『KEIRINグランプリ2018シリーズレポート』 最終日編

配信日:12月30日

 静岡競輪場を舞台に開催された輪界最大のイベント「KEIRINグランプリ2018シリーズ(歳末チャリティー協賛)」は、30日に最終日を迎えた。平成最後のグランプリを制したのは三谷竜生。主導権を握った脇本雄太の番手から追い込み、初のグランプリ制覇で優勝賞金1億160万円(副賞含む)を獲得した。02年の山田裕仁(61期・引退)の年間獲得賞金額の記録を更新して、初の賞金王に輝いた。また、「第11回寺内大吉記念杯(FI)」の決勝は、地元勢が3着までを独占。地元ラインの3番手からシャープに伸びた岡村潤が優勝を飾った。

グランプリレース出場9選手特別紹介
グランプリレース出場9選手特別紹介
リトルステップファクトリーダンスショー
リトルステップファクトリーダンスショー
レジェンドトークショー 村本大輔氏
レジェンドトークショー 村本大輔氏
レジェンドトークショー 鈴木誠氏
レジェンドトークショー 鈴木誠氏
武豊氏トークショー
武豊氏トークショー
太田克樹&カテリン ライブショー
太田克樹&カテリン ライブショー

KEIRINグランプリ2018 レース経過

 号砲が鳴り、新田祐大がゆっくりと誘導員を追って前受け。2、3番手に平原康多-武田豊樹の関東コンビが続き、単騎の浅井康太、清水裕友、近畿ラインの脇本雄太-三谷竜生-村上義弘-村上博幸が後ろ攻めで隊列が落ち着く。
 青板4コーナーから清水が上昇。誘導員を降ろしてハナに立つ。6番手の脇本は赤板1センター過ぎから仕掛けると、清水を一気に叩いて打鐘で主導権を握る。近畿4車が前に出切って、清水が5番手、脇本に合わせて踏んだ平原が6番手で最終回へ。グングンと加速していく脇本に、清水は2コーナー手前から反撃に出るが、3コーナー過ぎの三谷のけん制で失速する。同時に、空いた村上義の内を突いた平原と、村上義が接触し2センターで両者が落車。絶好の展開で4コーナーを回った三谷は、直線で力強く抜け出して初のグランプリ制覇を果たした。最終バック8番手からまくった浅井は、好スピードで三谷に迫るも2着。落車を避けて、直線で大外を伸びた新田が3着でゴールした。






<4R>

福田知也選手
福田知也選手
 小林則之が地元ファンの声援に応えるように赤板過ぎから果敢に逃げる。7番手まで下げた河端朋之は最終ホーム前から反撃。地元勢追走の福田知也(写真)が1センターで大きく張ると、番手の丸山啓一が外を張りながら番手まくりを打つ。その後ろから福田が鋭く抜け出した。
 「地元の前の2人が頑張ってくれたので。河端君が来たのが見えて一回張ろうと。その後は前の丸山さんに任せていたけど、そのまま出ていくとは思っていませんでした。でも出て行ってくれたので展開が向きましたね。余裕もありましたし、初日はダメだったけど2勝できたので。立川記念の追加が入ったので来年も年頭からしっかり戦いたい」
 小林の頑張りに応える形で踏み込んだ丸山啓一が2着に入線。シリーズ2度目の確定板入りを果たした。
 「(小林)則も頑張ってくれて、後ろの福ちゃんも仕事をしてくれたおかげ。それでも河端君のスピードが良くて、もう出て行かないとマズいと思いました。本当は(小林)則も3着に残せれば一番良かったけど。福ちゃんはめちゃめちゃ強いから抜かれるのは仕方ないけど、S級に戻ってきてこのクラスで戦えたのは収穫ですね。来年はどこまで自分の力が通用するか試したいですね」 

<5R>

雨谷一樹選手
雨谷一樹選手
 赤板の2コーナーで飛び出した菅原裕太が、そのまま緩めることなく駆ける。それでも大石崇晴が強引に巻き返すと、飯田憲司は大石に出られながらも番手発進。両者の踏み合いを脚を溜めた雨谷一樹(写真)が、まくりでのみ込んだ。
 「全部流れが見えていた。ただ、(競技から久々の実戦の時は)いつもそうなですけど、初日が良くない。2、3日目から良くなってくるのがパターンなんですよね。初日もこういう感じで走れるといいんですけど、そこが課題です。(ナショナルチームでのトレーニングで)脚は確実についてきてると思うんで」
 雨谷の踏み出しに遅れた関貴之だったが、最終2センターのあおりを乗り越えて3着に入った。
 「雨谷はあれで行っちゃうんだって感じですよね。あの(最終3コーナーの)のぼりは…。自分は空いちゃいました。ジャンのところでも前がフルスロットルだったんで、そこで立ち遅れて脚を使ってしまった」

<6R>

竹山陵太選手
竹山陵太選手
 櫻井正孝が赤板過ぎから飛び出して風を切る。後続の動きを確認しながらピッチを上げる。単騎の吉松直人が4番手確保からまくると、これに合わせて竹山陵太(写真)が番手まくりを打つ。そのまま後続の追撃を振り切り、3カ月ぶりの勝ち星を挙げた。
 「櫻井君が気持ちの入ったレースをしてくれた。ありがたいです。簗田(一輝)君が相手ですからね。後ろに野木(義規)さんも付いてもらってるので、(吉松に)合わせて出て浮かせれば、いい形になると思いました。(10月に)ケガをしてから勝ててなかったので、よかったです。櫻井君のおかげです」
 野木義規がしぶとく続いて2着。北日本ワンツー決着となった。
 「本当に櫻井君が頑張ってくれた。その気持ちがうれしいですね。離れそうになって必死だったけどワンツーが決まってよかったです」

<7R>

岩本俊介選手
岩本俊介選手
 岩本俊介(写真)が2日目に引き続き必殺のまくりを披露した。才迫開が栗山俊介の外でフタをすると、古屋琢晶が打鐘で先に切って中四国勢を受ける流れに。栗山俊介は力ずくで巻き返しを狙ったが、橋本強に弾かれて外に浮いてしまう。最終ホームで車を外に持ち出した岩本は外に浮いてしまった栗山の外を力強くのみ込んだ。
 「前受けを選択したけど、ただ前を取って引いてまくるんじゃなくて、別線に脚を使わせられるように組み立てられたのでいい感じでした。みんな動けるし、自分の順番が来るように。ホームで古屋さんが下がってきたけど、そこまでバック踏まずに対応できたし、感触も良かったですね」
 栗山が不発の窮地に橋本の後位に切り替えた三谷将太が4コーナーで内を突いて2着に入った。
 「(栗山は)ホームで一瞬(3番手に)入ろうとしたところが失敗。せめて休むとしても橋本さんの前までは行かないとダメでしょ。自分も後ろがついていたし、どうにかしたかった。もう少しやりようはあったけど、最後は空くと思って突っ込んだ」

<8R>

松川高大選手
松川高大選手
 金子哲大に併せ込んでフタをした長尾拳太が、赤板の2コーナー手前から踏み込んで主導権。単騎の2人は動けず、松川高大(写真)が3番手を手に入れる。8番手に置かれた金子は、最終ホーム手前からの反撃。合わせるようにまくった松川が、前団をとらえて1着。
 「前を取らされると思ってたんで、そこはしょうがないですよね。誘導も上がってたし、自分も踏んだ。あれで単騎の人たちに付いてこられると面倒だなっていうのがあったんでよかった。(金子が来ているのが)見えたけど、(最終)2コーナーでは絶対に仕掛けようと思ってた。初日が終わって(セッティングを)修正してだいぶ良くなってた」
 金子をブロックして松川のまくりに続いた山口貴弘が2着をキープ。
 「金子君が来たんでどかしたけど、そこでバランスを崩しちゃいました。自分の脚の状態からしたら、(仕事をして付いていって)最低限のことはできたんじゃないかと。この脚で(3日間を)よくまとめたと思います」

<9R>

尾崎剛選手
尾崎剛選手
 打鐘過ぎに先頭に立った末木浩二に対し、横山尚則がすかさず襲いかかる。激しい主導権争いは末木に軍配。単騎でまくった西村光太も不発に終わる。これで番手絶好となった尾崎剛(写真)がきっちりチャンスをモノにした。
 「末木君が頑張ってくれました。自分は本当に何もやってない。ただ付いていっただけです。後ろも同期(三宅達也)に固めてもらったし、ラインのおかげ。本当に良かったです」
 関東コンビの後位を選択した三宅達也が直線で中を割って2着に。
 「同期(尾崎剛)となかなか連係できないですから。恵まれました。横山君が来たので、ちょっと振ったりしました。かぶっていたんですけど、うまい具合に空けてもらいました」

<10R>

岡村潤選手
岡村潤選手

寺内大吉記念杯決勝ゴール
寺内大吉記念杯決勝ゴール
 後ろ攻めから上昇した新山将史が打鐘手前で先頭に立ったが、地元の渡邉雄太が力ずくの巻き返しに出て主導権を取る。打鐘の2センターから竹内雄作が反撃に転じるも、渡邉晴智に張られて中団の外で止まってしまう。新山のまくりも思うように進まず、直線は地元3名による争いに。3番手の岡村潤(写真)が外をシャープに伸び切った。
 「竹内(雄作)君が自分の後ろで止まったのが分かったし、あと来るとすれば新山君だけだと。自分はしっかり内だけ締めて、まくってくれば(渡邉)晴智さんに任せようと思っていました。余裕もありましたね。ここに向けて考えてやってこれたので。(グランプリのポスターイメージに選ばれて)いい経験もさせてもらって気持ちも入りました」
 渡邉雄太が2着に逃げ粘り、別線を見事にシャットアウト。
 「(初日に竹内雄にやられていたから)そこだけ意識して踏みました。新山さんが自分のところで止まったから先行するのかなってちょっと焦ったけど。(最終4コーナーを回って)逃げ切りまではないかなって感じでしたけど、ラインで決まったと思いました」

<11R>

浅井康太選手
浅井康太選手

新田祐大選手
新田祐大選手
 KEIRINグランプリ2018は大方の予想通り脇本雄太が主導権を握り、近畿勢がレースを支配。絶好の番手回りを生かした三谷竜生が直線で鋭く追い込み、グランプリ初制覇を果たした。
 「本当に素直に嬉しかったですね。ジャンのところで少し浅井(康太)さんの動きが気になって、脇本(雄太)君も少し行きづらそうだったんですけど。でも、出切ってからは、しっかり後ろの様子を見てって感じでした。非常にかかっていましたし、誰も来れないかなと思っていたんですけど、清水(裕友)君が来たので少し張ったりしました。その外に浅井さんとかが見えたので、しっかり踏んで優勝を狙いに行きましたね。ダービー、高松宮記念杯、今回もしっかりラインができて、ラインで走った中での結果なので、本当に良かったです。近畿の強さを改めて実感することができました。(来年は)1年間、1番車っていうことで、責任感の中でしっかり走りたいと思います」
 最終バック8番手から懸命にまくり上げた単騎の浅井康太(写真)は2着まで。グランプリ連覇はならなかったが、持てる力は出し切った。
 「平原さんの後ろと決めてました。平原さんがもう1個、清水の前なら面白かったですね。平原さんに付いていって、そこから仕掛けたとしても3コーナーで浮くんで、それまでに平原さんの横までいこうと。もうちょいでしたね。(三谷)竜生もしっかり展開をモノにして優勝したんで強いし、そのなかで自分のできることを最大限やりきった結果なんで。勝てなかったのは何かが足りなかったということなんで、まずは来年のグランプリに出れるように、しっかり努力して考えることが大事だと思ってます」
 最後方に置かれた新田祐大(写真)は3着に入るのが精いっぱいだった。
 「脇本がけっこうかかってました。中団に清水君、平原さんがいて誰も何もしないことはない。その動きを見極めて、あとは自分のタイミングでって思ってました。リズムが悪くて綺麗に踏めなかったです」
 人気を集めた脇本雄太は直線で力尽きて5着に敗れた。
 「ジャン前の2コーナーの浅井さんの動きでバランスを崩して、焦ってしまいました。もう1回、立て直してから行けば確実に粘られますからね。自分のタイミングではなかったけど、4コーナー勝負はできると思ってました。あと30メートルくらい踏み切れないといけない。自分のなかではいい経験ができました」
 先に切って近畿勢を受けた清水裕友は5番手からまくり上げて見せ場を演出した。
 「楽しかったです。切って飛び付いたぶん、脚を消耗しました。キツかったけど、行くしかないと思って行きました。力の差がまだありますね」

次回のグレードレースは、1月4日~7日まで立川競輪場において、開設67周年記念「鳳凰賞典レース」(GIII)が開催されます。
2019年の幕開きを飾る今開催は、新S班4名が出場予定。中でも勢いに乗る24歳、清水裕友には注目です!
最終日には、「推理しやすい、わかりやすい、的中しやすい」をコンセプトにしたS級ブロックセブンが実施されます。
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