『KEIRINグランプリ07【GP】レポート』 2日目編
 
配信日:12月29日


 立川競輪場で開催中のグランプリシリーズは2日目。「イーバンク銀行チャンピオンシップ」はS、A級の準決勝が、そして最終12レースではヤンググランプリ07と見応えのあるレースが目白押しだった。世代間の覇権争いヤンググランプリは菊地圭尚が実績上位の脚力を遺憾なく発揮してビッグ初制覇。S級戦は稲村成浩、広川貞治など実力者が順当に決勝戦へ駒を進めた。
  明日も場内ではグランプリガールのお出迎えやGP前売り車券をご購入5千円ごとに、オリジナルグッズが当たる抽選会も行われます。そして何より注目は競輪グランプリ07です。これを観ないと年は越せない。明日もぜひ立川競輪場へご来場下さい。

KEIRINグランプリ07 2車単 前売りオッズ表(サテライト除く)
  1着
1 2 3 4 5 6 7 8 9
2
1 75.2 54.2 84.2 164.2 111.5 93.9 25.8 20.1
2 76.6 97.5 108.5 223.0 145.3 32.4 89.6 33.3
3 50.1 85.0 69.0 91.6 117.4 71.9 67.6 11.4
4 48.4 65.4 51.4 131.6 53.5 72.9 53.2 25.8
5 118.8 146.6 45.7 118.7 139.3 146.6 142.7 21.4
6 81.1 102.8 88.2 34.3 141.2 106.5 78.1 44.6
7 51.6 28.8 53.6 90.6 179.5 79.2 78.5 33.8
8 21.9 82.0 67.8 68.0 197.4 100.6 101.9 24.5
9 27.8 58.6 16.8 57.0 56.2 86.5 58.9 38.4


公開練習風景


公開練習 公開練習
公開練習


<GPメンバー>

手島慶介選手
手島慶介選手
飯嶋則之選手
飯嶋則之選手伏見俊昭選手
伏見俊昭選手

   グランプリメンバーは明日いよいよ1年の集大成を迎える。前検日からとにかく雰囲気を楽しんでいるのは手島慶介(写真)だ。
  「やっぱり面白いですね。直前は志村(太賀)と宮古島で100キロ以上乗り込んでたし、2カ月前から食事制限をして8キロ体重を落としました。今年は落車が多くて練習できてない中でのGP出場は自信になった。GPだからとかじゃなく、いつもどおり頑張るだけ。最終バックは三、四番手で。そこからなら面白いでしょ」
  GP初出場の飯嶋則之(写真)は笑顔の中にも「緊張してますよ」と心中を話す。
  「今日は公開練習もしっかり走りました。明日は宝くじみたいなレースなので、ギアも宝くじで上げたいと思う。気楽に、気合を入れて頑張ります」
  一方、GP最多出場の伏見俊昭(写真)は公開練習の後、入念にローラーを踏んで仕上げた。
  「今回はあまり検車場に出てませんね。余裕? そういう訳じゃないですけど、こっそり気配を隠してますよ。レースも山崎に任せるだけだし、気は楽ですね」


<4R>
伊藤勝也選手
伊藤勝也選手
   まずは4レースのA級準決勝からレポート。打鐘から山口勝也が一気に主導権を握ると、丸山敏浩をさばいた富永昌久が中団を奪う。バックでは前との車間がかなり空いていた富永だが、「脚には余裕があった」と一気の追い込みで直線突き抜けた。
  「山口さんは打鐘からホームまで全開でしたね。2コーナーで早めに行けば良かったけど、バックの向かい風が強烈だし、欲張って遅めの仕掛けになってしまった。でも、脚は仕上がってると思いますよ」
  2着に入った伊藤勝也(写真)は、「富永君がもう少し早く来れば仕事もできたけど、直線だし対応ができなかった。山口君がものすごく踏んでくれましたね」と逃げた山口の頑張りに感謝する。
  三宅勝彦はヒヤヒヤものの3着入線だった。
  「富永君は2コーナーで行くのかな? バックで行くのかな? と思ってたけどね。立川は直線が長くて良かったですよ。何とか決勝に乗れたから、結果オーライですね」


<5R>
多田司選手
多田司選手
   5レースは正攻法の善利裕生が打鐘から突っ張り先行。上手くペースに持ち込み別線の動きを封じると、番手の多田司(写真)が絶好の展開をモノにした。
  「僕に事故点があるばっかりに前受けになってしまった。打鐘でジワジワと合わせながら踏むのかなと思ったら、踏み上げたから何で? と思ったけどね。善利君は流して、踏んで、すごかったですよ。善利君さまさまなのに、片寄君が気になって残してやれず申し訳ない。脚自体は軽いです。善利君にはいつか絶対この借りを返すつもりです」
  すんなり中団をキープしたが、自分だけが3着に届く形になってしまった片寄雄己は後ろに申し訳なさそうにレースを振り返る。
  「ホームで緩んだ時に行けば良かったけど、予想外の展開だったしタイミングも取りづらかった。本当は先行で感じをつかみたかったんだけど、消極的でした…」


<6R>
斎藤将弘選手
斎藤将弘選手
   6レースは人気の東京トリオが上位を独占。昨日の汚名返上とばかりに気合のレースを見せた斎藤将弘(写真)は、まくって来た山口聖志に対するけん制で審議になるが、セーフの結果にホッとした表情を浮かべる。
  「『昨日は前に離れて、今日は失格か』とファンには怒られたし、失格かなと思ったけどね。2日前の追加だし、地元のプレッシャーで不安もあったけど、今日は気合が入ってました。今日はキツかったけど何とか付いて行けたし、責任を果たせたので良かった」
  逃げて3着に粘った柴田洋輔も、これで来々期のS級が見えてきた。
  「高橋(秀吉)さんが予想外に踏んできたので、僕も慌てて全開で踏んでしまった。もう少し落ち着いて行ければ良かったんですけどね。苦しいレースだったけど、何とか3着以内に残れました。明日は自分の競走(先行)で初優勝ができれば最高ですね」


<9R>
佐藤康紀選手
佐藤康紀選手
   S級準決勝もハイレベルな攻防となった。9レースは佐藤朋也が落ち着いて先行。上手く中団を確保した堤洋のまくりを許さずライン3人で決勝進出を決めた。ゴール前交わした佐藤康紀(写真)は、「佐藤朋君とは何回も連係してるけど、抜いたのは初めてかも。自分が1着を取るような先行だから、僕がビックリしましたよ。大したもんだ」と逃げた佐藤朋を絶賛する。
  2着に粘った佐藤朋也は屋外での4回転もすっかり板に付いた様子だ。
  「モガキ合いとかになってないので、展開が向いてますね。関(一浩)さんの一車も大きかった。最終ホームは来るところだろうと思ったから一回踏んで、そのあとは回してました。見たら堤さんが三番手くらいまで来てたので危なかったですね。4回転の違和感はありません。大志も3着に入って良かった」
  伊藤大志も「とりあえず(北日本の)みんなで決まったので」と胸をなでる。
  「明日も目標があるのはデカイですね。内を走ってても楽だったけど、最後は出し切れずに終わった感じ。11月に平に冬季移動してから成績が上がってきてますね。明日も(優勝を)狙えるようなら狙っていきたい」
  中団からまくるも不発に終わった堤洋は、「重くなかったし、行けると思ったけどね。前が強かった」と肩を落とす。


<10R>
吉川誠選手
吉川誠選手
   準決勝最激戦区の10レースは稲村成浩が連勝で決勝に進出。連日の軽快な動きで好調をアピールした。
  「橋爪(亮)のモガく距離を短くしたかったので中団から組み立てました。最終ホームで絶対誰か来るだろうから、それに対処しようと思ってたし冷静に見極められて良かったと思う。昨日より暖かいから、今日は軽かったですね」
  稲村に続いて決勝進出を決めた佐藤真一は、「離れなければ2着はあるだろうなと思ってました。たとえ吉川に差されても3着までに入ることが仕事だと思ってましたからね。前回からフレームを換えたりしたのが結果に出たかな? 今年はあまり良くなかったので、これで来年に繋がればいいですね」
  3着の吉川誠(写真)は、「追い込み選手の動きでしたね」と苦笑い。
  「ホームで島野(浩司)さんが浮いてるし、3コーナーでまくるにも橋爪君が邪魔になって仕掛けにくかった。あれではしょうがないですね。脚には余裕があるし、あの展開でもどうすれば決勝に乗れるかって流れは見えてました」


<11R>
広川貞治選手
広川貞治選手
   11レースは栗田雅也が急病で当日欠場。これで目標を失った広川貞治(写真)だったが、中団から渾身のまくりで2着に食い込んだ。
  「(ゴール後は)手を挙げたけど2着でしたね。栗田がいなくなって気合が入ったし、これが今年最初で最後の地元戦だという悔しい思いもあった。すごいプレッシャーだったから勝ち上がれて良かったです。昨日から疲れも抜けて良くなってます」
  勝ったのは竹田和幸の先行で番手絶好になった有賀高士。自らの勝利より、竹田を3着に残せたことを、まず何よりも喜んだ。
  「昨日は吉田君を残せなかったからね。2センターで広川さんが見えたけど、一回波を作ってからさらにワンテンポ待ちました。広川さんのガッツポーズでアレレ? と思ったけど、オーロラを見たら竹田君も3着に残ってるのは分かった。今日はラインの走りができたましたね」
  3着に粘った竹田和幸は「有賀さんのツキが僕にも回ってきましたね」とニッコリ。
  「本当にツキだけです。ゴール前は池尻さんに行かれたと思いましたよ。余裕はなかったけど、今日は有賀さんのおかげ。明日も良い競走ができれば良いですね」
  広川後位にスイッチした池尻浩一だが、惜しくも届かず。
  「湊崎(裕次)君が合わされた瞬間に上手く一発で内を決められたけどね。広川さんの出がちょっと悪くて内に行こうと考えた分遅れてしまった。なかなか上手くいかないですね」


<12R>ヤンググランプリ
○レース経過

 スタートで新田祐大と菊地圭尚が飛び出して誘導員を追う。結局新田が誘導後位に入り同県飯野祐太が続き、三番手から菊地―明田春喜の北海道コンビ。松田優一―志村太賀の関東勢が中団で、坂本亮馬―小川勇介―松岡貴久の九州ラインが後攻めで周回が進む。
  赤板前に坂本が上昇して新田を押さえ込むが、新田は引かずに粘る。打鐘前にようやく下げて、坂本がハナに立つと、すかさず松田が巻き返して主導権を取り切った。三番手は内に坂本、外に菊地となったが、結局最終ホームで菊地が取り切った。内に詰まった坂本を捨てて小川がバック手前からまくると、菊地もこれに合わせて先まくりを敢行。坂本にからまれながらも明田が菊地マークを死守。四角は菊地が先頭で回り、明田も小川をブロックしながら懸命に追走。明田がゴール前で菊地に襲い掛かるも菊地が押し切り、明田2着で北海道ワンツー。3着は最終バックではどん尻だったが、まくり上げた飯野が大外を強襲した。


○インタビュー

菊地圭尚選手
菊地圭尚選手 坂本亮馬選手
坂本亮馬選手新田祐大選手
新田祐大選手

   ヤンググランプリを制したのは菊地圭尚(写真)だ。昨年の苦い経験をバネに、大きな栄冠をつかんだ。 「(ゴールした瞬間は)はっきり1着だっていうのは分からなくて、スクリーンばっかり気にして実感はなかったですね。組み立てっていう組み立てはしてないけど、道中は落ち着いてました。(仕掛けに)ちょっと迷いがあったけど、ここで行かないと駄目だなと思ったんで、思い切って踏みました。今日はローラーに乗っていたときから脚が軽かったから、行けるかなと思って踏んでいました。(YGPを優勝した選手は)上で活躍しているんで、自分もこれをきっかけに上に行ければいいかなと思います。この優勝をまずは両親と師匠に報告したい。今年はオールスターの決勝に乗ったっていう喜びが凄かったのでまた乗りたい。また(G1の決勝に)乗って、G1を獲りたいですね。それが一番大きな目標だし、その結果でグランプリに乗れるので頑張りたいです。今の戦法でうまく行っているので、このままで通していきます。(北日本は強い選手が多いので)実績をどんどん積み重ねていかないと自分の位置は確保できないと思うから、その辺はしっかりやっていきたい」
  2着の明田春喜は「獲りたかった」と本音をこぼす。「悔しいですね。賞金はいらないからタイトルが欲しかった。後に残るものですからね。ホームで遅れて、意地で追い上げたけど、小川君と絡んだのが痛かった。あれがなければ行けたかも。でも、僕がルーキーチャンピオンで、(菊地)圭尚がヤンググランプリ。二人で半々ということで、これからも頑張っていきたいですね」
  ライン3人の九州勢はインに詰まって万事休す。前を任された坂本亮馬(写真)は「もうワンテンポ落ち着いてから行けばよかった。僕の後ろから松岡さんがあそこまで行ってるんだから、もっといい勝負ができたでしょう」
  先行したのは松田優一だ。「今までも先行基本にやってきたし、主導権を取れたのは良かったけど…」とレースをふり返る。最後は「まくられたのは僕に力がないから。出直してきます」と巻き返しを誓って検車場を後にした。
  北海道コンビに挑んだ90期の福島二人。新田祐大(写真)は「スタートが取れたので、坂本さんが押さえに来るとは思っていたんですが…。行こうと思えば、ホームで踏めば出られたかも。何もできなかったのは悔しい。また来年頑張ります」と唇を噛んだ。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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