『第61回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 3日目編

配信日:11月22日

 北九州メディアドーム小倉競輪場を舞台に開催されている「第61回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は21日に3日目が行われた。「ガールズグランプリトライアル2019」はトパーズ、アメジストの決勝戦が争われ、小林優香、梅川風子がそれぞれ優勝を飾った。これで年末の「ガールズグランプリ2019」に出場選手7名が決定した。また、男子は一次予選2が行われ、吉田拓矢、柴崎淳が豪快なまくりで連勝を飾った。22日の4日目は一次予選2走のポイント上位選手による「ダイヤモンドレース」をメインに熱戦が繰り広げられる。
 4日目の22日も児玉碧衣のトークショーをはじめ、どりあんずお笑いライブ、健太康太のライブ、木戸彩音ライブなど場内イベントは盛りだくさん。ぜひ本場でお楽しみください。

アメジスト決勝出場選手特別紹介
アメジスト決勝出場選手特別紹介
トパーズ決勝出場選手特別紹介
トパーズ決勝出場選手特別紹介

11R ガールズGPトライアルB(アメジスト) レース経過

 横一線のスタートから、外枠の2人がいち早く前の位置を確保。吉岡詩織も正攻法の位置を窺うが、梅川風子が譲らず、梅川、奥井迪、高橋梨香、吉岡、児玉碧衣、尾崎睦、細田愛未で落ち着いて周回を重ねた。
 赤板周回に入って細田が上昇を始めると、これを制して吉岡、さらに奥井も前に踏み出す。打鐘で誘導が退避すると同時に奥井が主導権を奪取。その後位を梅川、高橋が確保し、3、4番手の外に吉岡、細田へと態勢が変わる。最終ホーム入り口で後方から児玉が巻き返すと、合わせるように奥井も一気にペースアップ。吉岡も仕掛けるが、その外を1コーナーで乗り越えて児玉が奥井に迫る。児玉を追っていた尾崎は口が開き、2コーナーで奥井をねじ伏せた児玉には、梅川が機敏にスイッチしていく。尾崎も懸命に2番手に追い上げるが、3コーナーで力尽きて後退。直線に入り、粘る児玉をゴール寸前で交わした梅川が大会連覇を達成した。




12R ガールズGPトライアルA(トパーズ) レース経過

 号砲で前に出た小林莉子だったが、前受けを嫌って誘導員と大きく車間が空き、2番手にいた長澤彩が誘導員を追って正攻法へ。2番手に小林莉。青板バック7番手から動いた高木真備が、小林優香の前に入って3番手。高木に続いた鈴木美教、大久保花梨が4、5番手で、下げた小林優が6番手。最後方に石井貴子で隊列が落ち着き、打鐘を迎える。
 スピードを上げない先頭の長澤に対し、大久保が2センターから反撃開始。合わせて踏み上げた長澤を最終2コーナー手前で飲み込むも、次は1コーナーで大久保の後ろに切り替えていた高木がバックからまくり出す。同時に、小林優も高木の外を仕掛けて両者でモガき合いに。外の小林優が高木を力でねじ伏せて直線で先頭に立つと、初手からピタリと続いてきた石井を振り切ってV。15年以来、3度目のガールズグランプリ出場を決めた。小林優マークに徹した石井は2着まで。3着には高木が粘った。




<1R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 逃げる不破将登に対し、最終ホーム8番手に置かれてしまった吉田拓矢(写真)。それでも1コーナーから仕掛けると先まくりの山田英明と志智俊夫が併走する外を鮮やかに突き抜けて一次予選を連勝。4日目のダイヤモンドレース出場を確定させた。
 「GIの準決勝自体が久しぶり。去年の競輪祭以来だと思うので大きいですね。先行してないけど、感じ的には戦えると思う。恵まれましたけどね。余裕はあったので、(8番手でも)落ち着けたと思う。ただ木暮(安由)さんとワンツー決められなかったのは反省点です」
 最終ホームで野田源一に内をすくわれた堀内俊介だったが、立て直すと4コーナーから中バンクを鋭く伸びた。
 「野田さんに内を来られて、気を取られてる間に前(山田)が行ったし、吉田も来た。そこら辺が甘かったです。3コーナーで(前団が)横並びになったので、落ち着いて行けるところで行こうと。レースは納得いくものではないけど、残りのレースもあるんで。昨日(2日目)は力んだところがあるけど、今日(3日目)はしっかり乗り切れた。リカバリーして次に備えたい」

<2R>

柴崎淳選手
柴崎淳選手
 後方から上昇した藤根俊貴に松本貴治、前受けの松井宏佑も反応する。藤根が主導権を握って、松本が3番手、松井は5番手に入る。進路をふさがれた柴崎淳(写真)は、8番手で打鐘を通過する。が、4コーナーで松本が仕掛けて、さらに松井がその上をまくる。後方の柴崎にも出番が巡り、まくりできっちり抜け出した。
 「後方になっても焦らずに前の動きを見ていました。(ワールドカップの)メダリスト(松井)を相手にまくれているし、(状態は)いいんじゃないですか。小倉の3コーナーは止まる。あそこを踏ん張れている。いい精神状態です」
 先まくりの松井をマークした諸橋愛が、2着に追い込んだ。
 「(松井は)いいスピードでしたね。自分も余裕があって、柴崎が来たのもわかって構えていた。だけど、外を行かれましたね。あそこで当たれると、僕の着もいいんですけどね。(松井を)差せる感じもあったし、周りは見えていて余裕はある」

<3R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 赤板の2コーナーで先頭に立った渡邉雄太(写真)に対し、6番手外併走を嫌った杉森輝大が打鐘から襲いかかる。杉森は最終ホーム前に叩いて主導権。これを受けて3番手を確保した渡邉が2コーナーから力強くまくり切った。
 「(杉森が)来る予想はしてなくて、駆けようと思ってました。飛び付いてからは詰まった勢いで行くつもりだったんですが、前がフワッとなってタイミングが狂いました。無理やり行ったんですけど、古性(優作)さんも来ていたので危なかったです。ガムシャラに踏んでいたんですが、意外とタレなかったです」
 古性のまくりにスイッチした桑原大志が直線で外を伸びて2着に。
 「二次予選に乗りたいという思いが強かった。次にいつGIに出れるか分からないですから。(小川)真太郎が内に詰まっていたので、古性に付いていこうという気持ちになった。みんなのスピードと僕のスピードが合ってないくらいいっぱいでした。1ミリも残ってない感じでゴールしました」

<4R>

桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
 カマした宮本隼輔が打鐘で勢いよく飛び出して、小松崎大地が3番手に飛び付く。5番手の郡司浩平が最終ホーム手前から早めの反撃。しかしながら、桐山敬太郎(写真)は、郡司の踏み出しに付け切れない。郡司が宮本をとらえてグングンと加速して、2番手以下をちぎる。インを進出した桐山は切り替えた阿竹智史を追って、最終2センターで内をすくって郡司を追い込んだ。神奈川ワンツーをこう振り返る。
 「郡司がジャンで行こうとしてやめて、バックを踏んで追いつく前に(郡司に)行かれちゃった。ヤバいと思ったけど、とりあえず落ち着いて行けるところまですくっていった。最後は(阿竹を)すくって、誰も来ていなかったから何とか(郡司とワンツーが)決まって良かった。齊藤(竜也)さんには申し訳なかったです」
 グランプリ出場を巡りプレッシャーのかかる郡司浩平だが、思い切った仕掛けで力を出し切った。
 「自分はもう初日に負けた身なので。今日(一次予選2)は思い切って仕掛けてダメなら仕方ないと思って出し切りました。ジャンで行こうと思って行けなかったですけど、またあそこで待つよりは小松崎さんが追いつく前にと思って仕掛けた。前半のスピードは自分でも良かったと思う。その分、後半はタレてしまったけど悪くないと。こういう攻めのレースを続けていかないと、上では勝てないですから」

<5R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 前受けから8番手に下げた松浦悠士(写真)は最終ホーム手前から一気の巻き返し。2コーナー、3番手から合わせて出てきた鈴木竜士を力でねじ伏せて快勝した。
 「出切るのに目いっぱい脚を使ったので、最後はうまく回せず(鈴木に)食われかけた。まだ調子的にはピークじゃない感じがあります。タテ脚だけで位置取りに脚を使わず。こういうレースが勝ち上がりでできないと厳しいと思ってたので。2(着)なら2(着)で自分が弱いだけ。しっかり行けて良かった。(今日、11月21日が29歳の誕生日)2日目に走らなかった時点で、今日(3日目)に残してくれたのかなと思ってました」
 ゴール前で松浦に詰め寄った鈴木竜士だが逆転はならず。レース後は松浦に対する判断ミスを悔やんだ。
 「(松浦が)来たのは見えてたけど、振りながら行けば合うかなと思ったらスピードが違った。あれならシンプルに前に踏んで、まくりに行けば良かった。終始、余裕があって最後も抜き返せるかなと思ったら、そんなに甘くなかったですね。でも、やっと戦えるまで脚が戻った。楽しんで走れてます」

<6R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 新山響平を後方に置いて3車のラインの南潤がレースを支配する。中団でラインが重なることなくもなく一本棒の隊列で流れる。最終2コーナー手前からまくった永井清史は不発。その上をまくった新山も、あおりを受けてスピードが鈍る。逃げる南の掛かりもよく、空けた車間を詰めながら村上義弘が追い込む。ゴール寸前でライン3番手の東口善朋(写真)が、村上を交わした。
 「(南)潤と村上さんがいいレースをしてくれた。自分は内を締めていました。村上さんが踏んでから踏んだ。昨日(2日目)中を行って失敗したので、外を踏みました」
 南の逃げを利した村上義弘は、20歳以上も年の離れた近畿の後輩をたたえる。
 「(南)潤が良く掛かっていた。前回と昨日(2日目)のレースを見ると、調子は良くないのかなと思っていたけど。先行に対する姿勢も掛かりも本来の潤だった。残せなかったのは技量不足。親子ほどの年齢差はあるが、アスリートとして高め合っていければ」

<7R>

松岡貴久選手
松岡貴久選手
 赤板過ぎに切った三谷竜生は後続の出方を確認しながらピッチを緩める。打鐘で原田研太朗が三谷を押さえて出たところを根田空史が一気に踏み込んで主導権を取る。原田が3番手に収まり、三谷は5番手、山岸佳太が8番手の1本棒で最終ホーム、バックを通過。3番手からまくり追い込んだ原田の後ろから松岡貴久(写真)が鮮やかに突き抜けた。
 「原田君が頑張ってくれた。根田もそんなに踏んでなかったし、三谷もそこまで来てなかったので、(原田は)4コーナー勝負でいいと思っていたけど、3コーナーで行ってくれた。外を踏んだわけじゃないので何とも言えないけど、体調はずっと問題なかった。番組1本ですね」
 根田の先行を利した松谷秀幸が2着に入った。
 「根田は落ち着いてすごいいい先行をしてくれたんですけど、2車で難しかったです。振ったら(内に)入ってきますからね。モノにしたかったです。状態はいいですね」

<8R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 久米康平、岩本俊介で切ったところを竹内雄作が押さえて先行策。最終ホームから竹内はさらに踏み上げて、浅井康太は番手で車間を空ける。外に持ち出した久米だが車は進まず、4番手の岩本は最終3コーナーからまくり追い込み。絶好の展開の浅井も踏むが、岩本マークの和田健太郎(写真)が竹内と浅井の間を鮮やかに突き抜けた。
 「岩本君が冷静に走ってくれましたね。もちろんタイミング次第ですけど、竹内君とやり合っても他のラインのまくりごろになるだけなので。慌てずに仕掛けてくれて、みんなの意識が外にいったから自分のコースが空いてくれました」
 岩本俊介は外から浅井をとらえて、浅井を挟んで内と外で千葉ワンツー。
 「タイミング的にも早かったし、スピードを上げる前に竹内君が来たので出させました。いつもなら(最終)1コーナーから仕掛けてますけど、浅井君が車間を空け始めたし、竹内君の先行にはいつもハメられているから待ちました」

<11R>

梅川風子選手
梅川風子選手
 ガールズグランプリトライアル2019「アメジスト」の決勝戦は梅川風子(写真)が大会連覇を達成した。レースは2番手から踏み上げた奥井迪が打鐘で先頭に立つ。6番手となった児玉碧衣は2センターからスパート。最終2コーナーで奥井を抜き去るが、俊敏にスイッチした梅川が粘る児玉をゴール前で逆転した。
 「あまり考えず流れのなかで走ろうと思ってました。タマタマですね。(児玉)碧衣ちゃんが一人で来て、はまった感じです。本当にいっぱいで、余裕を持って走れなかったです。碧衣ちゃんが1周以上行ってるので、彼女が一番強かったです。グランプリが一番大きな目標になるんですが、そこまでの道のりが大事だと思ってます。しっかりトレーニングして、自分の力を発揮したいです」
 児玉碧衣は2着に敗れたとはいえ、ロングまくりで力は出し切った。年末のガールズグランプリでのリベンジを誓う。
 「やったほうです。吉岡(詩織)さんをめがけて行ったけど、詰まってバックを踏んでスピードを殺してしまった。細かい修正点はありますけど、サラ脚で梅川さんに後ろに入られたら抜かれますね。また練習してグランプリでやり返します」
 前々に攻めた高橋梨香が梅川を追う形でしぶとく3着に食い込んだ。
 「前々にいれば、どうにか戦えるかなと思ってました。初手が良かったです。後ろもゴチャついていたんで。普段の開催でも最近は決勝に乗れてなかったので、このメンバーで3着なら自分的には大金星です」

<12R>

小林優香選手
小林優香選手
 ガールズグランプリトライアル2019「トパーズ」を制したのは小林優香(写真)。賞金ランキング85位で決勝戦を迎え、優勝するしかグランプリ出場のチャンスはなかったが、他の選手を力でねじ伏せて、4年ぶりのガールズグランプリ出場を決めた。
 「ここを獲るしかないって思ってたし、しっかりもぎ獲れたのでいいと思う。それを達成しに、ここに来たのでうれしいと言うよりホッとしてる。貴ちゃん(石井貴子)が後ろにいるのは終始分かってたし、(高木)真備があそこで(合わせてまくって)粘ってくるのも分かってた。最後は気持ちで何とかしました。(同じナショナルチームの)ワッキー(脇本雄太)さんはあれだけ走ってないのに賞金ランク1位だし、新田(祐大)さんも獲るとこを獲ってグランプリ。自分も負けないようにと思って来ました。グランプリは何年ぶりか分からないけど、決められたのはホッとしたし、力で決められたのはうれしい」
 終始、小林優香を追走していた石井貴子はゴール前で小林優香に激しく詰め寄ったが逆転ならず。
 「不甲斐ないです。優香さんがまくり切ったら、しっかり決めようと思ったけどダメでした。出し切れないといけないなかで、(勝てないのは)フィジカルと脚力のなさかなと思う。体重も足りない部分かな。(グランプリまで)1カ月、練習して頑張ります」
 高木真備も優勝するしかグランプリ出場のチャンスはなかったが、小林優香に力負け。3着に敗れた。
 「出し切って負けたので悔いはないです。大久保(花梨)さんに勢いをもらって行けたけど。今できる精いっぱいのレースはできたと思います。また来年頑張ります」