『第62回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 2日目編

配信日:11月20日

 グランプリをかけた最後のGI。北九州メディアドーム・小倉競輪場で「第62回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は、19日に2日目が行われた。予選1と2が行われ、予選の2では新田祐大が、初日に続いての1着で4日目の「ダイヤモンドレース」進出を決めた。ガールズは予選2で決勝進出が争われ、地元の児玉碧衣が危なげなく連勝を飾った。20日の3日目には、「アメジスト」、「トパーズ」の決勝が行われ、「ガールズグランプリ2020」の7人の出場メンバーも決まる。
 今シリーズは新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点から、すでに申し込み抽選が行われ、その結果、入場証をお持ちの方のみの入場となります。入場証をお持ちでない方は、小倉競輪場1Fの場外車券をご利用ください。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

<1R>

小倉竜二選手
小倉竜二選手
 古性優作、吉澤純平が切った上を山崎賢人が一気に叩いて打鐘過ぎから主導権を握る。俊敏に追い上げて4番手を確保した古性だが、仕掛けられない。山崎の番手で絶好となった小倉竜二(写真)が、直線で鋭く抜け出した。
 「前から2番目(のライン)が取れたし、ラインも3車だったからね。もうこれは先行やなって流れになった。(山崎は)オッサン2人が付いていけるスピードで、からまれんように気を遣って駆けてくれた。最後はもう少し踏み直すだろうって感覚でいたけど、タレてきたね」
 ゴール前で末脚を欠いた山崎賢人は3着に。
 「前以外ならって感じで考えていました。仕掛けた感じも想定通りでした。ペースは悪くなかったけど、最後タレてしまったので。ちょっとスカスカしましたね。1日空いて疲れが抜けすぎたのかも」

<2R>

新山響平選手
新山響平選手
 和田真久留の上昇を前受けの島川将貴が、赤板で突っ張る。さらに稲垣裕之も出させないが、落ち着いて巻き返すタイミングを計っていた新山響平(写真)が、打鐘手前で主導権をうばって駆ける。島川は3番手に入り、後位は中川誠一郎をキメた稲垣。最終2コーナー手前から仕掛けた島川は不発になり、逃げた新山が木暮安由を振り切って1着。
 「(シリーズを)1着スタートもうれしいですけど、ラインでワンツーできたのと、木暮さんが援護してくれたのがうれしかった。落ち着いて自分がもつ距離からいった。でも、(スピードが)上がり切らずに末を欠いた感じです。そのあたりは修正したいですね」
 願ってもない展開だっただけに、8分の1輪差の2着を木暮安由はこう振り返る。
 「新山君は(最終)バックからまた加速していったので、新山君はデキがいいんじゃないですか。自分は抜けてないので、いいとは言えないけど2着だったので」

<3R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 野原雅也が押さえた上を岩本俊介が出て先頭に立つ。佐藤慎太郎(写真)、阿部力也の北日本の2人が追走して、単騎の河村雅章、杉森輝大が続くが野原は4番手で河村と併走。打鐘の4コーナーから原田研太朗が仕掛けるが、岩本が合わせて逃げる。4番手を取り切ってまくり気味に追い込む野原の強襲を佐藤がしのいで1着。
 「(ラインで)ワンツーを決められなかったのは技量不足。野原のスピードも良かったですね。(44歳になったが)まだまだイケると思う。せっかくグランプリが見える位置にいるので、しっかり出場権をものにしたい」
 3車で横一線のゴールも逃げた岩本俊介は、わずかに沈んで3着。
 「ドームだし積極的に(仕掛けて)行く勇気が必要だなと。昨日(初日)が休みでレースの流れを見ていて感じることがあって、何っていうのはいえないですけど、そこに合わせて体が動いた」

<4R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 高橋晋也が川口聖二にフタをする形から、突っ張り気味に踏む三谷竜生を叩いて先行態勢に。8番手まで下げた松浦悠士(写真)が打鐘の4コーナーから巻き返そうとしたところで川口が合わせて動く。冷静に戦況を見極めた松浦は最終2コーナーからまくって後続を引き離した。
 「(打鐘前に)切れるなら切って、(高橋が)突っ張るなら待ってと思って落ち着いていました。ホーム前に仕掛けようとしたところで川口君が仕掛けたので見ながら最後は自分で仕掛けました。(最終)バックを取れたし踏んだ距離も問題ないですね。体を1.5キロ絞ったので前回の四日市よりも感触いい」
 最終2コーナーで三谷が園田匠を弾いて大きく外にふくらむと、東口善朋は俊敏に切り替えるように自らまくって2着に入線。
 「三谷が失格になってしまって気持ちとしては複雑ですけど、何とか流れに対応して走れた。三谷がかなり上に上がってしまったので危ないって思って避ける形で内に行って、そのあとは前に踏むしかなかった。調子は引き続きいいと思う」

<5R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 打鐘の3コーナーで山岸佳太を叩いた根田空史が先行態勢を取る。が、新田祐大(写真)の巻き返しも早い。2センターから踏んで前団に襲い掛かると一瞬、3番手に入りかけたが、そのまま逃げる根田をとらえてグングンと加速する。守澤太志は付け切れず、セーフティーリードを保った新田が連勝のゴール。
 「守澤が自分たちのレースを考えてだいぶ(スタートを)待ってくれた。その気持ちもあって、自分の出番が来たらしっかりと力を出そうと思ってた。でも根田のところが中途半端だった。あそこで止まったんで、根田にも行きやすくなってしまったし、ほかのラインも態勢を整えやすくなった。あとは(最終)ホームですね。3番手に入ってもう1回行くのが、守澤にとってはすごくキツかったと思う。初日よりも早くスピードが立ち上がったし自分は悪くないですね」
 逃げた根田空史は、離れながらも2着に入りポイントを加算した。
 「初日に一瞬見ちゃって出切れなかったんで、その反省を生かして早めに仕掛けました。結構、(新田を)合わせられたから、付き直しやすかった。全開で踏んでたのが良かった」

<6R>

諸橋愛選手
諸橋愛選手
 打鐘前に飛び出した坂井洋に深谷知広が、猛然と襲いかかる。最終ホーム前に叩き切った深谷だが、追走の吉田敏洋は口が空き坂井が後位に収まる。坂井目標の諸橋愛(写真)が最終2センターから内を突いて鋭く抜け出した。
 「吉田が(深谷に)付いてくるかどうかだったので。(坂井は)さばいてくれたし良かった。内を突いて近道をしたけど戦えている。感覚は戻ってきているし、競輪をしているなと」
 豪快にカマした深谷知広は、援軍を失ってしまい3着に沈んだ。
 「自分の持っている力は出し切れた。(吉田と)ワンツーが決まれば良かったけど。後ろの状況は何となくわかっていたけど、スピードが上がり切っていたので、自分のペースで踏んだ。スムーズに行っていない部分があるので、そこは考えたい。悪いわけではないが、良いわけでもない。1日の休みはプラス。しっかりと次につながる時間にしたい」

<7R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 押さえて出た四国コンビを追った平原康多が3番手に入り、一本棒の8番手まで下げた松井宏佑(写真)は打鐘からの巻き返し。小川はそれほどペースを上げず、主導権を握った松井がダッシュを利かせてリズムよく駆ける。最終バックでも5番手の平原は仕掛けられず、松井が逃げ切った。
 「初日はせっかく2車付いてくれたのに、自分が主導権を握れなくて後ろに迷惑を掛けてしまった。だから、今日(2日目)は2車ですけど、積極的にと思っていた。(萩原孝之と)ワンツーで良かった。小川(真太郎)君もそんなに上げている感じじゃなかったし、平原さん、山本(伸一)さんも出ていく感じがなかったんで、そんなに脚を使わずに出られるかなと。昨日(初日)からセッティングを変えたんで、昨日よりかみ合ってる」
 小川の飛び付きを警戒しながら松井に付け切った萩原孝之が2着。
 「松井君のダッシュはすごいんで付け切れるか心配だったし、粘られるかなっていうのもあったんで良かった。松井君は出切ったあといい感じで駆けて、(最終)バックからまた踏み上がった。(前回、立川の落車の)怪我が長引いているけど、だんだん良くなっている」

<8R>

岩津裕介選手
岩津裕介選手
 赤板2コーナーで郡司浩平が先頭に立つと、合わせて動いた畑段嵐士が番手で粘り郡司後位がもつれる。後方の取鳥雄吾は、タイミングよく仕掛けて前団に迫る。郡司は岡山コンビを受けて3番手で最終ホームを通過する。郡司に絶好かに思われたが、逃げる取鳥の掛かりがいい。番手の岩津裕介(写真)が郡司をけん制しながら追い込んだ。
 「(取鳥が)練習通りに駆けてくれて、一番理想の展開になりました。郡司君が3番手でキツいんですけど、みんな郡司の後ろを狙っていたんで、(取鳥)雄吾は(出る時に)そんなに脚を使わなかったと思う。郡司君も仕掛けようとしてたけど、コーナーに入ってたんでよほどじゃない限り超えられないかと」
 3番手キープの郡司浩平は、最終2センターで外に持ち出すも伸びを欠いて2着。
 「自分は内を空けないようにしていたので、その分脚を削られて最後は伸びなかった。飛び付く時点ではまだ余裕があったんですけど。岡山ラインが一枚上だった。脚の感じは問題ない」

<9R>

梅川風子選手
梅川風子選手
 3番手の佐藤水菜が真後ろの梅川風子(写真)を警戒して車間を空けると、正攻法に構えていた山原さくらがそのまま徐々にピッチを上げて逃げる。最終バックは大久保花梨、その外に佐藤、さらにその上を梅川でまくり合戦となったが、梅川が力ずくでライバルをねじ伏せた。
 「けん制されていましたけど、無視していけるくらいじゃないとダメでしたね。見てしまって行けるところで行けなかった。結果的に苦しい展開になってしまいました。最後は力の差でまくり切れましたけど、感覚的には良くなかったですね」
 コースを縫いながら直線で車を外に持ち出した太田りゆが2着に強襲。
 「(小坂知子の内が)空いたって思って狙いました。そのあとは内に行ってバックを踏んで最後何とか外だって感じで踏みました。そこまで脚を使っていなかったけど、あれだけ伸びたので悪くないですね」

<10R>

高木真備選手
高木真備選手
 6番手の吉岡詩織が打鐘の3コーナーから一気にカマして主導権を取る。前受けの小林優香が懸命に合わせようとバンクの上に登るが、3番手にいた高木真備(写真)が内をすくって吉岡の後位にはまり込む。4番手の位置で態勢を整えた小林が2コーナーからまくって出るが、これに合わせるようにまくった高木が連勝を飾った。
 「消極的になってしまったのは反省点ですね。小林さんが来たら合わせて踏んで、来なければ追い込みでもって。去年と同じ展開でしたけど、今年は(小林を)合わせ切れたので成長できていると思います」
 合わされながらも懸命に外を踏み続けた小林優香が、2着で決勝進出を決めた。
 「S取りは競輪人生で初めて。初日の反省を生かして前々に行きました。まくりのスピードは良かったですけど、乗り越えるのが課題ですね。日に日に良くなっているし、脚は悪くない」

<11R>

柳原真緒選手
柳原真緒選手
 打鐘の3コーナーで先頭に立った奥井迪がペースを握る。2、3番手が併走になり、6番手で脚を溜めていた柳原真緒(写真)が最終2コーナー手前から仕掛ける。外併走から小林莉子もまくるが、その外を柳原が踏んで、逃げる奥井をとらえた。
 「流れを見て仕掛けようかなって思っていたんですけど、後ろで構えて4車(併走)の一番上だったんですけど、しっかり冷静にまくって行けました。(初日に)逃げ残れた3着が自信になったので、出足も良かったです」
 最後方の7番手から柳原を追いかけた尾崎睦が流れ込んで2着に入り、決勝のキップをつかみとった。
 「まずは決勝に乗れるようにと思って一生懸命走った。今日(2日目)は母の誕生日で、1着取りたかったんでちょっと悔しいです。前が柳原さんだったので、行き切れるかどうか、そこだけ見極めてました。しっかりもうちょっと付いていければ良かったです。脚の感じは問題ない」

<12R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 人気の児玉碧衣(写真)を6番手に置いて、前との車間を空けた尾方真生が打鐘の2センターからカマす。前受けの石井貴子が飛び付くも、尾方のダッシュが良くなかなか詰まらない。外併走で前団を射程圏に入れた児玉は、最終2コーナー手前でエンジンに点火。さすがの爆発力で逃げる尾方をとらえて、後続をちぎった。
 「走る前から珍しくとても緊張していたけど、発走機を出てからはいつも通りの感じで走れました。前(尾方)がカマさなかったら、自分でカマそうって思っていたんですけど。前がカマす形になった。昨日(初日)は軽くて回転が追い付いてないっていう話をしたんですけど、今日(2日目)はしっかり踏み応えもあったし、(上がりタイムが)11秒5っていうベストタイムも出た。思ったよりも仕上がっているなっていうのはあります」
 児玉にまくられながらも、逃げた尾方真生が踏ん張って2着に粘り込んだ。
 「(打鐘の)4コーナーから思いっきり仕掛けられて、2着で決勝に上がれたので、ひとまず良かったなと思います。自分の思っているところから2日間とも仕掛けられている。(2走して)脚もすごいいい状態だと思う」