『第61回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 5日目編

配信日:11月24日

 北九州メディアドーム小倉競輪場を舞台に開催されている「第61回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は23日に5日目が行われた。ファイナル進出をかけた準決勝3個レースでは迫力満点のスピードバトルが展開された。平原康多に諸橋愛、松浦悠士、清水裕友らベストナインが出そろった。24日の決勝戦で今年最後のGI覇者が決まる。
 最終日の24日はメイプル超合金によるお笑いライブをはじめ、ウルトラマンタイガショー、DMM競輪専属タレントのプロボウラー渡邊瑠花のトークショー、元ボートレーサー鎌田義のトークショーなど多彩なイベントが予定されています。ぜひ本場でお楽しみください。

協和食品杯 ちゃりんこGP'19決勝戦
協和食品杯 ちゃりんこGP'19決勝戦
児玉碧衣選手トークショー
児玉碧衣選手トークショー

<3R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 赤板ホームから先に動いた吉田敏洋を打鐘で松井宏佑(写真)が叩き、徐々にペースを上げていく。2コーナー、8番手から中川誠一郎が、2センター、4番手からは守澤太志がまくるがどちらも届かず。逃げた松井が押し切って、敗者戦連勝を飾った。
 「4日目が遅いレースで、今日(5日目)は早いレースだったのでセッティングはイジってない。でも徐々に出てきたと思います。初日はペースがダメだったけど、その分落ち着いて後半に駆けられるようにと思ったら良かった。初日ダルかったけど、体が良くなってきてると思う。最終日も1着取れるように頑張りたい」
 松井ライン3番手の芦澤辰弘が神山雄一郎を交わして2着に。
 「強いっすね。参った。あれが(普段は)敵だと思うと怖いな。ずっとシッティングで踏み上がり方が(すごい)。負け戦だけど着がまとめられているのはうれしい。来年に向けて、あと1走あるので。また今日(5日目)みたいな気持ちで臨みたいと思う」

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太田竜馬選手
太田竜馬選手
 後ろ攻めから切った浅井康太の動きに続かなかった太田竜馬(写真)の狙いは打鐘ガマシ。狙いどおり打鐘から一気に仕掛けると、最終2センターまで後続を一本棒にしたまま押し切った。
 「(二次予選は誘導を残して下げて失敗)今日(5日目)は誘導がおらんかったんで(笑)。山おろしでドカンって行こうって思ってました。ここは(スピードに)乗せた方がいいから。今日は思うように走れたんでいいっすね。1着で良かった。決勝には乗れなかったけど、また最終日頑張ります」
 太田のカマシに俊敏に反応した山中秀将は離れた3番手で徳島コンビを追いかけると、4コーナーから詰めた勢いで太田に迫った。
 「浅井さんに太田が付いていかなかったので、これは俺が切ったとこを行きたいんだろうなと思った。それは嫌だったんで、遅らせて太田の仕掛けに合わせて踏んだ。余裕はあったけど、早めに詰めて3コーナーで小倉(竜二)さんのを食らったらキツいので。2センターから踏んで太田と勝負したかったけど4コーナー勝負になってしまった」

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渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 正攻法から引いて7番手で態勢を整えた稲毛健太が打鐘過ぎに一気のカマシを敢行する。離れた中団で追いかける形になった渡邉雄太(写真)だったが、近畿3番手の村田雅一が徐々に離れはじめると、追いつきざまにスピードを上げてゴール寸前で稲毛をとらえた。
 「ジャンで押さえてそのまま駆けようと思ったけど、気づいたら並ばれててすごいスピードで行かれてしまった。上バンクを走られたから飛び付くのもキツかったですね。村田さんが離れているのにも気づくのが遅れて、あんなに遠いとは思わなかった。本当にギリギリでしたね。届くとは思わなかった」
 カマした稲毛健太は末脚も良かった。追走した村上義弘、渡邉マークの岡村潤には交わされず2着に粘った。
 「初めにスピードを上げて上を走れば3人で出切れると思ったし余裕もありましたね。あとちょっとでしたね。今回は自分らしくないですね。いつも1(着)か9(着)なので。でも2月までが宮杯の選考期間なので。簡単に9着を取るわけにはいかない。9着取ったらすぐに点数が落ちてしまうので」

<9R>

諸橋愛選手
諸橋愛選手
 ここからが準決勝。小松崎大地、原田研太朗、三谷竜生の順で切った上を前受けから後方まで下げた吉田拓矢が一気に巻き返して打鐘の4コーナーから主導権を握る。すかさず反撃に出た小松崎は3番手の三谷に弾かれて後退。吉田の番手で車間を空けた諸橋愛(写真)が後続を警戒しながら鋭く追い込んだ。
 「作戦通り。本当に吉田が強かった。ちゃんと組み立ててくれるからいいですね。最高の展開でした。自分のなかでどれだけ車間を切ってるか分からなかったけど、後ろが三谷なんで、踏み出しにしっかり対応して、あおりは作ろうと。吉田と一緒に(決勝に)乗れて最高です」
 単騎の和田健太郎は初手から近畿コンビを追走。バック前から内を進出して2着に食い込んだ。
 「単騎なんで、どこでもいられるかなって思ってました。悩んだんですけど、三谷君が積極的に動きそうだったので。外を行っても間に合わなそうだったんで内にいきました。諸橋さんが車間を切ってるのも見えてたし、焦って踏んでもスライスするので待ってから踏みました」
 吉田拓矢が3着に逃げ粘り、2年ぶり通算2度目のGI優出を果たした。
 「作戦通りいけました。あとは自分がどれだけ粘れるか。小松崎さんが来たのも見えて、しっかり反応できました。いつもGIは準決勝に乗れてどこか満足していたんですが、今回は絶対に決勝に乗るという気持ちだったし、それが結果につながりました。素直に自信になります。決勝戦もいいレースをしたいです」

<10R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 打鐘過ぎ2センターから踏み上げた清水裕友が逃げる堀内俊介を飲み込むと、続いた松浦悠士(写真)がゴール前で逆転。決勝進出を決めると同時にグランプリ出場をほぼ確実なものにした。
 「良かったです。ワンツー決まってうれしいですね。自分だけじゃなく裕友と一緒に上がらないとって気持ちだったので。いつもなら裕友はあそこ(打鐘)ですかさず行くけど、行かなかったので先踏みして脚をかなり使った。緊張しました。(バックで)後ろが松谷(秀幸)さんと(鈴木)竜士で併走になってたので、外(帯)線を外さずうまく仕事ができたと思う。グランプリに出るっていう意味では決勝にしっかり上がらないといけなかったし、まずは第一関門突破というか。今日(準決勝)は裕友のおかげ。気持ちが伝わりました
 清水裕友は松浦と決勝に上がるという大役を務め上げてホッとした表情。
 「走る前が一番緊張した。ホッとしました。順番が来て行こうかなと思ったら鈴木さんが来たんでタイミングが悪いなと思った。踏まされて出されそうだし、今回のデキならホーム目がけて行った方がと一発にかけました。仕事をやり切った感がありますね。自分のことと言うより後ろ2人(松浦と地元の園田匠)が重すぎたっす。(松浦が決勝に乗って)良かったあ…。あとは優勝するってことだけ頭に入れて頑張ります」
 最終ホームで鈴木の仕掛けに遅れてしまった木暮安由だったが、鈴木に割り込まれた園田匠の後ろに続くと3コーナーから内に切り込み鈴木を張った松谷の内をすくって3着に。
 「落ち着いてレースは見えてたんで。ちゃんとリカバリーできました。(内が)空け~っと思ってた。松谷さんが持ってくかなって雰囲気があったので、そこだけ見定めて突っ込んで行こうと思ってた。落ち着いてレースは運べてますね」

<11R>

平原康多選手
平原康多選手
 赤板ホーム過ぎに先に切った柴崎淳を1センターで小川真太郎が切ると、そこを一気に吉澤純平が踏み込んで打鐘過ぎ4コーナーから主導権を握る。3番手に入った小川が好スピードでバックからまくると、平原康多(写真)はこれを張りながら2センターから踏み込んで決勝進出を決めた。
 「純平がいつもの仕掛けをして、そこからって感じだったけど、小川が3番手からあんなすぐ来るとは思わなかった。もう少し遅ければコーナーで止められたけど、出られちゃったので。小川が強かったし、難しいですね。ああいうとこで失敗して叱られることも多かったので踏ませてもらった。(一次)予選は試したことが裏目で自転車がうまく進まなかった。昨日(4日目の二次予選)ぐらいに修正して良くなりました」
 四国勢を追走した柏野智典は誰かに入って来られないように内を締めていたが、中に三谷将太が入って来て渡部哲男が落車すると平原に続く形で2着に入った。
 「真太郎は行ってしまうと思ったけど、僕が哲男に付いていったら中が全部空くのでそこ(内)だけと思ってた。三谷か桐山(敬太郎)か誰か入ってくると思ったけど、あそこは勝負ですからね。(前を任せた)2人がコケてるので何ともですけど、(清水裕、松浦悠と)みんなで大きいとこを走りたいなと言ってたので決勝が楽しみです」
 大外をまくった柴崎淳のスピードが小川との接触で鈍ると、柴崎マークの坂口晃輔が外を鋭く伸びて決勝戦最後の切符を手に入れた。
 「外を踏まんと淳さんは飲み込むと思ってた。必死に追い込んだだけだけど、淳さんにしっかり付いて行けたんで。(決勝に)乗れるだけのデキというか感覚は良かったので落ち着いて走れた。今年5回目の(GI)準優でいつ(決勝に)乗れるのかなと思ってた。でも、あそこまで連れて行ってくれた淳さんのおかげです」