『被災地支援競輪KEIRINグランプリ2016シリーズレポート』 前検日編

配信日:12月27日
 3年ぶりに舞台は立川競輪場に。年末、輪界の最大のイベント「KEIRINグランプリ2016シリーズ」が、いよいよ28日に3日間開催の熱戦の火ぶたを切って落とす。30日に行われる優勝賞金1億円超をかけた一発勝負「KEIRINグランプリ2016(GP)」に、昨年のGPチャンプ浅井康太をはじめとした今年の輪界を沸かせた出場9選手が、27日に立川に集まった。さらに、初日メーンを彩る「ガールズグランプリ2016(F2)」、2日目メーンの「ヤンググランプリ2016(G2)」、「寺内大吉記念杯(F1)」に出場する全選手が顔そろえ、検車場は熱気で包まれた。多くの報道陣がごった返すなかで、スター選手たちはそれぞれの決戦に備えて入念な調整を行い、集中力を高めた。
 本場では開催中の毎日、GP純金車券などが当たるラッキーカードを配布します。山口健治氏による予想会、ガールズケイリンカフェなど、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。また、28日の初日には中野浩一氏によるトークショーや東京支部のトークショー、「ヤンググランプリ2016」の出場選手によるトークショーと公開練習なども予定されています。ぜひ、立川競輪場へ足をお運び、見応えのあるトップレーサーたちのスピードバトルと、イベントをお楽しみください。

KEIRINグランプリ2016出場選手
KEIRINグランプリ2016出場選手
ヤンググランプリ2016出場選手
ヤンググランプリ2016出場選手
ガールズグランプリ2016出場選手
ガールズグランプリ2016出場選手
<1R>
新田康仁選手
新田康仁選手
 新田康仁(写真)は前回の伊東記念を2127着。昨年の京王閣以来、およそ1年ぶりに記念優出を果たした。落車で負った大怪我から、一歩、また一歩と回復をしているようだ。
 「自分では6、7割くらい回復していると思ってます。(体の中にボルトとか)いっぱい入っているのが取れないので、それとうまく付き合いながらですね。それで良かった時の感触に戻したい。あと自分の年齢もあるし、若手も出てきた。目標がいるレースもあって、そういう経験も必要なんで少しずつですけど(上げていければ)」
 前回の向日町F1を251着。決勝進出は逃した戸田康平だが、「前回は結構、良かったと思う」と、手応えをつかんで今年のラストシリーズに臨む。
 「練習もいつも通りやってきた。そこまで疲れもないと思うんで、いい感じで(今年を)締めくくりたい。できれば1班(の競走得点を)を取りたかったけど、今年は自分のスタイルが貫けたと思います」

<2R>
河野通孝選手
河野通孝選手
 同県の杉森輝大とは6度のセットで3勝2着1回と抜群の相性を誇る河野通孝(写真)は、追加配分で自転車をチェンジして杉森と4度目のワンツーを目論む。
 「(杉森が)先行しても、まくってもワンツーだし、安心して走れます。仲もいいし、相性もいい。今日もここには一緒に来ました。息を合わせて頑張りたいです。今回のフレームは(前回までのと)同じ寸法で、あとはちょっと柔らかくしたところがある」
 前回の伊東記念は未勝利に終わった黒田淳は、まだまだ復調途上。今年を振り返りながら、課題をあげる。
 「今年は優勝もあったけど、もうひとつ点数的に安定しなかった。特別競輪(G1)に行ける点数までいかないと…。まだ昔のいい時に比べて、道中の余裕がなかったりするんで、そこら辺がまだまだですね。前は切って飛び付いても、比較的すぐに仕掛けていけた。そうできるように」

<3R>
須永優太選手
須永優太選手
 須永優太(写真)は、ここ5場所のF1で1場所1勝のペースで大敗と背中合わせ。秘めたポテンシャルを発揮できれば、格上が相手でも引けを取ることはない。
 「なんかこの101点、102点で足止めを食らっている感じです。これを打破するのに、いろいろやっている。脚力もそうですけど、すべて上げなきゃですね。一発狙って頑張りたい」
 このメンバーでは格上の存在の松岡健介は、ようやく光が差して上昇ムードが漂う。
 「探り、探りがまだ続いているけど、年頭の悪すぎるところからやっとここ何カ月かで脱してきた。もっと良くなる、もっと良くなるってやってたら、悪い方に行ってしまって…。それの繰り返しなんですけど。なにがなんでも、この点数は切らないだろうと思っていたら、(それより競走得点を落として)危機感も出てきたのもあった」
 近況勝ち星が遠ざかっている望月永悟だが、焦らずいつも通り。
 「そんなに悪くないと思います。流れのなかでやることができていると思う。点数を上げるとかそういうことよりも、まずは自分のやることをやって。それで結果的に成績とかがついてくればいいんで」

<4R>
松川高大選手
松川高大選手
 点数上位で地元の朝倉佳弘に期待がかかる。初日は積極的な片折亮太を足場に、予選突破を目指す。
 「競輪祭、伊東記念と終わって調子は変わらずですね。横ばいって感じで、今回も展開次第ですね。出切ってくれさえすれば、あとは松川(高大)君をブロックして、できる限りのことをするだけなので。メンバーを意識して。ベテランもいるから、ブロックだけではないと思うので、しっかり番手の仕事をします」
 その片折亮太は前回の伊東記念では7278着と大叩き。気を取り直し、今年最終戦は良い形で締めくくりたい。
 「前回は良くなかったですね。補充も行ったし、走り過ぎた感じでした。伊東が終わってからはゆっくりできたから、じっくり自転車に乗ってきました。前回よりは良いと思います」
 機動力では松川高大(写真)が上。10月別府記念で落車し、ここが復帰3場所目となる。
 「別府で落車して鎖骨を骨折しました。まだピンが入ってるし、違和感もあるけど、走りながら戻していかないと。(前回12月の)松阪が終わってからは軽めに乗りました。感じは良かったですよ。明日はうまく走ります」
 桜井雄太は厳しいレースが続くが、前回12月の四日市F1で状態が良化。相手は強力だが、注目されるシリーズで爪痕を残したい。
 「前から良くなってきてたし、前回四日市の初日、最終日と逃げて3着に残れて感じが良かった。自信もつきました。今回は追加で中2日になるけど、疲れはないので大丈夫です」

<5R>
坂本周輝選手
坂本周輝選手
 このレースはベテランの小嶋敬二を相手に、若い坂本周輝(写真)が前走を反省して積極レースを展開する。
 「前回の取手(691着)はダメでしたね。気持ちが入ってなかったというか…。(確定ではないが)エスワン(S級1班)が取れたので、安心してしまって。違反点もたまっているので、消極的になってしまいました。気持ちを切り替えて練習してきたので、前回よりは多分良いと思います。(勝ち上がりが)2着までだから厳しいですね。立川はずっと走ってなかったから印象はないですね。冬場は重たいんですよね。それを良く考えて走ります」

<6R>
新山将史選手
新山将史選手
 新山将史(写真)が踏ん張りどころ。2日目、ヤンググランプリに出場する弟・響平のためにも、ここは良い流れを作りたい。
 「前回の玉野(829着)は全然ダメだったですね。疲れがあって体が動かなかった。終わってからは冬期移動先の競輪学校でしっかり練習して、調整もしてきました」
 対戦するのは山田庸平。今回は普段と違った調整方法でシリーズに挑む。
 「佐世保記念が終わってからは日程が空いてたのでしっかり練習ができました。今まで競走に入る前は調整をやってこなかったけど、今回は体を整えて、今期の中で一番ってくらいの状態になりました。だから楽しみですね。小野(俊之)さんとは何度も連係があるので緊張はないですよ」
 その小野俊之は当所グランプリ2004の覇者。来期は19年ぶりのA級戦となるだけに、注目の舞台でアピールしたい。
 「前回(松阪)の最終日は(まくった)友定(祐己)を差して1着が取れたので、A級戦でもやれる自信がつきました。自転車のセッティングも出たから、(松阪から)そのまま立川に送って。あとはシューズの調整だけ。来期はA級だし、弾みをつけるためにも、今回は大事なシリーズになるね」

<7R>
中井太祐選手
中井太祐選手
 中井太祐(写真)は2年連続でのグランプリシリーズ。力をつけた今年は、昨年以上(762着)の成績を残したい。
 「佐世保記念が終わってから時間があったので、いつも通りのメニューでしっかり練習してきました。上積みがあればいいし、結果が出てくれれば。立川は2年前(3月827着)に1回走ったけど、そのときは良くなかったですね。でも、あのときよりは強くなってると思うので」
 対戦相手は強力なパワーを持つ小埜正義。ただ、練習中に落車をしており、まずは初戦の走りを見極めたい。
 「中井君とは佐世保記念の二次予選でまくられてるんで、今回はやり返したいですね。準優勝はラインのおかげだし、恵まれただけ。佐世保が終わってから練習してたけど、4日前に街道で落車して。上り坂でチェーンが切れちゃったんですよ。まだ手首とケツが痛いですね。五十嵐(力)さんには(10月の)小田原で迷惑をかけてるので、今回は決めたいですね」

<8R>
松岡篤哉選手
松岡篤哉選手
 松岡篤哉(写真)は前回の取手F1で決勝2着と好走。機動力は冴え渡っている。
 「取手から中10日以上あって、練習はしっかりやってきたので体は問題ないです。立川は重いバンクですけど、先行しても大丈夫だと思います。相手も積極的なタイプがそろいましたね。堀内(俊介)君はかなりしぶといイメージがある。負けないように頑張ります」
 堀内俊介は近況、パッとしないが、先行中心の競走スタイルは貫いている。
 「最近はなかなか納得のいくレースができないですね。伊東記念は力不足でした。今は先を見すえてやっている。毎回、課題が見つかるし、勉強することばかりです。足りないところを補って、着実に力をつけていきたいですね。明日は後ろが同級生の東(龍之介)君で仕事をしてくれるので、信頼して積極的に仕掛けます」

<9R>
太田竜馬選手
太田竜馬選手
 超大型ルーキーの太田竜馬(写真)が予選のトリを務める。S級デビューとなった前回の岸和田記念で2勝を挙げた。今シリーズも勢いそのままに突っ走る。
 「前回はちょっと中途半端なところもありました。ペースも考えずに踏んだ感じだし、今回はもうちょっと考えて走りたいですね。ここはけっこう前に追加をもらったので、練習はいつもどおりやってきました。自分が出るわけではないけど、目の前で大きなレースを観れるのは刺激になります。中途半端な走りだけはしないようにして、それで結果がついてくればいいですね」
 濱田浩司は高いレベルで戦歴が安定している。初連係となる太田ときっちり決めるか。
 「今年は安定した成績を残せていると思います。でも、勝ち切れないところがあるので、そこが課題ですね。前回の取手からけっこう間隔が空いたので、練習はしっかりできました。取手よりも状態はいいと思います。まずは太田君に離れないように、しっかり付いていきます」

<10R>
松岡貴久選手
松岡貴久選手
 初日特選はS級トップクラスの機動型が激突する好カードだ。松岡貴久(写真)は前回の伊東で待望の記念初制覇を果たした。
 「伊東は運がよかったです。でも、獲れたことですっきりしたし、重しが取れた感じがします。終わってから練習はいつも通りやってきたし、状態は変わらないですね」
 小倉竜二は差し脚堅調。直線の長い当所なら存在感は一段と高まる。
 「今年の前半戦は悪かったんですけど、後半に入ってよくなってきました。でも、(11月)広島の落車からちょっと体はおかしいですね。けっこう間隔が空いて練習はやってきたので、状態はまずまずです。松岡君は調子もいいし、レースもうまいので信頼して任せます」
 脇本雄太は、今年の最終戦に新フレームを投入する。
 「今回はいろいろと試したいと思っているので、フレームも新しくしました。それを試すには打ってつけのメンバーですね。(別線の機動型とは)お互い手の内は知り尽くしているけど、いつもどおり頑張ります」
 吉澤純平は強力な同型を相手にチャレンジャー精神で挑む。
 「連戦だったので、岸和田記念が終わった後はしっかり疲れを取ってから練習しました。自分の力はまだまだと思ってます。今回はかなりメンバーがいいので、やりがいがありますね。自力でしっかり力を出し切ります」

<11R>
高木真備選手
高木真備選手
 ガールズケイリンの頂点を決める戦いだ。高木真備(写真)はこの1年間で飛躍的な成長を遂げた。最後の大一番を制して、真の女王に輝く。
 「今年は本当に充実した1年だったと思います。グランプリに出場できるのはうれしいです。ここに向けて、スピード練習で仕上げてきました。(レースで)やるべきことは考えてきたので、それをやって、結果はあとからだと思ってます。7番車なんですけど、お客さんの声が一番聞こえるし、プラスに考えてます。初出場なんですけど、しっかり力を出し切って、優勝したいです」
 児玉碧衣もグランプリは初出場だ。今年はダッシュを利かした攻めで勝ち星を量産。ここも持ち味を出し切る。
 「あんまり緊張しないと思っていたけど、やっぱり緊張はしますね。(前回の)武雄は3日間、先行して優勝できているし、よかったと思います。立川は初めてなんですが、直線が長いと聞いてきました。最後まで粘って踏めれば。慌てずにいければ何とかなると思ってます。内に包まれることだけはないように、そこだけは気をつけたいですね」
 ガールズ先行日本一の奥井迪は大一番でも迷いはない。しっかり主導権を取って頂点奪取をもくろむ。
 「(直前は)1週間ぐらいバンクに入って、自力中心にやってきました。天気もそんなに崩れなかったし、予定どおりできました。体調はバッチリです。地元が頑張らないと盛り上がらないし、立川を代表して走ります。自分の持つ距離から行きたいですね。地元は普通開催でも緊張するのに、明日はどうなっちゃうんだろう」

<2日目・11R ヤンググランプリ2016>
新山響平選手
新山響平選手
 去年に増して強力なメンバーがそろったが、なかでも107回生で1番の勝負強さを誇る新山響平(写真)に注目が集まる。卒業記念レース、ルーキーチャンピオンレースに続いて3冠に挑戦だ。
 「佐世保記念が終わってから腰を痛めてしまったのでマッサージに行って、治してから冬期移動先の競輪学校で練習しました。いい感じで追い込めたし、調整もしっかりできました。調子もかなり戻ったので今回は自信があります。立川は走ったことがないので、明日走ってみて感じをつかみます。まずは出し切ることを第一に。たくさんのお客さんの前で目立ちたいですね」
 同期の吉田拓矢が、新山にライバル心を燃やす。
 「新山さんには卒記、ルーキーと獲られてるから今回は。ルーキー(優勝賞金)は(約)100万だったけど、今回は(約)500万ですからね。(前回の)伊東記念は状態が良くなかった。疲れが抜けてなくて。だから今回は反省を生かして調整しました。立川は(昨年の9月)A級のときに初めて負けてしまって。そこからは勝ち続けたんですけど。直線が長いけど、僕は冬場は調子が良いので大丈夫だと思います」
 史上初のヤンググランプリ連覇へ、野口大誠が好気合だ。
 「今年はあまり良くなかったですね。前半は良かったけど、あの(熊本)地震で全て流れが変わってしまいました。言い訳にはならないですけど。今年はメンバーが強烈なので、逆に去年以上にチャンスがあると思う。賢く力を出し切って優勝します」
 全員が単騎での戦いとなるが、渡邉雄太は今年も隙あらば先行する構えだ。
 「伊東記念が終わってからは普通に練習してきました。無理矢理駆けるようなことはないですけど、流れやタイミングによっては先行も考えてます」
 取鳥雄吾は親子鷹で当所に向けてトレーニング。強力メンバーを相手に一発を狙う。
 「前回(12月)の千葉は風邪を引いて体調を崩したので休みました。しっかり治してから、ここに向けて父(敬一・69期)とマンツーマンで練習してきました。変わったことはしてませんけど、やることはやってきました。強い新山さんとかなら分かるけど、僕が気負っても仕方ないので平常心でいきます」

<最終日・11R KEIRINグランプリ2016>
浅井康太選手
浅井康太選手
 昨年のグランプリ覇者の浅井康太(写真)は、今年純白のGPチャンピオンジャージをまとって重圧のなかで一年を戦い抜いて6年連続6回目の出場を獲得賞金で決めた。連覇へ向けても気負うことなく、静かに口を開く。
 「自分のなかでも考えが変わったし、どうしたら“浅井康太”はいいのかって、第三者の目で考えられるようになった。それも去年グランプリを優勝したからだと思う。自分で進化してきたのを感じている。競輪祭の落車でエース機(フレーム)が壊れたり、車輪も壊れたけど、休養も取れたんでプラスに考えていきたい。(連覇は)自分のやってきたことが正しければ。やってきたことが正しいから、ここに出られているんだと思うし力もついている。あとはやるからにはしっかり。それが自分にしても、お客さんにとっても、競輪界にとってもいいことなんで」
 昨年に続いて2度目のグランプリ出場となる稲垣裕之は、経験を糧に3日後の大一番を見据える。
 「(2度目で)だいぶ落ち着いてきました。過ごし方なんかは(昨年)経験できた部分がいろいろある。(前回が終わって)順調にやりたいこともできたし、去年とは違う調整をした。やっぱり2日間走らずに臨むっていうのは、なかなか調整が難しい。今年は考えてきました。(前回の)佐世保記念でいろいろやった結果、今回は違うフレーム、寬仁親王牌で優勝した時のを使います。ここ最近であれが一番良かった」
 5月のダービーで初戴冠を遂げた中川誠一郎は、初めてのグランプリにも前検日はリラックスムード。いつも通りの笑顔で報道陣に丁寧に対応する。
 「合志(正臣)さんにアドバイスをしてもらったんで、それを参考にして(本番まで)過ごします。熊本で唯一グランプリを経験した人なんで。前夜祭とかがあってバタバタしたけど、やっと落ち着いてきた。競輪を走りたいっていう気持ちも出てきた。ゆっくりできたのがよかった」
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