『KEIRINグランプリ2023シリーズレポート』 最終日編

配信日:12月30日

 立川競輪場を舞台に開催された輪界最大のイベント「KEIRINグランプリ2023シリーズ(歳末チャリティー協賛)」は、12月30日に最終日が行われた。優勝賞金1億3700万円(副賞含む)をかけた一発勝負「KEIRINグランプリ2023(GP)」は、単騎でまくった深谷知広に切り替えた松浦悠士が、直線で鋭く伸びた。ゴール寸前で松浦が深谷をとらえてV。グランプリ初制覇で念願の賞金王に輝いた。また、「第16回寺内大吉記念杯(FI)」の決勝は、結束した関東勢の番手の小林泰正がチャンスをモノにして今年の初優勝を飾った。

KEIRINグランプリ出場選手特別紹介
KEIRINグランプリ出場選手特別紹介
中山きんにくんがバンクステージでお笑いライブ
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寺内大吉記念杯決勝ゴール
寺内大吉記念杯決勝ゴール
寺内大吉記念杯表彰式
寺内大吉記念杯表彰式

KEIRINグランプリ2023 レース経過

 号砲が鳴ると、佐藤慎太郎が飛び出して誘導員を追う。新山響平-佐藤が前を固め、深谷知広がこの後ろ、中団は清水裕友-松浦悠士の中国勢、単騎の眞杉匠、山口拳矢が続いて、脇本雄太-古性優作の近畿勢が後攻め。
 青板2センターを過ぎても動きはなく、新山が後ろの動きを警戒しながら誘導員との車間を空け始める。赤板2コーナーから脇本が一気に仕掛けると、新山もスパートしていく。踏み合いは最終ホーム過ぎに脇本が新山を叩き切って先頭に躍り出る。2コーナー過ぎに北勢の後ろから深谷がまくり上げていくと、松浦が切り替えて続く。脇本が先頭で4コーナーを回るも、深谷が勢い良く迫る。ゴール前では脇本の番手から踏み出す古性を深谷がねじ伏せるが、その直後から松浦が鋭く伸びて深谷を交わしてのGP初制覇。深谷は2着で、3着には両者を追って大外を踏んだ眞杉が強襲。









<5R>

大石崇晴選手
大石崇晴選手
 櫻井祐太郎が赤板2コーナーで勢い良く出て、渡口勝成を押さえる。3車の宮城勢が主導権を握り、後方の竹内雄作は打鐘3コーナーから巻き返す。櫻井も合わせて駆けて、最終ホームでは両者の踏み合い。谷田泰平が連結を外して、出切った竹内の番手には櫻井が入る。単騎の大石崇晴(写真)は浮いた谷田をさばいて、5番手からバック過ぎに踏み出す。櫻井はいっぱいで尾形鉄馬が追い込むも、大石がとらえて1着。
 「櫻井君が絶対に行くと思ったので、そのラインを追ってでした。(谷田が降りてきたところをしのいだ)あの1車分は大きい。2日間、不甲斐なかったけど、このあとにに古性(優作)さん、南(修二)さん、中釜(章成)と大阪勢が走るし、頑張りたかった」
 打鐘では包まれていた渡口勝成は、最終ホームで8番手。前とは大きく車間が空いて出遅れたが、詰める勢いでまくって2着には届いた。
 「1回動いてから作戦通りにはなったけど、磯田(旭)さんのところで前の踏み出しと離れて、口が空いたとこがが技術不足です。あれだと1着には届かないですよね。(初日の)ヤンググランプリを走れず悔しかった。点数を上げてヤングに出場していた同期と並べるくらいになりたい」

<6R>

河野通孝選手
河野通孝選手
 打鐘手前で青柳靖起が小松原正登を切ったところを、中嶋宣成がタイミング良くカマす。地元の内田英介まで、ライン3車で出切る。4番手に飛び付いた青柳は、車間が空いて最終ホームを通過。8番手まくりの板垣昴は不発。詰めながら早めに追い込んだ青柳も一息で、逃げる中嶋後位の河野通孝(写真)が、勝機をモノにした。
 「(小松原と青柳の踏み合いがあったんで中嶋は)焦らなくていいよって思ってました。(出てからは)掛かりも良かったけど、後ろを確認していたら青柳君が車間を空けていた。どれくらの勢いで来るのかと思っていた。それで自分が焦って、ツーテンポくらい早く踏んでしまった。今年最後のレースだったので、いろんなことを考えてしまった。いつも言っていることですけど、前のおかげで1着が取れている。自分の力ではないですね」
 青柳マークの三宅達也は、青柳の余力をギリギリまで見極めて中のコースを伸びた。
 「(小松原が)結構踏んでいたんで、青柳君もキツかったと思う。ただ、スタートであの位置が取れれば、中嶋君が来ていい位置にいられると思ったんで、初手が大きかった。(最終2センター付近は内に)気配があったから、降りながらでした。もうちょっと待ちたかったですね」

<7R>

松本貴治選手
松本貴治選手
 佐々木眞也、松本貴治(写真)の順番で出て、そこを踏み込んだ兼本将太が打鐘2センターで叩いて出る。松本が4番手を確保して、佐々木は最終ホームから反撃。2コーナーで松本が合わせて踏み込んで、佐方良行も番手から出てまくり合戦。ゴール前で佐方をとらえた松本が1着。
 「(兼本が)カマしてきて、飛び付いて態勢を整えるのが遅くなった。(整うのが最終)ホームくらいになったんですけど、バックからは行けた。佐方さんの最近の調子も知っていた。苦しかったんですけど、(勝てて)良かったです。体は問題なかったんですけど、自転車だったり走り方を反省してですね」
 兼本の先行策。最終バック手前から番手発進の佐方良行は、松本にじわじわと詰められて最後は踏み合いに屈した。
 「兼本君が全部やってくれました。(松本が)踏んだ瞬間に踏んだんですけど、ずっと前の(松本が)100何点くらいの時に(番手から出て)合わせられた。今回はどうかなって思ったんですけど、全然ダメですね。あれで1着取れなかったら、番手から出た意味がない」

<8R>

雨谷一樹選手
雨谷一樹選手
 長谷部龍一が赤板過ぎに押さえて先頭に立つ。2車の長谷部も早めからはペースを上げず、打鐘で河合佑弥が叩いてそのまま先行策に出る。3番手で長谷部と小酒大勇で重なり、渡邉雄太が7番手で最終周回へ。長谷部が3番手を取り切って、浮いた小酒のあおりを受けながら渡邉もまくって出る。渡邉のスピードもいいが、雨谷一樹(写真)が3コーナーで好ブロックで止める。鷲田幸司に中を突かれるが、落ち着いて追い込んだ雨谷が1着。
 「初日同様に河合君がいい仕掛けをしてくれたので、あとは自分の仕事をするだけでした。まずは6番(長谷部)が来て、それを合わせながら外に渡邉君が来ると思ったので止めてからだった。次は内に来ると思って締め込みながら踏み込んだ。昨日(2日目)は3番手の難しさがあったけど、今日は初日も連係した河合君とだった。今年をいい形で締められて良かった。来年に向けてというか、毎年のことですが、今年よりもレベルアップできるように」
 初日予選でも雨谷とのワンツーだった河合佑弥は、初日同様の先行策で再度、上位独占を果たした。
 「昨日(2日目)が少し見過ぎてしまったので、今日は早めに行こうと。初日もでしたけど、雨谷さんが援護してくれたので2着に残れた。地元でお客さんが多いなかで自分らしい走りをできたのは良かった。今年は(S級)1班取るのが目標だったので、来年は優勝できるように。バック数が増えると成績も良くなっていったので、バック数を増やしていきたいです」

<10R>

小林泰正選手
小林泰正選手
 赤板1コーナーで嘉永泰斗が出て、そこを佐々木悠葵が押さえて先頭に立つ。打鐘過ぎに関東の3車が出切り、九州勢が中団に収まる。車間が空いた7番手に三谷竜生で、単騎の取鳥雄吾は一本棒の最後方。佐々木がそのままペース上げて風を切る。逃げる佐々木の後ろで小林泰正(写真)は、間合い取って別線の反撃に備える。最終2コーナー過ぎから三谷、嘉永がまくるが、車間を詰めた勢いで小林が番手まくりを敢行。三谷は不発で、嘉永は小林、高橋築の後ろに付け直すように続く。直線で高橋も詰め寄るが、小林が押し切ってV。昨年7月以来の優勝で23年を締めた。
 「去年が悪かったので今年の1年は頑張っていこうと思っていたので、いい締めくくりができて良かったです。今年は眞杉(匠)に刺激をもらったのが、後半大きかったです。一緒に走れるようにと頑張れた。(佐々木は)あれだけ駆けてくれるとは思わなかったし、優勝しないとって。佐々木君を残せたかもだけど、優勝できなかったら意味がない。(最後は高橋が迫ったが)自分は道中で余裕があったし踏み直せた。(お客さんが多くて)あれだけの舞台は初めてでした。グランプリに出られれば気持ちいいだろうなと思った。来年は眞杉と並んで走るのが目標。(連係は)いままでも数回あるけど、全部眞杉が前。自分が前を回れるように頑張りたい」
 関東ライン3番手、小林追走に専念した地元の高橋築は、直線勝負で2着。関東ワンツーで決着した。
 「夢をみました。いけるかと思ったけど、(小林)泰正が強すぎます。(ラインが)機能して良かった。対応はできたけど、(抜けないのが)現状なのかなと。(今年は)いいも悪いもあったけど、トータルで見たら良かったかも。脚は問題ないので、あとは判断ですね」
 4番手から外に持ち出した嘉永泰斗だったが、関東2段駆けにあって進まない。最終3コーナーから高橋を追って、結果的には流れ込みの3着。
 「1回押さえて佐々木さんが切って、引いて中団からまくろうと思った。けど、思った以上に掛かっていて全然、車が出なかった。踏んでも出なくて、もう1回付け直して後ろには迷惑を掛けた。(今シリーズは落車明けの)復帰戦にしては悪くなかったですね。(雰囲気は)すごかったし、グランプリを走りたいですね」

<11R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 北日本勢が前団に構える。新山響平は赤板手前から誘導との車間を空けて、別線の反撃に備える。8番手でタイミングをうかがった脇本雄太は、2コーナー手前からスパート。新山もそれを察知してペースを上げて逃げる。両者の踏み合いは、最終1センターで脇本に軍配。佐藤慎太郎のアシストもあり新山が3番手に入るが、北日本勢の後ろで脚をためていた深谷知広がまくりを打つ。清水裕友が浮いて、松浦悠士(写真)は深谷の後ろにスイッチ。3コーナーで新山を乗り越えた深谷が、近畿勢に迫る。脇本の番手から古性優作も追い込むが、深谷の勢いがいい。直線半ばで深谷が古性をとらえたが、その外を松浦が突き抜けた。松浦がグランプリ初制覇。広島県所属の選手としても、初のグランプリチャンピオンが誕生した。
 「うれしいしかないですね。賞金王の実感はまだないですけど、グランプリ優勝は目標にしていたので決められてうれしい。新山君が駆ける展開で、(脇本と)踏み合いになればいいなと思っていた。(そのあとは)緩んでも我慢と。(清水)裕友が浮いたのが見えて、待って過去に失敗したこともあった。それでゴメンって思いながら(深谷に)切り替えました。深谷さんが(近畿勢を)のみ込んでくれれば、自分にもチャンスがあるかなと。(今年は)苦しい1年だったので、最後に笑顔で終われて良かったです」
 深谷知広は、周回中で北日本勢の後ろの3番手。単騎3人のなかでは、一番前にポジションを取る。脇本が北日本勢をのみ込むと、深谷は5番手から最終2コーナー手前でまくって出る。古性をとらえてVかに思われたが、松浦のハンドル投げに2着。
 「仕掛ける位置が良かったのに力不足。(周回中は前が)新山じゃなくても、なるべく前でと。単騎が後ろでかたまるのは良くないと。みんなが行きたい場所で、前にいられたのが良かった。最後は力負け。やれるレースはできたと思う。獲る力がなかった」
 中国勢の後ろにいた眞杉匠は、切り替えた松浦にスムーズに付いていけず、最終バック過ぎに清水に締め込まれてからむ。清水を弾いてから、直線で猛襲も3着まで。
 「初手は良かったけど、清水さんが降りてきたのがきいた。あれがなければもっといい勝負ができた。単騎なら単騎なりの走りをして、優勝を狙っていたんですけど。あそこで遅れなければ…、悔しいです」

次回のグレードレースは、東日本発祥75周年記念「倉茂記念杯」が1月5日~8日の日程で大宮競輪場に於いて開催されます。
今シリーズは脇本雄太をはじめ、清水裕友、深谷知広のSS班3名が参戦する豪華メンバー。迎え撃つ地元勢は大将格の平原康多を中心に、武藤龍生、森田優弥らが一丸となって地元Vにまい進します。
今年初のGIIIレースを制覇するのは果たして誰なのか?

12月26日時点の出場予定選手データを分析した、東日本発祥倉茂記念杯GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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