『KEIRINグランプリ2014シリーズレポート』 最終日編

配信日:12月30日
 競輪界最高峰のレース、KEIRINグランプリ2014が12月30日、岸和田競輪場で行われた。西日本で開催される初めてのグランプリ。 1万2千近いファンが見守るなか、午後4時30分に号砲が鳴った。レースは平原康多の先行に乗った武田豊樹がバック前から番手まくりを放って完勝した。グランプリ初制覇で、今年の獲得賞金額は2億2千万円を突破。初の賞金王に輝いた。
大勢のファンが詰めかける岸和田競輪
大勢のファンが詰めかける岸和田競輪
中村アン トークショー
中村アン トークショー
意気込みに熱い声援が飛ぶ
意気込みに熱い声援が飛ぶ
グランプリ レース経過
 号砲がなると浅井康太がいち早く飛び出し、深谷知広、村上義弘と続く。初手は深谷ー浅井、村上義ー村上博幸ー稲川翔、平原康多ー武田豊樹ー神山雄一郎、岩津裕介の順番で並んだ。  淡々と周回が進み、青板周回の2センターから平原が動いていくと、村上義が中団から合わせて突っ張る。平原は一旦は中団に収まったものの、打鐘から再度叩いて先頭に出ると、これを追った深谷がそのまま反撃に出る。平原は先行態勢に入り最終ホームを通過し、深谷が巻き返していく。すると、武田が1コーナーで外をブロックして深谷をけん制。深谷は一発で飛んでしまった。この動きで村上は内を一車すくって神山を退かしにかかった。村上が大きく持っていくと、ゴチャついたあおりで岩津が落車してしまう。一方、平原のスピードが鈍ると、武田が躊躇なくバックから番手まくりを敢行すると、後続を引き離して勝負あり。勢いそのままゴール線を先頭で通過し、グランプリを制した。神山は必死で外併走を耐えたが、3コーナーで弾かれ万事休す。このあおりで浅井も後退。村上義は離れながらも武田を追うと、直線で村上博が追い込んで2着に入る。


ゴール
ゴール
胴上げ
胴上げ
表彰式
表彰式
<4R>
近藤隆司選手
近藤隆司選手
 前団のもつれを近藤隆司(写真)が鮮やかにまくって快勝。シリーズ連勝で今年最終戦を締めくくった。
 「佐藤(和也)さんが行ったら、すぐ叩くことも考えていたんですけどね。立石(拓也)さんも踏んで、前がもがき合いになったので、落ち着いて仕掛けました。白井(一機)さんのまくりにはびっくりしたんですが、まだサラ脚だったので、その外を余裕を持って踏めました」
 単騎の白井一機は先まくりで3着に食い込んだ。
 「単騎で何かしようとは思ってました。タマタマああいう展開になったので、まくりを出しました。最近はずっと感じがいいですね」

<5R>
中村雅仁選手
中村雅仁選手
 打鐘の2センターから仕掛けた古屋琢晶が最終ホームで主導権。しかし、後続と連係がはずれ中村雅仁(写真)が番手にはまる展開。最後は中村が直線で抜け出し連勝を飾った。
 「まさかの2連発ですね。先行する態勢でいたら、古屋君が飛んできただけ。恵まれましたね。お客さんの声援がすごくて、声援に酔いながら走ってました。これでなんとか年を越せそうです」
 高木和仁がしっかり続き2着。
 「(中村が)積極的に前にいった結果ですね。(シリーズ中の)調子は悪くはなかったですし、無事にケガなく終われて良かった。来年からギア規制もかかるし、また新しく試行錯誤しながらやらないといけないですね」

<6R>
島野浩司選手
島野浩司選手
 前受けの柴田竜史が最終ホーム手前からスパート。その後位にうまく追い上げた外山三平が最終バックから番手まくり。これに乗った島野浩司(写真)が鋭いキメ脚を発揮した。
 「(外山)三平が前で頑張ってくれました。初日に後ろを回らせてしまって何か申しわけないですね。バックからまくってくれたし、きっちり踏んで勝たせてもらった。今年最後を1着で締めれて良かった。また来年も頑張ります」
 後方8番手から大外をまくり上げた石丸寛之は2着まで。
 「前がゴチャついたんで落ち着いて構えました。落車もあって、ちょっと危なかった。でも余裕はあったし、感じも良かったですね。まぁまぁでしょう」

<7R>
山田義彦選手
山田義彦選手
 箱田優樹が打鐘の2センターから果敢に風を切る。山田義彦(写真)は、箱田を叩けずも最終ホームで3番手を確保。2コーナーから再度アタックし後続を5車身千切って勝利した。
 「緊張しました。最高の展開になりましたね。でも、箱田が強かったですし、あそこ(ホーム3番手)が空いてて良かった。最後はまさか一人になってるとは思いませんでしたね。(ダービー出場の賞金争いは)まだわからないです。どれだけ周りが上乗せしているか」
 箱田優樹は粘って2着。今シリーズ2連対と成長振りをアピールした。
 「残る、残れないよりかは、山田さんを出さなければどうにかなると思っていました。いつもよりペースを落とし気味にして、そこから全力であわせました。(今節は)いろいろ刺激になりましたね。ガールズも、ヤングもそうですし、こんなにたくさんのお客さんの前で走ったことなかったんで、楽しかったです」

<8R>
才迫開選手
才迫開選手
 伊藤裕貴が打鐘前からハイペースで逃げていく。うまく中団を確保した才迫開(写真)が櫻井正孝に合わせて最終2コーナーからまくり発進。最後まで力強く踏み切った。
 「中団が取れたんで、あとは櫻井さんの動きを見ながら。内をしゃくられたり、追い上げに注意してました。車の出が悪いんで、早めには行こうと思ってました。いいタイミングで仕掛けられたし、感じも良かったです。今年最後をいい形で締めくくれて良かったです」
 最終ホーム7番手から巻き返した櫻井正孝は才迫を乗り越えられずに2着に敗れた。
 「力負けですね。打鐘で行きたかったけど見てしまった。伊藤君も捨て身のような先行だし、難しかったですね。弱いし、スピードがない」

<9R>
原田研太朗選手
原田研太朗選手
 原田研太朗(写真)が赤板1センターから前に出ると、そのままペース駆け。後位のもつれもあったが、最終ホームでピッチを上げ、力強く押し切った。
 「村田(雅一)さんのことが気になってしまって、内の吉田(裕全)さんが全然見えてなかった。本当はラインで決めたかったですけど、1着で最後締めくくれたので良かったです」
 最終ホームで原田の番手を奪った吉田裕全が2着。
 「原田君が強かったです。大歓声の中で走れて鳥肌が立ちました。楽しかったですね。取手を失敗してるし、何とか今回と思ってきました。1着は取れてないですけど、2連対できたし、こういう舞台で何でもできるところをアピールしたかったので良かったです」

<10R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 「寺内大吉記念杯」の決勝戦は打鐘前に小松崎大地が先頭に立つと、芦澤大輔は引けずに番手で粘る展開に。最終ホームから巻き返した稲垣裕之(写真)が一気に前団を飲み込んで優勝を飾った。
 「取れた位置からあとは流れでいこうと。今年最後のレースだったので積極的にとは思ってました。周りは見えていたし、冷静に走れましたね。これに満足せずに来年こそはグランプリに出たい」
 番手の南修二は踏み出しに口が空いてしまい、追い付くもいっぱい。3番手から岩本和也が差し脚を伸ばした。
 「ダービーの出場権を獲得することが今年の目標だったので、最後まで諦めず踏みました。結果待ちになるけど、賞金を上積みできて良かったです」
 芦澤大輔は東北勢を分断した。
 「どっちとは決めていなかったけど基本は番手狙いの作戦だったので。結果的に稲垣さんのまくり頃になってしまったけど、自分のやりたいことはできました」

<11R>
村上博幸選手
村上博幸選手
村上義弘選手
村上義弘選手
 KEIRINグランプリ2014は武田豊樹が番手まくりで完勝。初めてG1タイトルを獲得した岸和田で悲願を達成した。村上義弘は神山雄一郎をすくって武田を追うも届かず、直線で弟の村上博幸(写真)が鋭く伸びて2着に突っ込んだ。
 「兄はレースセンスがすごいし、レースを動かしてくれました。最後の大ギアのレースですごい激しくなったんですが、しっかり対応して、最後まで踏み切ることができました。来年はギアが軽くなるから僕らにとってはプラスになると思います」
 村上義弘(写真)は近畿の先頭で持てる全ての力を出し尽くした。
 「今回は結果を求めていました。イメージに近い組み立てはできたし、精いっぱいやった結果なので、しょうがないです。力不足で(後ろの)2人に迷惑をかけました」
 地元の稲川翔は村上兄弟を懸命に追いかけ、4着という結果に終わった。
 「出し切れました。緊張はしたけど走り出したら、そうでもなかった。ゴールまでしっかり踏めたし、後悔はないです。来年もまた頑張ります」
 平原康多は打鐘から全開のスパート。力強い逃走劇で武田を優勝へと導いた。
 「村上(義弘)さんの動きで、焦りましたけど、スイッチが入りました。しっかり出切れたし、あれで持たないのは自分の力ですから。あとは武田さんが判断して、行ってくれました。武田さんの優勝は自分の優勝と同じ。今年の後半は関東でビッグレースはいい走りができたと思います。最後に盛り上げられて良かった」
 深谷知広は鎖骨骨折からの復帰戦。前受けから8番手まで引いて、一気の反撃に出たが、武田のブロックで止まってしまった。
 「村上さんのやる気がありそうだったので、(打鐘前に)見てしまった。あそこで見ずに、踏めれば良かったですね。頭の中で思っているのと、車の進みが違った。やっぱりどれだけ頑張って練習してもレースには敵わないですね。実力不足です」
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