『KEIRINグランプリ2019シリーズレポート』 最終日編

配信日:12月30日

 令和初のグランプリは歴史ある立川競輪場が舞台。輪界最大のイベント「KEIRINグランプリ2019シリーズ(歳末チャリティー協賛)」は、30日に最終日を迎えた。優勝賞金1億340万円(副賞含む)をかけた夢の大一番、「KEIRINグランプリ2019(GP)」で主導権を握ったは脇本雄太。新田祐大が飛び付いて番手を奪うと、新田マークの佐藤慎太郎がゴール寸前で脇本をとらえてV。初の賞金王に輝いた。また、「第12回寺内大吉記念杯(FI)」は、後方からまくった稲毛健太が優勝した。

グランプリレース出場選手特別紹介
グランプリレース出場選手特別紹介
寺内大吉記念杯ゴール
寺内大吉記念杯ゴール
寺内大吉記念杯表彰式
寺内大吉記念杯表彰式

KEIRINグランプリ2019 レース経過

 号砲と同時に飛び出した佐藤慎太郎が前を取り、新田祐大を迎え入れて福島コンビが前受け。3、4番手に清水裕友-松浦悠士の中国コンビ、中団に単騎の平原康多と中川誠一郎、脇本雄太-村上博幸の近畿コンビが7、8番手、最後方に郡司浩平で周回を重ねる。
 赤板を過ぎても動きはなく、新田が誘導との車間を切ってけん制し始める中、脇本は打鐘から車間を詰めて一気に反撃に出る。合わせて踏んだ清水の上を行った脇本は、最終ホームで新田を叩いて先頭に。しかし、新田も引かず、遅れ気味の村上をさばいてあっさり番手を奪い取る。1センター過ぎから再び清水が仕掛けるが、車は進まない。絶好の展開となった新田が2センターで踏み出すと、同時に佐藤は新田の内へ行って直線へ。新田は伸びなかったが、最後は佐藤がゴール手前で逃げる脇本を鋭く交わして13年ぶりの大舞台で優勝を飾った。2着は、援軍を失いながらも逃げ粘った脇本。最終バック8番手から2センターで踏み出した平原が、直線では猛然と伸びて3着に入った。

<3R>

小川巧選手
小川巧選手
 赤板前に坂木田雄介に併せ込んでフタをした藤田勝也は、打鐘前から再度踏み込んで先行策。藤田ラインの3車が出切り、単騎の三槻智清も続く。中団の菅谷隆司、7番手の坂木田は不発。番手で願ってもない展開が訪れたベテランの小川巧(写真)が、多くのファンの前で久々に勝ち星を挙げた。
 「昔、本田晴美さん(岡山・51期、引退)がここのグランプリを走る時に(応援で)来たことがあるけど。(人が)ギッシリですごかった。お客さんの多さに感動した。自分たちは声援を聞いたり、やじられたりしてヤル気が起きたりもするんでね。(藤田に)すべて任せてたし、すんなり駆けてくれたんで僕も楽だった。これだったら(まくりが)来ても止められるなっていうのがあった。1着で締めくくれて良かった。来年に向けて頑張ります」
 2着に増田鉄男が流れ込み、逃げた藤田勝也は3着。
 「関係のない地区の人が付いてくれたし、(周回中)後ろだったらフタをして(先行)と思ってました。最後は踏み直せなかった。3場所くらいこの自転車でやっているけど硬い。次はクランクを換えたりしてやってみます」

<6R>

木村幸希選手
木村幸希選手
 4車のラインができあがった染谷幸喜が主導権を握り、フタをされた木村幸希(写真)は一本棒の7番手に置かれる。しかしながら、木村は慌てることなく、5番手の松村友和の仕掛けを見極めてからの追い込み勝負。最後はきっちり1着に届いた。
 「(染谷が)駆けてくれたんで、それならあれでいいと思った。松村さんが行かなかったら、自分で行こうっていうのがあったけど。止まったところを見て、(仕掛けて)行った。余裕もあった。練習はやってるんで、勝つ競走をした時はしっかり。あとは先行もしてしっかり点数も取れるように」
 逃げた染谷の番手の五十嵐力は、松村をけん制して追い込むが2着。
 「僕の最近のタテ脚じゃ、4番(木村)が見えてたとしても、厳しかったかもしれない。年齢的なものもあって、タテに踏む脚力が落ちている」

<7R>

不破将登選手
不破将登選手
 赤板過ぎに飛び出した北津留翼がそのままハイピッチで風を切る。前受けからすんなり3番手のポジションを取った不破将登(写真)が最終2コーナーから豪快にまくって圧勝。最終日を白星で締めた。
 「細切れ戦で前受けしてもレースは動くかなって思ってました。北津留さんが予想以上に踏んできたので、踏み遅れそうになったんですが、何とか3番手を取れて良かったです。あとは自分のタイミングでしっかり仕掛けました。車の進みは悪くなかったです。(12月別府記念の)落車の影響はないと思っていたけど、リズムとか判断はあんまり良くないですね。また気持ちを切り替えて、来年1年間しっかり頑張ります」
 内をすくって中部コンビを追いかけた長島大介が直線で坂上樹大を交わして2着に入った。
 「展開を読み違えました。北津留さんがあんなに積極的に行くとは思わなかった。内が空いてたんで位置は取れたんですが、こういう前を追いかけるような流れはこの新フレームは合ってないですね」

<9R>

谷口遼平選手
谷口遼平選手
 赤板の1コーナーで先頭に立った渡邉雄太は、叩きに来た栗山俊介を突っ張り打鐘前からハイペース。渡邉が主導権をキープしたのもつかの間、今度は飯野祐太が最終ホーム手前から仕掛ける。渡邉と飯野の踏み合いになり、脚を溜めていた谷口遼平(写真)に流れが向く。北日本勢を目標にして2コーナーからのまくりで谷口が前団を仕留めた。
 「(渡邉が)突っ張るとは思ってなくて。栗山さんが叩いた上を自分が叩かないことには意味がないと。そしたらまさかでした。そのあとはちょっとキツいなってところで飯野さんが行ってくれて、永澤(剛)さんがキメに内に降りたんで、飯野さん目がけてうまいこと行けました」
 谷口のまくりに流れ込んだ北野武史が、息を切らせて振り返る。
 「谷口君も自分も車番が悪かったけど、(周回中も3番手の)前中団が取れたんで最高だった。でも、(渡邉が突っ張って、谷口に)落ち着けって思ってたら、飯野君が仕掛けてくれた。結果的にすべてが中部勢に(流れが)向いた」

<10R>

稲毛健太選手
稲毛健太選手
 「第12回寺内大吉記念杯(FI)」の決勝戦は取鳥雄吾が赤板前から一気に踏み込んで主導権を握る。中団の位置を植原琢也と岡村潤で取り合う。後方まで下げた稲毛健太(写真)は最終1コーナーから好回転でまくり上げる。番手まくりの阿竹智史を力でねじ伏せて優勝を飾った。
 「ホームで緩んでたんで行こうか迷ったんですが、ちょっと待ってから仕掛けました。園田(匠)さんと4コーナー、ゴール勝負ができればと思ってました。昨日(2日目)、長い距離を踏んだのが自信になりました。優勝できて良かったです。次は地元の和歌山記念です。とりあえず決勝にはしっかり乗って、勝ちたいですね。一戦一戦、しっかり頑張ります」
 好マークから詰め寄った園田匠だが、わずかに届かなかった。
 「(稲毛は)初日にダメだったぶんも頑張ってくれました。強かったです。もうちょっと余裕を持って付いていければ良かったんですけどね。この雰囲気を楽しんで走ることができました」

<11R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 令和最初のグランプリ王者に輝いたのは佐藤慎太郎(写真)だった。レースは打鐘前に7番手の脇本雄太が一気に仕掛ける。誘導と車間を空けていた正攻法の新田祐大が合わせて踏み込んで最終ホームで番手に飛び付く。村上博幸は1センターでさばかれて、逃げる脇本の後ろに福島勢が入り込む。2センターで新田が外を踏み込むと、佐藤は内を突いて鮮やかに中割り。最後は脇本を渾身のハンドル投げでとらえた。
 「格別というよりも実感がわかない。グッときて涙が出そうになったけど、泣いたら後輩におちょくられますからね。(賞金王になって)競輪王、賞金王など、〝王〟というのが付くのを取りたかった。まぁ夜王でもいいんですけどね。強い時だけでなく、諦めずに応援してくれたファンと喜びをわかちあえて嬉しい」
 先行勝負で出し切った脇本雄太は惜しくも準優勝。〝先行日本一〟のプライドを持って戦った。
 「グランプリ史上、何人かしか達成していない先行逃げ切りを狙ってました。宣言通りインパクトのあるレースがしたかったのは本心だし、納得はしています。結果は残念だけど、あともうちょっと。まだグランプリで終わりじゃない。戦いは続くので」
 脇本とのナショナルチーム対決が注目された新田祐大は4着に敗れた。
 「脇本と競いあっても良かったけど、敵の選手を考えて1車下がった番手勝の方が可能性があると思った。バックで清水(裕友)が見えて、慌てていたんだと思う。それで脇本に合された」

次回のグレードレースは1月4日~1月7日まで立川競輪場で開設68周年記念「鳳凰賞典レース」が開催されます。S級S班から平原康多、清水裕友、郡司浩平が参戦。諸橋愛、吉田拓矢、古性優作、和田健太郎、村上義弘ら強豪がそろい、新年幕開けにふさわしい豪華なメンバー。2020年のG3開幕戦を制するのは誰か?最終日第6レースに実施される「S級ブロックセブン」にも注目です。12月20日時点の出場予定選手データを分析した「鳳凰賞典レース」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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