『KEIRINグランプリ2012シリーズ レポート』 最終日編

配信日:12月30日
 今年1年の総決算。KEIRINグランプリ2012が12月30日、京王閣競輪場で行われた。豪雨にもかかわらず、本場には1万5千人を超えるファンが詰めかけた。一発勝負の頂上決戦を制したのは村上義弘。深谷知広の先行を3番手から豪快にまくり、悲願のグランプリ初制覇を果たした。優勝賞金1億円を獲得するとともに、12年の賞金王に輝いた。
グランプリ レース経過
 号砲で成田和也、浅井康太が飛び出し、3番手には単騎の村上義弘が。正攻法を確保した成田が佐藤友和、山崎芳仁を迎え入れると、周回は佐藤―山崎―成田、深谷知広―浅井、村上、武田豊樹―長塚智広―岡田征陽の並びで進む。
 青板の4コーナーから武田がゆっくりと上昇を開始。佐藤の外に並ぶと、佐藤も誘導員の外に差して武田に応戦する。しかし、ここでアクシデントが発生する。佐藤が誘導員と接触すると、車体故障を起こして競走を棄権。1センターで誘導員が退避すると、目標を失った山崎は中団確保を狙う。ハナに立った武田がペースを落とすと、4番手外併走の深谷が3コーナーから一気に仕掛ける。合わせて踏んだ武田は中部追走の村上にも出切られ4番手から立て直そうとするが、3番手単独になった途端に村上がまくって出たため口が空く。さらに1コーナーからまくっていた山崎にかぶってしまう。村上の仕掛けに対応できなかった浅井だが、山崎を張りながら村上にスイッチ。そのまま村上を抜きにかかるが、山崎後位から内に切り込んだ成田に中を割られる。そのまま成田が突き抜けを図るが、粘る村上が押し切り。グランプリ初制覇と同時に逆転で賞金王に輝いた。


ゴール
ゴール
胴上げ
胴上げ
表彰式
表彰式
<4R>
柴田竜史選手
柴田竜史選手
 伏兵の大前寛則が3番手切り替え策から直線一気に追い込み、波乱を演出した。
「鈴光(洋彦)君が頑張ってくれたおかげ。いい位置を取って、早めに仕掛けてくれましたからね。止まりそうな感じだったので、あとは落ち着いて切り替えました。どんなレースでも勝つのは嬉しいですね」
 先行した柴田竜史(写真)は惜しくも2着に敗れたが、来期につながるレース内容だった。
「いいレースができたと思います。今回は3日間、積極的な走りができたし、いい手応えがつかめました。来期はA級なんですが、この感じなら大丈夫そうですね。A級は勝ちにこだわって走ります」

<5R>
松岡孔明選手
松岡孔明選手
 松岡孔明(写真)が先行逃げ切りで人気に応え、今年最終戦を白星で締めくくった。
「あまり先行したくなかったので、前を取ったんですけどね。他のラインが早めに斬って、自分を出させるような感じでしたから。雨だから駆けちゃえと。感じは悪くなかったですね。来年はもっと強くなってもっと活躍したい」

<6R>
古屋琢晶選手
古屋琢晶選手
 古屋琢晶が打鐘過ぎの4コーナーから一気のカマシ。関東ライン3番手の岩崎大和が直線で鋭く追い込んだ。
「ラインのおかげです。余裕はあったし、自分の後ろにいないのが分かったので、ちょっと早めに踏ませてもらいました。いい形で今年を終われて良かったです」
 古屋琢晶(写真)は積極的な仕掛けでラインを上位独占に導いた。
「引いて一気にカマそうと思っていたので、思い通りの走りができました。2着だったけど、やることをやった結果ですから。昨日、今日と最後まで踏めていたと思います。年明けすぐにまた大宮記念があるので、そこでしっかり結果を出したいですね」

<7R>
園田匠選手
園田匠選手
 小橋正義が熟練の技を披露。厳しい立ち回りから最後は鋭く中を割って突き抜けた。西村光太の先行に乗った金田健一郎は惜しくも2着に敗れた。
「西村君が頑張ってくれました。あんなに無理やりいってくれるとは思わなかった。展開が向きましたね」
 園田匠(写真)は3番手を奪ったが、伸びを欠いた。
「組み立ては悪くなかったけど、前がけっこう踏んだので、位置を取るのに脚を使いました。惰性を殺さずにまくっていった方が良かったかも。でも、今年最終戦で自分で動いた結果だし、来年につながる走りはできたと思います」

<8R>
斎藤登志信選手
斎藤登志信選手
 田中晴基の先行に乗った斎藤登志信(写真)が直線でズブリ。格上の差し脚を披露した。
「前のおかげです。1コーナーからどんどんかかっていく感じで正直、抜けるかどうか不安でした。チャンスをしっかりものにできたのは良かった。反省する点はしっかり反省して、気持ちを入れ替えて来年もまた頑張ります」
 田中晴基は連日、バックを取る競走で魅せた。
「いい感じで駆けられました。いい形で1年を締めくくれました。2013年はこのスタイルで戦おうと思っています」

<9R>
山中秀将選手
山中秀将選手
 山中秀将(写真)がロングまくりで同型を圧倒。準決敗退のうっぷんを晴らした。
「中団を取れたけど、前の木暮(安由)さんが上がったら、友定(祐己)さんにしゃくられますからね。緩んでいたので、ホームから仕掛けました。感触は良かったです。昨日は甘さが出た。やっぱり格上の選手と対戦するときは、考えて走らないと勝てない。来年はもっと上のステージで戦えるように頑張ります」
 鈴木良太が完璧マークで2着に流れ込んだ。
「山中君のダッシュがすごかった。千切れそうになったけど必死に付いていきました。強い山中君のまくりに付いていけて良かったです」
 木暮安由は流したところを一気に行かれてしまった。
「中団で勝負しようと思ったけど、身体が勝手に反応して前に出てしまった。中団でもつれてくれれば良かったんですけどね。もうちょっとですね」

<10R>
勝瀬卓也選手
勝瀬卓也選手
 「寺内大吉杯」の決勝は永井清史が打鐘から先行。最終ホームで追い上げた勝瀬卓也(写真)が3番手確保から鋭いキメ脚を発揮した。
「身体が反応するままに走りました。飯田(辰哉)さんのところにはいけないと思っていたけど、朝日(勇)さんが下がってきて、3番手に追い上げられたのが大きいですね。番手の武井(大介)君は外に持っていくと思っていたし、別線だったので申しわけないけど内にいかせてもらった。ギアを上げていたので最後は伸びましたね。優勝できて良かったです。ただ、今回は勝ち上がりから恵まれただけ。もっとレベルを上げて、特別で戦えるようにしたい」
 柏野智典は後方からコースを縫うように伸びて2着に強襲した。
「余裕はあったんですけど、ちょっと展開が厳しかったですね。内が空くのを待っていたけど、なかなか空かなかった。優勝は無理ですね。あそこまでがいっぱいでした」
 永井清史は後位の競りも関係なしに自分の競走スタイルを貫いた。
「今日はいつも通り後ろから先行することしか考えていなかった。後ろはどちらかに早く勝ってもらって、1本棒の展開にしようと。稲垣(裕之)さんのまくりには合わせられたんですけどね。けっこうふかしてしまって、最後は力尽きました」

<11R>
成田和也選手
成田和也選手
浅井康太選手
浅井康太選手
 優勝賞金1億円をかけたグランプリは最高峰のレースに相応しい戦いだった。佐藤友和の車体故障はあったが、打鐘前に飛び出した武田豊樹を最終ホームで深谷知広が強引に叩いて最終主導権。このラインを追った単騎の村上義弘が2コーナーから渾身のまくりを放って優勝を飾った。成田和也(写真)は山崎芳仁のまくりに乗って突っ込んだが、僅かに届かなかった。
「(佐藤)友和がいなくなったのに、山崎が冷静に走ってくれました。いいスピードでしたけどね。最後はあそこしかなかった。力の差ですね。また練習して、来年はもっと頑張ります」
 浅井康太(写真)は村上の後位に切り替えたが、3着までが精いっぱい。
「深谷が頑張ってくれました。村上さんはもうワンテンポ遅く来るかと思っていたけど、あそこで仕掛けるのが村上さんですね。合わせて出るか、いかせるかのどちらかしかなかった。成田さんに当たられた分、最後は伸びなかった」
 山崎芳仁は佐藤の車体故障により、自力の組み立てに変更した。
「まさかの展開で一瞬、頭が真っ白になりました。気持ちを切り替えて自力でいくしかなかったですね。でも、自力用のフレームじゃないから厳しかった。仕掛けたタイミングは悪くなかったし、いいところまではいけました。力不足ですね」
 武田豊樹は佐藤の車体故障で冷静さを失った。
「わけがわからないうちに終わってしまいましたね。すごい雨と車体故障で集中力が切れてしまった。深谷君を突っ張るしかないと思って踏んだけど、いかれてしまったし、村上君の仕掛けに反応できなかった。悔しいですけど、村上君の走りは素晴らしかったと思います。勝つべき人が勝ったということでしょう」
 深谷知広は「何も言うことはないですね。かかりが悪かったです」と言葉少なに競輪場を後にした。
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