『KEIRINグランプリ2020シリーズレポート』 最終日編

配信日:12月30日
 “ヒトは、強い。”。平塚競輪場を舞台に開催されている輪界最大のイベント「KEIRINグランプリ2020シリーズ(歳末チャリティー協賛)」は、30日に最終日を迎えた。優勝賞金1億340万円(副賞含む)をかけたドリームマッチ「KEIRINグランプリ2020(GP)」は、和田健太郎が中のコースを突き抜けてアッと驚く高配当が飛び出した。初めてのグランプリ制覇で賞金王の座を獲得した。また、「第13回寺内大吉記念杯(FI)」の決勝は、吉田拓矢が3連勝の完全Vで人気に応えた。
グランプリレース出場選手特別紹介
グランプリレース出場選手特別紹介
寺内大吉記念杯決勝ゴール
寺内大吉記念杯決勝ゴール
寺内大吉記念杯表彰式
寺内大吉記念杯表彰式

KEIRINグランプリ レース経過

 号砲で飛び出した松浦悠士がスタート争い制して、清水裕友との中国コンビが前受け。3、4番手に郡司浩平-和田健太郎の南関コンビで、新田祐大-佐藤慎太郎-守澤太志の北日本ラインが5、6、7番手。脇本雄太-平原康多は後ろ攻めで周回を重ねる。
 赤板を通過して各ラインがけん制し合う中、2コーナー手前8番手から脇本が一気に仕掛けて先行態勢に入る。合わせて踏んだ松浦は脇本に飛び付きを狙うが、平原がしっかり番手を守り切って最終回へ。5番手の郡司は1センターから反撃開始も、清水のけん制で車の出は悪く、3コーナーで外に膨れた松浦のあおりを受けて後退。今度は清水が2センターで松浦の内へ切り込んでタテに踏み込むが、平原の強烈なブロックでスピードが鈍る。4コーナーを回って脇本と平原の直線勝負かと思われたが、2センターで清水の後ろに切り替えた和田が、ガラ空きになった平原の内のコースを突いてゴール手前で脇本を鋭く交わした。昨年同様、先行勝負に出た脇本が2着に粘り、大外を仕掛けた新田が不発と見た佐藤は、最終2センターから和田と同じコースを踏んで3着に入った。








<6R>

小酒大勇選手
小酒大勇選手
 後ろ攻めから上昇して赤板前に誘導後位に入った引地正人は叩きに出た村上直久を突っ張って出させない。中団の片折亮太は最終ホームから巻き返しを狙ったが、車の進みは悪く不発に。引地マークの小酒大勇(写真)が、村上の巻き返しを張りながら抜け出した。
 「引地さんが2周駆けるとは思っていなくてビックリしました。片折さんが来たのが見えて張ったら止まったので。内だけは空けないように。最後は村上さんのスピードが良かったので踏ませてもらいました」
 引地に突っ張られた村上直久は離れた7番手になりながらも、バックまくりで2着に届いた。
 「昨日(初日)も今日(2日目)も展開ですね。ジャンで切れなかったので。片折君が仕掛けてくれたので向きました。疲れもあるし、まくれているけど状態がいいのか悪いのかはなんとも」

<7R>

鈴木庸之選手
鈴木庸之選手
 林大悟が井上昌己を連れて打鐘からカマす。3番手の不破将登は大きく車間が空いてなかなか詰まらない。5番手をキープした鈴木庸之(写真)が、最終2コーナーから踏み込んで九州勢に襲い掛かる。4コーナーで井上に並んだ鈴木が、踏み勝って1着。
 「あのままだと8番手になっちゃうんで(赤板2コーナーで内をすくった)。(最終)1コーナーくらいで不破君が離れているのがわかって、バックが向かい風なんで(不破は)追いつかないなっていうのはありました。あとは井上さんが踏まないでくれれば届くかなって。新しいフレームが軽いのか、平塚バンクが軽いのかわからないけど、あとは部品を換えれば(もっと)いいかなと」
 逃げた林後位で絶好の井上昌己だったが、4分の3車差の2着。
 「(林は)めっちゃいいタイミングで行ってくれた。でも、バック過ぎからタレましたね。ノブ(鈴木)のスピードが違った」

<8R>

塚本大樹選手
塚本大樹選手
 中西大に合わせて中団5番手から小川真太郎が踏み上げるが、加倉正義の口が空いてしまい出切った小川の番手には中西が収まる。中西は2コーナーから番手まくり。合わせる小川をなんとかのみ込んだが、離れて嶋津拓弥とからんでいた加倉後位から2コーナーで前に踏んだ塚本大樹(写真)が外を鮮やかに突き抜けた。
 「ジャン過ぎに苦しい展開になりましたけど、行けるところがあれば追い上げようと思っていました。あの位置になってからは余裕もありましたし、内か外か見極めて踏もうと。いま熊本は若手が強いからいい練習になっていますね」
 小川をまくるのに脚を使った中西大は、ゴール前で塚本に1着をさらわれた。
 「小川君と合ってしまって外に浮かされそうでしたけど、たまたま空いていたので入れた。入ってからは余裕もあったし2コーナーから仕掛けようと。ハコからのまくりだったのでもっとスパッとまくれれば良かったですね」

<9R>

寺崎浩平選手
寺崎浩平選手
 3番手で川口聖二に併せ込まれた寺崎浩平(写真)は、7番手に下げて反撃のタイミングをうかがう。近藤隆司がペースを握り、川口が車間を空けて寺崎を警戒する。近藤は腹を固めて先行策に出るが、最終ホーム手前から寺崎が仕掛ける。寺崎が、スピードの違いで逃げる近藤を2コーナーでとらえたる。が、伊原克彦は佐藤龍二にさばかれ連結を外す。準決は失速したものの、最終日はセーフティーリードを保って押し切った。
 「(3番手から川口と)一緒に出ていくイメージだったんですけど、組み立てが中途半端でした。ただ、緩んだところから行くっていうスタイルは変えずにうまく(仕掛けて)行けたと思います。脚の感じは、3日間を通して今日(最終日)が一番良かった」
 風を切った近藤隆司は、寺崎のロングまくりに屈したが2着に踏ん張った。
 「(4月の)小田原の時に失敗して(寺崎にS級)初優勝をされてしまった。今日(最終日)は車番が悪かったし、あの並び順なら100点のレースができたと思う。2番手(伊原)は(佐藤が)なんとかしてくれると思ったんで、そこはうまく決まりました」

<10R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 中団から合わせて動いて島川将貴を受けた吉田拓矢(写真)だったが、稲毛健太の打鐘ガマシで7番手に置かれてしまう。それでも最終バックから単騎の柴崎淳がまくり、柴崎をけん制する椎木尾拓哉の内に桑原大志が切り込んでゴチャついた前団を直線で一気にのみ込み「第13回寺内大吉記念杯(FI)」を制した。
 「島川さんより先に動いて中団を取ろうと思っていました。稲毛さんがカマしたときにうまくスイッチできれば良かったんですけど、柏野さんにうまくけん制されて厳しかった。前の状況はわからなくてずっと柏野さんを見る感じで後ろに迷惑をかけてしまいました。今回も前回(12月佐世保記念)も決していい勝ち方じゃないですけど、ウィナーズカップの特選シード権がかかっていたので。来年はもっと走り方を突き詰めていかないと先はないと思っているので。まずは全日本選抜で決勝に乗れるように頑張ります」
 内外から来る別線の反撃にもしっかり対応した椎木尾拓哉だったが、吉田の強襲に屈して2着に。
 「稲毛君が力を出し切ってくれたので。2車だったので外と内を警戒しながらでしたけど、吉田君は止められなかったですね。4コーナーからのもうひと踏みもできなくて。来年はもっと脚を付けたい」

<11R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 「KEIRINグランプリ2020(GP)」は後ろ攻めの脇本雄太が打鐘前2コーナーから下りを使って一気のカマシ先行。前受けの松浦悠士が3番手に飛び付くと、5番手、1センターから仕掛けた郡司浩平を清水裕友がけん制する。3コーナーから持ち出した松浦だったが出が悪く、空いた内を2センターからまくり気味に踏んだ清水を平原康多が4コーナーでけん制。これでポッカリ空いたインコースを和田健太郎(写真)が鮮やかに突き抜け、優勝賞金1億340万円(副賞含む)をゲットした。
 「うれしいのひと言ですね。だいたいあのような展開になるとは思っていました。あとは最終的に郡司の直感に任せていました。自分自身は平常心でやれたと思う。郡司がキツそうだったので申し訳ないけど内へ行かせてもらいました。ちょうど空いたので。自分が持っているというより郡司がやってくれたのでコースが空いた。(グランプリを優勝して)これで満足していないっていったら全競輪選手に怒られますよ。満足しています」
 逃げた脇本雄太は、2年連続の2着。平原とタッグを組んで戦った大一番をこう振り返る。
 「自分のなかで最善は尽くせたと思う。これだけやって負けたならしかたない。自分の中で初手は理想の形でしたね。新田(祐大)さんの後ろから進めたかったので。松浦君の動きが自分のなかで想定外でしたね。あんなに持ってくると思わなかった。自分のなかでは優勝した高松宮記念杯と同じ感じで走れたと思うんですけど、周りが自分のレースを研究しているなって感じました。平原さんと初めての連係だったし、やった方だと思います。お互いに今まで敵同士として戦ってきたけど、今回ラインを組んで。平原さんに任せてもらえたのは光栄ですし、お互いに尊重しながら戦えた。負けて悔しいですけど、走っていて楽しかった」
 連覇こそならなかったが、佐藤慎太郎は最終バック8番手からコースを探して3着に突っ込んだ。
 「新田も1回、動けばよかったんですよね。本人もレース後に言っていたけど。まあ2着まで行けそうな感じで踏めた。ワダケン(和田)みたいにいつチャンスがくるかわからないですから。チャンスがきた時につかめるように準備したい」

次回のグレードレースは、新春恒例立川競輪場開設69周年「鳳凰賞典レース」が2021年1月4日~7日の日程で開催されます。
今シリーズは、郡司浩平、平原康多、清水裕友のS級S班を筆頭に、菅田壱道、鈴木竜士、村上義弘ら全国各地からトップレーサーが集結。
新年最初の記念を制して、スタートダッシュを決めるのは誰か。
是非ご注目ください。
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