『第61回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 最終日編

配信日:11月25日

 北九州メディアドーム小倉競輪場を舞台に開催された「第61回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は11月24日に最終日が行われた。注目の決勝戦は吉田拓矢が先行。飛びついて平原康多をさばいた清水裕友が番手まくりを放つと、続いた松浦悠士が鋭く差し切り、GI初制覇を果たした。

競輪王決定戦出場選手特別紹介
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「競輪祭大人の扉」ゲスト:プロボーラー渡邊瑠花選手
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どりあんず平井とフジケンの楽しい時間
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決勝戦 レース経過

 号砲でいち早く松浦悠士が出て、清水裕友-松浦-栢野智典の中国勢が前団を占める。以下、和田健太郎、吉田拓矢-平原康多-諸橋愛、坂口晃輔、木暮安由となって周回を重ねる。
 青板3コーナーから清水が誘導との車間を切って、後続をけん制し始める。赤板まで来て吉田がダッシュすると、合わせて清水もスパート。踏み合いから2コーナーで吉田が出切ると、清水は番手飛び付き策に出る。打鐘からは吉田の後位がイン清水-松浦、アウト平原-諸橋で併走に。身体をぶつけ合っての激しい取り合いの末、最終1センターで平原を飛ばして清水が番手を奪い取る。そして、競り勝った清水は休むことなく2コーナーから番手まくり。バック手前で吉田をねじ伏せた清水には松浦が単独で続き、遅れた諸橋は柏野をキメて3番手に。2センターからまくり追い込んできた和田は諸橋に止められる。このまま直線に入り、粘る清水を、間合いを図った松浦がゴール寸前で差し切りGI初優勝を飾った。

<6R>

村上博幸選手
村上博幸選手
 野田源一、藤根俊貴の順で切った上を吉田敏洋が打鐘前に叩いて逃げる。4番手を確保した藤根が最終2コーナーからまくるが、これをけん制して止めた村上博幸(写真)が鋭く追い込んだ。
 「(吉田とは)お互い40歳で、負けてられないなって思いました。先行してくれたし、自分もしっかり魅せようと。脚には余裕がありました。今回は自転車に失敗しました。20何年、自転車と向き合ってショックですね」
 最終バック9番手から武藤龍生がコースを見極めて2着に突っ込んだ。
 「あの位置なんで苦しかったけど、コースを見ながら入っていけました。GIは緊張感があるし、キツいレースが多いんですが、今回は爪あとを残せたかなと思います。前の年よりも今年は成長できた1年でした」

<7R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 松井宏佑(写真)が敗者戦を3連勝。先に切った鈴木竜士を叩いて打鐘から主導権を握ると、小松崎大地のカマシを合わせ、鈴木の3番手まくりも振り切った。
 「先行で、積極的に行きたかったんで。出し惜しみせずに攻めようと思ってた。これを初日から出せれば良かったけど、駆け方とか難しくて。それがだんだん良くなってきた。良かったです、最後は。決勝とかに行きたかったけど、それは今度に取っときます」
 松井を受けた鈴木竜士はバックまくり。桐山敬太郎のけん制を耐えて外を伸びたが、松井をとらえることはできなかった。
 「(初手で)松井さんが後ろだったので切って出させてと思ったら、先に稲垣(裕之)さんが来たので行かせたらマズいなと思った。組み立てとしてはいいんですけどね。勝ち切れてない。脚を使ってないので、1着まで行ければ良かったけど」

<9R>

古性優作選手
古性優作選手
 後ろ攻めから動いて切った堀内俊介を古性優作(写真)が打鐘前に押さえる。前受けから後方まで下げた中本匠栄がすかさず巻き返して主導権を握る。飛びついた古性は松岡貴久をさばいて番手を奪うと、返す刀で2コーナーからまくって快勝。近畿ラインで上位独占を決めた。
 「1回出てから考えようと。流れのなかで駆けるか粘るか判断しました。(番手を)取ってから無理やり行きました。最後はもういっぱいだったんですが、ラインで決まったのが一番です。いまの自分の脚力だとGIを取りにきたとは言えない。来年はしっかり準備して周りからも自然にそう思われるくらいの力をつけたいですね」
 4着の堀内俊介は中団の内に詰まって仕掛けられなかった。
 「ゴチャついてホームで行ければ良かったんですけどね。外を踏みたかった。最後にいいレースで終われなかったのは残念。今回は準決勝に乗れたのは良かったけど、課題も明確になった。来年に向けて、しっかり力をつけて、特別競輪で結果を出したいです」

<10R>

園田匠選手
園田匠選手
 原田研太朗を突っ張った稲毛健太を1センターで切った柴崎淳は渡邉雄太の先行を受けて4番手を確保。稲毛の巻き返しをけん制しながら2コーナーからまくると、続いた園田匠(写真)がゴール前で逆転した。
 「準決勝は(清水裕友ラインの)3番手でキツかったけど、悪くないと思う。アッチャン(柴崎)が良く頑張ってくれた。あんなスンナリな並びになると思わなかったし、まくりなら(上がりタイムが)何秒でも(差せる)。あれだけお客さんも喜んでくれたんで良かった」
 2着の柴崎淳は5走で4連対という結果でシリーズを終えた。
 「脚的には仕上がってた。あとは組み立てですね。インパクトが強すぎると、(警戒されて)脇本(雄太)みたいになる。そうなったら構えて勝負するしかないし、今回はいい勉強になった。これからも流れが向くようにやっていくしかない。(タイトルを)狙えるところにいるので、あとはどうやって勝ち上がっていくかですね」

<11R>

山田久徳選手
山田久徳選手
 簗田一輝、吉澤純平の順番で切った上を三谷竜生がすかさず押さえて打鐘前から逃げる。後方から巻き返しを狙った太田竜馬は中団で浮いて後退。4番手の位置で態勢を整えた吉澤は最終2コーナーからまくり上げたが、山田久徳(写真)がブロック。3番手の南修二が内を締めながら中割り狙ったが、耐えた山田が直線で鋭く抜け出した。
 「もう(三谷)竜生が頑張ってくれたので。かかりも良かったし、太田も浮いたので。(吉澤がまくってきたときに)ちょっと遅れたかなって思いましたけど、なんとか引っかかったので。南さんが入ってきたのも分かって最後は踏みました。ラインで決められれば一番良かったですけど、やれることはやったので。次また竜生と連係するときにしっかりと返したい」
 決勝進出を逃した三谷竜生は最終日に気迫の先行策で場内を沸かせた。
 「最近は先行できなくて、踏める距離も短くなっていたので。気持ちの弱い部分も出てしまっていたし、展開次第ですけどしっかり踏もうと。スピードも上がるし、あの位置なら先行って決めました。来年またしっかりタイトルを獲って(S班に)戻りたい」

<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 第61代の競輪王に輝いたのは松浦悠士(写真)だった。レースは赤板前から吉田拓矢が一気に踏み上げる。突っ張り気味に踏んで飛びついた清水裕友が平原康多をさばいて番手を奪う。すかさずまくり上げた清水に続いた松浦が車間を切ってから追い込んで逆転。初のGIタイトルを手にした。
 「まだ実感はないですけど、GIタイトルは狙って獲れるものではないし、本当にうれしいです。ラインの勝利だと思ってます。清水君が頑張ってくれました。清水君が出てから諸橋(愛)さんが後ろだと分かったので、ギリギリまで待ってから踏みました。本当にいろんな人の支えがあって獲れたので、感謝しています。グランプリに向けてしっかり練習します」
 清水裕友にとっては作戦どおりの組み立て。平原康多を飛ばして2コーナーまくりを打ったが、惜しくも初タイトルはならなかった。
 「2分戦だったので突っ張って、(吉田が)無理やり来たらハコ。引いたらないんでね。取り切ってすかさず行ったけど、ゴール前はいっぱいだったですね。4コーナーで気配がなかったんで、夢見たけど。悔しいのもあるけど、ラインで決まったので言うことない。グランプリは獲れるように末脚の練習しときます」
 グランプリ出場には優勝するしかなかった諸橋愛にとっては厳しいレースになった。柏野智典をキメて清水、松浦の3番手に付けたが3着が精いっぱいだった。
 「(イン粘りは)想定外でしたね。半分もなかった。いや10パーセント以下かな。考えが甘かった。拓矢も頭になかったんでしょうね。だからガツンと踏まなかった。もうその後は必死でした。康多も浮いたんで。3着に入るのが精いっぱいでした」

次回のグレードレースは11月30日~12月3日まで別府競輪場で開設69周年記念「オランダ王国友好杯」が開催されます。S級S班から浅井康太が参戦。渡邉一成、佐藤慎太郎、木暮安由ら実力者がそろっている。新鋭・松井宏佑も参戦。最終日第6レースに実施される「S級ブロックセブン」にも注目です。11月19日時点の出場予定選手データを分析した「オランダ王国友好杯」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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