『KEIRINグランプリ07【GP】レポート』 最終日編
 
配信日:12月30日



 いよいよ07年の総決算! 「KEIRINグランプリ07」の号砲が鳴った。山崎芳仁と小嶋敬二のモンスター対決は、見る者を引き付けるハイレベルな争いとなった。レースは逃げる山崎を小嶋が豪快にまくって押し切るかに、上手く小嶋にスイッチした伏見俊昭が直線抜け出し1億円のビッグマネーをゲット。賞金王の座に輝くと同時に、来年の北京五輪へこれ以上ない弾みをつけた。
 


グランプリ07のレース経過
 号砲が鳴ると佐藤友和がいち早く飛び出し、渡邉晴智が続いた。並びは佐藤-有坂直樹、小嶋敬二-渡邉、手島慶介-兵藤一也、山崎芳仁-伏見俊昭-飯嶋則之の順で落ち着いた。
 淡々と周回が進み、レースが動いたのは青板周回の2コーナーから。後方の山崎がゆっくりと上昇して小嶋の横で止まり、しっかりと蓋をする。ジャンが入り、山崎が前を叩きに出ると、前の佐藤も合わせて踏み込んだ。手島は山崎ラインに切り替え追走する。突っ張る素振りを見せた佐藤だが、結局は山崎を出させて中団取りを狙う。山崎はそのまま踏み込んで主導権を握る。山崎が懸命に逃げるなか、後方の小嶋がまくりスパート。小嶋はグングンとスピードを上げ、バック過ぎに山崎を抜き去った。すると伏見が俊敏に小嶋にスイッチし、両者のマッチレースとなった。直線に入り、小嶋は最後の力を振り絞ったが、ゴール寸前で伏見が鋭く差し切った。

ゴール
優勝した伏見俊昭選手
ゴール
優勝した伏見俊昭選手


<6R>
平田直樹選手
平田直樹選手
   6Rでは平田直樹(写真)が20年の現役生活にピリオドを打った。最後は9着だったが、清々しい表情で、「競輪人生に苦しいことや辛いことはありませんでした。最後に全国から選手が集まるグランプリシリーズで、こんなにたくさんのお客さんを前に走れて嬉しかったです。僕は目立つ選手ではなかったけど、お客さんの声援が本当に励みになりました。ありがとうございました」と頭を下げた。


<7R>
 続く7Rで意地を見せたのは山崎岳志。来期からのA級陥落が決定しているものの、力走で来年に繋がる走りを見せてくれた。
 「朝からバンクを見ていたんですけど、風向きがコロコロ変わってきつかったですよ。初日にも橋爪君にはまくられているから、二度同じことはできないと必死でした。S級最後のレースで1着が取れてよかった。また出直してきます」


<8R>
関一浩選手
関一浩選手
   8レースは湊崎裕次が手嶋靖を突っ張って主導権を握る。番手の幸津衛が四角ハコ回りと絶好の展開となったが、三番手に位置した関一浩(写真)が突き抜けた。
 「浦川(尊明)さんが付いてラインができていたんで、今日は (後ろ攻めの)手嶋さんがカマすなりして押さえたら、叩いて先行してもいいかなと思っていました。でも、(手嶋が押さえるのが)遅かったから(湊崎が)突っ張っりましたね。バックで一度仕掛けたけど、車が全く出なかったんで止めました。1着が取れたのうれしいけど、すんなり三番手を回ったのに伸びなかったのは力不足ってことですね」
 寸前のところで1着を逃した幸津衛は「エラかった。寒さと風で全然ダメだった。惜しかったけどね」と苦笑い。


<9R>
柴田洋輔選手
柴田洋輔選手
   9レースは地元の新鋭・柴田洋輔(写真)がA級初優勝を飾った。別線の富永昌久と片寄雄己のまくりを一切寄せ付けずに堂々の逃げ切り勝ちと、完璧なレース内容で一年を締め括った。
 「早めに押さえに行ったら片寄さんはすんなり引いてくれたし、9番(富永)もきたけど叩いて先行する感じではなかったんですんなり駆けることができました。今日は落ち着いていけましたね。風が強かったけど皆条件は一緒だし、気にはなりませんでした。最後は抜かれたと思いましたよ。今日はお客さんの声援が凄かったですね。まだ優勝した実感がありません。賞金を受け取ったら実感するかもしれませんね。最後に地元で優勝できて最高の年末になりました」


<10R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
   10レースは吉田敏洋(写真)が3日間の先行勝負。4コーナーから一気のカマシで出切ると、長い直線で交わされはしたが2着に粘った。
 「最終4コーナーで思い切り向かい風を受けてキツかった。後ろはどうなってるのか分からなかったけど、最後はきっちり島野さんに差されましたね。3日間動きは良かったと思うし、今年1年をすっきり終われました」
 吉田が仕掛けるタイミングで森内章之に締め込まれ、一度は連結を外した島野浩司だったが、バックから内をすくって番手まで追い上げ直線抜け出す。それでも連日吉田の番手を奪われる展開に表情は硬い。
 「堤(洋)君の動きに池尻(浩一)君たちは車間を空けて続いてたので、自分のところに来るだろうと思ってました。そしたら自分も口が空いて、締め込まれてしまった。キツかったけど、連日離れてしまってるので行けるところまでは行かないとと思ってたら、バックで敏洋が内を空けてくれたので付け直せました。あまり出も良くなかったけど、1着が取れて良かった」


<11R>
稲村成浩選手
稲村成浩選手竹田和幸選手
竹田和幸選手
   11レースはS級決勝戦。レースは打鐘から吉川誠と佐藤朋也でモガキ合いになると、そこを竹田和幸が一気にまくる。人気の稲村成浩(写真)は有賀高士をドカして竹田後位にスイッチすると、直線鮮やかに伸びてシリーズ完全Vを飾った。
 「これで立川のFIは連続でV7かV8でしょ。良かったです。でも、今日は吉川の頑張りに尽きますよ。打鐘のところが一番のポイントだったけど、吉川は絶対叩き切るだろうと思ってたし、僕は併走も苦にならなかった。大勢のファンが入ってる立川というステージで3連勝できたので、また来年に向けて弾みが付きましたね」
 2着には廣川貞治がきっちり食い下がった。
 「疲れました…、もう一杯です。あれ以上のことはムリですよ。あそこまでゴチャゴチャになるとは思わなかったけど、自分なりによく頑張れたと思います」
 まくった竹田和幸(写真)にもチャンスはあった。
 「レースは全然予想外だったけど、たまたま展開が向きましたね。でも、3コーナーで一杯でした」
 稲村にさばかれた有賀高士は「僕がしっかりしとけばね…、竹田の優勝やったのに」と申し訳なさそう。

<12R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
佐藤友和選手
佐藤友和選手
   いよいよ迎えたKEIRINグランプリ07。昨年と同じく主導権を握ったのは山崎芳仁だ。逃げる山崎を小嶋敬二がまくり切ったが、うまくスイッチした伏見俊昭が直線で驚異の伸びを見せてV。01年以来となる二度目のグランプリ制覇を成し遂げた。「差したかどうか分からなかったけど、(優勝したのは)自分かなと思って手を挙げました。(作戦は)多分、皆前受けを狙ってくると思ったので、自分も(前に)出られればと思ったんですけど、山崎君が中団か後ろからということだったんで任せました。残り2周半で押さえに行ったんでちょっと早いかなと思ったけど、ずっと蓋をして得意のパターンに持っていったなって感じでした。来年から少しでも競輪の人気が出るように、自分達選手が頑張って、関係者の皆さんと力を合わせて頑張って行きたいと思いますので、ファンの皆様にはこれからも競輪を応援していただきたいと思います」
 小嶋敬二(写真)はさすがに悔しさを隠せない。引き上げるなり、「悔しいな」とつぶやいた。「ホームは凄いかかってたけど、3コーナーまでに出きらないと番手まくりもあると思って早めに仕掛けました。30m線までは1着だと思っていたけど、伏見の伸びが凄かった。優勝したと思ったけどね。全日本選抜で佐藤友和をまくって、今回は山崎をまくれたからヨシとします」
 逃げた山崎芳仁(写真)は、「積極的に行くとコメントしていたし、先行はある程度決めていました。伏見さんにも後ろから攻めると伝えていました。先行選手として最低限の仕事はできたかな。小嶋さんとは久しぶりの対戦で、久しぶりに負けちゃいました」
 北日本同士での叩き合い? と思わせるような仕掛けを見せた佐藤友和(写真)「展開は悪くなかったんですけどね。4番手に入ったとき、後ろを確認できていれば…。楽しかったけど、こんな舞台で何も得られないレースだったのがもったいない」
 ディフェンディングチャンピオンの有坂直樹は「去年より緊張したなあ。お客さんの数も多かったし、顔見せで自分に酔っちゃった。立川のグランプリは違いますね。レースは僕らにもチャンスがあったと思う。友和が小嶋に切り替えてればね。また来年、何が何でもグランプリに乗ってやろうという気持ちになりました」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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