『KEIRINグランプリ2019シリーズレポート』 2日目編

配信日:12月29日

 令和初のグランプリは歴史ある立川競輪場が舞台。輪界最大のイベント「KEIRINグランプリ2019シリーズ(歳末チャリティー協賛)」は、29日に2日目が行われた。9選手全員が単騎での戦いになったメインの「ヤンググランプリ2019(GII)」は、好位で脚を溜めた松本貴治が直線で突き抜けてV。優勝賞金508万円(副賞含む)を獲得した。また、3日間シリーズの「第12回寺内大吉記念杯(FI)」では、準決で白熱のバトルが展開され、岡村潤、渡部哲男、園田匠の追い込み選手が勝ち星を挙げて決勝に進んだ。シリーズも大詰め、30日の最終日には、優勝賞金1億340万円(副賞含む)をかけた夢の大一番、「KEIRINグランプリ2019(GP)」の号砲が鳴らされる。発走予定は16時30分、輪界を代表する9選手の頂上バトルを見ずに年は越せない。
 本場では、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。日本代表短距離のブノワ・ベトゥヘッドコーチのトークショー、オートレースコラボ予想会、市田佳寿浩氏の予想会、ケータリングカー、東京選手会ブースなどが予定されています。ぜひ、立川競輪場へ足をお運び、見応えのあるトップレーサーたちのスピードバトルと、イベントをお楽しみください。

ヤンググランプリ出場選手特別紹介
ヤンググランプリ出場選手特別紹介
名輪会トークショー
名輪会トークショー
けいマルガールズの3人
けいマルガールズの3人

ヤンググランプリ2019 レース経過

 全員が単騎のヤンググランプリは1番車の南潤が前受け。以下は松本貴治、森田優弥、藤根俊貴、野口裕史、松井宏佑、上田尭弥、河合佑弥、宮本隼輔の並び。
 青板2センターから河合が上昇を開始。1コーナーで誘導員が退避したところを一人で前に出る。河合はペースを落とし、南が河合との車間を切って後続をうかがうと、野口が2コーナーから踏み上げて打鐘過ぎから主導権。合わせるように打鐘前から踏み上げた森田が車間を残したまま野口を追いかける。松本が河合の内をすくって1車上がると、その外をまくっていた宮本は浮いた河合が邪魔になり不発に。2センターから車間を詰めた森田が直線で野口をとらえると、続いた松本が外を鋭く伸びてラストチャンスでヤンググランプリを制覇。人気の松井にとっては7番手の南まで口が空いた8番手に置かれてしまっては前が遠すぎた。3コーナーから大外を踏んだが、内側追い抜きで失格になった上田に代わり3着に入るのが精いっぱいだった。






<6R>

三上佳孝選手
三上佳孝選手
 赤板の1コーナーから一気に仕掛けた片折亮太に地元の岡田征陽は離れてしまう。前受けから踏み上げた太刀川一成が片折後位に収まる。ピッチを緩めた片折に岡田が最終ホームで追い上げるが、太刀川に競り負けて後退。前団がもつれたところをまくり上げた吉田茂生も不発に終わる。最後は太刀川マークの三上佳孝(写真)が中を割って突き抜けた。
 「こんな展開になるとは思ってなかったです。でも、全部、太刀川さんに任せていたんで。恵まれました。太刀川さんが頑張ってくれたおかげです」
 前々に攻めた単騎の荻野哲は、結果的に最終ホームから千葉コンビを追走する形に。直線で外を伸びて2着に入った。
 「別線だったけど、結果的に南関ワンツースリーになったね。前々に踏んで太刀川との併走だけは避けようと思ってました。展開は意外だったけど、あの位置でいいかなって。最後に外を踏んで伸びてるんでデキは悪くない。競走を走りっぱなしで、脚がついてきているのかもしれないですね」

<8R>

岡村潤選手
岡村潤選手
 鈴木裕、阿竹智史の順で切ったうえを打鐘で長島大介が出てペースを緩める。そこを稲毛健太が一気に仕掛けて主導権を握る。すかさず反撃に出た鈴木が厳しいと判断するや岡村潤(写真)が最終2コーナーで内に切り込んで稲毛の番手を奪取。粘る稲毛を直線で鋭く差し切った。
 「スタートの場所が悪かったんですけど、しっかりキック(鈴木)が動いてくれたんで。あんなに頑張ってくれたのに申し訳ないですね。川村(晃司)さんが内を空けていたんでたん入ったけど、もう少し待っても良かったかな。キックに悪いことをしました。そのあとも阿竹が来ちゃったんで。感触のほうは全然、問題ないです」
 先行でしっかり長い距離を踏んだ稲毛健太が2着に粘った。
 「昨日(初日)のことがあったので、負けても風を切ろうと思ってました。長かったですね。もうちょっと楽に出られたら良かったんですけど、しっかり踏めていたとは思います」
 後方からまくり上げた阿竹智史は、3着に入るのが精いっぱいだった。
 「3番手が欲しかった。長島がうまかったですね。車の出は悪くなかったけど、もう少し伸びが欲しい。セッティングを修正します」

<9R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 打鐘手前で出た渡邉雄太が先行態勢を取るが、8番手の取鳥雄吾が3コーナーから仕掛ける。最終ホーム過ぎに渡邉を叩いた取鳥が主導権を奪取。後続の間合いを計った渡部哲男(写真)が、番手からきっちり抜け出した。
 「渡邉君は前受けかなって思ってたので、後ろは予想外でしたね。(取鳥は)サラ脚でカマす形になった。でも、3番手に畑段(嵐士)君が追い上げてきていたのでやっぱり内、外が気になりました。風はないけどちょっと重かった。バンクも重かったり軽かったりで、調子のせいなのかわからないですね」
 3番手に飛び付いた渡邉だったが、畑段にかぶって万事休す。冷静なコース選択から大塚玲が2着に強襲した。
 「いやぁ、調子いい(笑)。(渡邉は)畑段君に締め込まれてキツそうだったけど、自分は余裕がありましたね。待ってから踏んだし、コースも見えている」

<10R>

園田匠選手
園田匠選手
 植原琢也が赤板2コーナーで先頭に立ち、鈴木竜士、小林大介の関東3車が出切って後続も一本棒。植原が最終ホーム手前からペース上げて駆ける。番手の鈴木は車間を空けて、7番手からまくった北津留翼を大きくけん制する。北津留は不発も乗った園田匠(写真)が、中のコースをシャープに伸びた。
 「(北津留)翼は気心が知れてるし、(仕掛ける)タイミングもわかってるんで安心して付いていられる。(北津留が)仕掛けてくれたんで、それで(自分は)イケると思った。翼には申し訳ないけど、あれでバックに入れてしまうとね。それでそのまま踏ませてもらいました。デキも悪くない」
 鈴木のブロックにも助けられた植原琢也が、2着に粘り込んだ。
 「脚がなさすぎ…。自分がもう少し踏めてれば、鈴木竜士さんが1着で自分が3着くらいだったと思う。ちょっと焦って、ビビッて踏みすぎて、それで最後は脚がなかった」

<11R>

松本貴治選手
松本貴治選手
 全員が単騎となったヤンググランプリ。河合佑弥が8番手から先に動いて赤板過ぎに先頭に立つ。2コーナーから一気に踏み上げた野口裕史が打鐘で主導権を取る。合わせて踏んだ森田優弥が番手に収まり、最終ホームを通過。逃げる野口と森田の車間は大きく空いた状態で、詰め寄り始めたのは3コーナーから。その勢いで4コーナーから抜きにかかるが、河合を最終バック過ぎにすくった松本貴治(写真)が直線で森田に伸び勝ってラストチャンスをつかみ取った。
 「南(潤)が何かしらすると思ってたんで、その後ろにいられて最初はいい位置が取れたなと思ってました。(レースが動き出した)あの時は野口さんが一切緩めずに目いっぱい踏んでたんで、とりあえず詰める勢いでという感じでした。それで(最終)バックら辺で後ろもまだ来てない感じだったんで、最後の直線も長いので、ためてためてって感じでしたね。ずっと軽い感じはしてました。一発レースを勝てたのは自信になりました。来年はしっかりと四国の先輩に信頼してもらえるような選手になりたい」
 先行した野口裕史の番手に入って絶好かと思われた森田優弥だったが、松本に伸び負けた。
 「先行も考えていたんですけど、踏み合ってはダメですからね。自分でも踏んで行ったんですが、野口さんが来てくれたんで。完全にたまたまですね。詰めるというよりも、自分が楽だと思う位置で回してました。まくっていこうかと思ったんですけどキツかったです。余裕はあったんですが、知らないうちに脚を使ってました」
 3位入線の上田尭弥は内側追い抜きにより失格。後方からまくり上げた松井宏佑が3着に繰り上がった。
 「見すぎちゃいましたね。結果、行ってしまえば良かったです。ダメですね…。調子は悪くなかっただけにもったいない。脚は余っていたけど、自分のレースに持ち込めなかった。ファンの方々には申し訳ない。獲れたレースだから悔しい」

<最終日・11R KEIRINグランプリ2019>

平原康多選手
平原康多選手
 新田祐大は、直前のナショナルチームの海外遠征、ワールドカップのスプリントで銅、チームスプリントで2個(ニュージーランド、オーストラリア)の金メダルを獲得した。競輪では優勝を飾った8月のオールスター以来となるが、リズムは良好だ。
 「今回のワールドカップっていうのは、ナショナルチームの目指す形であったし、僕たちが求めていかないといけないもの。みんさんが求めている結果を出せたんじゃないかと。僕たちがやってきたことが間違いではなかった。(グランプリは)臆することなく自分たちの力を披露する絶好の場だと思う。たくさんの人たちの前で自分たちのパフォーマンスが披露できるっていうのは、(来年の東京)オリンピックまで味わえないかもしれない。だからオリンピックを意識して楽しんでこいと、(ナショナルチームの)コーチにも言われました」
 初日の夕方の指定練習ではバンクに出ることがなかった平原康多(写真)は、2日目の夕方にバンクに登場し、勝負フレームとのマッチングを入念に確かめた。
 「過去(にグランプリに出場した)9回は初日に乗って、2日目は(夕方にバンクに入らないで)ゆっくりした。だから、2日目に乗ったのは初めてだと思う。ただ、いままでそれで勝ったことがないから、(2日目に)乗ってみました。(自分が選んだフレームは)納得してもってきてるし、(やることを)やってきている。あとは少しでも体とマッチさせるために乗った」
 「ワクワクしますね」と、今年と同じ立川が舞台の10年にグランプリを制している村上博幸は、円熟味を増して流れる濃密な時間を楽しむようにこう続ける。
 「この歳になったら、止まったら終わりですから。常にためになることをやりながら、今年は頑張ってきた。仕上がってると思う」