ヤンググランプリ2015 レース経過 |
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号砲で川口聖二が勢い良く飛び出して正攻法に構える。川口には谷口遼平が付けて中部コンビが前受け、渡邉雄太―杉森輝大が3、4番手に収まる。これに日野博幸、野原雅也、野口大誠の単騎3人が続き、元砂勇雪―栗山俊介の奈良コンビが後攻め形で隊列は落ち着く。 青板周回のバックから元砂が早くも上昇開始。渡邉ラインにフタをすると、渡邉は車を下げてすかさず反撃に出る。これに合わせて元砂も仕掛けて打鐘前から両者で激しい踏み合いに。最終ホームで元砂を強引に叩いた渡邉が主導権を奪う。ハイペースの流れの中、7番手の野原が最終1コーナーからまくり上げる。これに合わせて川口も踏み上げ、さらに杉森もバックから番手まくりで応戦。杉森を乗り越えた川口が外から迫ってきた野原に踏み勝って直線で先頭に立ったが、野原のまくりを追っていた野口が外を強襲。粘る川口をゴール寸前で捕らえて優勝を飾った。2着には川口が入り、最後まで諦めずに踏み続けた野原が3着。
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小川祐司選手 |
先行一車の小川祐司(写真)は、慌てず騒がずホーム手前から一気のカマシ先行。ライン3車できれいに出切ると、そのまま押し切った。 「打鐘で焦って行きそうになったけどよかったです。昨日セッティングを変えてアップはキツいけど、実走は楽になった。どうしても前乗りになって末が落ちるのを直したかったので。前回(2年前の立川)の寺内大吉記念杯は343着だったので、これで前回を越えられましたね」 番手の阪本正和は2着の結果にも笑顔が絶えない。 「昨日から寝られなかった。(競られて)9着を覚悟してたのに、まさか2着するとは。8番(松永将)が切ってくれて、あれで気持ちが楽になった。いやぁホッとしましたね」 3番手の大竹慎吾まで続いて、小川ラインでワンツースリーが決まった。 「47のギアが合わなくて、今日から46×12(3.83)に落としてる。今は次のフレームが来るまで我慢ですね。今日も4コーナーまでは余裕があるのに、踏み脚が足りない」 |
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鈴木雄一朗選手 |
逃げた高久保雄介の番手に、藤田大輔が粘ってもつれる展開に。すると、前受けから車を下げた鈴木雄一朗(写真)が2コーナーからスパート。鈴木は力強く前団をまくり去ると、最後は伊藤大志を振り切って勝利した。 「仕掛けるべきところで行けなかった。本当なら前に追いついたところ、ホーム過ぎで行くべきだったけど、緊張してたからか、見てしまいました。行っていればもっと楽に(ラインの)3人で出られたのに。仕掛けてからも高久保君に踏み直されたからヤバいと。3人で決めたかったですね。丸山(貴秀)さんに申し訳なかった」 伊藤大志がしっかりとマークし、2着を確保した。 「キツかったですね。前を取らされたから、とりあえず引くしかなかった。今日はバンクが重たかったですね。スタートでけん制が入ったからのが逆に良かったのかも。あれでみんなが脚を使ってくれたから」 高久保雄介は懸命に逃げたが、まくられ6着に沈む。 「とにかくキツかった。後ろがちぎれたっぽい感じがしたので、追い上げてきて内に詰まったら終わりだから緩められなかった。僕としても主導権を取ることを心掛けているので、あれでも逃げ切れる脚をつけていかないと」 |
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鈴木謙太郎選手 |
海野敦男が前に押し上げて4番手となった鈴木謙太郎(写真)は打鐘過ぎに仕掛けると、初手からの後位の競りは松尾透が踏み出しで遅れ、すんなり山下渡に軍配。最終ホームでラインごと出切ると、鈴木はそのまま悠々と押し切った。 「小川(祐司)さんが落ち着いて駆けてたし、自分も落ち着いていこうと思ってました。自分ももつところから仕掛けようと思ってたし、そこは思った通り仕掛けられました。負けたら自力やめるくらいの気持ちでした(笑)。この番組で負けたらダメですよね。しっかりラインで決まってよかったです」 鈴木の後位を死守した山下渡が2着に続き、茨城ワンツーを決めた。 「(鈴木)謙太郎が強かったです。謙太郎と自分で売れてたんでワンツーでよかったです。競りは勝負どころでしっかり勝ち取れるように集中していました。謙太郎が出切ったあとも後ろから誰かきたらしっかりブロックしようと思ってて。状態も朝は重かったんですけど、顔見せで軽くて、レースになっても軽かったですね。昨日も付いていけてたし、コースも見えてたんですけどね。浦川(尊明)さんみたいにコースを突いていけるようになりたいです」 |
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天田裕輝選手 |
後方から押えて出た山本直が先行態勢を取るが、単騎の坂本亮馬、松岡孔明は切り替えず、さらに前受けの小松崎大地はすんなり下げて天田裕輝(写真)に労せず3番手が転がり込んだ。そのまま山本が腹をくくって主導権。天田は最終2コーナー手前から踏み出すとあっさり前団を飲み込んで、関東3車で上位独占をメイクした。 「自分が一回切る展開かと思ったけど、小松崎さんが引いてくれた。そこからも小松崎さんが内に来たしラッキーだった。今日は展開ですね。いい位置に入っても油断はしないで、落ち着いていけた。小松崎さんは力があるし、カマシで来るかとも思っていた。それでどこからでも出られるようにはしていた。自然体で考えずにいけてるし、久しぶりに(ラインの)3人で決まったのがよかった」 切り替えた筒井敦史の中割りを封じて追い込んだ岡田征陽が、横一線のゴールも天田を交わせずの2着。 「筒井さんもコースがなくて、押してもらう形になって俺も恵まれた。あれだけ(天田が)すんなり(3番手を)回れたらね、思いのほかすんなりだったし強かった。自分も今日の方が軽かった。(脚の感じも)昨日より今日だし、また明日ですね」 関東3番手の佐藤悦夫は、直線で外に進路を取って岡田に迫る3着。 「俺も必死でした。内から2番(筒井)も来ていたし、外は(齋藤)登志信さんも来ていた。後ろから食われるんじゃないかと思って。とにかく決勝に乗りたかったんでよかったです。自分も踏めているから(岡田の)横までいけたんでいい感じですね」 |
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原田研太朗選手 |
赤板前からレースが動きだし、打鐘で前に出た原田研太朗(写真)を高橋和也が叩く。8番手に置かれた池田勇人がカマし、佐藤和也に内をすくわれた原田は7番手になってしまったが、2コーナーまくりで豪快に前団を飲み込んだ。 「だいぶ焦りましたね。まさか内におるとは思わんかったんで、なんで内から?、あれっと思いました。でも勝ててよかったです。仕掛けてからも伸びていく感じはあったし、セッティングもいいような気がする。ハンドル幅を広げて、周回中から楽な感じがします。昨日のレースがあったんで慌てずできたし、決勝も自分の走りをするだけです」 大塚健一郎が離れてしまい、原田は1車でまくり切る。2着には逃げた高橋マークの吉村和之が入線した。 「まさか先行するとは思わなかったし、(高橋が)すげえっすね。(高橋)和也は強いんで、2車だしチャンスがあったら狙ってけと言ってたけど、意外に早く(レースも)動いたんで(早く前に出る形になった)。でも(原田マークの大塚)健ちゃんがいないとは思わなかった。2人で来ると思って前に踏んだけど、意外に1人?って。それだけ和也が掛かってたってことですね。僕は展開でしょ。もう少し余裕が欲しいですね」 打鐘からハナに立った高橋和也は池田のカマシを合わせると、最後は大塚の強襲も凌いで3着に。内容、結果ともに納得のレースを笑顔で振り返る。 「4か5着かなと思ったけど、残れると思わなかったですね。(池田のカマシが来たが)あそこで駆けないと出た意味がなくなると思ったので。2車で先行して3着まで行けたんで感じはいいですね。いい感じで走れてると思います」 |
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竹内雄作選手 |
赤板過ぎから突っ張った近藤隆司は、竹内雄作(写真)の動きを警戒。中団にいた松浦悠士が打鐘の4コーナーから内をしゃくり番手を奪取すると、同時に後方から竹内も一気に仕掛ける。竹内はバックで近藤をまくり切ると、そのまま力強く押し切った。 「自分も掛かっている感じじゃなかったのでキツかったです。昨日よりも今日の方がキツいですね。展開としては自分が踏み出したタイミングで松浦君がしゃくっていったのが見えてました。あの時点では自分も仕掛けていたので、展開も自分に向きましたね。あとは落ち着いていけたと思います」 山内卓也は竹内の仕掛けにしっかり続き中部ワンツー。 「(近藤の突っ張りは)逆だったら僕たちがしてたと思うし、想定外ではなかったです。ほぼ2分戦だし、突っ張りもあるかなと。僕は(竹内)雄作の駆け出ししか見てなかったです。しっかりと付いていけました」 3着で決勝にコマを進めた松浦悠士だが「最後は友定(祐己)さんには申し訳ないことをしてしまいました」と、まずは反省の弁を口にした。 「レースとしては竹内さんがあんなにスッと引くとは思ってなかったし、近藤さんがふっと上に上がったんであそこで行こうと。決めていたわけではなく番手に行ったのはとっさの判断です。状態としては悪くないです」 近藤隆司は先行策に出るもシンガリ負けに。 「先行は甘くないですね。松浦君がこっちの番手に来ると思ってなくて余裕を持ちすぎました。思ったより冷静じゃなかったのかもしれないです」 |
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川口聖二選手 野原雅也選手 |
単騎の野口大誠がここ一番での勝負強さを見せて、01年の荒井崇博以来となる九州地区からヤンググランプリのチャンピオンに輝いた。 「単騎だったけど、ここでは野原(雅也)君の脚が上だと思っていたのでそこから勝負をさせてもらいました。本当にそこ(野原の後ろ)を逃したら優勝がないと思っていたので、集中して臨みました」 冷静な分析力で一発にかけていた野口の読みがズバリ。打鐘から元砂勇雪と渡邉雄太の壮絶なモガキ合い。最終1センターからまくった川口聖二の上をさらにまくって出た野原に乗ると、直線の入り口で渾身の力で踏み込み最後はハンドル投げで川口をとらえた。 「(ギアを当日変更で3.)85から92に上げて一発にかけていた。それが的確に当たった。(ゴールしたあとの歓声で)本当にその時、優勝したっていう実感がわいてきました。一年を通してここを優勝することを目指していたんで、いい年になりました」 105期の在校ナンバーワンとして、大舞台でのチャンスをモノにした野口が来年を見据える。 「今回はまくり追い込みみたいな感じになったんですけど。これからは九州を代表する先行選手になって、九州を盛り上げていけるような選手になりたい」 まくり合戦を制して野原のまくりを合わせた川口聖二(写真)だったが、最後は野口に半車輪交わされて悔しがることしきり。 「“持ってない”ですね。優勝したと思ったんですけど…。(ヤンググランプリで3年連続優勝者を輩出していた)中部の流れを止めてしまった。岐阜に帰れないです。優勝できなかったら、2着も9着も一緒なんで。(展開は)もうこうなるだろうと思っていた。2周から(踏み合いが)始まると。あそこしかないと思って(まくって)行って、それで正解ですけど。勝ちにいって勝てなかった…」 中部コンビのまくりを追った野原雅也(写真)は、川口の後ろまで迫ると最終2コーナーでその上を踏み上げる。が、川口に合わされV逸の3着。 「誰かがカマしてモガキ合いになると思った。そこから川口君の後ろに行こうと思っていたんですけど、自分の勢いも悪くなかったから(まくって)行けると思って外を踏んだ。一瞬の迷いがありましたね。それで4コーナーで川口君が肩ひとつ出ていて、乗り越えられなかった…」 渡邉との消耗戦に敗れた元砂が力尽きると、栗山俊介が切り替えるもかぶって終了。 「(元砂が)頑張ってくれたけど、自分は付いているだけでなにもできなかった。(最終)1センターで自分で行ける感じはあったんですけど、杉森(輝大)さんも余裕がある感じだったから見てしまった。番手を回ることはそうそうないんで勉強ですね」 |
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武田豊樹選手 |
いよいよ明日30日に運命の号砲が鳴る。グランプリ出場メンバーは7R終了後に公開練習、全レース終了後の指定練習では福島コンビをのぞく7選手がバンクを周回。本番へ最終調整を行った。 昨年覇者の武田豊樹(写真)は明日の本番へ公開練習、指定練習で汗を流した。 「(徐々に気持ちも)そうですね。ラインの先頭を走るか走らないかで責任感が違うし、去年僕がグランプリを勝ったことで今年は関東の後輩が頑張ってくれた。僕もグランプリを先頭で走るのは最後かもしれないですからね。あとはしっかり走るだけです」 メンバー最多、16度目の出場となる神山雄一郎は指定練習でも一人黙々とバンクを周回。悲願の初優勝へあとは号砲を待つばかりだ。 「関東地区(のグランプリ)ということもあって、イメージ通り、リラックスして過ごせてますね。イメージは悪くない。でも、みんな強いからね。あとは自分の力を出し切れれば。ほんと、そこだけです。精いっぱい頑張るだけですね」 新田祐大は指定練習には参加せず。G1を2勝の1年を締めくくる最後の大一番へも「何も考えてないです。いつも通り。(今日も)レースの日じゃないんで、レースのことも考えてないですしね」と、“無”を強調した。 |
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