで行っちゃうからビックリしました。なんとか勝てて良かったですよ。疲れました」
  吉田敏洋は入線3着。久しぶりのビッグ準決勝への進出を決めた。
  「踏み出しも良かったから出切れる感じだったんだけど、頭を掛けられて止まっちゃいました。宗景さんとハウスしたのも痛かったですね。ただ、三番手に入れたのは助かりました。2日間、ツキはあるので、この流れを大事にしたい」
  三宅伸は荻原尚人の押し上げ失格により、繰り上がりで3着。
  「いつもはこのパターンで審議がセーフで勝ち上がれない事が多いんだけどね。今日は高木くんがバックで吉田くんを入れたのが響いた。後ろも井上剛だし、自分でまくることも考えたけど、車輪が内に残っていて仕掛けるタイミングを逃した感じ。流れは良いので、明日も大事に行きたい」


<9R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   9Rは赤板ホームから明田春喜にフタをされた海老根恵太(写真)が打鐘で伊藤正樹が空けた内を突いて先行。2センターで望月永悟、山田敦也の落車もあったが、見事に逃げ切った。
  「中団から誰かが斬った上を行こうと思ってました。ずっとフタをされて焦ったけど、伊藤さんが内を空けて誘ってくれたから。感じ? 1着だけど、重くてダメですね。かかってなかったと思うけど、永悟さんが(まくりを)止めてくれて助かりました」
  最終ホームで八番手に置かれた伊藤正樹だが大外をまくって2着に強襲した。
  「このまま自分が先行する展開になるのだけは嫌だった。海老根くんラインが4車出るのを待ってたら、明田くんまで来てしまった。あとは思い切って仕掛けました。3コーナーで内に行こうかとちょっと迷った分、届きませんでした」
  3着にはまくった明田春喜が粘り、ビッグレース初の準決勝へ。
  「今日は中団、中団の組み立てを考えてました。ホームで内が空いたら番手も考えたけど、ゴチャゴチャしてたので。行けると思ったけど、けっこうブロックがキツかったですね。直線で海老根さんが見えたのでそれを抜ければいいと思って踏んだ。昨日よりは軽かったです」


<10R>
小橋正義選手
小橋正義選手
   牧剛央が昨日に続き、自在な立ち回りで金星を挙げた。10Rでは新田祐大が先手を取ると、牧がイン粘りを敢行。神山雄一郎を相手に一旦は後退を余儀なくされたが、3コーナーからもう一度インをしゃくって頭に突き抜けた。
  「目をつぶってインを突きました。競輪祭の準決勝で、空いてるかどうか判断に迷ってやめてしまったので、今度こそ後悔したくなかったんです。本当は外から競るのがスジなんでしょうけど、技術もないし、今は勝つためには内から行くしかない。加倉さんのアドバイスで、そうやって腹を括れました。自分が変わっていく方向性を見つけられたので、このスタイルで頑張っていきたいと思います」
  牧に続いた室井健一は余裕の表情だ。
  「牧をバックで入れても、4、5番手なら3着はあると思ってました。前もそれほどスピードに乗っていた訳じゃないしね。前回の地元戦は疲れが取れずに話しにならない状態だったけど、今回は大分マシですね」
  小橋正義(写真)は薄氷を踏む思いでの3着。明日の準決勝に向け、表情は精悍さを増している。
  「神山くんは付きにくそうな感じでしたね。後ろで見ていて感じました。4コーナーでは室井が外に踏みかけたので内に入ったんですけど、また戻ってきてしまい慌てましたよ。状態は悪くない。明日も頑張ります」


<11R>
井上昌己選手
井上昌己選手
渡部哲男選手
渡部哲男選手
   11Rは全員が準決勝進出の権利を持つ「伊夜日子賞」。普段はラインの先頭で戦う自力型が6人そろい超細切れ戦のレースは最終ホームから渡部哲男がカマシ先行。内からうまくこれに続いた小嶋敬二の後ろから井上昌己が伸びるが、最後の最後で平原康多の大ギアが炸裂した。
  「思い切りハンドルを投げたけど、(1着かどうか)分からなかったですね。打鐘から踏んだり止めたりでキツかったし、1人の競走は難しい。今日は何も考えずに流れに乗っただけです。自分でも良く届いたと思います」
  井上昌己(写真)は惜しくも2着に終わったが、納得の表情を見せる。
  「小嶋さんが内から来たのが誤算でした。1着かなと思ったら、すごいスピードで平原くんが来た。でもこのメンバーで2着なら上出来。感じは変わらず良いですね」
  3着の小嶋敬二は3.57のギアを生かして機敏な動きを見せたが、最後は大ギアの強襲に屈した。
  「今日のテーマは山崎くんとか大ギアの人たちと3.57でどう戦うかでした。外を(渡部が)来たのが分かったし、一番軽いギアなので対応できた。でも軽い分、最後はスカスカした感じでした。脚的にはいい感じだし、明日はギアを気持ち(3.64に)上げてみます」
  今回から初使用の3.71でカマシ先行に出た渡部哲男(写真)は5着に終わったが見せ場は十分だった。
  「昨日駆けてないし、最終ホームで緩んでたら行こうと思ってました。状態は悪くないし、ラインがあればもっと残ったと思う。軽くはないけど、3.71ならこんな感じなんでしょうね。今日は駆けられたし、よしとします」
  山崎芳仁は小嶋に内をすくわれ万事休す。
  「小嶋さんはあんな(突っ張ってくる)感じがしたから、とにかく出とかないとと思ってた。内をすくわれたのが痛かったですね。でも昨日よりはいい感じだし、反応も良かったです」

↑ページTOPへ

 
 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.