『ふるさとダービー広島(GII)レポート』 2日目編
 
配信日:11月1日
 


 「ふるさとダービー広島」は2日目。今日は「ピースカップ」をメーンに、二次予選6個レースで準決勝進出を争った。「ピースカップ」は渡邉晴智が山崎芳仁ライン三番手から鋭く伸びて快勝。明日の準決勝で決勝進出の9名が確定する。
 明日も荒木実氏による大予想会やK-ファンによるイベントを引き続き開催。そして明日は広島カープの嶋重宣、永川勝浩選手が来場してトークショーが行われます。明日もぜひ広島競輪場へお越しください。


ピースカップ・レースダイジェスト
 号砲が鳴ると、伏見俊昭が誘導を追い掛けて山崎芳仁を迎え入れ、三番手に渡邉晴智が付ける。切れ目に山口幸二が入り、北津留翼が続いたが、後位はインに西田雅志―室井竜二、アウトに神山雄一郎―飯嶋則之と併走になり、競り合いの様相。ひとまず隊列が落ち着く。
 レースが動き出したのは赤板前の2センターから。北津留が上昇していくと、山崎も引かずに中バンクまで上がって抵抗。北津留をなかなか前に出させない。それでも強引に北津留が先頭に立つと、山崎は七番手まで車を下げた。 
 打鐘を迎え、北津留の後位を巡ったつばぜり合いが激しさを増すと、山口も追い上げたため、北津留の後ろは大渋滞に。北津留もしきりに後ろを気にしてしまい、なかなか仕掛けるタイミングがつかめない。すると、最終ホームから山崎が一気に巻き返してスパート。北津留はスピードに乗る前に叩かれてしまい万事休す。山崎は快調に飛ばし、最終バックで渡邉までが出切ると、あとは三者の争いに。最後は、伏見が車間を空けながら前に踏むと、その後位から鋭い差し脚を伸ばした渡邉がゴール寸前に両者を交わして1着をさらった。2着に伏見、3着に山崎がそれぞれ入線する。

ゴール
渡邉晴智選手
ゴール
渡邉晴智選手

<1R>
和田健太郎選手
和田健太郎選手
   1レースは和田健太郎(写真)が初日に見せ場なく敗れたうっ憤を晴らすまくりで白星を挙げた。
 「変にゴチャ付けば苦しかっただろうし、梶山(裕次郎)くんが飛び付いてくれて助かった。昨日は内に詰まらなければそれなりの勝負ができたと思うし、自分の中で歯がゆさがあった。今日は気持ちを切らさず走れたと思うし、明日からもしっかり走りたい」


<2R>
松田優一選手
松田優一選手
   2レースは茨城コンビのワン・ツー決着。松田優一が巧く中団を取ると最終バックからスパートし、逃げた篠原龍馬をひとまくり。最後はゴール寸前で戸邉英雄が差し切った。
 「今日は優一のおかげ。恵まれました。優一も一回行きかけたけど、冷静になって中団が取れたのが大きかったね。あそこで行ったら朝日君のまくり頃になってしまうし。6月から勝ち星がなかったから、久々に1着がとれて嬉しい」
 まくり切った松田優一(写真)だが「車の出が良くないし最後にタレましたね。今回、ここに合わせて調整してきたんだけど、あまり感じが良くないですね。まあ、いつも徐々に調子が良くなっていく感じなので、明日また頑張りたいですね。今日は戸邉さんが巧く中団を取ってくれたおかげです」と調子自体は今ひとつのようだ。


<5R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
   5レースからが二次予選。このレースは後ろ攻めの荒井崇博(写真)が先行態勢に入ると、後位が大塚健一郎、村上義弘に栗原厚司まで加わって三車併走に。後続のモツれを尻目に荒井が逃げ切った。
 「前検日から体調が悪いんですよ。斬って村上さんがどうするのかなと思ってたら僕の後ろで併走になってた。今日に関しては展開ですね。いい方に転んでくれました」
 2着は最内から荒井の番手を奪った栗原厚司が流れ込んだ。
 「今日は中団までにはいたいと思ってたし、村上くんは斬って中団狙いだろう。引いたら七番手になってしまうし、打鐘過ぎだったので、もう粘るしかなかった。最後は一杯で、バックでは離れそうでしたよ(苦笑)。G2の準優なんて、いつ以来か覚えてないですね」
 立て直して3着の大塚健一郎は表情が浮かない。
 「荒井の2速駆けに離れてしまった…。荒井はスローからのダッシュが良いけど、出足が悪いですね。ちょっとセッティングを調整します」


<6R>
永井清史選手
永井清史選手
   メダリストの永井清史(写真)がワールドクラスの脚力を見せ付けた。後ろ攻めから前を押さえ、最終ホームから発進。競り合った後続を大きく千切って一人旅に。最後は後ろを7車身引き離して大勝した。
 「後ろが離れたのは分かったし、あとは一人でどれだけ行けるかの展開だった。2センターでもう後ろからは来ないと分かりました。今日はいつもより踏めていましたね。道中は余裕があったし、疲れも取れているので調子は良いですね」
 2着は岡部芳幸。後方から懸命にまくり上げたが、前があまりにも遠過ぎた。
 「馬渕(紀明)が内を追い上げてアンコにさせて(桑原大志)引かせようとしてたし、柏野(智典)も追い上げるふりをしてたのは予想外だった。どこから仕掛けたらまくれるかと考えていたけど、全てが予想外だった。永井はもっと日比野(敏行)さんを引き込むようなレースをすると思っていたから、あんなに離れるとは。レースは良く見えているんだけど、見え過ぎている分逆によくないね」


<7R>
豊田知之選手
豊田知之選手
   7レースは柴崎淳が先行すると、渡部哲男がイン粘り。さらに稲村成浩の追い上げで混戦になったところを紫原政文がバックから豪快にまくって連勝を飾る。
 「色々作戦を考えたけど、思ってもない形になった。まさか1着になるとはね。展開に恵まれました。最悪の展開になりそうで焦ったけど、稲村が追い上げたスピードをもらったし、最後まで粘れましたね」
 2着には内を後退した渡部後位から紫原のまくりに切り替えた豊田知之(写真)が食い込んだ。
 「(入れてやれず)哲男には悪かったけど、準優に乗れて良かった。バックでは何が何だか分からなくなったけど、3着までと思って思い切って踏んだら何とか届きました。けっこう伸びたし、あのコースは伸びますね」
 藤田和彦は紫原目標がピタリと的中して3着で準決勝に進出した。
 「前検日に宮島に行ったご利益ですね(笑)。一番後ろになってどうかな? と思ったけど、超一流の自力選手と変わらなかった。紫原さんは強いですね」
 9着大敗した渡部哲男は「下げても八番手になるし、中団を争ってもね。あれしかなかった…」とイン粘りに至った経緯を説明した。


<8R>
吉永好宏選手
吉永好宏選手
   まくりのスペシャリスト・石丸寛之が二次予選を突破した。飯野祐太に絶妙のカマシ先行を許したが、すぐさまホームから巻き返して出る。徐々に前との車間を縮め、2センターで飯野を捕らえると直線で抜け出して快勝した。
 「昨日みたいな展開になると思ったけど、飯野君のカマシが凄かったしキツかったですね。バックで中団内が空くとは思ったけど、苦しい所から踏んだし、変に脚を使っていたし。コーナーでは遠澤(健二)さんが結構持ってきたんで最後は余裕がなかった」
 番手の前反祐一郎は2センターで外に膨れて着外へ。その内を突いた吉永好宏(写真)が2着に入る。
 「外に膨れたし、あの外は踏めないから内を行きました。体が自然に反応しましたね。石丸さんは最終ホームか1コーナーで行くと言ってたんで、早めに行ってくれるから自分にもチャンスがくると思っていた。山場の初日に勝ち上がれたのが大きかったね。上に行けば目標がいるけど、予選は誰もいなかったから」
 3着には加藤圭一が入り、3連単は7万円台の高配当となった。
 「飯野君が良い所から仕掛けてくれたし、遠澤さんもさばいてくれたから。最後、フワッと浮いて終わったかと思ったけど、そこからまた踏み上げていけたから調子は良いと思う」


<9R>
松坂英司選手
松坂英司選手
   9レースは萩原孝之が打鐘で一旦先頭に立つと、前受けの佐藤友和は七番手に下げる。そのまま萩原が先行すると、中団の松崎貴久、七番手の佐藤を封じて、松坂英司とワンツーを決めた。勝った松坂英司(写真)は「恵まれました。萩原くんのおかげだし、落ち着いて駆けてましたね。梶應(弘樹)さんの中割りも頭にあったので、上手く対応できました。僕はいつもどおりなんで、連日前のおかげです」と最高の結果に笑顔が絶えない。
 2着の萩原孝之も相性の良い広島競輪場で、連日軽快な動きを見せている。
 「ビッグの準優は初めて。(先行して)頭が痛いです。ホームで(先行と)腹をくくったけど、4コーナーまでちゃんと踏めてるし調子は良い。最後は梶應さんに押してもらいました」
 3着には松崎ラインの三番手から三木健治が強襲した。
 「正直、嬉しいです。今期は1回も決勝に乗ってないのに、G2の準決勝まで乗れるなんて…。伸びるコースだったし、こんなとこ踏んでもエエんかなと思ってましたよ」
 6着に敗れた佐藤友和は「連戦で腰に違和感があった。まあこれで(GPへの)保険がなくなったと思えばね。しっかり腰を治して、次は全日本選抜にしぼります」。2日目で早くも広島をあとにした。


<10R>
太田真一選手
太田真一選手
   10レースは武田豊樹の番手を巡り、手島慶介と太田真一の関東同士で競り合いとなった。注目の競り合いは最終ホームの1コーナーで太田真一(写真)が番手を奪うと、逃げる武田を懸命に追走。2着キープで準決勝進出を果たした。
 「今日は番手を取り切ることに集中していました。(練習)グループの皆も観ているだろうし気合が入りました。番手を取り切ったときに丁度武田さんが踏み込んだから離れてしまったけど、後ろを見たら離れていた。武田さんも強いからまくられないだろうから、付いていくだけで大丈夫だと。最近は競りの練習もしているんでその成果が出たのかなと」
 武田豊樹は後方の競り合いを気にせずマイペースで駆けた。
 「後ろの競りを気にしても仕方ないし、気にして失敗したことがあるんで、今日は自分のタイミングで仕掛けて逃げて3着以内に入れば良いと思っていた。バンクは凄く重たいけど、重たいのは得意なんで。でも、二日間先行してるんでキツいですね。明日も自分の力を出し切る競走をします」


<11R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   11レースは全員が準決勝への権利を持つ優秀の「ピースカップ」。後ろが競りでも北津留翼が先行態勢に入ったが、ホームから山崎芳仁が早々と巻き返す。ライン3人ですんなり出切ると、残し気味に踏む伏見俊昭の後位から渡邉晴智が鋭く伸びた。
 「感じは良かったけど、前が残しにかかってたので伸びただけ。調子が良いとかじゃなく恵まれた結果ですよ。付いていければ満足だったのに、1着なら大満足。(復調の)きっかけになる1勝になれば良いけど、明日が勝負ですからね」
 2着の伏見俊昭(写真)は致し方なしといった表情。
 「ワンツーを決めたかったけど、山崎は早めに行って脚を使ってたからね。晴智さんはあれだけ伸びてるんだから調子が良いんじゃないですか。僕は(調子に)問題ないです」
 山崎芳仁(写真)は敗れて強しの印象を受けるに十分なレース運びだった。
 「(打鐘で)7割踏んで、それでも北津留が行くようなら引こうと思ってた。僕は一度脚に来てからでも踏めるし、二分戦だから相手に脚を使わせておきたかった。1回踏んでからにしては良かったと思いますよ」
 4着の山口幸二はホームで北津留の番手に追い上げてから、山崎ライン四番手にスイッチと機敏な走りを見せた。
 「中団で流れ込むようなレースは考えてなかったし、追い上げるタイミングになったから。俊敏に動けてるし、反応は良い」
 逃げた北津留翼は9着に敗れた。
 「(山崎は)やっぱり強いですね。(打鐘で突っ張られたけど)とりあえず全開なら出切れると思ったけど、けっこうスピードに乗ってたのでその後が難しくなってしまった。もう少しスンナリ駆けさせてくれれば良かったけど」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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